クリニック開業時、初期の集患対策として有効な「内覧会」。新型コロナウイルス感染症が5類に移行したため、実施を検討されるクリニックも増えています。
病院を開業するにあたって、内覧会の必要性や基本的な進め方などを知りたい方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、そうした方に向けて、病院が内覧会を開催するメリットや準備の流れを解説します。
開催時の注意点についても触れていますので、内覧会を成功させるためにもぜひご覧ください。
この記事の内容
病院の内覧会とは?
内覧会とは正式な開院の前に、地域の人々にクリニックの存在を知ってもらう機会のこと。開業前に地域住民や関係者をクリニックに招き、院内を見学してもらいます。
内覧会を実施すれば、早い段階から自院のアピールができ、クリニック開業時の集患やその後の安定的な運営に役立ちます。
病院が内覧会を実施するメリット5つ
内覧会は、開業前に必ず実施しなければいけないものではありません。一方、病院が内覧会を実施するメリットは多いです。
ここからは、内覧会の実施によって得られる5つのメリットを紹介します。
- 自院を認知してもらえる
- 自院の信頼性を高められる
- 受診のハードルを下げられる
- スタッフとの関係の強化につながる
- 患者の意見やニーズを聞き出せる
自院を認知してもらえる
自院の認知度を高められるのは、内覧会を開催する大きなメリットです。
患者に来院してもらうために、まずはクリニックの存在を知ってもらう必要があります。当然、開院時は自院の存在が地域住民から周知されていない状況がほとんどでしょう。
そこで内覧会をきっかけに、エリア内の人々から高い認知を得られる可能性を高められます。
内覧会は、チラシや広告などとは違って「体験する」行為を含んでいるため、人々の印象に残りやすくなるのもポイントです。
自院の信頼性を高められる
内覧会は自院の存在を知ってもらえるだけでなく、信頼性を高めるのにも効果的です。
内覧会を通じて自院の雰囲気や専門性を確認できれば、参加された方は新しいクリニックの良さを感じ、集患につながる可能性が高まります
医師やスタッフが自ら声をかけ、親身になって話を聞いたり的確に質問に答えたりすれば、来場者により信頼感を抱いてもらいやすくなるでしょう。
受診のハードルを下げられる
受診のハードルを下げられるのも、内覧会を実施するメリットです。
基本的に患者様にとって、病院は気軽に受診できる場所ではありません。初めて受診する際は「医師は怖くないか」「信用できるか」といった気がかりな点が多いです。
患者の立場からすれば、まったく情報がない病院よりも、少しでも雰囲気を知っている病院の方が心理的な安心感があります。
内覧会で事前に院内の様子や医師の人柄を知ってもらい、良い印象を残せれば、受診のハードルを下げる効果が期待できます。
スタッフとの関係の強化につながる
内覧会は、スタッフの関係強化を図るのにも役立ちます。
病院の経営はスタッフとの信頼関係が欠かせません。内覧会の準備や開催のプロセスを通じて、スタッフ間の結束力を高められれば、今後のクリニック経営の追い風となります。
集客のため一丸となってイベントを乗り切れば、スタッフの意識向上にもつながり、良い形で開院を迎えられるでしょう。
患者の意見やニーズを聞き出せる
内覧会は自院をアピールできるだけではなく、患者の意見やニーズを直接聞き出せる貴重な機会です。
院内を案内しながら、来場者の悩みや要望をヒアリングできるので、診療メニューや受付時間、予約システムなどを検討する際の参考になります。
内覧会開催のタイミングで地域の人々のニーズを把握できれば、今後のクリニック経営にもきっと役立つはずです。
病院が内覧会を実施する際の注意点
内覧会実施にはメリットが多い一方、診療科目によっては、内覧会で必ずしも良い効果が得られるとは限りません。
診療科目によっては、周囲の人に知られたくない場合もあるので、内覧会実施の有無を見極める必要があります。
受診の事実を周囲の人に知られたくない「精神科」「美容整形外科」などの場合、たとえクリニックに興味があっても、内覧会の参加に抵抗を感じる方も少なくありません。
仮に知り合い同士が内覧会で鉢合わせた場合、居心地が悪くなり、受診につながらない可能性があります。
このような診療科においては、自院のコンセプトと内覧会実施の目的を照らし合わせて、患者の気持ちに寄り添って実施を検討しましょう。
病院の内覧会開催の流れ7ステップ
ここからは、実際どのような流れで内覧会を実施するのかを7ステップで紹介します。
- 内覧会の日程を決定する
- 内覧会の内容を決定する
- 広告を作成する
- 内覧会の宣伝をする
- スタッフの確保と役割の確認をする
- 実施前の最終確認をする
- 内覧会当日を迎える
それぞれの項目を詳しくみていきましょう。
内覧会の日程を決定する
内覧会の開催が決まったら、まずは日程を調整します。内覧会の開催は、地域の方々が参加しやすい時間に設定しましょう。
地域性や患者層を意識しつつ、開業日直前の土日に設定するのがおすすめです。時間帯は、お昼前後の10時~16時頃であれば参加しやすく人が集まりやすいでしょう。
内覧会の内容を決定する
まずは内覧会の目的を明確にしたうえで、内覧会の内容を決定するのが重要です。
具体的に「最新の院内設備を伝えたいのか」「地域の方々への感謝を示したいのか」など、最終的なゴールを設定します。
目的達成のために何が必要かを考えると、具体的な内容を定めやすくなります。自分だけでは難しいようであれば、コンサルタント業者に依頼するのもひとつの手段です。
病院の内覧会では以下のような内容が代表的なので、参考にしてみてください。
病院の内覧会で実施される主な内容
- 院内の見学
- 設備の紹介
- 医院理念の説明
- 記念品の配布
- 来場者アンケート
- SNSや口コミサイトへの投稿の促進
広告を作成する
内覧会の日程や内容が決まったら、次は広告の作成に入ります。広告には、クリニックの特徴や魅力を簡潔にわかりやすく記載しましょう。
効果的な広告がなければ、内覧会を開催しても人は集まってくれません。地域の人々の目をひき、行きたいと思えるような広告にするのが内覧会を成功させるポイントです。
内覧会の日程やクリニックの情報を載せるだけではなく、人目を引くデザインの広告に仕上げるのも大切です。
内覧会の宣伝をする
積極的な宣伝活動も重要です。宣伝として使える媒体はさまざまですが、ホームページやチラシが代表的です。周辺の企業や店舗に挨拶を兼ねて告知するのもいいでしょう。
宣伝には費用がかかるので、チラシの配布エリアを絞ったり、無料のSNSを活用したりなど、費用対効果の高い施策を実施しましょう。
スタッフの確保と役割の確認をする
内覧会当日にスムーズに対応できるよう人員確保をし、時間配分も考えてスタッフの役割を確認していきましょう。
内覧会当日は院内の案内だけではなく、来場者アンケートやノベルティの配布といった業務も発生します。人手不足になると、うまく進行できません。
通常のスタッフだけでは人員が足りない場合、知り合いや業者などに応援を要請するのも検討しましょう。
実施前の最終確認をする
内覧会開催前日には、クリニック内をきれいに清掃して、当日の役割を再度確認しておきましょう。
受付にはゲストブックや配布資料、ノベルティなど記念品も準備しておくとスムーズに対応できます。
また、当日の天気が雨予報であれば、傘立てやマット、タオルなども準備しておくと好印象です。開催中にトラブルが起こらないように、万全の体制を整えましょう。
内覧会当日を迎える
内覧会当日は、開始1時間前にはスタッフ全員に集合してもらいます。内覧会が始まったら、来場者を歓迎ムードで迎えましょう。
受付手続きが済んだら、院長やスタッフが来場者に付き添って院内を案内しつつ、自院の診療内容や設備について説明します。
来場者からの質問にスタッフが回答できない際は、必ず院長に確認するといったルールを定めておきましょう。真摯に対応すれば、来場者により良い印象を与えられます。
見学後は来場者から感想や要望などを聞き出し、手土産として記念品をプレゼントしましょう。内覧会参加への感謝の言葉も添えると、最後に良い印象を与えられ、集患につながりやすくなります。
まとめ:内覧会は病院の存在を認知してもらう有効な手段
内覧会は、地域の人々に自院の存在を認知してもらう絶好の機会です。
自院の強みや医師・スタッフの人柄をうまく伝えられれば、開院後スムーズに患者を集めやすくなり、安定した経営につながります。
クリニックが快調なスタートダッシュを切る上で、内覧会は重要な役割を果たしますので、本記事を参考にしながら入念に準備を進めていきましょう。