エステサロンを探しているお客様にとって、広告やチラシは検討材料の一つです。
どのサロンにおいても、良いことばかりを記載して集客を図りたいと考えるでしょう。
しかし、エステサロンでは規制される表現があり、違反すると罰則が与えられるので注意が必要です。
この記事ではエステサロンの広告規制について解説します。おすすめな集客方法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容
エステサロンの広告表現に注意が必要な理由
エステサロンの広告で表現に注意が必要な理由は、「エステサロンが医療施設ではない」ためです。
まるで医療を施しているような表現をして、お客様が勘違いしないように配慮しなければいけません。
またエステサロンに限らず、商品やサービスを売る際に誇大表現で騙したり勘違いさせて消費者が不利益を被るケースがあります。
以降で紹介する広告を理解し、指摘されないよう安全にエステサロンの広告運用をしていきましょう。
エステサロンにおける5つの広告規制
悪質な業者の誇大広告から消費者を守るため、下記のような法律が存在します。
- 薬機法
- 医師法
- 景品表示法
- あはき法
これらの法律は商品やサービスを販売する全ての企業に当てはまります。もちろんエステサロンの広告にも関係しているので、しっかり確認しておきましょう。
それぞれの法律の内容を一つずつ解説します。
薬機法
旧薬事法である「薬機法」は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」のことです。
化粧品や医薬品などの安全性と品質を保つ目的で定められ、対象となるのは以下の項目になります。
- 医薬品
- 医薬部外品
- 化粧品
- 医療機器
- 再生医療等製品
医療機器も対象です。そのため、医療施設ではないエステサロンで医療行為を行っているような表現があると薬機法違反となります。
またエステサロンの多くは、化粧品や医薬部外品の取り扱いがあるため、商品紹介にも気を付けなければいけません。
主に次の表現には注意しましょう。
- 効果に根拠がない表現
- 医薬品や医療機器が使われているかのような表現
例えば「10分の施術で小顔が実現」「しわが20分でなかったことに」のように、1度の施術で効果を感じられるのは難しいでしょう。
エステサロンのほとんどは何度も行うことで効果がみられるものなので、上記のような表現は薬機法に抵触する可能性があります。
加えて、医薬品や医療機器は医療従事者しか扱えません。そのため、エステサロンで取り扱っているような表現はNGです。
「脂肪排出・分解作用」「細胞の若返り効果」など、医学的にできない表現にも気を付けましょう。
医師法
「医師法」は医師の免許や業務、医師以外の医業を禁止する法律です。
厚生労働省「医師法」第17条に定められているように、エステサロンでは「医師以外の医業の禁止」が関係します。
第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
引用:医師法
エステサロンの表現として、以下の文言に配慮が必要です。
- 治療
- 治る
- 矯正
- 診断
- 効く
- 医学的
また「医業」の内容には「レーザー脱毛」「ピーリング」「タトゥ―」などが含まれています。医師以外が、こうした行為を行うと違法になることを知っておかなければいけません。
同時に、エステサロンの広告にレーザー脱毛やピーリングなどができるような表現があると、法律に触れてしまうため注意しましょう。
景品表示法
景品表示法は省略して「景表法」とも呼ばれます。
主に「不当な広告表示」「過大な景品の提供」を禁止しており、主な規制として下記の2つがあげられます。
- 優良誤認表示
- 有利誤認表示
それぞれの表示規制を、例を挙げながら解説していきましょう。
優良誤認表示
「優良誤認表示」とは「実際の商品より優れているかのような表示」や「競合他社の商品よりも著しく良品であるような表示」を指します。
例えば、加工が施されたビフォー・アフター写真だと現実以上に優れているように見せかけているため違反となります。
また「業界最新マシンでの施術」と謳ってしまうと、業界最新を根拠を持って立証できなければ「誇大広告」です。
実は優良誤認表示には「不実証広告規制」というものがあり、実際に優良商品だったり最強マシンであることが証明できれば罪とはなりません。
ただし、消費者庁が事実資料の提出を求めてから15日以内に提出できなければ優良誤認表示違反となります。
「最上級」や「業界最強(最安・初)」、数値などを使用した表現は、事実だと証明したうえで使用するよう注意してください。
有利誤認表示
「有利誤認表示」は「実際よりも有利のように見せかける表示」や「競合他社よりも有利であるかのように見せかけた表示」のことです。
例を挙げると「繰り返し行われている期間限定キャンペーン」は、実際に期間限定ではないため、「有利のように見せかけている」に該当する可能性があります。
その他、返金保証広告にも注意が必要です。
広告では無料で返金ができるように記載されていても、実際には利用規約や契約書で次のような条件が設けられていると景品表示法の「有利誤認表示」にあたることがあります。
- 〇日以内の連絡に限る
- 会社が承認した場合のみ など
返金保証広告では有名な企業も指摘を受け、会則を変更するなどで対応しています。
条件がある場合にはしっかり明記するなど、違反にならないよう配慮しましょう。
あはき法
あはき法は「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゆう師」それぞれの頭文字を取って呼ばれており、各職業に関する法律です
資格取得や施術の基準、宣伝広告の規制が定められています。
「あはき法」で注意するのは下記の事項です。
- 過度な表現の禁止
- 医療行為との区別
- 資格の明示
中でも気を付けておきたいのが「資格の明示」です。
「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゆう師」は医療従事者には当たりませんが、国家資格保持者です。
マッサージ施術は「あん摩マッサージ指圧師」しか行うことができないため、エステサロンで「マッサージ」という表現はできません。
マッサージという表現を使用するためには、あん摩マッサージ指圧師資格保持者をきちんと表記しておかなければいけないわけです。
資格保持者不在の場合には「マッサージ」を避け、「リラクゼーション」や「トリートメント」などの言葉を使用しましょう。
エステサロンの広告表現に違反すると罰金のケースも
広告規制違反をすると、それぞれ以下の罰則が科せられます。
違反内容 | 罰則 | |
---|---|---|
薬機法 | 無許可製造、販売 | 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方 |
広告表示違反 | 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、あるいはその両方 | |
医師法 | 医師以外の者の医業 | 3年以下の懲役若しく100万円以下の罰金、あるいはその両方 |
景品表示法 | 不当表示 | 2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又はこれの併科 |
あはき法 | 無資格・無届の医業類似行為 | 50万以下の罰金 |
参照:
「薬機法」医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
「医師法」「医行為」について
「景品表示法」医薬品医療機器等法に係る医薬品広告の規制と適正使用に関する注意喚起について
「あはき法」あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律
薬機法は2021年より課徴金制度が導入されました。度重なる違法行為が改善されないことを鑑みた見直しです。
また、あはき法に関しても規制の拡大改正が決まっており、違反した際の罰則がさらに重くなるでしょう。そのため、エステサロンの広告の表現は、今まで以上に注意すべきです。
エステサロンの広告手法・集客方法おすすめ8選
これまでの注意点を押さえてエステサロンの集客を行いましょう。
おすすめな方法は8つあります。
- ホームページの運営
- SNS運用
- SNS広告
- Web
- 広告交通広告
- ポスティング・チラシ
- ポータルサイトへの掲載
- GoogleビジネスプロフィールによるMEO対策
インターネットやチラシなど、多くの方法を駆使して店舗を知ってもらいましょう。
それぞれの方法を一つずつ解説していきます。
ホームページの運営
自身のクリニックを知ってもらうためにも、ホームページの作成を行いましょう。ただし、何の対策もなく作っても誰もクリックしないのでは意味がありません。
そのため、SEO対策が重要です。
SEO対策とは、Googleの検索エンジンでの検索結果で目立つ場所にホームページを表示させて、サイトへのアクセス数を増やす対策のことです。
SEO対策のメリットとして、次のことがあげられます。
- 広告費が無料
- 集客につながりやすい
- 長期的な集客ができる
- 信頼度が上がる
SEO対策は、自院で対策するなら無料から行えます。広告費がかからないため、すぐにでもできる対策です。
主に、コンテンツ制作と内部対策、外部対策の3つの軸で施策を行っていきます。
SNS運用
SNS運用は、SNSを活用した無料で運用できる手法です。
SNSには多くの種類があり、ユーザー層も異なります。
SNSの種類 | ユーザー層 |
---|---|
・10代~30代、6割が女性 ・40代以降に拡大中 ・物販向き |
|
X(旧Twitter) | ・10代~50代 ・年齢層は幅広い ・拡散力が高い |
・30代以降、社会人 ・年齢層が高め ・物販向き |
|
LINE | ・若年層から年配まで幅広い ・アクティブユーザーが多い ・国内利用者が多い |
Tiktok | ・10代~30代の利用者が多い |
YouTube | ・若年層から年配まで幅広い |
InstagramやX(旧Twitter)、Facebook、LINEは、国内4大SNSと言われています。利用者が多く、宣伝効果も高いと考えられます。
SNSではクリックやいいね、コメントなどで、ユーザーの反応を確認できます。その反応を見ながらデザインやメッセージの変更を行い、調整ができるのはメリットです。
また多くの共感がもらえると、拡散効果も得られるでしょう。
ただし反応がある分、炎上にも注意が必要です。不快に感じる内容や拡散狙いの過度の表現に配慮しましょう。
SNS広告
「SNS広告」は、広い意味ではSNS運用の中の一つです。「SNS広告運用」とも呼ばれ、InstagramやFacebook、X(旧Twitter)などのSNSで表示される広告を指します。
「SNSアカウント運用」との違いは、「SNS広告」は有料であるということです。広告を掲載する費用がかかるため注意しましょう。
有料でもSNS広告は、掲載すると集客アップが期待できます。
SNS広告のメリットは次のようなものです。
- 興味があるユーザーを狙って広告が出せる
- 自然な形で目に入る
- 拡散効果が期待できる
SNS広告の最も大きな利点は、「興味があるユーザーを狙って広告が出せる」ことでしょう。
それぞれのSNSには、ユーザーの動きがデータとして残っています。これらのデータを有効活用して、関心があるユーザーに向けての広告掲載が可能です。
またSNS広告は「インフィード広告」として、自然な形で投稿の間に設置されます。そのため違和感なく目に入り、読んでもらいやすくなります。
さらにSNSの大きな特徴である「拡散」は、SNS広告でも効果を発揮します。広告内容に対して共感を持った人に拡散をしてもらえれば、さらに幅広い人へ届けられます。
Web広告
Web広告には「リスティング広告」と「ディスプレイ広告」があります。
この2つには、それぞれ違いがあります。
- リスティング広告…検索結果画面にテキストで表示される
- ディスプレイ広告…さまざまなWebサイトやアプリに画像や動画、テキストで表示される
「リスティング広告」は「検索連動型広告」とも呼ばれ、GoogleやYahoo!で検索をかけた後の結果ページに表示されます。
検索結果の上部に表示され、サイトのタイトル左上に「広告」や「スポンサー」と記載されます。目につきやすいのが魅力です。
一方ディスプレイ広告は、さまざまなWebサイトやアプリ上に表示される広告です。バナー形式で現れることが多く、「バナー広告」とも呼ばれます。
配信面ではディスプレイ広告の方が多く、サイトやアプリで配信されるため、よりたくさんの人に見てもらえるでしょう。
さらにディスプレイ広告では、テキストだけでなく動画や画像が使えるため、視覚的に目立ち分かりやすい広告になります。
交通広告
「交通広告」とは、電車やバス、タクシーなどの公共の交通機関に配置される広告です。車内や駅、バスターミナルの構内に貼られている広告などが「交通広告」となります。
公共の交通機関にはほかにも「新幹線」や「空港」があります。新幹線では日本国内、空港なら海外へと広告を打ち出せるでしょう。
認知拡大に効果的な交通広告にはこれらの特徴があります。
- ターゲットが絞りやすい
- 信頼感がある
- 記憶に残りやすい
交通広告は、不特定多数の利用ながらもターゲットが絞りやすいといった特徴があります。
ファッション街に隣接する駅だと美容関係に興味がある層の利用者が多いと考えられ、それらを考慮すると交通広告のターゲティングは可能です。
さらに、公共交通機関に掲載されているだけで信頼感があります。
交通広告の大きなメリットは「記憶に残りやすい」ことです。公共交通機関を利用すれば強制的に目に入り、自然と記憶に残ります。
長期的な集客には必要な要素です。
交通広告はどれくらいのユーザーが利用して集客に結び付いたかなどの計測は難しいといったデメリットがありますが、認知には効果的な媒体です。
地元に密着した広告掲載もできるため、交通広告は便利な方法だといえるでしょう。
ポスティング・チラシ
ポスティングやチラシはユーザーが無料で手にしやすく、目につきやすいといった特徴があります。
地元にも密着しており、新規オープン店舗やキャンペーン期間中を打ち出すには適した方法でしょう。特典が付けやすいのもメリットです。
地元に密着した広告としては、ほかにもフリーペーパーがあります。
フリーペーパーは、ターゲットやテーマを明確にして作成します。そのため、特定の客層が狙いやすく、ターゲットが絞りやすいのも広告としては効果的でしょう。
一方で「次の配布まで期間が空く」「決まった情報量しか載せられない」といったデメリットがあります。
他にも競合他社と横並びで記載されるため、目立たないといった弱点もみられます。
差別化するためにも、割引やクーポンの使用などで魅力的な広告作りが重要です。
ポータルサイトへの掲載
「ポータルサイト」とは、さまざまな企業の基本的な情報が掲載されたサイトのことです。
エステサロンにもポータルサイトがあります。サロンの検索と同時に利用者の口コミや予約など、ユーザーにとって便利に作られています。
- ホットペッパービューティー
- 楽天ビューティ
- EPARKリラク&エステなど
サロンを検索する際、このようなポータルサイトを使用する人は多いでしょう。
そのため、多くの人の目に触れやすく他サロンとの比較ができるポータルサイトは、新規顧客導入につながりやすいといえます。
一方で「割引目当ての顧客が集まりやすい」といったデメリットがみられます。
他サロンとの比較ができるポータルサイトでは、クーポンなどの割引制度で競合対策を行うケースが主です。
一回限りの来店にならないよう、リピートされるような施策を打ち出していきましょう。
GoogleビジネスプロフィールによるMEO対策
「Googleビジネスプロフィール」は、企業や店舗をGoogleマップ上に表示させる無料ツールです。このGoogleビジネスプロフィールを利用した実店舗のエリア対策を「MEO対策」といいます。
MEO対策は「Googleマップの検索結果で上位表示される施策」のことです。
MEO対策を行うメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 興味があるユーザーにアプローチできる
- 視野に入りやすい
Googleマップを利用する人は「このお店が気になる」「駅から近いお店に行きたい」など目的が明らかです。
MEO対策では、対象のユーザーに対して確実にアプローチができます。
また、Googleマップの検索結果の目につくところに表示されるため、視野に入りやすいのも魅力です。特に興味を持って検索しているため、集客にもつながりやすいといえます。
そのためにも、Googleビジネスプロフィールには正しい情報を載せることが大切です。
説明文や写真なども充実させておきましょう。
まとめ:エステサロンは法律に遵守して広告運用しよう
エステサロンの広告には、5つの広告規制に注意する必要があります。誤解を生むような言葉や誇大表現には注意しましょう。
日本には消費者を守るための法律があり、違反すると罰金のリスクがあります。
しっかりと広告規制を確認しながら、さまざまな方法で集客を行うことが重要です。