介護現場においては、中腰や前かがみになったり、長時間同じ姿勢での作業になったりと腰に負担がかかります。
介護の現場では腰痛に悩む方も少なくないでしょう。そんなときに心強い味方となってくれるのが、パワーアシストスーツです。
本記事ではパワーアシストスーツのおすすめ10選や、選ぶ際におさえておきたいポイントやメリットを紹介していきます。
この記事の内容
パワーアシストスーツの基礎知識
まず、パワーアシストスーツの基礎知識について確認していきましょう。
パワーアシストスーツとは
パワーアシストスーツは、モーターや人工筋肉が内蔵されており、装着することで使用者の体にかかる負担を軽減するものです。
モーターや人工筋肉の力を利用するため、腰に掛かる負担が軽減され腰痛予防にも役立ちます。
パワーアシストスーツの種類
パワーアシストスーツは大きく分けて、電動型と非電動型に分かれます。
電動型はモーターの力を利用するため、アシスト力が高く2人がかりで行っていた作業も1人でできるようになることもあります。
ただしモーターが内蔵されているので、重量のあるものは長時間稼働に不向きな場合もあるので注意しましょう。
非電動型は、サポータータイプと外骨格タイプに分かれています。アシスト力は電動型に劣るものの、軽くて装着しやすいのがメリットです。
電動型・非電動型それぞれのメリット・デメリットは以下のとおり。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
電動型 | アシスト力が高い パワーの調整が可能 |
重量があるものは長時間稼働に不向き 価格が割高 メンテナンスが必要 |
非電動型 | 軽くて装着しやすい 故障しにくく長時間使用も可能 |
アシスト力は低め |
用途に合わせて最適なタイプを選びましょう。
パワーアシストスーツを選ぶうえでのポイント4つ
では、パワーアシストスーツを選ぶうえでのポイントを4つ紹介していきます。
- 防水規格が十分か
- 長時間の装着でも疲れない重量か
- 体の動きを妨げない構造か
- 耐久性に優れているか
防水規格が十分か
入浴介助では、防水性能が重要になります。
ただし防水性能は規格によっても異なるため、使用シーンに応じて防水規格も確認しましょう。
防水性能は、「IP○○」で表示されており、左は防塵等級(1~6)・右は防水等級(1~8)を表します。○には数字が入りますが、数字が高いほど性能も高いことを示します。
防水等級 | 性能 |
---|---|
IPX5 | 全方向の噴流水でも有害な影響を受けない |
IPX6 | 全方向の暴噴流水でも有害な影響を受けない |
IPX7 | 浸水(1m程度30分)しても影響を受けない |
IPX8 | 完全防水 |
入浴介護では防塵はあまり気にしなくても大丈夫ですが、防水性能は5以上が良いでしょう。
長時間の装着でも疲れない重量か
電動型のパワーアシストスーツは、モーターが内蔵されているのでその分重量が増します。メーカーによる違いはあるものの、重量は大体3kg~4kg前後です。
非電動型はモーターがないため、1.5kg程度のものが多く見られます。中には1kg以下のものもあるので長時間の装着を前提にしている場合は、疲れない重量かを確認しましょう。
体の動きを妨げない構造か
介護業務をこなす場合、アシスト機能が優れていても体の動きを妨げると業務に支障をきたす恐れがあるので注意しましょう。
多くの場合介護時の身体の動きを想定し妨げないようデザインされていますが、人によっては動きにくいと感じる場合があります。
パワーアシストスーツを選ぶ際は、重量とあわせて動きやすさも確認しましょう。
耐久性に優れているか
パワーアシストスーツは種類によっても耐久性が異なります。
電動型の耐用年数は3年~5年と言われていますが、使用頻度や環境によっても耐用年数は変わりますしメンテナンスや故障時には修理が必要です。
非電動型のサポータータイプは、軽くて装着しやすい反面、ゴム部分の耐久性はあまり高くないので交換サイクルが早くなるでしょう。
非電動型の外骨格タイプは、空気圧式やガススプリングを動力としているので、耐用年数はサポータータイプより長く数年は持つと言われています。
パワーアシストスーツのおすすめ10選
それでは、パワーアシストスーツのおすすめ10選について、それぞれに紹介していきます。
- J-PAS fleairy
- HAL腰タイプ(介護・自立支援用)
- サポートジャケットBb+PROⅡ
- レイボエクソスケルトン
- マッスルスーツEvery
- パワーアシストスーツ:PAIS-B100
- Aero Back(エアロバック)
- サポートジャケット Ep+ROBO(モーター駆動型)
- パワーアシストスーツPAIS-M100
- rakunieラクニエ
J-PAS fleairy
価格 | 本体セット 382,800円(税込) レンタルセット 要問合せ |
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サイズ | H289 : W222 : D94 |
重量 | 総重量約1.6kg(装具除く) |
電源 | リチウムイオン電池 |
動作時間・環境 | 約4時間 (当社規定の動作環境下での測定結果による) |
防塵防水性能 | IP55(浴室作業可) |
公式HP | https://active-life.jp/jpasfleairy/ |
J-PAS fleairyは、フレーム構造を持たないためベルト巻き上げ式を採用したパワーアシストスーツです。
電動型でありながら軽量化を実現しているので、複合的な連続動作にも対応します。
センサーによるモーター駆動は、最適なタイミングで必要とする力をアシストするのが特徴です。
装着部にはやわらかい素材を採用しているため、着用者も介護を受ける方も柔らかく安心感を得られます。
HAL腰タイプ(介護・自立支援用)
価格 | 要問い合わせ |
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サイズ | 奥行き292mmx幅450mmx高さ522mm |
重量 | 3.1kg (バッテリ含む) |
電源 | バッテリー |
動作時間・環境 | 温度:0℃~40℃ 湿度:20%~80% ※結露しないこと |
防塵防水性能 | IP54 (防水・防塵) |
公式HP | https://www.cyberdyne.jp/ |
HAL腰タイプは、介護する側も介護される側も着用できるパワーアシストスーツです。
腰に装着して使用するコンパクトな軽量モデルのため、介護に関わる全ての人をサポートできます。
装着も簡単で所要時間はわずか10秒とスピーディーです。防水機能も搭載されているので、入浴介助にも使用できます。
サポートジャケットBb+PROⅡ
価格 | 要問い合わせ |
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サイズ | 前幅150mm・後幅220mm(ベルト寸法) |
重量 | – |
電源 | – |
動作時間・環境 | – |
防塵防水性能 | – |
公式HP | https://www.upr-net.co.jp/ |
サポートジャケットBb+PROⅡは、腰全体を包み込むように装着するのでハードな作業も高次元でサポートしてくれます。
第二の背骨と呼ばれるバックボーンプラスで姿勢を矯正し、脇強化ベルトによりホールド力アップを実現しました。
肩ベルトにチェストベルトをプラスしたことで、ズレを防止し装着感を高めます。
ひざベルトには独自のXパターンを採用し、ひざにかかる上方向への力を抑制するのもポイントです。
レイボエクソスケルトン
価格 | 要問い合わせ |
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サイズ | – |
重量 | 2.8kg |
電源 | – |
動作時間・環境 | – |
防塵防水性能 | – |
公式HP | https://laevo.jp/ |
レイボは、力の創生ではなく自らの力を最大限に活用するパワーアシストスーツです。
装着者の運動エネルギーを動力にするエネルギー回生システムにより、かがむときに蓄える力を、体を起こす力に変えることができます。
背骨を中心に両サイドから体幹をサポートし、背骨周辺にかかる負担を分散するので安定性も高まるでしょう。
バッテリー不要なので、災害時にも使用できます。
マッスルスーツEvery
価格 | 149,600円(税込) |
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サイズ | S-Mサイズ:150cm~165cm M-Lサイズ:160cm~185cm |
重量 | 3.8kg ※カバー含まず |
電源 | 圧縮空気 |
動作時間・環境 | -30℃~50℃ |
防塵防水性能 | IP56 |
公式HP | https://musclesuit.co.jp/ |
マッスルスーツEveryは、現場で働く全ての人の腰への負担を軽減するために開発されました。
電気を使用しないので稼働時間の制限がなく、腰への負担を最大25.5kgfでアシストします。
空気を利用する人工筋肉は、使用者に合わせて調節できるのもポイントです。
リュックサックのように背負ったらベルトを締めるだけなので、わずか10秒で装着が完了します。
パワーアシストスーツ:PAIS-B100
価格 | 792,000円(税込) |
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サイズ | 高さ450mm×幅420~550mm×奥行250~350mm |
重量 | 4.4kg |
電源 | バッテリー |
動作時間・環境 | 0~40℃・電磁ブレーキ |
防塵防水性能 | 生活防水 |
公式HP | https://pai.co.jp/ |
PAIS-B100は、電磁ブレーキが中腰作業時の姿勢保持のアシストを目的に開発されました。
リュックサックのように背負い、腰・肩・太もものベルトを締めるだけなので装着も簡単です。
ただし現在(2023年3月時点)改良中で販売はしていないとのことですので、販売再開については直接問い合わせてみてください。
Aero Back(エアロバック)
価格 | 要問い合わせ |
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サイズ | フリーサイズ |
重量 | 1.8kg |
電源 | 空気圧式人工筋肉(2本) |
動作時間・環境 | – |
防塵防水性能 | 生活防水 |
公式HP | https://sustechno.co.jp/ |
エアロバックは、人工筋肉に空気を入れることで生じる力を利用するパワーアシストスーツです。
中腰作業での姿勢維持を補助するので、介護の現場だけでなく運送業・漁業・酪農業など幅広い分野に対応しています。
18kgもの補助力がありながら、重量はわずか1.8kgと長時間使用にも対応可能です。
生活防水なので入浴介助には向きませんが、腰への負担を軽減したいときに活躍してくれるでしょう。
サポートジャケット Ep+ROBO(モーター駆動型)
価格 | 657,000円(税込) |
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サイズ | 幅50×奥行36×高さ70㎝ |
重量 | 3.4kg(バッテリー含む) |
電源 | モーター駆動型(動力型) |
動作時間・環境 | 約4時間(弊社想定作業による)・0~40℃ |
防塵防水性能 | – |
公式HP | https://www.upr-net.co.jp/ |
Ep+ROBOはモーター駆動型でありながら、ローコストを実現したパワーアシストスーツです。
左右のモーターは腰の角度に合わせて独立アシストするので、中腰や前傾姿勢の作業に向いています。
アシスト・キープ・歩行の3つのモードで、最大10kgfまでサポートします。
操作は手元のボタンで簡単に扱えますし、装着もわずか30秒とスピーディーです。
パワーアシストスーツPAIS-M100
価格 | 1,320,000円(税込) |
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サイズ | 高さ450mm×幅420~550mm×奥行250~350mm |
重量 | 4.7kg |
電源 | 電動モーター |
動作時間・環境 | 0~40℃ |
防塵防水性能 | 生活防水 |
公式HP | https://pai.co.jp/ |
PAIS-M100は、電動型のパワーアシストスーツです。
電動型でも4.7kgの軽量化を実現しており、モーターには4つのアシスト機能が搭載されています。
- 持ち上げ時10~15kg分腰をアシスト
- 持ち下げ時のブレーキアシスト
- 中腰作業時の姿勢保持アシスト
- 歩行アシスト
装着方法も簡単なので、初めてでもストレスなく使いこなせるでしょう。
rakunieラクニエ
価格 | 要問い合わせ |
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サイズ | XS~L |
重量 | 250g |
電源 | – |
動作時間・環境 | – |
防塵防水性能 | – |
公式HP | https://www.morita119.com/ |
ラクニエは、装着するだけで腰の負担を軽減するパワーアシストスーツです。
前屈に伴う背面伸びを利用する、弾性生地張力を利用しています。
腰を曲げない状態や体をひねるときはサポート力は発生しないので、過度なサポートによる筋力低下を防げるのもポイントです。
重量は250gと軽量ですし、装着もわずか30秒なので誰でも気軽に使用できるでしょう。
パワーアシストスーツを利用するうえでの注意点
ここではパワーアシストスーツを利用するにあたって、注意したい2つのポイントについて解説していきます。
- 着脱に慣れるまでに時間がかかる
- 導入費用が高額である
着脱に慣れるまでに時間がかかる
パワーアシストスーツの種類によっても異なるものの、着脱に慣れるまでには時間がかかります。
また装着した状態での動作や操作も、身体に馴染むまでには時間がかかることを覚えておきましょう。
導入費用が高額である
サポート効果が高い電動型のパワーアシストスーツは、導入費用が高額になります。
- 電動型:50万円~100万円前後
- 非電動型・外骨格タイプ:5万円~50万円前後
- 非電動型・サポータータイプ:数万円~10万円前後
非電動型でも一着数万円はするので、費用対効果を考えながら導入を検討してください。
パワーアシストスーツを利用するメリット
では最後に、パワーアシストスーツを利用するメリットを3つ紹介していきます。
- 誰でも介護業務ができる
- 作業効率を高められる
- スタッフの業務負担軽減につながる
誰でも介護業務ができる
パワーアシストスーツは、少ない力で重いものを持ち上げられます。
小柄な女性でもパワーアシストスーツを装着することで、楽に介護作業ができるようになるのは大きなメリットといえるでしょう。
作業効率を高められる
パワーアシストスーツの導入により、今まで複数人で行っていた介護業務も、1人もしくは2人で行えるようになることが増えます。
一つの作業に従事する人数が減ることで、他の業務をこなせるようになれば作業効率が高まるでしょう。
スタッフの業務負担軽減につながる
パワーアシストスーツを装着した状態で介護業務にあたることで、ベッドや車いすなどからの落下や転倒などのリスクを軽減できます。
事故を未然に防げるだけでなく、スタッフの体にかかる負担も軽減されれば、作業環境の改善にも役立つでしょう。
まとめ:医療や介護領域で有効なパワーアシストスーツを活用しよう
パワーアシストスーツの導入により、介護作業にあたるスタッフの身体的・精神的負担を軽減する効果が期待できます。
安全かつスムーズに介護作業ができるようになれば、作業環境改善効果が見込めるでしょう。
医療や介護領域で業務効率化を目指すなら、パワーアシストスーツの導入を検討してみてください。