クリニックを経営していく上で、「1日何人の患者が必要なのか」「患者数を増やすにはどうすればいいのか」といった悩みを持っている方は多いでしょう。
本記事では、クリニックの1日の患者数の目安や経営を安定させるための患者数、患者数の増やし方などについて解説していきます。開業医として経営していく方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
クリニック1日の患者数の目安はどれくらい?
厚生労働省より発表されている「平成30年社会医療診療行為別統計の概況」では、一般病院の入院外件数は、8,981,299件(平成30年6月審査分)とされています。また厚生労働省の「医療施設調査」によると同年の全国一般病院施設数は、102,105件と発表されています。
これらの数字とクリニックの一月あたりの診察日数が週5〜6日なら21〜25日程度ということを踏まえると、およそ40人前後だとわかります。あくまで40人前後というのは平均としての数字ですが、クリニックを経営していく上では1つの基準となるでしょう。
参照:厚生労働省 「平成30年社会医療診療行為別統計の概況」
クリニック経営を安定させるために必要な患者数は?
クリニックの経営を安定させるための患者数としては、40人前後というのが目安になるでしょう。
ただし、経営が安定する患者数は「どの科のクリニックなのか」「患者1人あたりの平均点はどの程度なのか」といった条件で左右されます。40人前後というのは、あくまでも目安と捉えておいてください。
また、クリニックの経営方針や医療機器の導入・修理、クリニックの設備費など、必要なコストがどれ程度かかるのかを考慮して、目標の患者数を決めることが重要なポイントです。
クリニックの診療科別1日の患者数
厚生労働省の「医療施設調査」を元に、クリニックの診療科ごとの1日の患者数を紹介していきます。
以下が診療科別の患者数の表になります。
診療科 | 1日あたりの平均患者数 |
---|---|
内科 | 約38.2人 |
小児科 | 約42.7人 |
精神科 | 約35人 |
整形外科 | 約75.5人 |
皮膚科 | 約58.7人 |
耳鼻咽喉科 | 約53.3人 |
たとえ上記の人数を超えた患者数が平均的に来院していても、確実にクリニック経営が安定するわけではありません。
それぞれのクリニックにおいて一月あたりどの程度のコストがかかるのかによっては、データ以上の患者数が来院しても赤字になることもあります。これらの数字は、あくまでも基準として把握しておいてください。
患者数が少ないクリニックに考えられる原因
患者数が少ないと頭を悩ませているクリニックに考えられる原因は、主に以下の3つです。
- 立地・アクセスが悪い
- 地域住民に認知されていない
- 競合のクリニックがエリアに多い
それぞれのクリニックにこの原因が当てはまるのかどうか、ぜひ確認してみてください。
立地・アクセスが悪い
クリニックの立地やアクセスの良し悪しは、患者数に大きく影響します。
質の高い医療を提供するクリニックだったとしても、交通機関のアクセスが悪い立地や人目に付きにくい立地だと患者数が増えにくくなってしまいます。
患者の気持ちに立って考えれば、わざわざ通いにくいクリニックに行こうと考える人は少ないでしょう。
それに対し、交通機関が近くにある場所や人通りの多い道に面している場所など、通いやすく多くの人に見つけてもらいやすい立地なら患者数が増えやすいです。クリニックの立地を選ぶ際には、周りの環境も考慮することが大切です。
地域住民に認知されていない
地域住民に認知されていないクリニックも、患者数が伸び悩むと考えられます。
クリニックはその地域に根付き、認知してもらうことが重要です。地域住民の人たちにクリニックを知ってもらうために、ポスティングや地域のイベントに参加するといった活動が有効でしょう。
競合のクリニックがエリアに多い
競合のクリニックが多くあるエリアだと、患者の取り合いになってしまい患者数が増えにくくなる傾向があります。
来院した患者が他のクリニックにもう通っていたり、以前来院した患者が他のクリニックに流れていったりなど、継続して通ってもらうのが困難になります。
このようなケースに陥らないためにも、競合になりそうなクリニックはどこに何軒あるのかなどを立地を決める前に下調べしておきましょう。
クリニックの患者数を増やす方法
クリニックの患者数を増やしたい場合に有効な方法は、主に以下の5つです。
- ホームページの開設とSEO対策をする
- SNSを運用する
- 問診票を活用する
- MEO対策を実施する
- 2回目以降の来院予約を取る
これらの方法について、それぞれ解説していきます。
ホームページの開設とSEO対策をする
患者数を増加させるためには、ホームページの開設とSEO対策をすることが重要です。
ホームページは、クリニックを知ってもらうきっかけになり、クリニックの情報を発信する場にもなります。診療内容や営業している時間、アクセス方法などを掲載しましょう。
その上でSEO対策を行うことで、Googleの検索上位に表示されやすくなります。より多くの人にサイトを見てもらえるため、集患効果を期待できます。
SNSを運用する
SNSを運用することも方法の1つです。
SNSでクリニックの最新情報を更新し、発信していくことで、ホームページの開設より能動的な宣伝が可能になります。また、Instagramなどにクリニック内の画像や動画をアップすることで、本来は来院しないとわからないような雰囲気を知ってもらえます。
リアルタイムで本来行かないとわからないような情報を確認できるので、初めての患者でも不安なく来院してもらえるでしょう。
問診票を活用する
問診票を活用すれば、どこでクリニックを知ってもらえたのかを把握できます。
問診票では、患者の健康状態に関することだけでなく、「どこでクリニックを知ったのか」「どうして来院してくれたのか」などの項目を作ることで認知のきっかけを調査できます。調査結果から効果が出ている宣伝方法や効果の薄い宣伝方法を分析し改善につなげられます。
また、デジタル問診票を導入することで、問診票のデータ管理や結果の分析をすべてオンラインで完結できるため、手間も最小限で済むでしょう。
MEO対策を実施する
MEO対策することも有効な手段です。
MEO対策とは、Googleマップの検索上位に表示されるように講じる対策のことです。うまく対策できれば、「〇〇科 クリニック」などの検索ワードで上位を取り、クリニック情報を知ってもらえます。
お店や病院をGoogleの検索で探すようになった昨今だからこそ、IT領域での対策は効果的と言えるでしょう。
2回目以降の来院予約を取る
2回目以降の来院予約を積極的に取ることも重要です。
会計の際などに、次回の来院予約をしてもらうことで、継続的に通ってもらうきっかけになります。集患としての効果だけでなく、継続的な来院は患者の状態をより正確に把握することにつながり、質の高い医療の提供ができるようになるでしょう。
まとめ:クリニックの患者数を確保して経営を安定させよう
本記事では、ここまでクリニックの1日の患者数の目安や患者数が増えない原因、増やす方法などについて解説してきました。
それぞれのクリニックの状況に応じて、患者数の増えない原因を改善し対策を講じることがクリニック経営を安定させることにつながります。
クリニックの経営に悩んでいる方やさらに集患したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。