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動物病院の広告活用のコツを解説!獣医療広告ガイドラインとは?

近年、社会問題になっている「飼育放棄」や「飼育崩壊」を受けて2019年6月に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改訂されました

本記事では獣医療広告ガイドラインに基づいた動物病院の広告の出稿について紹介します。動物病院が広告を出稿する際の注意点、動物病院の集客方法、動物病院のホームページの重要性まで詳しく解説しているので記事を参考に獣医療広告ガイドラインを遵守した広告を制作しましょう。

  • 動物病院の広告
  • 獣医療広告ガイドライン
  • 獣医療広告ガイドラインによる広告NG例
  • 動物病院が集客力を上げる方法

動物病院の広告とは

動物病院が広告を出稿する際、注意しなければいけないことのひとつに獣医療法に基づいた「獣医療広告ガイドライン」があります。広告は動物の命を守るためにも正確に伝達する責務があり、不測の事態を招かないようにガイドラインが設けられています。

広告制限の対象範囲は以下になります。

広告制限の対象範囲
誘引性 飼育者等を誘引する意図があること
特定性 獣医師の氏名又は診療施設の名称が特定可能であること
認知性 一般人が認知できる状態にあること

出典:獣医療に関する広告の制限及びその適正化のための監視指

以下で詳しく解説します。

  • 広告と該当すると考えられる例
  • 広告とはみなされないものの例

広告と該当すると考えられる例

以下のものは広告に該当します。

広告に該当するもの テレビCM
ラジオCM
新聞広告
看板
ポスター
チラシ
ダイレクトメール(ハガキ等)
インターネットの広告サイト(バナー広告を含む)

広告とはみなされないものの例

以下のものは広告とはみなされません。

学術論文・学術発表等

学術論文や学術発表は広告としてみなされません。

新聞・雑誌の記事

飼育者等を誘引するいわゆる記事風広告は広告とみなされます

体験談・手記等

当該診療施設が個人の体験談、手記等を利用しパンフレット等に記載した場合は「誘引性」を有するものとして扱うことが適当であると考えられています。

診療施設内提示・診療施設内で配布するパンフレット等

診療施設の外から容易に見ることができるなど、その情報の受け手が限定されない場合は「認知性」を有するものとして扱うことが適当であると考えられています。

飼育者等からの申し出に応じて送付するパンフレット・電子メール等

希望していない者に送付されるパンフレット、ダイレクトメール等については「認知性」を有するものとして扱うこととされています。

診療施設の職員募集に関する広告

職員募集は広告とはみなされません。

インターネット上のホームページ

インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「がん治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや広告サイトで表示されるものなどは広告としてみなされることもあります。

行政機関の広報又はポスター

行政機関のポスターは広告としてみなされていません。
出典:獣医療に関する広告の制限及びその適正化のための監視指

獣医療広告ガイドライン

獣医療広告ガイドラインを遵守するための注意点を解説していきます。獣医療法に基づいた広告出稿には重要なポイントになります。

  • 専門科名が記載された広告
  • 獣医師の学位または称号
  • 省令で定めるもの

専門科名が記載された広告

専門科名とは、大学の講座名などで一般的に認知されており動物の診療に対応していることを表します。

専門科名は、獣医療法第17条において獣医師または動物病院が、診療可能であることを伝えるためであることからガイドラインにより広告の出稿が可能になっています。

獣医師の学位または称号

獣医療法の第17条第1項に基づき、獣医師や診療施設の「経歴(技能)」に関しては、広告の出稿を認めていませんが「獣医師の学位又は称号」の掲載は可能になっています。

しかし、広告出稿において専門医や認定医等の「専門資格」を「学位又は称号」として認めてはいません

法第17条第1項第2号関係 経歴に関する事項のうち「獣医師の学位又は称号」は広告が認められて いる。本条において「学位」とは大学、独立行政法人大学評価・学位授与 機構又は旧学位令により授与される獣医学士、獣医学修士、農学博士、獣 医学博士、博士(獣医学)等をいい、「称号」とは獣医師法附則第19条 に規定する「新制獣医師」等をいう。 なお、専門医、認定医等については、学位又は称号に含まれず、また、 専門性資格に関する制度は獣医療では確立していないため、これらを広告 することは認められないことに留意する必要がある。
引用:獣医療に関する広告の制限及びその適正化のための監視指

省令で定めるもの

省令で定められたものに関しては、獣医療法の第17条第1項に制限されることなく広告を出稿することができます。

例えば、医療機器の型式番号や販売名など「特定名称」の掲載は禁止されていますが、一般名称(MRI・CT)は導入台数や導入年月と共に広告を出稿することが可能です。

獣医療広告ガイドラインにおける広告NG例

獣医療広告ガイドラインにおけるNG表現を具体的に解説していきます。

  • 比較広告
  • 誇大広告
  • 費用広告の記載
  • 医療品医療機器等法や景品表示法の対象
  • その他掲載できない内容

比較広告

  • どこの病院より安全に手術をおこないます
  • 著名人の猫ちゃんも当院で健康診断を受けています

ほかの病院より優れている、また著名人を広告に出すことは比較優良広告になり禁止されています。

誇大広告

  • 当院でおこなう避妊手術は安全です
  • 効果抜群のワクチンを接種します

獣医療の内容を大げさに表現し、根拠や事実が確認できないものの広告は禁止されています。

費用広告の記載

  • どこよりも安く〇〇予防をおこないます
  • 去勢手術10,000円で受付中

低価格を推測させたり、実際の費用を記載したりすることは禁止されています。
「費用については電話で確認してください」という表現は掲載可能です。

医療品医療機器等法や景品表示法の対象

  • 動物用として未承認のX線CT装置の写真掲載
  • 〜%の回復効果が見込める(データなし)

根拠のない言葉、データのない数字、未承認の医療機器、以上の掲載を控えれば景品表示法、医薬品医療機器等法に抵触せずに広告の掲載に対応できるでしょう。

その他掲載できない内容

事実が確認できないもの、獣医学的に定着していないもの、誤解を招くような言い回しも広告が禁止されています。

  • ①MRIによる腫瘍診断を実施しています
  • ②インプラントで皮下への埋め込みによる避妊をおすすめしています

①の場合は、MRI(医療機器)を所有していることは広告可能ですが、腫瘍診断は技能、療法に該当するので広告は禁止です。
②の場合は、避妊手術をおこなうことは広告可能ですが、本術式は生殖を「不能」にする手術ではないので広告は禁止です。

獣医療広告ガイドラインの1番のむずかしさは「その他掲載できない内容」の幅広さにあります。自院でおこなっている治療内容が、広告可能かどうか一つひとつ判断する必要があります。

動物病院のホームページは広告制限を受けない

2018年6月に法改正がおこなわれ、人に対する医療広告ガイドラインではホームページも広告として扱われるようになりました。しかし、動物病院のホームページは現在のところ広告として扱われていません

言い換えると動物病院のホームページ内では他院との比較や費用の提示などがおこなえるということになります。

人に対する医療広告ガイドラインが新しくホームページを広告として扱うようになったのは、ホームページを見て来院した患者が、ホームページ内での比較優良広告や誇大広告で被害を受けたという相談が急増したため、新しい医療広告ガイドラインが制定されたという経緯があります

動物病院においても、ほとんどの飼い主がホームページを見て来院します。

いずれ動物病院のホームページも広告として扱われる可能性は非常に高いといえるでしょう。

獣医療ガイドラインに違反すると罰則が科せられます。罰則は重く、獣医師免許取り消し、50万以下の罰金、施設名の住所や名前の公表などがあります。

今後は、ホームページにおいても獣医療ガイドラインを遵守して運営していく必要があるでしょう。

動物病院が集客力を上げる方法

動物病院が集客力を上げる方法としてSEO対策、MEO対策、ポータルサイトへの出稿などがあります。それぞれの対策はメリットも大きいですが、知っておきたいデメリットもあります。この章ではメリット、デメリットも合わせて紹介します。

  • SEO対策
  • MEO対策
  • ポータルサイト

SEO対策

SEO対策とは、検索エンジン上で自社のホームページを検索結果に上位表示させ検索流入を増やすための対策です。
SEO対策はマーケティング手法のひとつであるため、そのサイトが達成したい最終目標(お問い合わせ、商品購入)などにつなげることが本質的な目的です。
現在、多くの業界においてホームページ上での集客は事業の要になってきているため、SEOはマーケティングにおいて重要な役割を担っています

動物病院のホームページの場合も集客を考える上でSEO対策をとることは重要な意味を持ちます。SEO対策を成功させると集客に大きく反映しますがデメリットもあります。
SEO対策のメリット、デメリットを見てみましょう。

メリット

  • ①広告宣伝費を抑えることができる
  • ②コンテンツが資産になる

①はSEOで上位表示させることができれば、継続的に広告を出稿し続けた場合と比較して集客にかかるコストを安く抑えることができる場合があります。
また、SEOで上位表示された際のクリック率は、一般的にリスティング広告に比べて高い傾向にあります。継続費用がかからない上に、リスティング広告よりも高い集客効果が期待できます。

②はSEO対策目的で作成したコンテンツは半永久的に残り、顧客アプローチのための資産として活用できます。サイト内に良質なコンテンツを増やすことでサイト全体のSEO評価が上がる効果もあります。

デメリット

  • ①効果が現れるまでに時間がかかる
  • ②検索エンジンのアップデートにより順位下落リスクがある

①はSEOはスタートしてすぐに目に見える成果が出るわけではありません。上位表示に向けて地道に取り組む必要があり、成果が出るまで時間がかかることもあります。
そのため「SEOで上位表示を実現し短期間でコンバージョンを獲得したい」という場合には不向きな手法です。

②はGoogleは、サイトを評価するアルゴリズムを定期的にアップデートしています。アルゴリズムアップデートの影響で、これまで上位表示されていたキーワードの順位が急に落ちてしまうことがあるのです。

ただし、Googleのアップデートはユーザビリティの向上を目的としているため、ユーザーのためになるコンテンツを発信できていれば過度におそれる必要はないでしょう。

動物病院のホームページに向いたコンテンツは以下で詳しく解説しています。
動物病院のホームページ制作!成果が出るポイントとコンテンツを解説

MEO対策

MEO対策とは、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略です。自社の店舗をGoogleマップやローカル検索で上位表示させるための施策で、別名「ローカルSEO」とも呼ばれています

「地域名+〇〇(サービス・キーワード)」で検索すると地図つきの画像が表示されます。
例えば、「渋谷 動物病院」で検索すると下記のような検索結果が表示されます。

この画面がMEOで、MEO対策は上位3つの枠に自社の店舗をランクインさせることを目的としています。MEO対策には多くのメリットがあります。メリットとデメリットを見てみましょう。

メリット

  • ①ユーザーの目に留まりやすい
  • ②来院見込みの高いユーザーに訴求できる
  • ③成果が出やすい
  • ④SEO対策に比べて費用がリーズナブル

①は現在ではほとんどの飼い主が動物病院を探す際にスマートフォンで検索します。スマートフォンで検索するとローカル検索が上位表示されるため目に留まりやすいというメリットがあります。

②は来院に直結する可能性の高い飼い主に訴求できる点です。ローカル検索している時点で緊急で動物病院を探していると考えられるからです。検索結果で上位に自院が表示されれば来院の見込みが高い飼い主に自院をアピールすることができます

③はSEOに対してMEOは、ターゲットの地域にある動物病院のみが競合になります。「渋谷 動物病院」の例だと渋谷の動物病院のみが競合です。競合を絞り込むことで地域のなかで動物病院を探している飼い主に訴求しやすいというメリットがあります。

④はMEO対策はSEO対策に比べて費用がリーズナブルなことです。SEO対策でかかるコストは月額10万円以上と高めになる傾向がありますが、MEO対策の場合月額の費用相場は2〜3万円であることが多いので施策を取り入れる際のハードルが低いというメリットがあります。

デメリット

  • ①悪意のある口コミやレビューを書かれる可能性がある
  • ②即効性がない

①はMEO対策をおこなう上で、口コミをもらうことは重要な要素なのですが必ずしもいい評価、レビューをもらえるわけではありません。悪意のある口コミを書かれた際には真摯な対応を心がけて、誠実な対応をとることが重要になるでしょう。真摯な対応をとることで口コミを見ているほかのユーザーに好印象を与えることもできます。

②はMEO対策は成果が出やすい対策ですが、短期間で効果がでるわけではありません。MEOを開始してから少しずつ効果が出る対策です。効果が出るまで数ヶ月の時間が必要になるでしょう。

歯科医院Googleマップの口コミ・MEO対策完全版!悪い口コミは削除できる?

ポータルサイト

ポータルサイトのポータルには「入口」や「玄関」といった意味があります。ポータルサイトは「インターネットに存在するさまざまなページにアクセスする際に入口になるサイト」のことです。具体的にはYahoo!JAPANのようなものを指します。

メリット

  • すぐに集客へとつながりやすい

ポータルサイトに掲載するメリットは、自院の存在を知らない人に向けて情報発信ができることです。ポータルサイトには来院予定や目的がある人が集まっています。ペットに適した病院を探している飼い主が集まるため、すぐに集客へとつながりやすいのが大きなメリットだといえるでしょう。

デメリット

  • 月間利用料や成功報酬の支払いが発生する

ポータルサイトへ掲載すると月間利用料や成功報酬の支払いが発生するため、利益が出にくいというデメリットがあります。ポータルサイトに掲載する際は、売上と利用料金のバランスを考えなければいけないでしょう。

動物病院のマーケティング手法は以下で詳しく解説しています。
動物病院の集客方法!集客アイデアとマーケティングの重要性を紹介

動物病院の広告集客にはホームページが重要

広告を出す際に要になるのがホームページです。ホームページを持ちSEO対策、MEO対策をとることは集客する上でとても重要なものになるでしょう。

しかし、SEO対策、MEO対策は個人では限界があります。本格的に施策を取り入れるのであれば専門の業者に依頼することをおすすめします。それらの対策に優れた業者に依頼するとコストはかかりますが、集客できるホームページという成果として、かけたコスト以上の大きな収穫を得ることができるでしょう。

現在、集客に悩まれているなら本格的なSEO対策、MEO対策をとることは今後の動物病院の経営を考える上でもとても重要なことになります。

まとめ:獣医療広告ガイドラインをチャンスに変えよう!

新型コロナウイルス感染症の拡大により、ペットブームが加速しましたが一方で「飼育放棄」や「飼育崩壊」が社会問題になっています。そのなかで制定された獣医療広告ガイドラインを遵守して病院経営をおこなうことは、ペットを飼っている飼い主から信頼を得ることができるでしょう。

獣医療広告ガイドラインは動物の命の尊厳を守ることを目的としています。

獣医療広告ガイドラインの遵守はある意味、動物病院にとってチャンスと捉えることもできるでしょう。飼い主からの信頼を得ることは動物病院の経営にはかかせないことだからです。

あれもこれも広告できないとネガティブに捉えるのではなく、動物の命を守るためというポジティブな考えで広告を制作するのが、結果大きく集客へとつながることになるでしょう。