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開業医は何歳から独立する?適している年齢や動機・労働条件を徹底解説

開業医は医師が憧れを持つ職業で、「いつかなってみたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年はクリニックの休廃業件数が上昇傾向で、独立するには少なからずリスクが伴います。

そこで本記事では、開業医として独立する齢期について徹底解説します。
さらに、成功しやすい診療科開業医の労働条件についても解説しますので、開業医としての独立に興味がある方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

開業には最短何歳からなれる?

開業医には最短何歳からなれる

開業医には最短26歳からなれますが、最短で開業するには大学の医学部か医科大学に現役合格するのが最低条件です。

医学部で6年間学習した後は医師国家試験に合格し、臨床研修医として2年間経験を積みます。
臨床研修医として2年間の研修が完了すれば、ルール上は開業できるようになります。

しかし、さらなる経験を求めて後期研修に入る医師がほとんどです。
2年間の研修期間で開業医として独立するのは現実的ではありません。

現実的に開業医として独立できる年齢は、30代以降からと思っておいたほうが良いでしょう。

開業医になるのは、20代〜30代だと危険?何歳から独立するのが正解?

開業医になるのは、20代〜30代だと危険?何歳から独立するのが正解?

何歳から開業医になるのがおすすめなのかを簡単な表にまとめました。

年代 独立のおすすめ度
20代
30代 ★★
40代以降 ★★★

上記の表を見て分かるとおり、開業医になるのは40代以降がおすすめです。
医師として10年以上の経験を積んだ40代の医師は独立するだけの知識と経験を持ち、上司として部下への指導にも慣れている方が多いでしょう。

40代は開業医に必要な経験を積んでいるので、無理なく開業できるはずです。

一方で30代で開業するためには、短期間で多くの経験を積んでおく必要があります。
特に30代前半で開業するのはリスクが高く、医師になって10年を超えたあたりから計画を始めるのがおすすめです。

少しでも早く開業したいのであれば、経営やマーケティングの知識をつけてから準備を始めると失敗する確率が減るかもしれません。

ですので、やはり20代で開業医になるのは現実的に難しいでしょう。

どれほど効果的な集患ができても、医師の年齢だけで患者の信頼を得られないこともあり、医師としての経験が乏しいので提供できる医療にも限りがあります。

もちろん不可能ではありませんが、20代で開業医として成功する確率は極めて低いといえます。

開業医として独立する適齢期

医師としての豊富な経験を持ちつつ、体力がある40代はまさに開業の適齢期といえます。

医師としての経験は、勤務医として働くことで培えます。
さらに40代になると管理者としての業務も増えていることが多いので、自然に経験を積めるでしょう。

また、経験をさらに積んだ50代も開業に適している年代ですが、体力がある40代のうちに独立したほうが余裕をもって経営できます。

一方20代や30代で開業すると経験不足が露呈することもあり、成功率が下がるかもしれません。

開業医の平均開業年齢

開業医の平均開業年齢は41.3歳※です。
ただし近年は開業の平均年齢が上昇傾向にあるようで、じっくり経験を積んでから独立する医師が増えています。

開業にはリスクがつきものなので、「多くの経験を積んでから開業したい」と考える医師が多いようです。

※引用元:日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」

【医師は何歳から考え出すの?】開業医としての独立を考える動機ランキング

【医師は何歳から考え出すの?】開業医としての独立を考える動機ランキング

開業医として独立を考える動機のランキングを以下にまとめました。

順位 動機 割合
1位 理想の医療を追求したい 42.4%
2位 勤務医の将来に限界を感じた 35.1%
3位 経営も含めてやりがいのある仕事がしたい 26.3%
4位 精神的ストレスで勤務医を辞めたい 21.0%
5位 過重労働で勤務医を辞めたい 18.6%
6位 家庭の事情 17.7%
7位 開業医の労働条件が魅力的 9.7%
8位 開業を家族から要求された 9.4%
9位 開業医の収入が魅力的 8.4%

※引用元:日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」

ここからは、上記のランキングについて詳しく解説します。

1位:理想の医療を追求したい

医師の約4割が理想の医療を追求するために開業医として独立します。

勤務医は医療や経営の方針を決定する権限がありません。
しかし開業医になると、患者にとって最良と思える医療を提供できるようになります。

勤務している施設の医療方針に疑問を持っている勤務医は、少なからず開業を考えたことがあるはずです。

また、専門的な医療を追求するために開業する医師もいるでしょう。

2位:勤務医の将来に限界を感じた

約3割の医師は勤務医としての将来に限界を感じて開業を選択しています。

勤務医と開業医の平均年収には約2倍の差があり、高収入を目指す医師は開業医を選びがちです。
勤務医の最高峰である院長の平均年収は以下にまとめてみました。

  • 国立病院|約1,876万円
  • 公立病院|約2,153万円
  • 公的病院|約2,240万円
  • 社会保険関係法人|約1,961万円
  • 医療法人|約3,110万円
  • その他の院長|約2,373万円

※引用元:厚生労働省「第23回医療経済実態調査(令和3年実施)」

上記を見て分かるとおり、勤務医が院長まで昇りつめても、ほとんどの場合が開業医の平均年収である約2,807万円※1 には届きません。
さらに院長まで昇りつめられる勤務医は一握りなので、ほとんどの勤務医が上記ほど稼げないでしょう。

また、技術面で限界を感じる勤務医も一定数いるようです。

勤務医がさらなる技術を磨けるかは病院の方針次第です。
そのため、病院の医療方針に限界を感じると、独立して高いレベルの医療を求めるのでしょう。

※1 引用元:厚生労働省「第23回医療経済実態調査」

3位:経営も含めてやりがいのある仕事がしたい

独立する医師の中には、経営も含めたやりがいのある仕事をしたい方も多いようです。
経営は医療とまったく異なる知識やスキルが必要となり、興味を持つ医師が多いのでしょう。

経営者として成功している医師の中にはメディアに出て有名になっている方も多く、憧れを持つ方も多いはずです。
さらに経営者として成功すれば収入アップや事業拡大にも期待できるので、「これまでにないやりがいを見つけられる」と期待して独立するのでしょう。

4位:精神的ストレスで勤務医を辞めたい

精神的ストレスが原因で開業を目指す勤務医も2割程度いるようです。

勤務医がストレスを感じる主な原因を以下にまとめました。

  • 人間関係
  • 業務量の多さ
  • 収入面
  • キャリアプラン
  • プライベートとの両立

上記を見て分かるとおり、勤務医がストレスを感じる原因は多種多様です。
開業医として独立しても人間関係の構築は必要ですが、環境をリセットしたい方もいるでしょう。

また、プライベートとの両立を目的で開業する方もいるようです。
開業医になれば施設の営業時間を自身で決められるので、プライベートとの両立がしやすくなるでしょう。

5位:過重労働で勤務医を辞めたい

度重なる過重労働により勤務医を辞めたい医師もいます。
特に中堅医師は中間管理職のようなポジションであることが多く、労働時間が増えがちです。

ただし、「労働時間が長い」や「業務量が多い」と嘆く開業医がいるのも実情なので、独立して労働時間が減るかはわかりません。
そのため、開業医として独立する際は、労働時間が短くなると安易に考えないほうが良いでしょう。

6位:家庭の事情

お子様の成長や引っ越し、介護など、家庭の事情で開業医になる方もいるようです。
開業医になると働く時間をコントロールできるので、家庭とのバランスを比較的取りやすくなります。

また、開業医になると当直をしなくて良いケースが多く、夜に家族との時間を作りやすくなるのも特徴です。

7位:開業医の労働条件が魅力的

自分で労働条件を決められるという開業医の魅力に惹かれて独立を目指す方もいます。

たとえば休館日や診察時間も自分で設定でき、自由時間を増やすのも可能です。
空いた時間をスキルアップや家族との時間にも使えます。

8位:開業を家族から要求された

他の動機に比べて割合は少ないものの、家族から開業を要求されるケースもあるようです。

開業すると時間を作りやすいだけでなく収入アップにも期待できるので、家族に良い影響を与えられる可能性があります。

ただし、休廃業や借り入れなどのリスクがあるので、さまざまな要因を考慮してください。

9位:開業医の収入が魅力的

開業医の魅力である高収入を目的に独立する方もいます。

勤務医に比べて高収入を得やすい開業医は、稼ぎたい医師におすすめの働き方です。
とはいえ、開業医として稼ぐためには安定した経営が不可欠となります。

稼ぎたいという目的で開業医を目指す方は、マーケティング・経営を学んでから独立しましょう。

【何歳からなるべきか考える】開業医の労働条件

【何歳からなるべきか考える】開業医の労働条件

何歳から開業医になるかを考えるためには、労働条件を知っておく必要があります。
ここでは、開業医の労働条件を以下3つの項目に分けて解説します。

  • 開業医の平均年収
  • 開業医の定年時期
  • 開業医の労働時間

開業医への独立時期に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

開業医の平均年収

開業医の平均年収は約2,807万円※1 です。
一方、勤務医の平均年収は約1,428万円※2で、開業医の約半分しかありません。

また、参考として日本の全職業を合わせた平均年収は458万円※3で、大きな差があると分かります。

開業医は他の職種に比べると非常に稼ぎやすい職業です。

※1 引用元:厚生労働省「第23回医療経済実態調査」
※2 引用元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※3 引用元:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」

開業医の定年時期

大前提として、開業医には定年退職という概念がありません。
そのため、開業医が業務を退く際は引退というのが正しいでしょう。

日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」によると開業医の平均引退年齢は73.1歳と比較的高く、勤務医の定年退職時期である65歳よりも約8年も後になります。

開業医の引退時期が遅くなる原因は後継者不在によるものが多いようで、日本全国で社会問題にもなっています。
後継者がいないことで引退できず、最終的に廃業に追い込まれるケースがあるのも実情です。

そのため、開業した施設が安定して運営できるようになった際は、後継者についても考えておきましょう。

開業医の労働時間

開業医が1ヵ月で仕事関連に費やす平均時間は252.0時間※1で、そのうちの平均時間外労働は80.6時間※2です。
日本の一般企業で働くフルタイム労働者(正社員を含む)の平均労働時間が162.3時間※3に比べると90時間近くもの差があり、開業医の労働時間が長いのが分かります。

上記の調査結果を見る限り、開業医になると労働時間は長くなるのを覚悟する必要があります。

※1・※2 引用元:全国保険医団体連合会・大阪府保険医協会・大阪府歯科保険医協会「開業医の経営・労働実態調査」
※3 引用元:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」

何歳からでも大丈夫!開業医として独立しやすい診療科

何歳からでも大丈夫!開業医として独立しやすい診療科

開業医として独立が成功しやすい診療科は以下の5つです。

  1. 精神科・心療内科
  2. 内分泌・糖尿病内科
  3. 在宅診療
  4. 産科・婦人科
  5. 眼科

上記の診療科で働く勤務医の方は、他の医師よりも開業に成功する確率が高いでしょう。

精神科・心療内科

精神科・心療内科は、開業資金が安く済む傾向にあり、最も開業しやすい診療科といわれています。

必要設備の少なさが開業資金が安い要因で、必要なのは電子カルテなど一部の機器のみです。
高額な機器を導入する必要がないので自己資金だけで開業すれば、資金的なリスクを最小限に押さえて独立できます。

精神科・心療内科として開業する際のポイントは、患者が安心して通える空間作りです。
精神的に不安定な患者が多い診療科なので、落ち着いた雰囲気の施設を作れば患者からの信頼を得やすいでしょう。

内分泌・糖尿病内科

内分泌・糖尿病内科も自己資金なしで開業できる診療科です。

生活習慣病患者が増加傾向にある近年は需要も多く、集患の難易度も低めです。
勤務医時代の患者を開業施設に誘導するなど、患者の確保ができれば比較的安定して開業できます。

さらに、他の病院との連携を取れれば安定して運営できるでしょう。

ただし患者の誘導ができないケースや、内分泌・糖尿病内科が近隣にあるケースでは、スムーズに運営できない危険性もあるので注意してください。

在宅診療

在宅診療は施設を確保する必要がない唯一の開業方法です。
さらに必要な医療機器も非常に少ないので、1,000万円程度の資金でも十分に開業できます。

施設を確保する必要がなく低リスクで開業できるので、自己資金だけで独立したい方におすすめの診療科です。

ただし、他の診療科に比べて収入が低くなりがちなのがデメリットで、一般的な年収は1,500万円~2,000万円程度といわれています。
収入が少なくてもリスクを減らしたい方は、チャレンジしてみてもいいでしょう。

産科・婦人科

産科・婦人科は医療機器に数千万円の初期投資が必要になるものの、比較的成功しやすい診療科です。
出産・分娩だけでなく不妊治療をする患者も通院し、比較的安定した集患が見込めます。

女性の患者が通うクリニックになるので、清潔感がある内装にするのが立ち上げ時のポイントです。
駅前の好立地で開業すると妊娠中の女性も負担なく通えるでしょう。

眼科

眼科は幅広い年齢層の患者が利用するので、集患しやすいのが特徴です。
ターゲットとなる患者の層が広いので、住宅地の近くで開業すると効率よく集患できます。

ただし、顕微鏡など設備代は比較的高くなりやすい傾向にあり、最低でも2,000万円以上はかかるでしょう。

何歳から開業医になりたいかを逆算した計画立てが大切になる

何歳から開業医になるかを計画しておくとスムーズに独立できる

本記事では「何歳から開業医になるべきか」について解説しました。

開業医になるには医師としての経験はもちろんですが、経営やマネジメントの知識・スキルも必要です。
医師として十分な経験を積んでから他の要素も学ぶ必要があるので、最低でも医師になって10年以上は準備期間に充てたほうが良いでしょう。

開業医になるにはリスクも伴いますが、やりがいがあり稼ぎやすい仕事です。
長期的なキャリアプランを計画し、ぜひ理想の開業医を目指してみてください。