犬の僧帽弁閉鎖不全症の原因・症状とは?

犬の僧帽弁閉鎖不全症(イヌノソウボウベンヘイサフゼン)の原因

僧帽弁が変形したり、弁と心臓をつなぐ腱が弱くなるなどして僧帽弁の閉鎖不全が起こる。要因は僧帽弁の繊維化や遺伝子によるものと推測されている。僧帽弁閉鎖不全は犬の心疾患の約85%を占める。

犬の僧帽弁閉鎖不全症(イヌノソウボウベンヘイサフゼン)の症状

心臓の左心室と左心房を隔てる僧房弁の閉鎖不全のため血液の逆流が起こるもの。肺や気管に負担がかかり、喉に物が詰まったような咳や、散歩を嫌がるなどの運動不耐性(運動を嫌がる、運動するとすぐに疲れてしまうなどの症状)などの症状が現れてくる。

犬の僧帽弁閉鎖不全症(イヌノソウボウベンヘイサフゼン)の治療

ACE阻害薬、強心剤、利尿薬などを用いる内科的療法で症状の緩和をはかる。根治は難しく、悪化しないようにコントロールし続けることが重要。

【受診科目】

12人の医師がこの病気について述べています

獣医師に聞いた
犬の僧帽弁閉鎖不全症の原因・症状・治療方法

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『心臓の弁』のトラブルにより起こる病気

心臓の左心房と左心室の間に位置する僧帽弁(血液を送り出すために開いたり閉じたりする機能を持つ弁)が、高齢など何かしらの原因で変性し、閉鎖不全が生じて血液の循環不全が起こる病気です。先天性は稀であり、後天性が主なケースになります。

症状は心臓の病気ですから「疲れやすい」「咳き込む」といった症状が出ます。「倒れる」となるとかなり症状が進んでいるケースですね。重症になると肺水腫、呼吸困難、チアノーゼといった症状を起こし、死に至ることも……。

治療法は症状や重症度によって異なりますが、血圧を下げる薬を飲んだり、倒れるような症状がある場合は、利尿剤や強心剤を飲んだりといった治療になります。僧帽弁閉鎖不全のステージ分けについては「エコー検査」と「レントゲン検査」を行い、その結果によって「内科治療」が必要かどうかの判断をします。程度によってさまざまな治療薬がありますが、内科治療では治るような病気ではないので、近年は「外科治療」が行われるようになりました。

堅木 道夫 院長

かたぎ犬猫病院・川越どうぶつ医療センター

堅木 道夫 院長

  • 川越市/的場/的場駅
  • 犬 ●猫

ある程度の年齢になれば定期的な健康診断を

左側に2つ、右側に2つ。心臓は4つの部屋に分かれています。左側に左心房と左心室の2つの部屋があり、その間の扉が僧帽弁です。血液は左心房から左心室に流れていき、正常であれば僧帽弁が閉じます。閉じることで左心室が収縮し、それによって血液が全身に送られていくのです。僧帽弁閉鎖不全症とは、その名の通り、この僧帽弁が閉まりにくくなる疾患です。本来ピタッと閉じなければいけないものが開いたままになることで血液がめぐりにくくなり、左心房に逆流することで心臓の手前の肺にも障害が及ぶことになります。
心臓が原因で「呼吸が苦しい」となれば、これは一刻も早く病院でしかるべき処置をおこなわなければなりません。それ以前の症状となりますと、動くのが辛くなる、元気がなくなるといったものがありますが、これらは高齢になってくると見られるようになる症状で、見分けるのは困難です。そのため、常日頃の健康診断が非常に大切になってきます。
治療は、外科手術と服薬治療とに大別されます。心臓は、一度悪くなると二度と元の状態には戻りません。機能を戻そうとすれば、手術しか方法はないのです。僧帽弁閉鎖不全症の手術は大掛かりなものになりますから、出来るのは設備の整った限られた施設となります。私も前職で手術に関わっていたものですから、適切なアドバイスをおこなうと共に、ご希望があればしかるべき施設にご紹介が可能です。服薬については、心臓の負担をできるだけ軽減するものです。大別すれば、血管を広げるお薬に強心薬、そして利尿薬の3つとなりますが、超音波検査によってどのお薬が合っているかを確認しながら治療を進めていくことになります。
僧帽弁閉鎖不全症は、早ければ5歳、6歳で発症します。犬種としては、チワワやポメラニアン、トイプードル、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルといった小型犬に多いものです。遺伝的な要因も疑われており、また女の子より男の子のほうが病気の進行が早いと言われていますが、いまだはっきりしたことはわかっていません。小型犬を飼われている方は、このような疾患があることを認識し、ある程度の年齢になれば健康診断をお考えになったほうがよろしいかと思います。

渦巻 浩輔 院長

成増どうぶつ病院

渦巻 浩輔 院長

  • 板橋区/赤塚/成増駅
  • 犬 ●猫 ●ハムスター ●フェレット ●ウサギ ●鳥

高齢の小型犬に多い『僧帽弁閉鎖不全症』はどんな病気?

犬の僧帽(そうぼう)弁閉鎖不全症は、心臓で血液の逆流を防止する僧帽弁(そうぼうべん)が加齢とともに弱って、変形してしまうことで心臓が大きくなり、いろいろな病気を引き起こしてしまう病気です。なりやすい犬種はトイプードルなどの小型犬で、大型犬はまれです。症状について初期では咳をしたり運動嫌いになったりしますが、進行して重症化すると肺に水が溜まって呼吸ができなくて「肺水腫」(はいすいしゅ)になったり、失神したりして大きな病気や命の危険にも発展します。病院に行くべきサインは、高齢になって咳が増えてくる様子がみえたら、一度病院へ相談するのがいいかなと思います。もし肩で呼吸している様子があれば緊急事態ですので、すぐに病院へ行ってください。
治療法はいろいろな種類の薬があるので、それを組み合わせて適切な状態に保っていくのが主になります。最近では大学病院で外科手術をすることもあるのですが、基本的には薬で治していく内科的な処置をします。予防法については特にありません。しかし僧帽弁閉鎖不全は小型犬に非常に多い病気ですので、ある程度の年齢になったらなっても仕方ないものだと頭に入れておいてください。もし早期発見、早期治療ができれば大きな悪い状態を防ぐことができるので、不調に気づいた時点で早めに獣医さんへ相談してください。

菊地 歩 副院長

アニマルメディカルセンター

菊地 歩 副院長

  • 吉川市/吉川/吉川駅
  • 犬 ●猫

治療によって普段の状態を取り戻すことも十分に可能

犬の僧帽弁閉鎖不全症とは、端的に申しますと、心臓が大きくなってしまう疾患です。文字通り、心臓の僧帽弁という弁が閉鎖しにくくなるもので、原因として遺伝が背景にあると考えられています。
この疾患は初期においてはほとんど症状がなく、中期以降になり、心臓が大きくなって気管を圧迫するようになると咳の症状が出始めます。ヒトであれば、疲れやすくなったりもするのですが、ワンちゃんの場合、この疾患が中齢から高齢になって起こることもあり、見分けがつかないのです。ですから、悪化して、緊急の状態になった時に初めて疾患に気づかれるケースが多いんですね。悪化すると多いのは、肺に水が溜まってしまうものです。おぼれているような状態になってしまいますので、非常に苦しく、早ければ数時間で死に至ってしまいます。とはいえ、この状態に陥ったとしても、諦めず緊急治療を受けることによって、改善に向かうことは十分にあります。治療には外科手術とお薬による内科治療があり、ご飯も食べられて、お散歩もいける普段に近い生活をおくれるまだ安定してくれる子も多くいます。

巡 夏子 院長

めぐり動物病院 元代々木

巡 夏子 院長

  • 渋谷区/元代々木町/代々木上原駅
  • 犬 ●猫 ●ウサギ ●ハムスター ●フェレット

無症状の期間が長い。健康診断や聴診で早期発見を

僧帽弁閉鎖不全症は、犬の心臓の左心室と左心房の間にある僧帽弁が閉じにくくなり、血液が逆流し、心臓のポンプ機能が低下する病気です。犬の心臓病の8割がこれにあたり、血液が滞り肺に水分が溜まる肺水腫を発症することで呼吸がしづらくなります。また、ポンプ機能の低下により散歩に連れていってもすぐに疲れてしまう運動不耐性を起こします。この僧帽弁閉鎖不全症の原因は、遺伝が関与している可能性が高いと言われていますが、はっきりとしたことは解明されていません。小型犬、キャバリア、チワワなどが中高齢期にかかりやすい病気です。治療法は、薬を服用する内科治療が中心ですが、最近では外科手術で僧帽弁を修復することもできます。僧帽弁閉鎖不全症は初期段階ではほぼ無症状で、この期間が比較的長いです。聴診して心臓に雑音があり検査をして初めて心臓病がわかるというケースが多いです。なので、元気な状態であっても定期的な健康診断や聴診などをして、早期発見・早期治療に努めることが大切です。

萩原 大輔 院長

はぎわら動物病院

萩原 大輔 院長

  • 横浜市青葉区/藤が丘/藤が丘駅
  • 犬 ●猫

犬の病気としては最も多い部類に。適切なタイミングで治療を開始することにより、長期生存が可能に

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、犬で最も多い疾患といって差し支えないかもしれません。遺伝がベースとしてあり、男女比でいうと6:4ほど。弁が水ぶくれのように変形してしまい、閉じなくなるのですが、最近では細菌感染によるもの、という見方が一般的になっています。
この病気は長期間にわたって経過をたどっていくもので、進行度合いによってステージを分けることができます。そのステージの中で、この時期からお薬をスタートさせることによって長期生存が可能になる、というタイミングがあります。以前は獣医師によって治療方針はバラバラだったのですが、全世界的にデータを持ち寄り、その結果として治療も統一されてきています。早すぎず、時間も経ち過ぎずというのを検査によって見極め、しかるべきタイミングでお薬をスタートすることが大切です。

本田 拓海 院長

エンゼル動物病院

本田 拓海 院長

  • さいたま市北区/日進町/宮原駅
  • 犬 ●猫 ●ハムスター ●ウサギ ●鳥

僧帽弁閉鎖不全症は「聴診」で診断可能。定期的な受診と適切な治療介入を

心臓には4つの「弁」があり、血液が逆流するのを防いでいます。4つある弁のうち、左心室と左心房を隔てる弁を僧帽弁(そうぼうべん)と言い、僧帽弁閉鎖不全症は僧帽弁が十分に機能しない状態を指します。何らかの原因によって僧帽弁がしっかり閉じないと、正常な循環が妨げられることになります。本来は全身に送られるはずの血液が肺に逆流してしまうと肺高血圧症や肺水腫を引き起こし、中には死に至るケースもあります。

僧帽弁閉鎖不全症は、初期には症状がないことが多いものの、進行すると咳き込むようになり、やがて一日中咳が続くようになります。治療はお薬で症状をコントロールする方法もありますが、根治を望むのであれば機能不全となった弁を人工弁に置き換える手術が必要です。

僧帽弁閉鎖不全症であるかどうかは「聴診」で判断できることがほとんどですから、愛犬に気になる様子がみられたら早めの受診をおすすめします。特にキャバリアなどは僧帽弁閉鎖不全症にかかりやすい犬種とされていますので、8歳を目安に定期的なチェックを心がけていただくとよいでしょう。

五十嵐 眞一 院長

三崎動物愛護病院

五十嵐 眞一 院長

  • 三浦市/三崎/三崎口駅
  • 犬 ●猫 ●ウサギ ●ハムスター ●フェレット ●鳥

高齢犬に多くみられる僧帽弁閉鎖不全症は「聴診」での診断が可能

僧帽弁閉鎖不全症は、加齢などによって僧帽弁がしっかりと閉まらなくなり(閉鎖不全)、左心室から全身へ送られるはずの血液が左心房に逆流することで肺に水がたまったり、大きくなった心臓が気管を圧迫したりする病気です。

僧帽弁閉鎖不全症は高齢犬に多くみられ、病気の進行度合(ステージ)に即した治療法が確立されています。AからDに分けられたステージのうち、ステージB2以降になると強心剤などによる治療が行われることが一般的です。

僧帽弁閉鎖不全症は心臓の弁の異常であるため、外側から見ただけでは病気に気付くことはできません。しかし、聴診器を当ててみれば血液が逆流する雑音を確認でき、病気を見つけることが可能です。飼い主さんにはぜひ、定期的な健康診断や予防接種を心がけ、病気の早期発見につなげていただきたいと思います。

浜井 託 院長

千葉中央どうぶつ病院

浜井 託 院長

  • 千葉市中央区/院内/東千葉駅
  • 犬 ●猫

小型犬に多くみられる「僧帽弁閉鎖不全症」は早期発見がカギ

僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓にある「僧帽弁」の機能低下によって全身に送り出されるはずの血液が逆流してしまう状態を指します。犬の心臓疾患ではもっとも多くみられる病気で、チワワ、キャバリア、マルチーズなどの小型犬が発症しやすいことが分かっています。

初期の僧帽弁閉鎖不全症は症状がほとんどなく、ワクチン接種などの際に偶然発見されるケースも少なくありません。一方で僧帽弁閉鎖不全症は自然治癒が期待できず、確実に進行する病気ですから、何よりも早期発見・早期介入が大事になります。

僧帽弁閉鎖不全症のステージはA~Dに分類され、咳が出る・動きたがらないなどの症状がみられるB2の段階であれば、強心薬の服用によって心不全の発症を遠ざけることができます。大切なペットの命を守るためにも、中齢期といわれる年頃になったら定期的な健康診断を心がけていただきたいと思います。

梅田 直樹 院長

さざんか動物病院

梅田 直樹 院長

  • 越谷市/西新井/越谷駅
  • 犬 ●猫 ●ハムスター ●フェレット ●ウサギ

適切な検査と適切なリスク評価に基づき、進行度に応じたお薬の使用が求められる

心臓の弁(僧帽弁)の機能低下により症状が進むと、僧帽弁が変性を起こし、血液の逆流が起こるのが僧帽弁閉鎖不全症です。平らな弁に粘液が溜まって腫れて膨らんでいくことから、最近では僧帽弁粘液種様変性と言われます。
以前は、心雑音が認められた場合、レントゲン撮影を行い、さらに心拡大も認められた場合、お薬を処方するというのが一般的な治療の流れでした。現在では、エコー検査の精度が上がり、心機能を数値化してその結果から肺水腫などのリスクを把握し、進行度に応じた治療が求められるようになっています。今、その子がどういう状態にあり、なぜこの薬が必要なのかということを飼い主さんに理解していただけるよう説明することが大切です。

田中 翔 院長

みやまえだいら動物病院

田中 翔 院長

  • 川崎市宮前区/宮前平/宮前平駅
  • 犬 ●猫

中高齢期以降の小型犬に多くみられる「僧帽弁閉鎖不全症」とは……?

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、左心房と左心室の間にある僧帽弁がきちんと閉まらない(閉鎖不全)ために血液が逆流してしまう病気です。小型犬に発生する頻度が高く、中高齢期から高齢期に多くみられる特徴があります。症状としては、疲れやすい、よく咳をするなどがあり、ワクチン接種などの際に偶然発見されるケースも少なくありません。

僧帽弁閉鎖不全症は大きく5つのステージ(A/B1/B2/C/D)に分けられ、治療においては肺水腫が認められるステージCにさせないことが第一目標になります。自覚症状のないステージAやステージB1であれば食事療法やサプリメントによって様子を見ることも可能ですから、中高齢期に入った小型犬は定期的な健康診断を心がけていただくとよいでしょう。

伊藤 大輔 院長

おおがはす動物病院

伊藤 大輔 院長

  • 千葉市花見川区/畑町/新検見川駅
  • 犬 ●猫

高齢の小型犬に多くみられる心臓の病気とは?

犬の心臓は4つの部屋に分かれており、左心房と左心室の間にある「弁」のことを「僧帽弁」といいます。僧帽弁閉鎖不全症は、主に老齢性の変化によって、この弁が完全に閉じなくなる状態です。左心房から左心室へ送られるはずの血液が逆流することによって咳の症状が現れ、疲れやすさや食欲低下などがみられることもあります。

治療には大きく2つ、内服薬を用いた保存治療と外科手術があります。手術によって薬が必要なくなるほど回復するケースもありますが、一般には重症度(ステージ)や年齢などを考慮して治療を選択することになります。

僧帽弁閉鎖不全症の主な原因は加齢であるため、発症を予防することは難しいのが現状です。ただし普段から動物病院に通い、血圧や心拍などを定期的に確認することで病気のサインに気付き、適切な対応を取ることは可能です。僧帽弁閉鎖不全症は高齢の小型犬に多くみられる病気ですから、大切な家族のためにもぜひ定期的な健康チェックをおすすめします。

小日向 祐二 院長

こひ動物病院

小日向 祐二 院長

  • 目黒区/緑が丘/自由が丘駅
  • 犬 ●猫
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