開業医として独立すると、クリニック経営に関する業務を全て院長指導のもと行わなければなりません。
医療機器や医薬品などのレンタルや仕入れも院長自ら行うことになりますが、中には金額が高額で現金での振り込みよりもクレジットカードで支払いたいと思うケースも少なくないでしょう。
クリニックでも法人カードを持つことはできるため、クレジットカードの導入はおすすめです。
この記事では、クリニックにクレジットカードを導入するメリットとデメリット、選び方について詳しくご紹介します。
この記事の内容
クリニックのクレジットカード導入率・普及状況
一部のクリニックではクレジットカード決済に対応していますが、導入率や普及状況はどうなっているのでしょうか。
厚生労働省による令和4年度のデータでは、カードを利用した決済を導入している医療機関は全体の60.9%で、約半数の病院ではクレジットカードでの決済を導入済みです。
平成30年度のデータでは導入率が49%だったことから、この数年で導入率も順調に高くなっていることがわかります。
ただし、救急医療機関では、令和4年度で79.1%、平成30年度時点でも67%が導入しており、緊急搬送に対応するほどの大きな病院であるほど導入率が高いといえるでしょう。
一方で、QRコード決済の導入率は5.2%、その他の電子マネーでの決済の導入率は6.8%とこちらはまだまだ普及していません。
参照:
平成30年度「医療機関における外国人患者の 受入に係る実態調査」結果報告書|厚生労働省
令和4年度「医療機関における外国人患者の 受入に係る実態調査」結果報告書|厚生労働省
現代社会においてはキャッシュレス決済の普及が進んでおり、クレジットカード決済を導入する店舗も増えてきました。しかし、医療機関においては、まだ約4割の病院では導入されていません。
導入されない理由としては、「キャッシュレス決済にうとい人々の多さ」や「システムの実装や運用にかかるコストの大きさ」などが考えられます。
クリニックがクレジットカードを導入するメリット
クリニックがクレジットカードを導入するメリットは、以下の5つが挙げられます。
- 経費精算をシンプルにできる
- 経費の削減につながる
- キャッシュフローに余裕が生まれる
- 付帯サービスを受けられる
- クリニックでの支払いを可視化できる
経費精算をシンプルにできる
クレジットカードを導入することで、経費精算をシンプルにできます。
医薬品の購入や設備購入代金などをクレジットカードで支払えば、毎月の経費を明細書で管理できてわかりやすいです。適格請求書や領収書などを保存しておけば経費計上漏れも防止できます。
また、院長の学会出席での出張費や接待費などを立て替え払いや仮払いする必要がありません。経費精算業務の負担が軽減されて、業務効率化にもつながります。
経費の削減につながる
クレジットカードを導入すれば、経費の削減にもつながります。
医薬品や診療などで使用する消耗品などの購入をクレジットカードに一本化することで、毎月決まった日に口座引き落としがされるため振込手数料を削減できます。
クレジットカード会社によっては福利厚生サービスを提供しているところもあり、宿泊施設やレジャー施設の優待割引が受けられるのもメリットの一つです。
個人経営のクリニックで福利厚生の充実が難しい場合でも、こういったサービスを利用することで低コストで充実した福利厚生サービスを従業員に受けさせられるでしょう。
キャッシュフローに余裕が生まれる
キャッシュフローに余裕が生まれる点も大きなメリットです。
法人カードで決済することで、経費などの出費は決まった日付に口座引き落としされるようになり引き落としまでの期間支払い猶予が生まれます。
支払日は翌月だけでなく2ヶ月後など設定できるカードもあるため、銀行口座のお金に余裕を持たせやすく、よりキャッシュフローを安定させられるでしょう。
付帯サービスを受けられる
クレジットカードを導入すると、ポイント還元や傷害保険などの付帯サービスが受けられます。
事務用品や消耗品の購入、通信費などの支払いでクレジットカードを使用することで、ポイントが貯まっていきます。そのポイントを使用してカタログギフトの商品と交換したり、振込手数料に充当したりして経費の削減が可能です。
カードによっては、海外旅行傷害保険がついたり、旅行・予約に関するサービスが充実してたりするものもあります。海外出張があるケースで特にメリットが大きいでしょう。
クリニックでの支払いを可視化できる
支払いをクレジットカードで行うことにより、クリニックでの支払いが可視化できるメリットもあります。
院長個人の支払いとクリニックでの支払いを明確に分けられるため、経費利用のタイミングや金額、購入したものなどすべてを見える化でき、従業員の不正利用を防止できます。
カードの引き落としを法人名義の銀行口座にすると、より経理の透明化が可能です。
クリニックがクレジットカードを導入するデメリット
クリニックがクレジットカードを導入することで発生するデメリットも存在します。
具体的には、以下の3点が挙げられます。
- 導入コストがかかる
- 運用ルールを設ける必要がある
- 追加カードの管理が必要になる
導入コストがかかる
クレジットカードは、発行手数料や年会費が発生する場合があり、導入コストがかかります。
年会費は数千円〜数万円のものまであります。しかし、中には永年無料や初年度無料のカードもあるため、コストを抑えて導入したい場合はなるべく年会費や発行手数料が安いものを選びましょう。
運用ルールを設ける必要がある
クレジットカードを導入するなら、運用ルールを設ける必要があります。それは、従業員による不正利用のリスクもあるためです。
プライベートでの利用に使われたり、経費にならないものをカードで決済されたりする恐れもゼロではありません。
利用範囲を決めて、利用前に承認を得るなどの運用ルールを設けておきましょう。
追加カードの管理が必要になる
経費精算の簡略化に役立つ追加カードですが、カードを2枚以上管理する必要がある点は注意が必要です。
追加カードを発行すれば、従業員もカードを持つことができるようになりますが、経費精算の負担減少になる一方で、不正利用のリスクがつきまといます。
使用時に申告を義務付けたり、利用目的を制限するなどしましょう。
また、保管場所も事前に決めて紛失しないように管理したり、1枚のカードを複数の従業員で使いまわさないように厳重に管理する必要があります。
クリニックにおけるクレジットカードの選び方
クリニックにおけるクレジットカードを導入する際の選び方としては、以下を意識しましょう。
- 特典が豊富なカードを選ぶ
- 利用可能枠が大きいカードを選ぶ
- クラウド会計ソフトとの連携が手軽なカードを選ぶ
特典が豊富なカードを選ぶ
クリニックのクレジットカードを導入する際は、特典が豊富なカードを選びましょう。
旅行損害保険やショッピング補償などの魅力的な特典がついていると、年会費などかかるコスト以上のメリットが得られる可能性があります。
カード選びにおいて、年会費に見合った特典がついているかという点で判断することは重要なポイントの一つです。
ただし、自院にとって必要のない特典ばかりが充実していても意味がないため、必要かどうかも見極めましょう。
利用可能枠が大きいカードを選ぶ
利用可能枠は、なるべく大きく設定されているカードを選びましょう。
クリニックでは、医薬品や医療機器、設備の購入などで高額なカード利用が多くなると予想されます。そのため、利用可能枠は大きいほうが、いざというときにも困らないでしょう。
利用可能額が低いとすぐに上限を超えて利用できなくなり、経営に支障をきたす可能性があります。
クラウド会計ソフトとの連携が手軽なカードを選ぶ
クラウド会計ソフトとの連携が手軽なカードを選ぶことも重要です。
クラウド会計ソフトと連携できれば、経理業務の手間を大きく削減でき、業務効率化につながります。
経理業務は人為的ミスも起こりやすく、手入力でのミスは後から見ても気づきにくい場合があります。そこで、カードと会計ソフトが連携して自動入力される場合は、ミスを防止できます。
経費の私的利用がないかのチェックくらいで済み、手間が削減されるほか、初心者の従業員でも会計業務がしやすくなります。
クリニックのクレジットカードなら三井住友ビジネスカード
クリニックのクレジットカードなら三井住友ビジネスカードがおすすめです。
三井住友ビジネスカードなら、年会費が安いためコストを抑えて導入でき、カード利用枠は上限500万円と大きな出費にも対応します。
財務会計システムデータの連携サービスもあるため、経理業務の手間も削減され業務を効率化させることも可能です。
クリニックにクレジットカード導入を検討されているなら、ぜひ一度ご確認ください。
まとめ:クリニックこそクレジットカードを導入して事業拡大を目指そう
クリニックの経営においてクレジットカードを導入することは非常におすすめです。
クレジットカードを使うことで、経費精算が手軽になり、経費の削減や支払いの可視化などさまざまなメリットが得られます。
まだ独立して間もない開業医こそクレジットカードを導入し、業務効率化を図りながら事業拡大を目指していきましょう。