オンライン資格確認等システムの導入はもうお済みでしょうか?
2023年4月より義務化されていますが「オンライン資格確認の方法がよくわからない」「どのように導入したらよいかわからない」と躊躇している方もまだいらっしゃるでしょう。
本記事では、オンライン資格確認等システムの導入メリットやおすすめ端末などの情報を詳しく解説します。
自院のより良い医療提供を目指すためにも、ぜひ参考にして導入を進めてみてください。
この記事の内容
オンライン資格確認等システムとは
オンライン資格確認等システムとは、患者が加入している健康保険証の資格をオンライン上で確認するシステムのことです。
マイナンバーカードで顔認証、または4桁の暗証番号を入力するか、健康保険証の記号番号を使用して本人確認を行います。
オンライン資格確認をするためには、クリニックで顔認証付きカードリーダーを準備する必要があります。
オンライン資格確認の導入は原則義務化に(経過措置あり)
オンライン資格確認の導入は、2023年4月より原則として義務化されています。
その理由は、医療機関や薬局において、患者の保険資格を正確に確認し、医療サービスの質を向上させるためです。
ただし、オンライン資格確認導入の義務化には、一定の経過措置が設けられており、対応が困難な医療機関や薬局は、猶予届出書を提出すれば導入を延期できます。
しかし、導入のための計画をしっかり立て、早期に対応を進めることが望ましいでしょう。
オンライン資格確認等システムの導入率
厚生労働省によると、オンライン資格確認等システムの導入率は以下の通りです。
(2024年9月29日現在)
医療機関分類 | 接続率 (本番接続率) |
参加率 (運用率) |
---|---|---|
病院 | 99.1% | 98.7% |
医科診療所 | 92.9% | 90.9% |
歯科診療所 | 89.0% | 87.6% |
薬局 | 96.9% | 96.2% |
合計 | 93.0% | 91.6% |
参照:オンライン資格確認の都道府県別導入状況について|厚生労働省
医療機関向けポータルサイトアカウントの登録は100%となっており、接続率、参加率共にほとんどの医療機関でオンライン資格確認システムが導入されていると言っていいでしょう。
導入率が増加している背景には、医療機関の効率化や患者満足度向上につながる仕組みである点が評価されていることが挙げられます。
また、国や自治体による助成制度の利用が普及を後押ししており、中小規模のクリニックでも導入が進んでいます。
仮に、オンライン資格確認システムを導入していない場合は、他施設の事例や支援制度を活用しながら準備を進めましょう。
オンライン資格確認等システム導入のメリット
オンライン資格確認等システムの導入にはたくさんのメリットがあります。
ここでは、4つのメリットを解説します。
- 受付業務の負担が減る
- 保険資格過誤によるレセプト返戻を削減できる
- 患者情報を閲覧できる
- 限度額適用認定証と連携できる
受付業務の負担が減る
オンライン資格確認等システムを導入すると、受付時に健康保険証の情報を手動で入力する必要がなくなります。
これにより、受付スタッフの業務負担が大幅に軽減され、入力ミスも防止でき、業務効率が向上します。
保険資格過誤によるレセプト返戻を削減できる
オンライン資格確認等システム導入によって患者の資格情報がオンラインで正確に確認できるため、保険証の資格過誤が発生しにくくなります。
これにより、レセプトの返戻件数が減少し、経理や事務作業の負担が軽減されるでしょう。
患者情報を閲覧できる
オンライン資格確認等システムを導入すると、診療情報や薬剤情報をシステム上で閲覧できるため、より適切な診療が可能になり医療の質が向上します。
災害時には本人確認ができない場合でも特別措置として情報閲覧が可能となり、緊急時の医療体制に大きな安心をもたらします。
限度額適用認定証と連携できる
オンライン資格確認システムを導入すると、患者が高額な医療費を支払う場合に必要だった「限度額適用認定証」の提示が不要になります。
患者が限度額適用認定証情報の利用に同意するだけで、事前に申請・取得する手間がいらないのです。
これにより、患者が一時的に高額な医療費を窓口で支払う必要がなくなるだけでなく、クリニック側でも限度額適用認定証の確認業務が軽減され、業務効率化と患者満足度の向上という二重の効果が期待できます。
オンライン資格確認等システムを導入する際の注意点
オンライン資格確認等システムには、たくさんのメリットがある一方、導入する際にいくつかの注意点があります。
ここでは、オンライン資格確認等システムを導入する際の注意点を3つ解説します。
- 導入・運営コストがかかる
- システムトラブルのリスクがある
- 患者が戸惑う可能性がある
導入・運営コストがかかる
オンライン資格確認等システムの導入には、初期費用とランニングコストが発生します。
顔認証付きカードリーダーや必要なネットワーク設備の購入費用に加え、導入後もシステムのメンテナンスや保守費用などのコストが継続的に必要です。
ただし、国や自治体が提供する助成金を活用することで、導入費用を抑えられます。
助成金制度については、後述する内容を参考にしてください。
システムトラブルのリスクがある
オンライン資格確認等システムは、ネットワーク接続を通じた精密機器を使用して運用されるため、ネットワーク障害やシステムトラブルが生じるリスクは避けられません。
これまでに、顔認証がうまく作動しない、保険資格が正確に確認できないといった事例が報告されています。
こうしたトラブルに備えるため、事前に代替手段や対応フローを準備しておくと良いでしょう。
具体的には、カードリーダーが使えない場合に手動で保険証を確認する手順や、患者の資格情報を再確認する方法をスタッフ間で共有しておくと、スムーズに対応できるでしょう。
患者が戸惑う可能性がある
高齢者やマイナンバーカードを持っていない患者をはじめ、新しいシステムに慣れていない患者にとっては、オンライン資格確認システムが使いにくいと感じる場合もあるでしょう。
たとえば、顔認証付きカードリーダーの操作や暗証番号入力に時間がかかり、受付が滞るケースも考えられます。
このような問題を防ぐため、受付スタッフが患者に丁寧に操作方法を説明したり、オンライン資格確認等システムのメリットを伝えたりする取り組みが必要です。
オンライン資格確認等システムの導入手順
オンライン資格確認等システムの導入はどのように行うのでしょうか。
ここでは、基本的な導入手順をご紹介します。
後述するおすすめ機器を参考に、準備しましょう。
レセコンの改修や必要な端末の準備を完了して初めて運用が可能となるため、余裕をもって対応を進めましょう。
電子証明書はシステム導入日の5営業日前までに受け取れるよう、期限に注意して手続きを進めましょう。
システム事業者が運用テストを実施して正しく動作することを確認します。
その後、医療機関向けポータルサイトにて運用開始日の入力をしましょう。
補助金の申請はのちほど解説しますので参考にしてください。
オンライン資格確認等システムおすすめ5選(顔認証付きカードリーダー)
ここからは、オンライン資格確認を行うための顔認証付きカードリーダーおすすめ5選をご紹介します。
- Sma-pa マイナタッチ
- XC-STFR2JMN
- Caora
- Hi-CARA
- EXC-9000
Sma-pa マイナタッチ
販売会社 | 株式会社 アルメックス |
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本体サイズ(幅×奥行×高さ) | 354mm×170mm×139mm |
画面サイズ | 8インチ |
保守サポート | 18ヶ月間無償保証
(無償保証終了後は月額2,500円にて保証) |
公式HP | 株式会社 アルメックス Sma-pa マイナタッチ |
株式会社アルメックスのマイナタッチは、マイナンバーカードだけでなく紙の公費医療券をはじめとした各種証明書の読み取りも可能です。
再来受付機と連携すれば、受付業務がより効率的になります。
さらに、オプションでミラーモニターを接続すれば、移動することなく患者の操作画面を確認できるため、操作をサポートしやすい点も魅力です。
XC-STFR2JMN
販売会社 | パナソニック コネクト株式会社 |
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本体サイズ(幅×奥行×高さ) | 148mm×145mm×276mm(突起物、付属品を除く) |
画面サイズ | 7インチ |
保守サポート | コールセンター、5年間無償修理保証 |
公式HP | パナソニックコネクト株式会社 XC-STFR2JMN |
パナソニックコネクト株式会社のXC-STFR2JMNは、マスクや眼鏡を着用していたり、車いすを利用したりしていても認証可能な患者思いのカードリーダーです。
ウィーメックス株式会社との連携で、オンライン資格確認とレセコンを1台のPCで実現できるのもうれしいポイント。
パナソニックの顔認証技術は、空港やテーマパークなどさまざまな場所で1日に10万人以上の認証実績があるため、安心して導入できます。
Caora
販売会社 | 富士通Japan 株式会社 |
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本体サイズ(幅×奥行×高さ) | 167mm×230mm×196mm |
画面サイズ | 5インチ |
保守サポート | 導入後5年間の先出しセンドバック修理込み |
公式HP | 富士通Japan 株式会社 Caora |
富士通Japan 株式会社のCaoraは、照明による読み取りエラーを防ぐ洞窟構造になっています。
手元の操作や顔写真の覗き見を防止する画面フィルターを標準添付しているため、セキュリティ面も安心です。
また、PC1台に対し4台まで同時接続が可能なため、PCの導入費を抑えられるのも魅力のひとつです。
Hi-CARA
出典:キャノンマーケティングジャパン株式会社 Hi-CARA
販売会社 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社 |
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本体サイズ(幅×奥行×高さ) | 98mm×175mm×242mm |
画面サイズ | 5インチ |
保守サポート | 5年間の自然故障保証(先出しセンドバック方式) |
公式HP | キャノンマーケティングジャパン株式会社 Hi-CARA |
キャノンマーケティングジャパン株式会社のHi-CARAは、狭いカウンターでも場所を取らないコンパクトサイズが特徴。
操作部が取り外せるため、お年寄りや小さなお子様、車いすをご利用の方までスムーズに認証できます。
また、カード置き忘れ防止機能や、覗き見防止機能が標準装備されており、セキュリティ面も万全です。
EXC-9000
販売会社 | アトラス情報サービス株式会社 |
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本体サイズ(幅×奥行×高さ) | 横向き時:約268mm×約189mm×約356mm 縦向き時:約183mm×約189mm×約397mm |
画面サイズ | 10インチ |
保守サポート | コールセンター、5年間無償保証 |
公式HP | アトラス情報サービス株式会社 EXC-9000 |
アトラス情報サービス株式会社のEXC-9000は、縦横の向きの切り替えが可能で、大きく操作しやすい画面が特徴です。
眼鏡やマスクを着用していても認証可能で、ソフトウェアによる覗き見防止機能も搭載しています。
また、英語・韓国語・中国語にも対応しているため、外国人患者が多いクリニックにおすすめです。
オンライン資格確認等システム導入時に利用できる助成制度
オンライン資格確認等システムの導入を促進するため、医療機関や薬局を対象とした助成制度として、顔認証付きカードリーダーの増設支援が設けられています。
導入コストの負担を軽減するためにも積極的に利用しましょう。
対象となるのは、令和5年10月から令和6年11月までの月間利用件数が500件以上の施設で、増設にかかった費用の1/2が補助されます。
診療所・薬局では1台分最大275,000円、病院では1台275,000円、2台450,000円、3台625,000円の補助が受けられます。
補助金の申請期限は2025年2月1日です。
導入を完了したうえで、期限内に忘れず申請しましょう。
オンライン資格確認等システムに関するQ&A
ここでは、オンライン資格確認システムに関するよくある質問を3つご紹介します。
オンライン資格確認等システムは必ず導入しなければいけませんか?
オンライン資格確認等システムは、2024年4月から原則として義務化されています。
2024年12月には、現行の健康保険証が発行されなくなり、マイナ保険証の利用が増えていくため、オンライン資格確認等のシステムを導入しましょう。
オンライン資格確認等システムを導入したら、患者はマイナンバーカードなしでは受診できないのですか?
健康保険証でも受診できます。
健康保険証を使用する場合、記号番号の入力が必要です。
患者のマイナンバー(12桁の番号)は取り扱いますか?
医療機関や薬局では、患者のマイナンバー(12桁の番号)を直接扱うことはありません。
マイナンバーカードのICチップ内の利用者証明用電子証明書を利用して資格確認が行われます。
まとめ:オンライン資格確認等システムを導入してクリニックの業務効率化を図ろう
オンライン資格確認等システムの導入は、クリニックにとってさまざまなメリットをもたらします。
はじめは、スタッフ・患者ともに戸惑うことがあるかもしれませんが、本記事を参考にして導入を進めてみてください。
オンライン資格確認等システムの導入で業務の効率化を図り、より良い医療サービス提供を目指しましょう。