近年、「完全予約制」を採用する病院やサロン、飲食店などが増えています。
この記事では、業務効率化と顧客満足度アップへの取り組みとして有効な手段である完全予約制についてご紹介します。
完全予約制を取り入れることによって、得られるメリットやデメリットも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
完全予約制とは事前の予約が必須の方式のこと
完全予約制とは、サービスを利用する際に事前予約が必須の方式のことです。
完全予約制は、病院やサロン、ホテルやレストランなど多くの業種で採用されています。
待ち時間がほとんど発生せず、スムーズな対応を提供できることが特徴です。
ただし、完全予約制の場合、原則として事前予約がないと利用できません。
完全予約制と予約優先制・順番予約制との違い
予約方法の種類として、完全予約制以外にも「予約優先制」や「順番予約制」があります。
完全予約制は、事前の予約が必須です。
一方、予約優先制や順番予約制は、予約していなくても利用できる場合があります。
以下の表は、それぞれの特徴をまとめたものです。
予約方法 | 予約の必要性 | 飛び込み客の受け入れ | 柔軟性 |
---|---|---|---|
①完全予約制 | 必須 | 受け入れ不可 | 低い |
②予約優先制 | 任意 | 受け入れ可能 | 高い |
③順番予約制 | 任意 | 先着順 | 高い |
予約優先制との違い
予約優先制とは、事前に予約した顧客を優先しながら、飛び込み客も受け入れる方法です。
この予約優先制では、予約済みの方には予約時間にサービスを提供し、予約していない来店者にも順番にサービスを提供します。
完全予約制とは違って、急な訪問客にも対応できる柔軟性があることが特徴です。
ただし、予約してきた方を優先的に案内するため、飛び込み客の待ち時間が長時間になる可能性もあります。
また、予約していない訪問客の対応をしていると終了時間が予測しにくく、1日あたりの客数を見通しにくいため、発生するコストを推測しづらいことがデメリットです。
順番予約制との違い
順番予約制とは、来店した順番通りに利用者を案内する方法です。
一部の病院や店舗では、順番が回ってくる目安の時間も知らせているケースもあります。
完全予約制とは違って、事前予約なしで利用できるシンプルな仕組みで、スタッフ側の運用も簡単なことがメリットです。
しかし、利用者が多い日だと待ち時間が長く発生するという問題があります。
また、順番になっても受付に現れない人が多いと、システム自体が立ち行かなくなることがデメリットです。
完全予約制で得られるメリット
完全予約制を取り入れることによって、多くのメリットがあります。ここから、完全予約制を取り入れる5つのメリットについてご紹介します。
- お客様を待たせずに案内できて顧客満足度の向上につながる
- 時間管理がしやすくなる
- 一人ひとりに対するサービスの品質を高められる
- リピート率の向上が期待できる
- 混雑回避による感染リスクを軽減できる
お客様を待たせずに案内できて顧客満足度の向上につながる
利用者が事前に予約することによって、案内がスムーズに行われることがメリットです。
待ち時間がほとんど発生しないため、顧客のストレスや不便さが軽減され、顧客満足度の向上が期待できます。
時間管理がしやすくなる
完全予約制を取り入れると、事前にどの時間にどれくらいの人数が来るのかを把握できます。
そのため、スタッフの労働時間増加や無駄な待機時間を回避でき、適切な時間管理が可能になります。
一人ひとりに対するサービスの品質を高められる
突発的な利用者がいない完全予約制は、予約した顧客に集中できるメリットもあります。
一人のお客様に専念できるためサービスの質が向上し、顧客との信頼関係を築きやすくなるでしょう。
リピート率の向上が期待できる
予約すればスムーズに安定したサービスが受けられるため、顧客満足度も高まり、リピート率の向上が期待できます。
また、待ち時間が少ないことを理由に、その便利さから一度来たユーザーがまた利用したくなることもメリットです。
混雑回避による感染リスクを軽減できる
待合室が混雑していると、他の利用者と距離が近くなることがあります。
特に病院での滞在時間が多くなると、他の患者から病気をもらってしまうリスクが上がるので注意が必要です。
完全予約制にすれば病院での滞在時間が軽減するので、感染リスクを下げられることが期待できます。
完全予約制のデメリット
ここから、完全予約制のデメリットについて3つご紹介します。
- 飛び込みのお客様に対応できない
- 1日に対応できるお客様が限られる
- 当日キャンセルが発生すると売上が落ちる恐れがある
飛び込みのお客様に対応できない
完全予約制は、原則として飛び込み客への対応を受け付けていない方式です。そのため、突然の利用を希望するユーザーにとっては、柔軟性が制限される恐れがあります。
病院側は、顧客の利便性を高める方策を練る必要があります。
たとえば、一部の時間帯のみ予約なしでも利用可能にするなど、飛び込み利用を受け入れる対策を講じることで、多様なニーズに応えられます。
1日に対応できるお客様が限られる
完全予約制は、1日に予約できる客数に限りがあります。
終了時間やコストを想定できる反面、想定を上回る利益がないため、すぐには大きな利益につながりません。
予約枠の時間設定を適切に調整したり、スタッフの行動計画に無駄がないようにしたりなどの工夫が求められます。
当日キャンセルが発生すると売上が落ちる恐れがある
予約した顧客のみ対応する完全予約制サービスでは、キャンセルが出ると売上が落ちてしまいます。そのため、キャンセルが続けば大きな損失につながる可能性もあります。
悪質な無断キャンセルを防ぐためには、キャンセル料を設定しておくことも有効です。
完全予約制システムを取り入れる時のチェックポイント
完全予約制を取り入れる際は、効率的な管理を実現してくれる「予約システム」を利用するのがおすすめです。
予約システムとは、予約したユーザーの情報を画面上で一元管理できるツールのことです。
予約受付から管理、確認メール送信などを効率的に行うことができます。
ここから、予約システムを取り入れる際に押さえておくべきポイントを5つご紹介します。
- 必要な機能が備わっているか
- 簡単に操作できるか
- 病院への導入実績があるか
- セキュリティは万全か
- 運用のサポート体制はあるか
必要な機能が備わっているか
予約システムが自社や顧客の課題を解決できる機能を備えているか確認しましょう。
たとえば、予約やキャンセル管理からメール通知まですべて自動で行ってもらいたい事業者と、予約だけを重点的に自動化したい事業者とでは求めるシステムが異なります。
そのため、まずは自社にとって必要な機能を洗い出し、どのような機能があれば顧客のニーズに応えられるか検討しましょう。
予約システムの機能としては、主に以下のようなものがあります。
- 予約受付
- 予約管理カレンダー
- 自動メール通知
- 予約キャンセル
- 予約データ管理
- 事前決済
簡単に操作できるか
予約システムを取り入れるのであれば、スタッフや顧客が使いやすい操作性が必要です。
わかりやすい入力画面で、簡単に予約できる仕組みがどうかチェックしておきましょう。
予約する際の入力情報は最小限にしぼり、会員登録不要でも予約できる仕組みがあれば、ユーザーの負担になりません。
また、会員登録したリピーターはログイン後に詳細入力が不要のシステムであれば、スムーズな予約を提供できます。
病院への導入実績があるか
病院で完全予約システムを取り入れるのであれば、医療業界内でどの程度そのシステムが活用されているか確認しておきましょう。
同業種への導入実績が多いシステムであれば、問題解決に対しての高いサポート力が期待できます。
セキュリティは万全か
完全予約システムを取り入れるのであれば、セキュリティへの取り組みはチェック必須です。
予約システムでは、顧客の個人情報を扱います。そのため、適切な安全対策を実施し、情報流出や不正アクセスを防ぐ必要があります。
予約システム提供元が、外部攻撃や内部の情報漏れを防ぐための対応を実施しているかを確認しましょう。
運用のサポート体制はあるか
予約システム導入後、適切なサポート体制が整っているかどうかも大切なポイントです。
予約システムにおける課題は、システム導入前から導入後までさまざまですが、スムーズな問題改善にはサポートが必要です。
運用のサポートがあれば、初めて利用するクリニックでも安心して利用できるでしょう。
万が一の際にも連絡がとりやすく、トラブル解決に向けたサポートを迅速に受けられることが重要です。
まとめ:完全予約制の導入でサービス品質の向上につなげよう
事前に予約を取っておくことで、利用者の待ち時間を短縮し、スムーズなサービス提供が実現します。
完全予約制を取り入れることで、業務効率化や顧客満足度の向上が期待できるというメリットもあります。
この記事を参考に、完全予約制を取り入れて、サービスの品質向上に努めてください。