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動物病院の集客方法!集客アイデアとマーケティングの重要性を紹介

コロナ禍でペットブームが加速しましたが、現状はペットを飼育放棄する身勝手な飼い主の増加や、少子高齢化にともないペットを飼う人の減少など、動物病院を含めペット業界を取り巻く環境は厳しいといえます。その一方で年々獣医師を目指す人口は増加し、首都圏の動物病院は飽和状態です。

動物病院が生き残るためには、集客は重大な課題です。本記事では集客のアイデアと、動物病院がとるべきマーケティング手法、売上げアップの方法、動物病院が広告をだす際の注意点まで詳しく解説しています。

動物病院の現状は非常に厳しいといえるでしょう。現状を打開するために正しいマーケティングを学ぶことは必須です。正しいマーケティングを学んで集客につなげてください。

動物病院の現状の集客課題

動物病院が抱えている大きな課題である「集客」について考えていきます。空前の猫ブームで動物病院の需要は高まっているように見えますが、動物病院の現状は「顧客減少」と「人手不足」という非常に厳しい市場環境に置かれています

動物病院が抱えている問題

  • 動物病院の増加
  • ペットの減少
  • 人手不足

動物病院の増加

農林水産省は「小動物診療獣医師」は近年、一貫して増加していると発表しています。

画像引用:小動物獣医療の現状と今後の対応

小動物獣医師の増加は、開業する獣医師が増加すると考えていいでしょう。動物病院の経営は今後ますます競争環境が厳しさを増していき、経営課題のうち集客に向けた取り組みは重要になります。

ペットの減少

犬の飼育頭数の推移

2016年 8,008万頭
2017年 7,692万頭
2018年 7,616万頭
2019年 7,579万頭
2020年 7,341万頭
2021年 7,106千頭

猫の飼育頭数の推移

2016年 8,333万頭
2017年 8,672万頭
2018年 8,849万頭
2019年 8,764万頭
2020年 8,628万頭
2021年 8,946万頭

出典:https://petfood.or.jp/data/chart2021/3.pdf

猫の飼育数は「ネコノミクス」による猫人気の高まりで増加していますが、犬の飼育数は減少しています。犬の飼育の減少理由は新たに飼育する人が減少していることや、飼い主の高齢化も一因です。

犬だけではなく、ペットを飼うには「住環境」「費用」「時間」という負担があるため、飼育することをためらう人も多く、ペットを飼う人は減少傾向にあるのです。今後、少子高齢化の加速とペットを飼わない人の増加などを考えると、ペットの減少は避けられないでしょう。

ネコノミクス
日本での平成期に入ってからの猫ブームを「アベノミクス」になぞらえた新造語、流行語。2015年頃から使われ始めた。
引用:ネコノミクス – Wikipedia

人手不足

小動物診療獣医師が増加しているのに、動物病院はつねに人手不足に悩まされています。人手不足の原因として考えられるのは、獣医師の半数は女性であることが挙げられます。体力的な問題や、結婚、子育てなどを理由に40歳前後になると8割以上が勤務医をやめてしまいます。

一方男性の獣医師の場合は、30歳代後半から40歳代前半にかけて過半数が勤務医から開業に踏み切ります。首都圏の動物病院は飽和状態の上に、獣医師1人で開業している動物病院は約64%と高い数値になります。

獣医師に定年という概念はありません。労働年齢が高まっていることから、動物病院の新規開院と閉院のバランスが合わず、結果として動物病院の数は今後も増える傾向にあると考えられ、本格的に集客に力を入れなければ経営が傾きかねないのです

動物病院のマーケティングとは

動物病院もひとつの企業と考えていいでしょう。経営にあたってマーケティングの手法をしっかり取り入れ「売上の仕組みづくり」を行うことは非常に重要なことになります。

マーケティングとは企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念。
出典:マーケティング – Wikipedia

集客を必須とする動物病院の経営においても、マーケティングの手法を取り入れ経営戦略を立てることは、動物病院が飽和状態にあるなかで生き残りをかけた、絶対にかかせない重要なポイントです。

動物病院のマーケティング

  • 売上の構成を知る
  • 自社を知る
  • 費用対効果を考えた戦略

売上の構成を知る

動物病院の売上には公式があります。
売上=客数×客単価
動物病院で売上を上げるためには、客数を増やすか、客単価を上げることです。

客数を上げるための方法

  • 飼い主の数を増やす
  • 来院頻度を上げる

客単価を上げる方法

  • 既存の飼い主から上げる
  • 新規の飼い主から上げる

動物病院により取る戦略の方法は変わります。自院ではどのような戦略を取ればいいのか具体的なイメージを考えましょう。
参照:動物病院のマーケティングを徹底解説

自院を知る

次に自院の特徴を把握することが必要です。
診療内容の内訳を見てみましょう。

そのなかで売上構成比の高い順に内容を確認してください。
データが2年分あった場合、昨年と比較して明らかに伸びている項目があれば、それを伸ばすことが即時業績アップのコツです。

特徴を把握する項目

  • 客数
  • 客単価
  • 新患数
  • 売上の詳細
  • 売上構成比

自院の特徴を知ることで具体的な経営戦略を立てることができ、適切な業績アップの方法を取ることができるでしょう。
参照:動物病院のマーケティングを徹底解説

費用対効果を考えた戦略

動物病院のマーケティングの上で、1番大切なのが費用対効果を考えることです。
販促物の効果検証をする際は、どのくらい反響があるのか確認しなければいけません。

情報発信の販促物例

  • ダイレクトメール
  • 院内掲示ポスター
  • 飼い主向け説明資料

結果検証を怠ると、費用対効果の具体的な数字が見えてきません。費用対効果の数字を知ることで業績改善と業績アップが見込めるのです。
参照:動物病院のマーケティングを徹底解説

動物病院で取るべきマーケティングの簡単な手法について紹介しました。どれも初歩的なことですが実際に取り組むことで、他の動物病院と差別化がはかれるでしょう。

動物病院の集客アイデア5つの方法

動物病院の集客アイデアを紹介します。昔ながらのチラシの配布から、SNSの活用、ネットを使ったMEO対策やSEO対策など、集客は動物病院の大きな課題です。本腰を入れて集客対策に取り組みましょう。

集客アイデア5つの方法

  • チラシを配布する
  • SNSを活用する
  • GoogleマイビジネスでMEO対策を取る
  • ホームページでSEO対策を取る
  • ポータルサイトへ掲載する

チラシを配布する

チラシの配布は集客の第一歩です。動物病院がある地域にチラシを配布することは潜在的な顧客に対して非常に有効な手段になります。動物病院を訪れる際、多くの場合は急患です。チラシを見ていた飼い主が、チラシの動物病院を訪れる可能性が高いからです。

チラシの効果的な配布方法は、ペットショップやドッグランの受付などにチラシを置いてもらうことです。動物を飼っている人に直接訴求することでチラシの効果は上がるでしょう。また、チラシを保管してもらうには動物病院の情報だけではなく、ペットが病気やケガをした場合の応急措置の方法を掲載しておくとチラシを保管してもらえる可能性も上がります。

SNSを活用する

SNSが普及している現在、SNSを活用するのは集客にとって有効な手段になります。活用しやすいSNSは、Facebook、Twitter、Instagramの3つです。以下で3つのSNSのポイントを紹介します。

Facebook

  • ビジネスユーザーの利用率が高い
  • 悩みを解決する記事が閲覧されやすい

Facebookは文字数制限もないので、飼い主が抱えている問題にフォーカスした記事があると読まれやすく、実際の来院につなげやすいのがポイントです。ビジネスユーザーはアクティブな行動をする可能性が高く、掲載している記事に納得できれば地域外からの集客の可能性もあるでしょう。

Twitter

  • 日常的なつぶやきがメイン
  • 生の声を求めるユーザーが多い

Twitterアカウントを開設したら、動物病院の日常を毎日更新します。動物に対する豆知識や動物が病気やケガをしたときの対処方法などを更新していくことでフォロワーは増えていきます。

日常的な生の声を毎日発信すると、アカウントに対して親近感を持ってもらえます。フォロワーが動物病院を探すときにTwitter内検索で検索してもらえる可能性が高くなりTwitterからの集客が望めます

Instagram

  • 写真や動画がメイン
  • 視覚に訴える効果がある

Instagramは写真や動画を投稿するSNSです。かわいい動物の写真を投稿したり、通院で元気になった動物の様子を投稿したりすると、動物好きのユーザーを取り込むことができます。写真や動画は文章よりもダイレクトに動物のかわいさが伝わるので、普段Instagramを利用しているユーザーに対して有効な集客の手段になります。

GoogleマイビジネスでMEO対策を取る

Googleマイビジネスとは、Googleマップや、Googleのローカル検索で、動物病院の情報を正しく掲載するのに利用できるGoogle公式の無料ツールです。

MEOとは「Map Engine Optimization」マップエンジン最適化のことを指した略称です。
ローカル検索結果で、自社の店舗をGoogleマップ検索やローカル検索で上位表示させるための施策のことをMEO対策といいます。

動物病院を探す場合、多くは緊急性が高いと考えられます。緊急性が高い場合は「近くの動物病院」とGoogleでローカル検索する可能性が高く、MEO対策を取ることは現在の集客方法の主流です。MEO対策は今後の集客を考えた場合外せない施策になるでしょう。

歯科医院Googleマップの口コミ・MEO対策完全版!悪い口コミは削除できる?

ホームページでSEO対策を取る

ホームページを作成したら、検索結果で上位表示させる施策を取ることが必要です。ホームページを上位表示させるにはSEO対策が重要になります。

自社のサイトを検索結果で上位表示させる対策のことをSEO対策といいます。
SEOとは「Search Engine Optimization」検索エンジン最適化の略称です。

ホームページに掲載する基本的な内容

  • 病院名
  • 住所
  • 電話番号
  • 診療時間
  • 専門分野

他にもペットが不調なときの対応方法、予防接種、犬や猫以外にも対応できる動物など、検索するユーザーのニーズに応える情報を発信することが重要です。ホームページにブログを併設すると、ホームページを再訪問してくれるユーザーが増えSEO的にも集客にも有効な手段になるでしょう。

ポータルサイトへ掲載する

ポータルサイトに掲載するメリットは、自院の存在を知らない人に向けて情報発信ができることです。ポータルサイトには来院予定や目的がある人が集まっています。ペットに適した病院を探している飼い主が集まるため、すぐに集客へとつながりやすいのが大きなメリットだと言えるでしょう。

しかし、ポータルサイトへ掲載すると「月間利用料」や「成功報酬」の支払いが発生します。ポータルサイトの利用は、利益がでにくいのがデメリットです。ポータルサイトに掲載する際は、売上と利用料金のバランスを考えて検討するといいでしょう。

動物病院の売上アップ3つの方法

動物病院も客商売です。動物病院の売上の根幹は以下の3つだといえます。

  • 来院数を増やす
  • 単価を上げる
  • リピーターを増やす

動物病院が客商売だということを忘れずに、飼い主に丁寧に対応することが1番大切です。売上げアップの基本は、飼い主の満足度を高めてリピーターにつなげる努力をすることで、病院の評価が高まり新たな集客につながるでしょう。

来院数を増やす

動物病院の売上をアップさせるには来院数を増やすことを1番に考えなければいけません。来院数を増やすことにゴールはありません。通院していたペットが亡くなったり、飼い主が引っ越しをしたりした場合は来院数は減少してしまいます。つねに来院数を増やす努力をすることは経営上の大きな課題です。

来院数を増やすための効果的な方法は、良い口コミを増やすことです。通院している飼い主のリアルな口コミは集客に影響します。

「〇〇病院は先生の対応が丁寧で良かった」
「あそこの先生は説明がわかりずらくてイマイチだった」

動物を飼っている人のコミュニティの影響力は大きく、評判はあっという間に広がります。また、最近ではGoogleマップに口コミを書かれることも多く、口コミは集客を考える上でとても重要な位置を占めます。

動物病院も客商売だということを忘れてはいけません。たとえば、食事に行って店員の態度が悪ければ2度とその店に行こうと思いませんね。動物病院も同じで、飼い主に対する対応や診察内容などの、満足度を高めることを考え続けることが、結果的に来院数の増加につながるでしょう。

単価を上げる

動物病院の代表的なクレームを紹介します。

  • 待ち時間が長い
  • 診療費が高い

2つが代表的なクレームです。売上げアップのために単価を上げることが必須の動物病院にとって診療費が高いというクレームは問題です。しかし、診療費が高いと感じさせるのは、動物病院側に問題があるといえるでしょう。満足の行く診療内容であったなら飼い主は診療費を高いと感じないからです。
飼い主に対する満足度を高めることで診療費に対するクレームを減少させることは可能なのです。

他にも他院にはない自院だけの強みを持つことも重要です。

  • 夜間や休日にも診療を行う
  • 急患に備えてホットラインを用意する

利便性の高さと、飼い主のニーズにマッチしたサービスを行うことは強みになります。単価を上げて他の動物病院よりも割高になったとしても、飼い主の満足度が高いのであれば、満足できる動物病院として生き残ることができるでしょう。

リピーターを増やす

集客は新規の来院数を増やすことに限りません。既存の通院してくれている飼い主を大切にすることも非常に重要なことです。現状、通院してくれているから次も来院してくれると考えるのは少し甘いと考えたほうがいいでしょう。通院している飼い主はシビアに医師の態度やスタッフの態度を観察しています。

特にスタッフの対応は、次の来院を決めるのに大きく影響します。事実、口コミサイトなどに書き込まれている内容はスタッフの対応に関するものが多く見られます。飼い主に「また来よう」と思ってもらうためには、飼い主にとって満足度の高い診察と、誠実なスタッフの態度です。

飼い主が「また来よう」と思うか「もう2度と来ない」と思うかは、医師の対応も重要ですが、スタッフの対応次第で決まると言っても過言ではありません。集客に力を注いでも、スタッフの教育ができていない動物病院の将来は苦しいものになるでしょう。

動物病院の広告集客の注意点

新型コロナウイルス感染症の拡大により、おうち時間が増え日本ではペットブームが加速しました。しかし、緊急事態宣言が明けておうち時間が少なくなった現在、身勝手な理由でペットを手放す飼い主が増えています。

社会問題になっている「飼育放棄」や「飼育崩壊」についてはコロナ前から問題視されており、2019年6月に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改訂されました。動物病院が広告を出稿する際に注意すべき「獣医療法」におけるガイドラインを紹介します。

動物病院の広告が制限される理由

動物病院の広告出稿が制限される理由は、動物の「命の尊厳を守る」ため、医療の質が低下するような「低価格競争」などを避けるべく規定を設けているからです。ガイドラインは広告制限の対象範囲を定めています。

広告制限の対象範囲
誘引性 飼育者等を誘引する意図があること
特定性 獣医師の氏名または診療施設の名称が特定可能であること
認知性 一般人が認知できる状態であること

出典:獣医療に関する広告の制限及びその適正化のための監視指

ガイドラインが定めるもの

  • 専門科名が記載された広告
  • 獣医師の学位または称号
  • 省令で定めるもの

広告を出稿する際はさまざまな取り決めがあるのです。なかでも動物病院の広告出稿が制限される理由について詳しく紹介します。広告の出稿は集客と密接な関係があるので違反しないことが重要です。

不足の被害を防止

十分な知識のない飼い主が、広告の偽りに惑わされてしまうことで動物が被害に遭わないようにするために獣医療法が制定されています。

獣医療法17条第1項
獣医師の診療施設の「技能・療法・経歴」に関しては、広告の出稿は認められていません

獣医療法は、低価格診療を売りにして誘引することで獣医療の知識がない飼い主により不適切な治療を受ける動物の被害を防ぐために、比較、費用広告を禁止しています。一方、省令で定めているものに関しては、制限から除外されています。

誇大広告の存在

飼い主に誤解を招く誇大広告は禁止されています。以下が誇大広告にあたります。

  • 事実ではない
  • 虚偽ではないが誤解を招く
  • 不当な誇大表現

また、出稿が可能でも以下については誇大広告は禁止です。

  • 医療機器の所有
  • 避妊去勢手術
  • 予防注射
  • フィラリア症の予防
  • 健康診断

価格競争の発生

動物病院の診療代は対価として必要なものです。費用面を広告に出稿すると低価格競争を引き起こす可能性があります。獣医療に対する「質の低下」「社会混乱」を招かないために直接的、抽象的な表現は制限されます

価格に触れてはいけないもの

  • 避妊去勢手術
  • 予防注射
  • フィラリア症の予防
  • 健康診断

低価格を推測させないため一切価格に触れるのは禁止です。

まとめ:動物病院も正しいマーケティング対策で大きく集客を目指そう!

マーケティングの重要性と、集客のアイデア、売上アップの方法を解説しました。集客と売上アップには以下の点に気をつけてください。

  • 正しいマーケティングを行う
  • 集客アイデアを活かす
  • 飼い主の満足度を重視する

この3点を活かして集客を行うことで、必ず来院数は増えます。来院数が増えたらリピーターにつなげる努力をしましょう。それらの努力は無駄にはなりません。地域のなかで生き残る動物病院になることが実現できるでしょう。