犬の脾臓腫瘍(血管肉腫)の原因・症状とは?

【受診科目】

2人の医師がこの病気について述べています

獣医師に聞いた
犬の脾臓腫瘍(血管肉腫)の原因・症状・治療方法

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特別な体調の変化が見られず、ある日突然ぐったりしてしまうことが

脾臓血管肉腫とは、文字通り、脾臓(ひぞう)の血管に悪性の腫瘍が生じる疾患です。進行が早いのが特徴で、早期のうちに肝臓や肺に転移してしまうケースも少なくありません。症状としては、なんとなく元気がない、いつもより食欲が落ちているかもしれないといったことが見られる程度で、ある日ぐったりしているのを見て病院に行くと、おなかの肉腫が破裂してしまっているということが往々にしてあります。
そのまま治療しなければ一ヶ月以内に亡くなってしまうことがほとんどですが、破裂した腫瘍を摘出して、手術後は腫瘍に対する抗がん剤などの補助治療を併用していくことで、延命を図ることができます。
特別、体調に問題が起こらないことから見逃されやすい疾患でもあり、健康診断で偶然脾臓に影が見つかることも決して少なくありません。多くは高齢犬に見られるものですので、ある程度の年齢になったら、年に2回を目処に健康診断を受けていただくことをお勧めします。

和田 貴仁 院長

オリバーどうぶつ病院

和田 貴仁 院長

  • 杉並区/上井草/井荻駅
  • 犬 ●猫

非常に発見が難しい腫瘍のひとつ。早期発見のためには定期的な超音波検査が有効

犬の脾臓腫瘍は、非常に見つかりにくい腫瘍のひとつです。血液検査では異常が出にくく、健康診断や腹部の超音波検査で偶発的に発見されることも多くあります。特に大型犬に多く、散歩中に急にぐったりしたり、しばらくすると歩けるようになるといった、一見わかりにくい症状がきっかけとなるケースが典型的です。これは脾臓の腫瘍が破裂し、一時的に血圧が低下した状態から回復するためで、歯茎が白くなるなどの貧血所見が見られることもあります。

脾臓腫瘍の中でも血管肉腫は脆く破裂しやすいのが特徴です。海外では大型犬で「3分の2ルール」が知られていましたが、日本では小型犬が多いため、現在は「50%ルール」が一般的で、脾臓腫瘍の約半数が悪性、さらにその半数が血管肉腫とされています。

早期発見には腹部超音波が最も有効で、定期健診での実施が推奨されます。ただし、脾臓腫瘍は針生検が破裂のリスクを伴うため、必要に応じて時間を置いて腫瘍の増大を確認し、外科的摘出を選択することもあります。皮膚腫瘍のように外から見て気づけない分、健診や画像検査の重要性が高い腫瘍と言えます。

島村 剛史 院長

だん動物病院

島村 剛史 院長

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