「開業医はどのような悩みを持っているの?」「開業医は悩みが多いってホント?」と、気になっている方はいませんか?
開業医は成功すると稼げる職業ですが、多くのスキルや知識が求められる職業です。
また、近年は休廃業に追い込まれるクリニックが増加傾向にあり、悩みを持ちながら経営している開業医もいます。
そこで本記事では、成功しやすい開業医の特徴や近年の動向について徹底的に解説します。開業医に興味を持っている方はぜひ参考にしてください。
この記事の内容
開業医・クリニック経営者の悩みで圧倒的に多いのは「集患ができない」
クリニック・医院を経営する多くの医師は、「集患ができない」ことについて悩みを抱えているようです。
株式会社ギミックが351人の開業医を対象に実施した調査によると、集患に悩んでいる開業医が41.0%もいるようで、半数近くが患者不足を嘆いています。
また、日本医師会の「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」によると、開業医の54.4%が開業後のほうがストレスを感じると回答しています。
多くの開業医が集患などに対してストレスを感じており、ストレスフリーで経営できる開業医は一握りなのでしょう。
どれほど高度な医療を提供している施設でも、集患ができなければ経営がうまくいきません。
医師になるための学習の中で集患を学ぶことはないので、基礎的な知識を持っている方が少ないのも集患に対して悩む開業医が多い原因の一つです。
集患にはインターネットやマーケティングのスキルが求められるうえに、地域との密接なつながりも必要とされます。医療以外のスキルが求められる集患を成功させることが、悩みなく医療施設を経営するためのポイントです。
【その他】開業医・クリニック経営者に多い悩みとは?
ここからは開業医に多い集患以外の悩みについて解説します。
- 良い口コミが増えない
- スタッフが定着しない
- 予想より多く経費が掛かる
- 業務が多すぎる
- 委託先との関係性が良くない
- 機材トラブルが多い
- 技術の進歩(IT化)についていけない
- 休みが取れない・家族との時間が少ない
効果的な解決策を見つけるために、悩みごとの特徴を把握しておきましょう。
良い口コミが増えない
医療施設の集患アップには口コミが重要です。
新たな患者に施設を利用するイメージを持ってもらうために、良い口コミを増やしたいところでしょう。
しかし当然ながら、口コミは自身で増やすことができないので、良い口コミを意図的に増やすのは至難の業です。患者の満足度を上げるのが重要で、医療への信頼やスタッフの対応がカギを握ります。
また、SNSへのコメントが口コミになるケースもあるので、投稿頻度を上げるのも有効です。
スタッフが定着しない
スタッフが定着しないのは多くの医療施設が抱える悩みです。
株式会社ギミックが351人の開業医を対象に実施した調査によると、スタッフに関する悩みを持っている施設が非常に多いことが分かります。
- スタッフ採用に関する悩み:67.4%
- スタッフマネジメント:44.7%
- スタッフとのコミュニケーション:30.8%
上記を見て分かるとおり、スタッフに関する悩みがない医療施設は多いです。
「せっかく教育したのにすぐやめてしまった」「スタッフ間でのトラブルが後を絶たない」など、深刻な悩みをもつ施設が非常に多いようです。
医療施設だけでなく、多くの企業でスタッフの定着率は嘆かれている悩みで、解決すれば効率の良い経営が見込めます。
スタッフの定着率を上げるにはコミュニケーションを取るのが大切といわれており、月1回の1on1を実施するなど、積極的に向き合う場を作ってみるといいでしょう。
また、職場環境の改善もスタッフの定着に有効です。
スタッフの意見を汲み取り、働きやすい職場を心掛けてみましょう。
予想より多く経費が掛かる
医療施設を経営し始めると、当初の想定より多くの経費がかかる場合があります。
たとえば、予想より多くのスタッフを雇う必要に迫られたり、広告宣伝費の追加予算が必要になるなど、経営には想定外がつきものです。必要経費に関しては捻出するしか解決策がありません。
上記のような悩みを抱えないためには、開業前に余裕を持った財政計画を立てておくべきです。また、税理士や同業者に相談するなど、具体的なイメージをもって計画を立てるのも有効でしょう。
業務が多すぎる
日本医師会の「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」によると、勤務医時代に比べての労働環境について、以下のような調査結果が報告されています。
- かなり過重|20.4%
- やや過重|21.2%
- 同じくらい|17.5%
- やや軽減|18.8%
- かなり軽減|16.8%
- どちらともいえない|5.2%
上記の結果を見てみると、約40%の開業医が勤務医時代よりも労働量が多いと回答しています。ただし35.6%は労働が軽減されていると答えており、働き方次第で解決できる悩みであるのが分かります。
たとえば簡単な業務をスタッフに任せたり、インターネットマーケティングを外注するなど、自身のリソースを確保できる施策を実施するのもいいでしょう。
リソースを確保すれば経営者にしかできない業務(戦略立案や新規医療の開拓など)に時間を使えるので、結果的に施設の発展につながるはずです。
委託先との関係性が良くない
施設の経営に携わる委託先との関係性が悪い開業医も多いようです。
たとえば税理士や社労士など、業務の外注先との関係性が悪いとスムーズな経営に支障をきたします。
業務の外注先は専門的な仕事を任せられる反面、お互いの業務に対する信頼関係も不可欠です。信頼関係を築けなければ業務に対する不信感にもつながり、関係が悪化する原因になります。
外注先と信頼関係を築くためには、適度なコミュニケーションを心掛けてみてください。
機材トラブルが多い
医療施設には多くの医療機器を設置しており、機材トラブルが悩みの種になることもあります。医療機器のトラブルは業務に大きくかかわるので、万が一故障してしまうと治療ができなくなるかもしれません。
機材トラブルを避けるには日々のメンテナンスや医療器位メーカーとの連携が大切です。
たとえば、機材が故障した際に迅速に対応してもらえる関係を作っておけば、被害を最小限に抑えられます。
また、慢性的に故障が多い機材に関しては、買い替えるのも一つの手段でしょう。
技術の進歩(IT化)についていけない
近年は、医療のIT化が進んでおり、技術の進歩についていけない医師も多いようです。たとえば、電子カルテやレセプトコンピューターを使いこなせなければ、医療施設の運営に支障をきたします。
また、インターネット戦略(ホームページやSNSなど)に関しても集患においてはきわめて重要です。
ただし、インターネット戦略はできなくても医療行為には支障をきたさないので、集患に満足している場合は無理して取り入れる必要はありません。
さらに、取り入れたいけど知識が乏しいという方は、インターネット戦略を外注するのも一つの手段です。SNS運用代行やホームページ制作管理会社を活用するのもいいでしょう。
休みが取れない・家族との時間が少ない
先ほどもお伝えしたように、業務が多すぎて過重労働になりがちな開業医は一定数存在します。過重労働気味の開業医は、休みが取れず家族との時間が作れない方も多いでしょう。
プライベートな時間を確保するためには、開業医自身の労働環境を改善する必要があります。
たとえば、営業時間や休館日を調整するのも手段の一つです。
「患者のために休館日を増やしたくない」という思いの方もいるでしょうが、自身が働けなくなってしまっては意味がありません。
長く続けるためにも、自身のプライベートな時間を確保できるように工夫しましょう。
開業医・クリニック経営者の悩みを解決する方法
ここからは、開業医・クリニック経営者が悩みを解決するための具体的な方法を紹介します。
- 業務の効率化を計る
- 戦略性を持って組織を作る
- インターネット戦略を取り入れる
- クリニックの理念を明確に定める
- 経営状況を把握する
- 患者の意見を取り入れる
悩みを減らして健全な運営を続けるために、ぜひ参考にしてください。
業務の効率化を計る
医療施設で業務の効率化を計ると、以下のような効果が得られます。
- スタッフ・開業医自身の負担が減る
- 新しい施策を試しやすくなる
上記のような効果が得られると、さらに多くの問題解決につながります。
たとえば、開業医自身の負担が減るとスタッフのコミュニケーションを取る時間が生まれ、離職率の低下やスタッフ教育の強化につながるでしょう。
開業医自身の時間的余裕も生まれるので、疲労の軽減やプライベートな時間を確保できます。
さらに、効率化により確保した時間で新しい施策を試せるので、施設のIT化やマーケティング戦略にチャレンジしやすくなるでしょう。
業務を効率化するだけで複数の悩みを解決できるので、ぜひ積極的に試してみてください。
戦略性を持って組織を作る
クリニックの悩みを解決するためには、戦略に沿った組織の構築が効果的です。
たとえば業務の負担を軽減するのであれば、スタッフの人数に関する戦略を再構築してみましょう。
また、業務委託先との関係性が悪いのであれば、経理の資格を持った事務員を雇って、税務を依頼しなくても良いしくみを作るのも有効です。
インターネット戦略を取り入れる
インターネット戦略を取り入れれば、集患に関する悩みを解決できます。
たとえば「開業医・クリニック経営者の悩みを解決!集患を増やす方法」で解説しているように、現代の集患にはインターネット戦略が不可欠です。
裏を返せば、インターネット戦略を使いこなせば集患にしやすくなるので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
クリニックの理念を明確に定める
クリニックの理念を明確に定めれば、スタッフ教育に一貫性が生まれます。一貫性があり効率の良いスタッフ教育ができれば、退職率の低下や対応力の向上が見込めるので、安定した施設運営が期待できます。
さらに、患者が施設の特徴を理解しやすくなるので、良い口コミの増加や患者からの信頼度アップにつながるはずです。
経営状況を把握する
経営状況を把握すると、現状の問題点を客観的に捉えられるようになります。
問題点を客観的に把握することで解決策の構築に役立つので、運営に悩みを抱える開業医の方は、まず経営状況の把握に務めてみましょう。
特に、予算に関する問題点を明確にできるので、資金的な問題を抱えている施設はぜひトライしてみてください。
患者の意見を取り入れる
患者の意見を取り入れることで、信頼の獲得や地域から信頼される施設づくりができます。
たとえば、口コミを真摯にとらえたり施設内でアンケートを実施するなど、できるだけ多くの患者から意見を引き出してみましょう。
また、悪い意見から目をそらさないのも重要です。
患者からの信頼を得られる施設を作るには悪い意見こそ重要ですので、積極的に問題点の解決に努めてみてください。
開業医の悩みに関するよくある質問
最後は、開業医の悩みに関するよくある質問に回答します。
開業医は儲からない?
開業医は平均年収が約2,807万円※と非常に高いので儲かりやすい仕事です。
開業に失敗するリスクはありますが、成功すれば1億円以上稼いでいる開業医も多くいます。
※ 引用元:厚生労働省「第23回医療経済実態調査」
開業医になるにはどうしたらいいの?
以下の9ステップを実践すれば開業医になれます。
- 勤務医として医師の経験を積む
- 開業資金を貯める
- 開業する施設の理念や医療方針を決める
- 開業資金を調達する
- 物件を探す
- 医療機器を準備する
- スタッフを雇用する
- 集患のための戦略を実践する
- 各種手続きを行い開業する
開業するためには上記以外にも、経営やマーケティングに関する知識を身につけておく必要があります。
さらに医師としての知識やスキルも必要不可欠なので、医師になってすぐに行動を始めるのは現実的ではありません。
医師として10年以上の経験を積んでから開業するケースが多いので、じっくり時間をかけて開業医を目指すのがおすすめです。
開業医の妻も悩みが多い?
開業医の妻は、以下のような悩みを持っているそうです。
- 家事を手伝ってもらえない
- 子育てを手伝ってもらえない
- 支出が多い
- 友人から嫉妬されやすい
- 開業医の妻としての振る舞いを求められる
開業医が多忙だからこそ、妻も多くの悩みを抱えています。
開業医は悩みが多いけど成功率が高く稼げる職業
開業医は成功率が高く稼ぎやすい職種ですが、近年は休廃業に追い込まれる施設も珍しくありません。
また、インターネットでの集患が必須となっており、ついていけない方もいるでしょう。
さらに、施設の運営に関する悩みを持つ開業医も多く、稼げる分苦労が多い職業であるのが分かります。
ただし、成功すれば数千万円稼げる開業医も多く、夢がある職業です。
開業にはリスクがつきものですが、興味がある方はぜひチャレンジしてみてくださいね。