MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、医療画像診断の一つで、身体の内部組織や構造を詳細に観察する検査装置です。
MRIは、強力な磁場とラジオ波パルスを使用して、身体内の水素原子の挙動を観察し、それに基づいて高解像度の画像を生成します。MRI検査は、医療における診断や治療効果の判定、手術計画、臨床研究などに広く活用されており、医療分野で重要なツールの一つとされています。
この記事では、MRIメーカーのおすすめ5社と、その中で代表的なMRIを紹介しています。MRIの導入を考えている方は参考にしてみてください。
この記事の内容
MRIメーカーのおすすめ5選
MRIメーカーのおすすめは、国内と海外合わせて5社あります。
それぞれのメーカーの特徴と取り扱っているMRIを紹介します。
富士フイルムヘルスケア
MRI機器 | 特徴 |
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TRILLIUM OVAL | 楕円ボアで検査中も患者さんが快適に過ごせる。 楕円RF照射コイルで画像ムラを抑制。 シンプルな操作でワークフロー向上。 高画質が得られる楕円ボア。 楕円RF照射コイルによる高画質撮影。 寝台据え置きコイルで高感度受信とワークフロー向上。 |
ECHELON Synergy | 直径70cmのワイドボア。 シンプルな操作性。 撮影範囲が広い。 つなぎ目のないなめらかなデザイン。 撮影範囲が広いフレキシブルなコイルの採用。 |
APERTO Lucent Plus | 撮影時間の短縮。 シンプルな操作性。 検査時間30%短縮。 シンプルな操作性によるワンクリックでの検査プロセス。 導入コストを抑えた省スペース設計。 |
AIRIS Vento Plus | オフセンター部位でも高画質な撮像。 患者さんも快適に利用できる。 コンパクト設計による省スペース。 オフセンターでの高画質撮影。 フローティングテーブルによる患者さんの利便性向上。 コンパクトな設計による省スペースな導入。 |
OPERADA Open | 手術室のワンルーム化。 広い間口。 リーズナブルな運用・管理費。 手術室内へのMRI設置可能。 オープンMRIによる広い間口での視覚確認。 導入コストを抑えたリーズナブルな運用。 |
ECHELON Smart Plus | AI技術を活用したSynergyDrive。 IP-RAPID×Synergy DLRによって検査の幅が広がる。 情報量が増える。 AI技術による画質維持と撮像時間短縮。 IP-RAPID×Synergy DLRによる広範な撮像範囲への対応。 情報量の増加による幅広い検査法のサポート。 |
富士フイルムヘルスケアのMRIシステムは、非常に高い性能と優れた機能を備えており、高画質で高性能な特徴を提供しています。
同社は患者に配慮し、多彩なラインアップでMRI・CTシステムを提供しています。
富士フイルムヘルスケアのMRIシステムは低被ばくと高画質のバランスを重視し、効率的な検査を実現することに焦点を当てています。この基本的なアプローチに加えて、AI技術を駆使して開発された画像処理機能(IPV)と検査効率向上技術(SynergyDrive)が組み込まれています。
キヤノンメディカルシステムズ
MRI機器 | 特徴 |
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Vantage Galan 3T | 高精細画像。 短時間検査の実現。 検査の確実性向上。 ディープラーニング技術を用いた超解像技術『Precise IQ Engine*(PIQE)』およびSNR向上技術『Advanced intelligent Clear-IQ Engine*(AiCE)』により、高精細画像を提供。 撮像時間の短縮と画質向上を可能とする『PIQE』と『AiCE』の組み合わせ。 |
Vantage Orian | AIによる新しいSNR向上技術。 ハードウェアは3テスラテクノロジーを継承。 3Tに匹敵する高画質。 ノイズの多い画像とノイズの少ない画像を解析しモデル化して新たに得られた画像からノイズ成分を選択的に除去。 ディープラーニングを用いた再構成処理により、低空間分解能の画像から高い空間分解能の画像を再構成。 |
Vantage Fortian | アシスト機能で新しいワークフロー。 高画質を維持して高速撮影。 高精細イメージ。 「シーリングカメラ」による自動認識機能。 高画質のまま高速撮像を可能にするアシスト機能。 撮像断面の位置決めをアシスト機能で43%から9%と大幅に削減。 |
Vantage Gracian | 高画質と高速化。 SNRが最大3.2倍向上。 幅広いニーズに応える“シンプルさ”。 高画質と高速化を両立するDeep Learning Reconstruction(DLR)搭載 高画質の鍵となるSNRを最大3.2倍向上。 撮像断面の位置決めをアシストする機能で操作時間を大幅削減。 |
Vantage Elan / Fast Edition | 全身の検査を高速化。 1Scanで同時に収集。 撮り直しを防ぐ「ForeSee View」。 画質を損なうことなく検査の質を保ったまま撮像時間を大幅に短縮する高速化技術。 「WFS」では1回の撮像で2つ以上のコントラストを同時に収集。 位置決めミスによる再撮像のリスクを大幅に低減する「ForeSee View」。 |
Vantage Centurian | 傾斜磁場による高精細画像。 ディープラーニングによるSNR向上技術。 キヤノン独自の技術も搭載。 特に脳神経領域で多用される拡散強調画像の大幅なTE短縮。 高いSNRが得られる性能を発揮し、 高分解能の画像診断を可能に。 キヤノン独自のアプリケーションやワークフロー改善技術を搭載。 |
キヤノンメディカルシステムズ株式会社は、ディープラーニングを活用したSNR(シグナル対ノイズ比)向上技術と高性能な傾斜磁場技術を組み合わせたMRIを開発・提供しています。これにより、高解像度な画像の取得と検査時間の短縮が標準化されています。
キヤノンのカメラを採用した「シーリングカメラ」は、患者さんの検査部位を自動的に認識し、検査の前提設定をサポートします。ミドルレンジモデルの製品でも、大学病院からクリニックまで多様なニーズに対応できます。
GEヘルスケア
MRI機器 | 特徴 |
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SIGNA™ Prime | インテリジェントマグネットテクノロジー搭載。 直感操作で学習曲線の平準化。 画質向上技術・検査フローの自動化。 電気容量25%低減と稼働ヘリウム消費量70%削減。 最新のAI技術を活用した画像再構成アルゴリズムにより高画質とスキャン時間の削減を実現。 |
SIGNA™ Voyager | 検査後の画像コントラスト変更に対応。 生産性の向上。 患者さんの快適性向上。 画像のコントラストはスキャン完了後も変更可能。 騒音ノイズ低減技術により環境音のレベルまで低減。 GE独自のSilent Scan技術により患者さんの居心地向上。 |
SIGNA™ Artist | 最大59% SNRが向上。 eXpressドッキングテーブルで迅速な患者さん対応。 新しいコイル技術AIR™ Coil搭載。 RFレシーバーとアンプ・デジタイザーをダイレクト接続し信号ノイズ低減。 革新的なAIR™ Coilデザイン。 高いSNR向上と検査効率の向上を実現。 |
SIGNA™ Explorer | 患者さんの快適性向上。 ハイパフォーマンス。 SilentScanにより騒音をほぼ環境雑音レベルまで低減。 TDIテクノロジーと画像再構成技術により高画質と均一なクオリティの画像を実現。 消費電力34%削減と省スペースを実現。 |
SIGNA™ Hero | 患者さんの快適性が進化。 AIR™ Recon DLによる高画質が実現。 オリジナル技術AIR™ Technology搭載。 テーブル幅が広く、スキャン範囲が長い着脱型テーブル。 AIR™ Recon DLによるノイズ低減と画像の尖鋭度向上。 AIR™ Technologyにより検査全体の質の向上。 |
SIGNA™ Architect AIR™ IQ Edition | Total Digital Imagingで高画質を実現。 48チャンネルヘッドコイル。 eXpress Dockable Tableで安全かつ迅速な患者さん対応。 TDIテクノロジーによる最大59% SNR向上。 革新的なAIR™ Coilデザイン。 高いSNR向上と検査効率の向上を実現。 |
SIGNA™ Pioneer AIR™ IQ Edition | 複数の画像コントラストを生成できるMAGiC。 安全でスピーディな患者さんセッティング。 鮮明な画像スキャン。 1回のスキャンで複数の作業を完了し、画像取得時間を短縮。 フットペダルによる患者さんセッティングの効率化。 DST技術で高画質イメージングを実現。 |
SIGNA™ PET/MR with QuantWorks | 独自のゼロTE(エコー時間)MR技術。 ノイズの低減と定量精度の向上。 体動補正パッケージにより体動の影響を低減。 ゼロTE MR技術により高い減弱補正精度と画質向上を実現。 定量精度と画質の向上とともにノイズ低減を実現。 |
GEヘルスケアのMRIシステムは、大きな体格の患者さんに対する検査を行うだけでなく、四肢関節や股関節などのオフセンター領域でも高画質での撮影が可能です。多種多様な臨床検査に対応する幅広い臨床アプリケーションを提供しています。
また、患者さんの体動、呼吸、金属インプラントによるアーチファクトを低減するためのアプリケーションが組み込まれており、全身各部位の高品質な撮影を実現します。
また、GEヘルスケアのMRIシステムは、テーブルがワンタッチでガントリーから簡単に着脱できるため、緊急時や車椅子・ストレッチャーを使用する患者さんの移動にも安全かつ迅速に対応できるのが特徴です。
シーメンスヘルスケア
MRI機器 | 特徴 |
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MAGNETOM Free.Star | AI技術による画像再構成(Deep Resolve)。 金属インプラントに対応した新しい磁場強度。 低コストの実現(最小かつ最軽量設計とDryCool technology)。 液体ヘリウムはほとんど不要で省スペース。 |
MAGNETOM Free.Max | 肺のイメージング向上。 80 cmオープンボアで広い空間感。 省スペースで設置可能。 磁化率アーチファクトが少ないため肺の撮影が可能。 設置面積24㎡、搬入経路高さ2m以下、クエンチアパイプ不要。 |
MAGNETOM Vida with BioMatrix | 呼吸による臓器の動きを認識し患者さんの快適性向上。 テーブルサイドでの簡単な操作。 BioMatrix Technologyによる高画質画像。 呼吸による動きの認識により呼吸ベルトやセンサーの設定が不要。 |
MAGNETOM Lumina | 脂肪抑制効果の向上。 2D撮像においてシミングをスライスごとに実現。 最大50%の高速化が可能。 BioMatrix Head/Neck 20コイルによる複雑な形状の脂肪抑制。 様々な撮像方法で高速化を実現。 |
MAGNETOM Altea | 高速撮像パッケージによる撮像時間の短縮。 ワンタッチでの撮像目的部位へのポジショニングが可能。 ワークフローの効率化とスループットの向上。 患者さんごとに局所的な磁場の乱れを補正し高い再現性を追求。 2D/3D撮像どちらにも対応。 |
シーメンスヘルスケアのMRI装置は、被検者の負担を最小限に抑えるために、革新的なコイルシステムを導入しています。
このコイルシステムは高度に設計されており、より高画質な画像を取得しながら患者さんに最大限の快適さを提供します。MRI検査中に圧迫感や不安感を最小限に抑えるため、患者さんの心地よい体験を実現するためにさまざまな工夫が凝らされています。
特に、乳幼児や小さな子供を対象としたMRI検査において、シーメンスヘルスケアは革新的なアプローチを採用しています。
子供たちが安心して検査を受けられるよう、装置内部のデザインや音響環境の調整などが行われ、検査中の不安を最小限に抑えます。
これにより、患者さんの快適性と診断の精度が両立し、より効果的な医療ケアが可能となります。
フィリップスヘルスケア
MRI機器 | 特徴 |
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Ingenia Elition 3.0T | 60%の高空間分解能化(新設計Vegaグラジエントシステム)。 SmartSpeedによる高速化。 患者さんの快適性の向上。 信号低下の軽減と短時間撮影、高空間分解能撮像時のブラーリング低減。 |
Ingenia Ambition 1.5T | ヘリウムフリーのMicro-coolingテクノロジー。 クエンチマネージメントによる吸着物対応。 設置環境を選ばないヘリウムガスの外部排出がない構造。 耐用期間中のヘリウム充填が不要。 |
MR 5300 | 高パフォーマンス(Micro-coolingテクノロジー、高い静磁場安定性0.001ppm/hour)。 患者さんセットアップの30%短縮(Breeze coilsの採用)。 AIによる複雑なタスクの効率化(SmartStart)。 |
Ingenia Prodiva 1.5T CS / 1.5T CX | dSyncプラットフォームによる高画質実現(dStreamアーキテクチャ、ナノミリセコンドレベルの傾斜磁場制御)。 経済性の向上(最小25m2の設置性、低ランニングコスト設計)。 無駄のない検査ワークフローの実現。 |
フィリップスヘルスケアのMRIは、高品質な診断画像を提供し、あらゆる状況で正確な判断を実現することを目指しています。同社のMRI製品は、高度なガイダンスを備えた効率的なワークフローを採用し、スループットを向上させつつ、総所有コストを最小限に抑えるため、優れたコストパフォーマンスを提供します。
AIを活用してさまざまな患者さんのスライス位置を学習し、自動的に設定する機能が組み込まれており、MR検査のプロトコルを標準化することが可能です。また、ゼロクリックスキャン機能も備えており、検査中に必要な操作を最小限に抑えられます。
MRIメーカーと製品の比較・選び方6つ
MRIメーカーと製品の選び方の基準は、6つあります。それぞれ解説していきます。
- 価格・採算性
- 測定スピード
- 測定時の騒音
- 省スペース設計
- 既存の電子カルテシステムとの連携
- メーカーのサポート体制
価格・採算性
MRIは、まず予算がいくらかを決定しておきましょう。
MRIの価格は、テスラと呼ばれる磁力の大きさを表す指標によって変動します。主に「1.5T」や「3T」が広く使われていますが、この場合3Tのほうが価格は高くなります。
なお、テスラが高いほどに入る診療報酬点数も高くなるため、単純な価格帯だけでなく、採算性も含めて選んでください。
測定スピード
MRI検査では、通常CTと比較して検査にかかる時間が長いため、多くの医療機関では検査時間の短縮が重要視されます。
特にMRI検査が頻繁に行われる施設では、測定時間を短縮できる機器が好まれる傾向があります。MRIは高度な機能を備えている反面、使いやすさも考慮しなければなりません。
機器を導入した後は、円滑に検査を行うために運用スタッフが機器に慣れる必要がありますが、この過程で操作性が非常に重要です。
さらに、MRI検査はCTに比べて検査時間が長いため、迅速な検査が求められます。そのため、操作が迅速かつ効率的であることも検査時間の短縮に寄与します。
測定時の騒音で選ぶ
MRI検査は、測定時に発生する騒音が患者さんに不快感をもたらす可能性があります。
患者さんへの影響を最小限に抑えるためには、騒音値ができる限り低いMRIを選ぶことがおすすめです。
新しいモデルでは、騒音対策と高画質が両立しているMRIもリリースされています。
省スペース設計で選ぶ
MRIはその大型の医療機器であり、スペース確保の課題が生じます。
大きな設備では、機械室のスペースを広くしなければなりません。そうなると設置ハードルは高まるでしょう。
機械がコンパクトなら、機械室も不要になるかもしれません。施設内の小さなスペースにも置けるようになります。
設備投資と運用におけるコスト面でもメリットが生まれます。省スペース設計のMRIは、スペースに制約のある医療機関において、設備の最適な配置や低コストが実現できます。
既存の電子カルテシステムとの連携
PACSとの連携ができることも大切です。
PACSと電子カルテを連携することで、MRIで撮影した画像データの一元管理が可能となり、保管や活用もしやすくなります。
異なる診療科間や検査機関との連携、転院の際に情報の一元化ができるでしょう。
既存のシステムと連携可能なMRIであれば、新たなPACSや電子カルテシステムの導入が不要になり、低コストで情報の一元化が実現できます。
メーカーのサポート体制
MRI装置の選択において、製造メーカーのサポート力は欠かせません。
導入後の円滑な運用と、問題が発生した際の迅速な対応に直結します。操作トレーニングや設置サポートがあればスムーズに運用がスタートできます。
MRI装置は故障やトラブルが発生する可能性があるため、メンテナンスや運用後のサポートも重要です。
国内メーカーは、サポートが手厚い傾向もあり、対応スピードも速くなるため安心です。
MRI製品の価格相場
MRIを扱う各メーカーの価格相場は、8,000万円〜2億円程度です。
価格帯は、T(テスラ)の値によって変動します。テスラが増えれば増えるほど短時間で解像度の高い画像が撮影できることとなり、高性能のため価格が高くなります。
MRIは、技術の進歩が速く、中古では主流になっている現行の撮像法が使えないこともあるため、型番やスペックをよく確認してください。
まとめ:各メーカーのMRIを比較してニーズに合った製品を採用しよう
近年のMRI装置は、AI技術の導入により高画質かつハイスピードなスキャンを実現しており、医療スタッフと患者さんどちらの利便性も両立できるモデルがたくさんあります。
MRI検査は患者さんにとって緊張や不安を伴うため、できるだけ快適な環境で受けられる装置を選ぶことが医療サービスの向上につながります。
外資系メーカーは多くの種類のMRI装置を提供しており、新しい技術や機能の導入スピードが速いことが特徴です。最新技術を取り入れたいなら、外資系メーカーがおすすめです。
一方、日本のメーカーはサポート体制を充実しており、運用中のトラブルに対する迅速な対応が期待できます。サポートを重視する場合には、日系メーカーを選ぶことで安心できるでしょう。
MRI装置の選択にあたっては、患者の快適性向上と最新の技術導入のバランスを考え、長期的な視点で施設のニーズに合ったメーカーとモデルを選ぶことが大切です。