医療脱毛の業界では、広告戦略が欠かせません。似たり寄ったりの広告では競合他社との差別化ができず、集客も厳しいでしょう。
かといって誇大な表現で広告規制に違反すると、クリニックの運営そのものに影響します。そのため、広告規制のガイドラインや法律を遵守しなければなりません。
この記事では医療脱毛の広告戦略について解説します。限定解除で差別化が図れるので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容
医療脱毛広告を作成するにあたって抑えるべき法律
医療脱毛広告を取り締まる法律として、4つ挙げられます。
- 医療法
- 景品表示法
- 薬機法
- 特定商取引法
違反すると罰則があり、中には罰金のケースがあるためしっかり理解しておきましょう。それぞれの法律を詳しく解説していきます。
医療法
「医療法」とは、医療施設の管理や開設に関する事項について定められた法律です。適切で良質な医療の提供とともに、医療を受ける者の利益を守ることが目的とされています。
医療法の規制には「医業・歯科医業・助産師の業務等に関する広告規制」があり、さらに3つに分けられます。
- 虚偽広告の禁止(法6条の5第1項・6条の7第1項)
- 広告基準への適合(法6条の5第2項・6条の7第2項、規則1条の9)
- 広告事項の制限(法6条の5第3項・6条の7第3項)
2の「広告基準への適合」というのは、「他院と比較して優良である旨の広告禁止」「誇大な表現の広告禁止」「公序良俗に反する内容の広告禁止」といった内容になります。
ほかにも「体験談の掲示を禁止」「患者等を誤解させる可能性がある治療等前後の写真等の掲載禁止」などがあり、知らずに違反してしまうようなものばかりです。
抵触すると、懲役や罰金刑が下される可能性があるため、しっかりと覚えておきましょう。
景品表示法
「景品表示法」とは、不当な景品や広告の表示を規制する法律です。消費者に誤解を与えるような広告や、判断を鈍らせるような過大な商品提供を禁じています。
景品表示法には不当な顧客誘引を防止する目的があり、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」があります。
- 【優良誤認表示】
実際より優れたように見せる表現 - 【有利誤認表示】
実際よりも有利に見せる表現
優良誤認表示と有利誤認表示の違いは、対象の違いです。
例えば、ダイエット効果がないにもかかわらず「食べながら痩せる」など、商品を優れたもののように謳うのは「優良誤認表示」です。
一方「有利誤認表示」は、値引きの実体がないのに「1万円値引き」など、価格を有利に見せるよう表示したものです。
不実証規定により、消費者庁から根拠資料の提出を求められ15日以内に提出できない場合は優良誤認表示とみなされます。
客観的根拠があったとしても、15日以内に資料の提出ができなければ違反となるため注意しましょう。
薬機法
「薬機法」とは、医薬品や医療機器などの安全性や品質を確保する法律です。
医薬品や医療機器の他にも医薬部外品や化粧品、再生医療等製品が対象で、製造・開発・承認・販売・広告などに関する規制が定められています。
薬機法はサプリメントや健康食品、化粧品や美容器具は対象にはなりませんが、医薬品のような表現をしてしまうと処罰の対象となるため注意が必要です。
中でも、化粧品は微妙な差で抵触するケースが多くみられます。
化粧品の文言を例に挙げて、薬機法NG表現とOK表現の違いを確認してみましょう。
商品種別 | NG表現 | OK表現 | 補足 |
---|---|---|---|
一般化粧品 | アンチエイジング | エイジングケア | 「アンチエイジングケア」は「加齢を止めるためのケア」という意味なのでNG |
化粧水 | 美白 | 肌が白く見える美白ファンデーション | 肌を白くするという表現はNGであるものの、白く見せるという趣旨ならOK |
化粧品は「シミが消える」などの機能的な表現はできませんが、「日焼けによるシミの予防」に言い換えられます。
薬機法に触れないような表現になるように配慮しましょう。
特定商取引法
「特定商取引法」とは、事業所の悪質または違法な勧誘行為を防止する法律です。
通信販売や訪問販売などトラブルが生じやすい取引方法を対象として、事業所の規則と消費者を守る「クーリング・オフ」などのルールが定められています。
コースプランを提供する医療脱毛は、1ヶ月以上の期間と5万円の金額を超える「特定継続的役務提供」といわれる販売形態です。
特定継続的役務提供には、主に5つの規制があります。
- 書面の交付
- 誇大広告の禁止
- 禁止行為
- 書類の閲覧等
- 行政処分・罰則
特定商取引法では、事実と異なる表示や実際よりも優良や有利だと誤解させる表示を禁止しているため、広告を掲示する際には注意しましょう。
行政規制に違反した場合、業務改善の指示の他にも業務停止や業務禁止命令、一部は罰則の対象にもなります。
医療広告の掲載可能な事項
医療広告の場合、法律で広告に掲載できる事項が厳しく定められています。
- 医師である旨
- 医院名・診療科名
- 診療日・診療時間・予約の有無
- 入院設備の有無
- 病床数
- その他(厚生労働省が定めた事項)
参照:「医療法」第二節 医業、歯科医業又は助産師の業務等の広告
医療法第6条の5第3項に規定されており、違反すると、虚偽広告では6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となるため注意しましょう。
医療脱毛広告の禁止表現
医療脱毛広告では、下記の表現を禁止しています。
- 「痛み」など個人の感想
- 誇大表現
- 誤解を生む金額表現
- 他院と比較して優良と思わせる表現
- 治療の内容や効果について誤解を生む治療前後の写真
医療脱毛の広告では、個人的感想や体験談の広告は禁止です。医学的根拠がなく曖昧な感想を掲載すると「誘因性が認められる誇大広告」と評価される可能性もあります。
誇大表現には、他にも「無制限」や「〇〇し放題」「回数制限なし」などがあり、誤解を与えやすいため配慮が必要です。
さらには他院より良く見せるように思わせる「優良誤認表示」や治療前後の写真掲載もNGです。
違反すると課徴金として国庫へ納付しなければいけないケースがあるため、禁止表現はしっかりと抑えておいてください。
医療脱毛の広告手法おすすめ6選
医療脱毛の広告で、おすすめの方法を6つ紹介します。
- リスティング広告などのWeb広告
- ホームページのSEO対策
- GoogleビジネスプロフィールによるMEO対策
- SNS運用
- ポジショニングメディアの活用
- 美容医療ポータルサイトへの掲載
地域の特徴や自院に合うものを選んでください。
リスティング広告などのWeb広告
リスティング広告を含めたWeb広告には、下記のようなものがあげられます。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
リスティング広告とは、Googleなどで検索結果の上位に表示される施策です。目立つ場所に掲載されるため興味があるユーザーに届きやすく、集客アップが期待できます。
一方ディスプレイ広告とは、多くのWebサイトで表示される広告です。ディスプレイ広告はバナータイプのため視覚に残りやすく、周知拡大には効果的でしょう。
リスティング広告とディスプレイ広告の違いは、表示される媒体とターゲットとなるユーザーです。
リスティング広告はGoogleやYahoo!の検索結果、ディスプレイ広告はWebサイトやアプリ上のため、ターゲティングされるユーザーも異なります。
購入意欲が高いユーザーにアピールするリスティング広告に対して、ディスプレイ広告は潜在的な興味を引き出すアプローチ方法です。
ディスプレイ広告はリスティング広告ほど結果につながりやすくはありませんが、認知を広げるには適しているでしょう。
それぞれのWeb広告は、セットでの運用を検討してみてください。
ホームページのSEO対策
ネット社会である近年では、ホームページやブログのSEO対策は重要です。
SEO対策とは、Googleの検索結果の上位に表示させる対策です。大きな特徴は、無料でも実施できることが挙げられます。
一方SEO対策のデメリットは、効果がみられるまでに時間がかかることです。対策には知識と経験が必要なため、専門家に頼むのも方法の一つでしょう。
対策には時間と知識が必要なSEO対策ですが、次の理由で重要性は高いといえます。
- 認知拡散に効果的
- 成功すれば長期間の上位表示ができる
ほとんどのクリニックではホームページを作成します。ただ作成しても、認知されていないとアクセス数は見込めません。
ユーザーにとって有益な内容が書かれたブログでも、読んでもらえなければ意味がないものとなります。
SEO対策は自院のサイトが多くの競合よりも目につく場所に表示されるため、クリック数の上昇とクリニックの認知につながり、来院数アップの効果が期待できます。
またSEO対策は、成功すれば上位表示が長期間見込めます。ユーザーにとって興味がある内容を定期的にアップし、継続的なクリック数を獲得できれば、長期的に上位表示ができるでしょう。
ホームページやブログを開設するのであれば、押さえておきたい対策方法です。
GoogleビジネスプロフィールによるMEO対策
Googleビジネスプロフィールとは、登録するだけでGoogleマップに情報を掲載できる無料ツールです。
MEO対策には「MEO」と「MEO広告」があり、それぞれ特徴があります。
MEO | MEO広告 | |
---|---|---|
成果の期間 | 数カ月かかる | 即日で可能 |
費用 | 無料 | 相場は1万~5万円 |
表示結果の順位 | MEO広告よりも下に表記 | MEOよりも上に表記 |
MEOは、対策を始めるのに費用がかかりませんが、効果が表れるのに時間が必要です。
一方、MEO広告は成果がすぐに表れ、MEOよりも上位に表示されます。ただし、広告である旨の「スポンサー提供」という文言がクリニックサイトの上部に入れられるため、嫌悪感を抱く人もいると考えられます。
また、前項で紹介した「SEO対策」とも違うため注意しましょう。
- MEO対策:Googleマップの検索結果で上位表記させるための対策
- SEO対策:Googleでの検索結果で上位表示させるための対策
MEOは、Googleビジネスプロフィールに登録しておくだけで対策が可能です。
GoogleビジネスプロフィールでのMEO対策は、来院する可能性が高いユーザーへ直接的に働きかける効果があり、集客に有効な施策です。
SNS運用
SNS運用とは、InstagramやX(旧Twitter)などでアカウントを開設し、商品や自社の情報を発信する手法です。ほかにもFacebookやYouTubeなどがあります。
SNS運用は「SNSマーケティング」のひとつです。主に「SNSアカウント運用」と捉えられていますが、広い意味では「SNS広告運用」も含まれると考えられます。
「SNSアカウント運用」と「SNS広告運用」は、それぞれ下記のような運用方法です。
- SNSアカウント運用:SNSに投稿して情報を発信し、ユーザーとコミュニケーションを取る
- SNS広告運用:ターゲットユーザーの画面上に広告を表示し、サイト誘導を図る
SNSアカウント運用では、最新情報や役立つ情報を発信してユーザーと情報共有を行います。一方的な発信ではなく、ダイレクトメッセージやコメントを利用してコミュニケーションが可能です。
信頼できる関係性が作れたら、サイトへの誘導や来院につながるでしょう。
「SNS広告」は、ユーザーの画面上に広告を表示させる方法です。自然と目に入るため視覚的にも効果が高く、興味から実際の行動に移すきっかけとなり得ます。
最近ではYouTubeでためになる情報を発信し、ブランディングを高める方法が多くみられます。
視聴者数や登録者数の増加とともにファンが増え、「多くの人が支持しているから施術を任せても大丈夫」といった信頼につながります。
さまざまなSNSがあるので、自院に合った方法を見つけるといいでしょう。
ポジショニングメディアの活用
「ポジショニングメディア」とは、自社のポジショニングをしっかりと見極めて自社にしかない業界での強みを打ち出し、差別化するためのサイトです。
特にアピールポイントを絞ったコンテンツ作りができるため、狙ったユーザーの興味を引き付けるのに適しています。
一方で誇大な表現に注意が必要です。景品表示法に違反する危険があるため、配慮しながらのアピールが大切です。
美容医療ポータルサイトへの掲載
「ポータルサイト」とは、多くのクリニックの口コミや店舗情報などが分かるサイトです。
美容医療のポータルサイトには、主に下記のものがあげられます。
- ホットペッパービューティー
- ビューティーパーク
- エクラモ
医療美容を含めて初めて利用する方には、ポータルサイトでクリニックの比較検討を行うケースもあるでしょう。
比較対象となればホームページへの導入増加も見込まれ、認知拡大にもつながります。
一方で競合が多く、埋もれやすいといったデメリットがあります。そのため、他院との差別化が重要です。
まとめ:医療広告は法律に遵守して運用しよう
医療脱毛の広告には規制があります。
普段から使用しやすい身近な表現が違法になる場合もあるため、医療脱毛広告のガイドラインはしっかりと確認しておきましょう。
法律に遵守して広告を作成し、限定解除を有効活用した独自のホームページで集客を目指してください。