猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因・症状とは?

猫伝染性腹膜炎(FIP)(ネコデンセンセイフクマクエン)の原因

猫腸コロナウイルスに感染し、発症することで起こる。猫腸コロナウイルスそれ自体は病原性が低く、感染しただけであれば何も問題はないが、何らかのきっかけで猫腸コロナウイルスがFIPウイルスへと突然変異すると考えられている。

猫伝染性腹膜炎(FIP)(ネコデンセンセイフクマクエン)の症状

元気の消失、微熱が続く、腹部の膨満感、眼の症状などが見られる。症状が身体全体の多岐に渡ることもあり、診断は難しいとされる。

猫伝染性腹膜炎(FIP)(ネコデンセンセイフクマクエン)の治療

一旦発症すると治癒は難しく、ほぼ助からないとされる。発症を抑制するためには、ストレスができる限り少なくなるよう飼育することが大切とされる。

【受診科目】

4人の医師がこの病気について述べています

獣医師に聞いた
猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因・症状・治療方法

4件中 1 ~4 件を表示

『猫伝染性腹膜炎』とは?治療薬はあるの?

「猫伝染性腹膜炎」(FIP)は罹ると亡くなる病気です。猫伝染性腹膜炎には2種類あって、お腹に水が溜まるタイプと、できものになるタイプがあります。この病気には「猫腸コロナウイルス」というのがあるのですが、下痢・嘔吐など消化器症状が主となっています。人間の新型コロナとは全く別物ですので、咳や味覚症状の異常はなく、私たちに感染することはありません。猫腸コロナウイルスに罹って下痢をしていても、治療をすれば致死率は高くありませんが、1割くらいの確立で、猫腸コロナウイルスの突然変異により強毒化したものに罹るとほぼ100%亡くなります。しかし、最近見つかった治療薬によって治ることがわかってきているので、ステージにもよりますが8割~9割は治ることを期待できます。たとえ状況が悪くても40~50%くらい治る確率があるでしょう。薬名はないので物質名として出されていますが、現段階で日本ではまだ認証されていません。中国に怪しげな製剤を出している会社があるので入手は可能ですが、多くの獣医師はどのような副作用があるかわからず、リスクを負ってまで使いたくないと考えます。病院側にリスクはあっても、飼い主さんの同意が得られれば使うことができる治療薬です。治す方法はいろいろ提案されていますが、今のところその薬がないと治りません。予防法はなく論文に基づいて一応提案はしますが、公式なものではありません。下痢・嘔吐がある場合にはあまり長く様子見をせず、早めに獣医さんに相談してください。

松田 唯 院長

ガイア動物病院

松田 唯 院長

  • 杉並区/下井草/阿佐ケ谷駅
  • 犬 ●猫 ●ハムスター ●フェレット ●ウサギ ●その他

愛猫に気になる様子がみられたら、ためらわずに「かかりつけ獣医師」に相談を

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、猫コロナウイルスの一種(FECV)が変異することにより、猫の体内で重篤な病気を引き起こす現象です。乾性(非滲出性)と湿性(滲出性)の2つの形態に分類されますが、ここでは乾性FIPについて解説します。

乾性FIPの初期症状としては、発熱、食欲不振、疲労、無気力、嘔吐・下痢などの消化器症状がみられます。また特定の臓器が影響を受けることにより、視力の低下や失明(目の症状)、歩行困難・痙攣(神経系の症状)などが生じる場合もあります。

乾性FIPの治療は非常に困難で、特に進行した病態では治癒が難しいとされています。そのため現在の治療法は主に対症療法に限られ、感染した猫の生活の質を向上させることを目的に治療が行われることが一般的です。飼い主さんにはぜひ、かかりつけ獣医師と密に連携するとともに、愛猫の健康状態の変化に注意を払っていただきたいと思います。

藤野 洋 総院長

高田馬場動物病院

藤野 洋 総院長

  • 新宿区/高田馬場/高田馬場駅
  • 犬 ●猫 ●ハムスター ●フェレット

命にかかわる疾患に光が見えてきている

猫伝染性腹膜炎(FIP)は真っ黄色な尿が見られたり、お腹が膨れる(腹水)、元気がない、発熱などの症状が見られ、特に子猫の時期には命に関わる重篤な症状を引き起こすこともある怖い疾患です。にもかかわらず、未だ有効な治療法が確立されていないことも特徴と言えるでしょう。
しかし近年になり、モルヌピラビルという治療薬によって光明が見出せたケースの報告が徐々に増えてきています。当院においても、飼い主様の同意を得て、当時1歳の猫に試験的治療としてこのお薬を用いました。このケースでは、早期発見出来たこともあって、お薬の反応も良く、腹水や炎症なども引いて元気に過ごしてくれています。モルヌピラビルは全体の臨床データもまだ少なく、ゴールドスタンダードな治療にとはなっていません。当院で治療した子についても、発がん性などの副作用を今後も慎重に観察を行っていく必要がありますが、有効な治療方が確立されていない現状において、一筋の光となることを期待しています。

薮野 圭樹 院長

新大塚動物病院

薮野 圭樹 院長

  • 文京区/大塚/新大塚駅
  • 犬 ●猫 ●ウサギ ●フェレット ●鳥 ●その他

かつての「不治の病」は、治療可能な病気に

猫は大腸などの消化管に「腸コロナウイルス」を持っていますが、このウイルスが変異すると全身のさまざまな場所に炎症を引き起こします。もっとも多いのは腹膜炎で、腹部に水がたまってお腹がふくらんで見えることがあります。ほかにも、胸水がたまって呼吸が苦しくなったり、目に炎症が起こったりする場合もあります。

FIPは少し前まで「不治の病」と呼ばれていましたが、近年は内服薬や注射薬による治療が可能となり、適切な診断と治療で元気に過ごせる時間を延ばすことができるようになってきました。愛猫に気になる症状がみられたら、早めの受診をおすすめします。

片山 政都 院長

ブルーム動物病院

片山 政都 院長

  • 横浜市鶴見区/梶山/鶴見駅
  • 犬 ●猫
1 PAGE  11 1