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この病気について1人の医師の見解があります。
獣医師から聞いた
犬の胆嚢粘液嚢腫の対処(治療)方法
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症状や合併症が出る前に、早期外科治療を選択するのも1つ
胆嚢は、肝臓で作られる胆汁という消化液を一時的に溜めておく袋状の構造物です。十二指腸へ食物が流れて来た時に、胆嚢が収縮し、中の胆汁が胆嚢につながっている管(総胆管)を通過し、十二指腸内に出され、食べ物が消化されるという仕組みになっています。
胆嚢内のサラサラした胆汁という液体が、ゼリー状にカチカチに固まってしまう病気が、胆嚢粘液嚢腫といいます。胆嚢粘液嚢腫になってしまうと、胆嚢破裂や胆嚢炎、また、この固まった粘液物質が十二指腸につながっている総胆管内に詰まってしまう、胆管閉塞が生じてしまうリスクが高くなってしまいます。上記のような合併症が生じた際に、元気や食欲低下、嘔吐、腹痛などの症状が認められる様になり、放っておくとグッタリした状態となり、亡くなってしまう怖い病気です。
粘液嚢腫になってしまうと、お薬でサラサラに戻すことはほとんど不可能で、外科治療による胆嚢切除が適応となります。以前は、粘液嚢腫による胆嚢破裂、胆嚢炎、胆管閉塞、黄疸といった合併症を発症した状況で手術することが多く、その場合の周術期の死亡率は20-40%(Pike et al,Worley et al 2004、Youn et al 2018)と報告されており、リスクが伴う手術でした。近年では、超音波機器の普及や機器の改善により、胆嚢粘液嚢腫が症状や合併症を生じる前に、偶発的に発見される事が増えて来たため、早期に外科治療を実施することにより、周術期の死亡率が2%と低くなっております(Youn et al 2018)。
日頃より、画像検査を含んだ健康診断を受けて頂くことは、とても良い事だと思います。もし、偶発的に粘液嚢腫の前段階である胆泥症が認められた場合は、上記の症状や合併症が出る事はないので、低脂肪食や利胆剤を試しながら、粘液嚢腫に進行していかないか、超音波検査を定期的に見て頂く事で良いと思います。もし、胆嚢粘液嚢腫まで進行してしまっていた場合、症状や合併症が出る前に、外科的に胆嚢摘出を選択するのも1つだと思います。