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モンスターペイシェントとは?特徴や効果的な5つの対処法を解説

近年、医療機関にて「モンスターペイシェント」による被害が増加しています。

モンスターペイシェントの不条理な言動に困惑した経験がある医療従事者も多いのではないでしょうか。

本記事では、モンスターペイシェントの特徴や効果的な対処方法を紹介します。

医療機関が取るべき対応を事前に確認し、いざというときにスタッフ全員が冷静に対応できるように備えましょう。

モンスターペイシェントとは?

黒いフレームの眼鏡をかけた白いドレスシャツの男性

そもそもモンスターペイシェントとは、医師や看護師、医療スタッフなどの医療従事者に不当な要求をしたり、暴言や暴力を振るう患者を意味します。

医療機関を受診する患者本人に限らず、その家族を指す場合もあります。

近年モンスターペイシェントは深刻な問題になっており、ペイシェントハラスメントで悩んでいる医療従事者は多いです。

深刻なペイシェントハラスメントに長く対応していると、大きなストレスを感じてしまいます。その結果、辞職してしまう医療従事者も少なくありません。

モンスターペイシェントの特徴

黒いソファに座る黒いブレザーの女性

医療機関に対して正当な要求をしている患者もいるため、モンスターペイシェントかどうか判断が難しい場合もあります。

モンスターペイシェントの可能性があるかどうか判断するために、モンスターペイシェントの特徴を確認しておきましょう。

  • 無理な要求をする
  • 理不尽な苦情を訴える
  • 治療費を支払わない
  • 脅迫・恐喝でおどす
  • 暴力を振るう
  • セクハラをする

無理な要求をする

「他の患者より優先順位をあげてほしい」「診察は受けたくないので薬だけ欲しい」など、無理な要求をしてくるのはモンスターペイシェントの可能性が高いです。

明らかに不条理な要求であっても、モンスターペイシェントは自分の意見が正しいと信じ込んでいます。

そのため、断ってもなかなか納得してくれず、怒鳴ったり暴れたりするモンスターペイシェントも少なくありません。

理不尽な苦情を訴える

理不尽な苦情を訴えるのも、モンスターペイシェントの典型的な特徴です。

適切な処置を行っている医師や看護師に対して、文句をつけたり医療ミスを主張したりなど、理不尽なクレームをつけてくることもあります。

ただ、患者の抗議すべてが悪いというわけではありません。もし医療機関側に間違いがあった場合は、患者の申し出は正しい主張となります。

正当な主張であれば、その意見を真摯に受け止めることが重要です。理不尽な苦情なのか正しい主張なのか、慎重に見極めるようにしましょう。

治療費を支払わない

適切な治療や対応をしているにも関わらず、診療報酬を払わない患者もいます。

「検査で異常なかったから検査代は払わない」「治療が長引いたのは医師のせい」など難癖をつけて医療費を払わないのは、モンスターペイシェントに該当します。

また、患者の経済状態で医療費の未払いがあった場合、一定期間経過後に手紙や訪問で督促することもあります。

モンスターペイシェントは偽りの住所や電話番号を伝える場合もあるので、身元確認は確実にするようにしましょう。

脅迫・恐喝でおどす

無理な要求を断ったり、理不尽な苦情に対応しなかったりすると、脅迫や恐喝でおどしてくるのも、モンスターペイシェントの特徴です。

「私は地元で権力を持っている」「院長に報告する」などと強い出方をすることもあります。

大声で威嚇するモンスターペイシェントも多く、責められている医療従事者はもちろん、周りの患者も不快な思いをしてしまいます。

暴力を振るう

極めて悪質なモンスターペイシェントは、医療従事者に対して暴力を振るう可能性があるので注意が必要です。人に対してだけでなく、院内の設備や機械などを破壊するケースも含まれます。

感情的になったモンスターペイシェントによる暴力は激しく、医療従事者だけでは手に負えず、傷害事件や殺害事件にまで発展した事例もあります。

セクハラをする

医師や看護師、スタッフなどに対して、セクハラをするモンスターペイシェントも多いです。性的な関係をしつこく迫る、体を触るなどが代表例です。

また、患者が自分の裸を見せてきたり、わいせつな画像や動画を見せてきたりするのも当然セクハラに該当します。

患者がモンスターペイシェント化する原因

ノートパソコンを使う灰色のローブを着た男

患者がモンスター化してしまうのは、患者側だけでなく医療機関側に原因がある場合もあります。

対策を講じるためにも、モンスターペイシェントになってしまう原因を正しく理解しておきましょう。

  • 患者側の原因
  • 医療機関側の原因

患者側の原因

医療機関に過度な期待を抱きがちな患者は、モンスターペイシェント化しやすいです。「医療は万能」だと信じ込んでいる患者の場合、病気やケガが完治しないと「病院なのに治してくれないなんておかしい」と感じて過剰な行動に移すケースもあります。

また、医療機関が患者を「お客様」として丁寧に扱い過ぎたことで、患者は自分の立場が高いと勘違いし、自分本位な要求をしてしまうこともあります。

モンスター化しやすい人物は大きなストレスを抱えており、それを他人にぶつけることで鬱憤を晴らすのがクセになっている場合も多いです。このような場合、医療機関以外の場所でも傍若無人に振舞っている人物と推測できます。

医療機関側の原因

患者側の問題でモンスター化するケースが大半ですが、医療機関側に落ち度があるケースもあります。

医療従事者が患者の話をしっかり聞かずに、患者の気持ちに寄り添わない高圧的な態度を取っていると、患者のモンスター化につながってしまいます。

基本的に患者は病気やケガで不安を抱えている状況のため、その心情に寄り添った親身な対応をするのが重要です。

モンスターペイシェントの対応は応召義務の理解が大切

黒いタブレットコンピュータを持つ白いドレスシャツの男

モンスターペイシェントの理不尽な言動を受けても、「病院には応召義務があるから診療しなければいけない」と考え耐え忍んでいる医療従事者も少なくありません。

もし患者がルールを守らないのであれば、診療を断っても応召義務違反にはならないでしょう。
医師法では、以下のような応召義務が定められています。

医師法19条1項「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」

引用元:医師法(昭和23年法律第201号)

原則として「正当な事由がなければ」と医師法に記載があるため、患者から迷惑行為や無理な要求があった場合は、医療機関は診療を断るのも可能です。

医療機関は応召義務について正しく理解しておきましょう。

モンスターペイシェントの対応方法

女の子の前のテーブルに座っている医者

モンスターペイシェントの言動によって医療機関でトラブルが発生した場合、適切な対応をするのが大切です。

ここからは、モンスターペイシェントへの正しい対応方法を5つ紹介します。

  1. まずは患者の話に耳を傾ける
  2. 一人ではなく複数人で対応する
  3. 理不尽な要求は毅然と断る
  4. 対応方針やマニュアルを全体に共有しておく
  5. 弁護士と連携を取れる環境を作る

まずは患者の話に耳を傾ける

まずは医療従事者が患者の話にしっかり耳を傾けましょう。大切なのは、患者の話を否定したり、途中で遮ったりしないことです。軽率に反論してしまうと、患者との間に深い溝ができてしまいます。

患者が不満に感じている思いを医療従事者がすべて聞き取っていくだけで、患者の怒りは鎮まるケースも多いです。

患者の話を最後まで聞いたうえで、医療機関側に間違いがあり、「理不尽なクレームでない」と判断した場合は、誠実に謝罪をしましょう。

一人ではなく複数人で対応する

モンスターペイシェントに対応する際は、1人だけではなく複数人で対応しましょう。

1人だけで対応すると認識の違いが生じやすく、さらに大きなトラブルに発展する恐れもあります。そのため、複数人で事実関係を正しく把握するのが重要です。

また、患者が暴力行為に及びそうな場合も、複数人いれば未然に防ぎやすくなります。

理不尽な要求は毅然と断る

モンスターペイシェントから不条理な要求があったとしても、医療機関側は毅然とした態度で断るようにしましょう。

モンスターペイシェントの不当な要求に従ってしまうと、さらに要求をヒートアップさせる可能性があります。

患者の気持ちに寄り添う姿勢は見せながらも、断るべき要求は臆することなく断り、特別扱いしないのが重要です。

対応方針やマニュアルを全体に共有しておく

モンスターペイシェントは突如として現れるため、あらかじめ対応方針やマニュアルを全体に共有しておく必要があります。

トラブル発生時の対応フローを確立しておけば、モンスターペイシェントの迷惑行為にも落ち着いて対応しやすくなります。

医療機関に関わるすべてのスタッフにマニュアルを共有するためには、日頃から研修やロールプレイングを行うのも効果的です。

弁護士と連携を取れる環境を作る

医療機関内だけではモンスターペイシェント対応が困難だと判断した場合は、弁護士との連携をおすすめします。

モンスターペイシェントに対して口頭での警告をしても迷惑行為が続くようであれば、弁護士名義による内容証明郵便によって警告をするのも有効です。

また、暴力行為がある場合は、暴行罪や傷害罪として刑事告訴といった法的措置も考えられます。弁護士であれば、必要な法的対応もすべてサポートしてくれます。

あらかじめモンスターペイシェント問題に精通した弁護士を探しておき、トラブル発生時にはスムーズに連携を取れる環境を作っておきましょう。

まとめ:モンスターペイシェントへの対応は事前に確認しよう

黒いスマートフォンを持つ白いボタンアップシャツの男

さまざまな患者と接する医療機関では、モンスターペイシェント関連のトラブルが発生するのは避けられません。

万が一に備えて、対応策を講じてマニュアルを共有し、医療機関内で方針を固めておくのが重要です。

まずは患者の話をしっかり聞き、不当な言動を繰り返すモンスターペイシェントに対しては、毅然とした態度で対応しましょう。