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医療機関でのRFID活用事例と導入するメリットをわかりやすく解説

医療機関において医薬品や医療機器の管理方法にはいくつもの課題があります。
また、医療従事者の激務による業務のひっ迫、残業時間の増加など、従業員の管理においても様々な課題がある中で、今回ご紹介するRFIDを導入すればそれらの課題を解決することができるかもしれません。
本記事ではRFIDについての基礎知識、活用事例やRFIDを提供しているおすすめ企業についてわかりやすく解説します。

RFIDとは?

RFID

RFID(アールエフアイディ)とは、「Radio Frequency Identification」の略で、専用のタグやラベル、カードなどに人やモノの個別情報を記憶させ、無線通信によって読み取る自動認識システムのことです。

専用のタグは「RFIDタグ」と呼ばれ、RFIDタグを「RFIDリーダライタ」という端末で読み取って情報の書き込みを行うという構成になります。
RFIDタグはRFタグ、ICタグとも呼ばれ、RFIDリーダライタはRFIDリーダ、リーダとも呼ばれます。

電波を用いて非接触でRFIDタグを一括で読み取ることが出来るというのが最大の特徴で、身近な例を挙げると、ユニクロのセルフレジがあり、カゴを奥だけで商品がスキャンされて自動的に合計金額が表示されるというものがあります。

RFIDを取り入れる企業は増えていて、製造業や運輸業、そして医療機関でも普及しつつあります。

医療機関での医薬品、医療機器の管理の課題

医療機関では医薬品、医療機器のそれぞれに管理方法の課題があります。
具体的に課題の事例を紹介します。

医薬品の課題

医薬品は患者が正しいタイミングで使用できるように適正な量を処方する必要があり、そのためには在庫数や使用量、薬品の品質を適切に管理しなければなりません。
医療用麻薬や毒薬といった規制医薬品はより厳重に管理が必要です。

医薬品によって用法や容量、保管上の注意点は異なりますし、多くの医薬品を扱う医療機関ではより管理が大変で、手間や時間がかかるという点が大きな課題です。

医療機器の課題

手術で使用する機器は感染などの被害を防ぐために、使用履歴、使用回数、有効期限などを管理する必要があります。

医療機器の管理をバーコードや二次元コードで行っている場合、一つひとつ手作業で読み取ることとなり、確認漏れが起こる恐れがありますし、単純に時間がかかるため業務効率が悪くなるというデメリットも抱えています。

医薬品の管理においても、医療機器の管理においても、どちらにも言えますが、手間と時間がかかれば他の業務を圧迫する可能性があり、その影響で人件費が多くかかったり経営悪化につながります

RFIDを導入するメリット

RFIDを導入するメリットは、主に以下の4点です。

  1. 業務の効率化とコストカット
  2. 医療機器の稼働率を把握できる
  3. 投与の管理がしやすい
  4. 偽造の防止

業務の効率化とコストカット

業務効率化とコストカットが実現できるのがRFIDの強みです。

検品作業は手作業だと負担が大きいですし、記録漏れなどのミスにもつながる場合があります。
RFIDを利用すれば、RFIDタグを取り付けてRFIDリーダーで読み取るだけでいいのでスピーディかつ正確に業務を進められます。

医療機器の稼働率を把握できる

RFIDならデータを読み取ることで、医療機器の使用状況や稼働率を把握できます
稼働率を把握していると、医療機器の有効期限や使用回数の間違いを防ぐことができ、効率的な運用が可能になります。

消耗品の管理にも使えて、RFIDタグを取り付けておけば使用後にシステムで読み取ってステータスを管理という使い方もできます。

投与の管理がしやすい

患者に薬を投与する際は、絶対に間違いがあってはいけません。
薬の種類や量、投与するタイミングを正しく確認する必要があり、バーコードを使って一つひとつ確認して行く方法では手間も時間もかかります。
さらに、細心の注意を払って確認を行うため、看護師をはじめとする医療従事者は心身ともに負担が大きくなります。

RFIDならこういった心理的なストレスや手間を減らすことができます

RFIDタグを薬剤と患者のリストバンドなどに取り付けて、読み取りする方法のほか、RFIDタグをボトルやカプセル錠などに埋め込んでおくと、遠隔で患者が薬を服用したかを管理できます。

このように、誤飲や飲み忘れの防止に役立ち、管理がしやすくなります。

偽造の防止

RFIDは偽造医薬品の流通を防止するのにも役立っており、医薬品の箱やボトルにRFIDを搭載し、偽造を抑制しています。

不良品があった場合にもトレースバックが実施でき、影響のありそうなロットの特定が容易です。

医療機関におけるRFIDの活用事例

それでは、実際に医療機関においてRFIDはどのように活用されているのか、具体例を紹介します。

受診者管理

患者(受信者)が検診の際に、病院内でどういった状況なのかを画面上で管理します。

虎の門病院付属健康管理センターでは人間ドックの検査で待ち時間を作らない、並ばないでいいといったスムーズな検診を実現しています。

受信者が快適に受診できるのはもちろん、受信者を案内する職員の方も負担が軽減され、さらに受信者を増やすこともできたという、多くのメリットを生んでいます。

参照:導入事例 / 医療 虎の門病院付属健康管理センター・画像診断センター様

検体管理

医薬品・検体の管理用に超低温タグを活用する例もあります。

試験官にタグを内蔵、バイアル(容器)にはシールタイプのタグを取り付けるなどをし、試験官やバイアルが収納された状態で、液体が入っていても一括で読み取り可能です。

液体窒素で長期保存をしていても、RFIDによって管理が容易なため先々の期限や、在庫数などを間違えることがありません。

こちらはSALVAのホームページで大学医学部における導入実績が紹介されています。

参照:導入事例|医薬品・検体管理用超低温タグ(導入実績:大学医学部様)

医療材料/手術材料管理

目視による棚卸作業やバーコードでの検品、医療材料毎に別々の保管場所を決めるなどの作業方法では膨大な時間がかかってしまいます。
小西医療器株式会社ではRFIDを取り入れて、これらの作業の煩雑さを解消し、棚卸作業のレス化、ピッキング作業の効率化、一括検品を実現しました。

参照:導入事例 / 医療 小西医療器株式会社様

また、亀田総合病院では年間約1.5万件の手術が行われ、手術に使われる医療材料の用意も事前にする必要があります。
手術が始まってから医療材料に間違いがあったとなると大混乱を招くため、ミスは許されません。
間違いや欠品の防止のため、RFIDによる医療材料管理を導入したところ、ミスの防止はもちろん、作業時間は従来の20分の1まで削減することに成功しました。

参照:亀田総合病院様/医療材料管理

済生会滋賀県病院でも2019年の実績として年間5,446件の手術が実施されており、膨大な手術件数に対応できるよう改善に取り組まれていました。
手術材料等の記録伝票作成は看護師によって手作業で行われていましたが、非効率的だということで、RFIDを導入、ダストボックスにセンサーを取り付け、材料を捨てるだけで自動で記録が可能となりました。

工数の削減や管理負担の軽減に成功しています。

参照:導入事例 / 医療 社会福祉法人 恩賜財団 済生会滋賀県病院様

このように、取り扱う医療材料の数や種類が多い場合や、従業員のスキル不足、人手不足などを課題としている場合には、RFIDの導入によって課題を解消できます。

ME機器管理

ME機器(医用工学機器)を使用するたびに取りに行くというのは業務負担が大きくなってしまいます。
RFIDを導入すれば使用状況をリアルタイムで確認できるため、機器管理の精度向上が期待できます。
聖路加国際病院では必要なときに必要な数量をしっかり確保できるようになり、看護師の負担軽減が実現したといいます。

参照:導入事例 / 医療 聖路加国際病院様

患者照合

RFIDリストバンドを使用して入院患者の照合をすることも可能です。
スキャナを患者の手首に近づけて読み取りを行いますが、この時ベッドから腕を出してもらったりする必要はなく、就寝中の患者や、身動きが取れない重病患者でも照合が楽に行えます。
こういった重病患者に体勢を動かしてもらったり、夜間にバーコードスキャナを発光させたりすると患者の気分を害することにもなる場合もあるため、看護師、患者双方の心身のストレスが軽減されます。

参照:RFIDをご存じですか? バーコードとの違いと医療機関での利用シーンを解説

医療・医薬向けRFIDソリューションを提供しているおすすめ企業

ここからは、医療・医薬向けのRFIDソリューションを提供しているおすすめの企業を8社紹介します。

表の下に各製品の紹介を記載していますのであわせてご覧ください。(表の製品名をクリックすると、各製品の紹介欄にジャンプします。)

企業名 提供ソリューション(一例) 特長
帝人株式会社 医療機器管理
受診者管理
2次元通信シート
株式会社村田製作所 医療材料管理
医薬品照合
無線技術とアンテナ設計の豊富な経験と知識
東芝テック 院内物流管理システム
ME機器管理
ハードウェア・ソフトウェア・タグを「三位一体」で提供
TOPPANエッジ株式会社 医療機器管理
検体管理
医療材料管理
投薬管理
人や物の動態管理
コンサルティングによる徹底サポート
株式会社東北システムズ・サポート 医療機器管理
リネン管理
新型RFIDアンテナ
小西医療器株式会社 医療物流管理
手術用診療材料管理
総合医療商社としてのノウハウを活かした提案
サトーホールディングス株式会社 医療機器管理
医療部材管理
患者情報管理
医療従事者のQOLを向上させるソリューション提供
株式会社エスアールエヌ 検体物品管理 3つの特許技術

帝人株式会社

TEIJIN

出典:https://recopick.jp/

主な提供ソリューション 医療機器管理
受診者管理
手術材料管理
医療材料管理
特長 高い読み取り精度を持つテイジンが独自で開発した2次元通信シート
公式ホームページ https://recopick.jp/

テイジンはRFIDの大手メーカーです。

モノの出入りや場所を管理する監視システムの「RecoPick(レコピック)」と、ICタグを正確に検知する検知システムの「RecoFinder(レコファインダー)」という2つの製品を展開しています。

テイジンが独自で開発した2次元通信シートは高い読み取り精度を持っていて、正確かつ効率的に医療機器を管理できます。電波の干渉を軽減できるため読みムラがなく、ストレスなく扱えます。

公式サイトを見る

株式会社村田製作所

ムラタ

出典:https://www.murata.com/ja-jp

主な提供ソリューション 医療材料管理
医薬品照合
特長 無線技術とアンテナ設計の豊富な経験と知識
自社工場でRFIDタグを製造し、安定供給を実現
公式ホームページ https://solution.murata.com/ja-jp/service/rfid-solution/

RFIDは革新的な技術だと早い段階から認識しており、2008年から開発を開始し、RFIDへ大きな投資を行っている企業です。

無線技術とアンテナ設計には自信を持っており、読み取りの間違いを防止しストレスのない快適なシステムで業務効率の改善が期待できます。
豊富な経験と知識から、各医療機関の課題を解決する最適なサービスを提供します。

自社工場でRFIDタグを製造し、安定供給を実現しています。

また、お手軽にRFIDを導入出来る支援も行っており、導入検討から試験運用を低価格で試せるトライアルサービスがあります。
6か月で100万円からとなっておりますので、是非一度ご検討ください。

公式サイトを見る

東芝テック

TOSHIBA

出典:https://www.toshibatec.co.jp/products/auto_id/rfid_totalsolution/

主な提供ソリューション 院内物流管理システム
ME機器管理
特長 ハードウェア・ソフトウェア・タグを「三位一体」で提供
公式ホームページ https://www.toshibatec.co.jp/products/auto_id/rfid_totalsolution/

院内のあらゆる場面における課題を解決してくれる医療業務支援ソリューションを提供しており、院内物流管理システムではRFIDを活用し、検品やSPDラベル用プリンタをシステム化することで作業効率向上、職員の業務負担軽減を実現します。

東芝テックではこれまで培ってきたノウハウを生かして、ハードウェアから、ソフトウェア、タグまでを「三位一体」で提案してくれます。
導入から保守まで一括でサポートします。

公式サイトを見る

TOPPANエッジ株式会社

TOPPAN

出典:https://rfid.toppan-edge.co.jp/solve/lp_medical.html

主な提供ソリューション 医療機器管理
検体管理
医療材料管理
投薬管理
人や物の動態管理
特長 コンサルティングによる徹底サポート
公式ホームページ https://rfid.toppan-edge.co.jp/solve/lp_medical.html

医療機器管理、検体管理、医療材料管理といった様々な利用シーンを提供し、それぞれにRFIDを導入することで管理の煩雑さを解消し業務効率化を実現します。

また、TOPPANエッジ株式会社では充実したサポートがあり、導入の際にヒアリングが行われ、RFIDの導入によって実現できるものや解決方法について提案してくれます。

豊富な導入実績から得たノウハウを生かし、最適なソリューションを提供します。

公式サイトを見る

株式会社東北システムズ・サポート

TOHOKU

出典:https://www.tss21.co.jp/

主な提供ソリューション 医療機器管理
リネン管理
特長 新型RFIDアンテナ
公式ホームページ https://www.tss21.co.jp/

RFIDのプロフェッショナルとして、お客様のニーズに応えることを第一に課題解決のため提案から導入までをトータルサポートをしてくれます。

東北システムズ・サポートが提供する新型RFIDアンテナは、スリムな筐体で自動ドアと同じような感覚で自然にICタグを読み取ります。
スキャンの精度は高密度かつ精密なものとなっており、読み取りのムラがなく、作業への労力を最小限に抑えます。

東北システムズ・サポートはICタグやRFIDリーダーの取り扱いが豊富で、数多くの導入実績を持つという信頼性も高いです。

公式サイトを見る

小西医療器株式会社

konisi

出典:https://e-kns.jp/product/detail01.html

主な提供ソリューション 医療物流管理
手術用診療材料管理
特長 総合医療商社としてのノウハウを活かした提案
公式ホームページ https://e-kns.jp/product/detail01.html

総合医療商社としてのノウハウを活かし、それに最新のICT(情報通信技術)を組み合わせて、革新的な技術の提供・提案が行われています。

手術に使うオペセットの準備、手術室での医療材料の管理など、ミスが許されない状況で、病院内物流の管理が精密かつ適切なものへと改善されます。
RFIDを導入したら棚卸の作業時間が25時間から1時間に短縮できたなど、多大な効果が見込めます。

集めたデータを分析して使用頻度を算出することによって、安全性を高めることもできるため、あらゆる面での業務改善が期待できます。

 

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サトーホールディングス株式会社

SATO

出典:https://www.sato.co.jp/

主な提供ソリューション 医療機器管理
医療部材管理
患者情報管理
特長 医療従事者のQOLを向上させるソリューション提供
公式ホームページ https://www.sato.co.jp/

サトーホールディングスでは、ヘルスケア業界においては「Patient Happiness」というコンセプトを元に、医療従事者の働く環境を改善するべくQOLを向上させるソリューションを提供しています。

病院や医薬品メーカーにおける機材・医薬品の管理や棚卸業務にかかる時間といった課題を解決できるシステムを多数提供していて、業務の流れを一括管理し、安全なサービスの提供、業務効率化に貢献しています。

患者の服薬状況の把握が難しいといった悩みもRFID導入によって解決できます。

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株式会社エスアールエヌ

エスアールエヌ

出典: https://srn-inc.co.jp/medical/medical_sub1/

主な提供ソリューション 検体物品管理
特長 3つの特許技術
公式ホームページ https://srn-inc.co.jp/medical/medical_sub1/

採血システムに特化したソリューションの提供が行われていて、RFIDタグを用いた医療検査用採血管や採血バッグなどの検体物品管理により、高い安全性を保ちながら管理ができます。

検体管理をRFIDタグで行うのはかなり複雑で、複数密集する容器を管理することとなるため、様々なノウハウが必要ですが、株式会社エスアールエヌでは特許技術がそれを可能としました。

無線タグ一括読み取り装置及びネットワーク物品管理システム(※)」をはじめとした3つの特許技術を保有しており、他にはない独自の技術を提供しています。

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まとめ:RFIDは業務効率化において必要不可欠!

RFIDは、従来のバーコードによる運用方法よりも圧倒的に手間と時間を削減することが可能となります。

ICタグの一括スキャンは大きく業務を効率化させることができ、作業時間が20分の1になったという事例の通り、働き方改革にも貢献します。

RFIDを取り入れることは必ず大きなメリットとなり得ますので、今回ご紹介した内容をもとに導入の検討を行ってみてはいかがでしょうか。