少子高齢化で子供の数が年々減少していることや、コロナ禍の受診控えにより小児科の患者減少は歯止めがかからず、クリニックの8割は減収しているのが現実です。
患者を獲得する施策をとることは小児科が生き残るための非常に大きな課題といえるでしょう。
本記事では小児科の集客の基本、オフライン広告、オンライン広告、小児科のホームページのあり方、動画によるプロモーション手法など、小児科が集客でとるべき施策を解説していきます。
特に動画での集客は今後かかせない手法といえるため、動画対策も検討されると集客につながるチャンスになるでしょう。
この記事の内容
小児科の集客の基本
小児科が集客を考える際の重要なポイントはいくつかあります。小児科の患者は子供ですが、病院に連れてくるのは保護者です。
集客のターゲットは保護者だと考え集客の戦略を練る必要があるでしょう。以下でポイントについて見ていきましょう。
- 保護者目線になっている
- 医師が話しやすい
- スタッフが頼りになる
- 子供が安心できる場所になっている
保護者目線になっている
患者が考える良い先生
- 優しいこと
- 話をしっかり聞いてくれること
病気を治してくれるのは当然ですが、患者は自分に共感してくれる先生を求めているのです。小児科ですから患者は子供です。子供にとって優しい先生が良い先生となるのは納得ができますね。
子供は優しい先生を求めていますが、実際に医師とやり取りするのは保護者です。保護者の気持ちはどうなのでしょう。保護者は小児科のどのような面を見ているのでしょうか。
- 治療方針や医師やスタッフの人柄
- クリニックの環境
保護者は医師の治療方針だけではなく、働いているスタッフの人柄やクリニックの環境までさまざまな面をシビアに観察しています。保護者が求めるのは子供が安心して治療を受けることができるクリニックであるかどうかです。
小児科の集客は、保護者を安心させ納得させるクリニックになることが重要になるでしょう。
医師が話しやすい
以下のような医師は小児科で嫌われるでしょう。
- 無愛想で話しにくい
- 威圧的
小児科の医師の場合、無愛想で話しにくいというのは患者や保護者に嫌われます。話しにくい医師に対して、子供の病気の状態をきちんと伝えるのはむずかしく、診察に対して不満が残ります。
不満を抱えて診察を終えるとそのクリニックには2度と行かないと保護者は考えるでしょう。
もし、リピーターが少ないのなら患者や保護者に対してどのように接しているか考える必要があるでしょう。患者や保護者が望んでいるのは医師と安心して対話ができることです。
集客を考えるなら、患者や保護者に良い医師だと感じてもらうのが最低限の条件になるでしょう。
スタッフが頼りになる
小児科に来院するのは具合が悪いときです。保護者は子供の不調を前にして気持ちが敏感になっています。そういうときにはスタッフの態度がいちいち目につくものです。
スタッフの態度でクリニックに対する評価は変わるのです。
たとえば、子供が待合室で嘔吐してしまったら保護者は焦ってしまいます。そのときにスタッフが嫌な顔もせずにテキパキと処理をしてくれて、気づかいのある言葉をかけてくれたらクリニックに対する評価は上がるでしょう。
小児科は医師だけではなく、頼りになるスタッフの存在も経営を考える上で非常に大きな要因になるのです。
子供が安心できる場所になっている
子供にとって病院は怖い場所という印象を持っているのがほとんどでしょう。小児科の待合室は子供にとって居心地の良い場所にする必要があります。
清潔な環境であることは当然ですが、子供が安心できる待合室を目指しましょう。
- 絵本がたくさんある
- 子供向けの動画を流す
診察を待つ間に子供が怖がったりせずに、保護者と一緒に快適に過ごせる待合室がある小児科は、地域のなかでも高い評価を得ることができるでしょう。
また、診察が終わったら頑張ったご褒美に医師がシールや、おもちゃをくれる小児科もあります。こういう取り組みは子供はよろこびますし、保護者にとっても好印象につながるでしょう。
少子高齢化で子供の数が減っている現在では、小児科が生き残るには経営努力は必須です。
ほかの小児科と差別化をはかるためには、医療技術はもちろん重要ですが、来院してくれる保護者と子供の立場を考えた病院経営が重要になるでしょう。
小児科がとるべきオフライン集客戦略
昔ながらの看板やチラシは現在でも大きな集客の効果があります。しかし、費用対効果を考えると少し割高になる傾向があるでしょう。
看板やチラシでの集客は費用対効果を考えながら取り入れる必要があります。効果的な看板やチラシの活用方法を解説します。
- 看板
- チラシ
看板
広告手法が限られる病医院にとって、看板は名称の周知という観点において重要な位置づけになっています。
しかし、看板の費用は決して安くはないので、看板の特性や効果を十分検討してから投資する必要があるでしょう。看板の注意点は以下になります。
- 基本的な情報を絞り込む
- 1秒でアピールする
看板に細かい情報を入れても、看板前を通過する時間は2〜3秒です。細かい内容は読み取ることができないので、基本的な情報に絞り込むことが重要になります。
また、ひと目で診療内容がわかるシンボルマークを記載しましょう。小児科なら子供の写真やイラストが有効でしょう。
チラシ
チラシやフリーペーパーという紙媒体の広告は、わかりやすく診療内容や診療時間が書いてあれば保管してもらえる可能性があるでしょう。
定期的に配られるチラシやフリーペーパーは記憶に残るため、病院を探す際に思い出してもらえるメリットがあります。
チラシやフリーペーパーで潜在的な患者に訴求することは無駄ではありません。
チラシやフリーペーパーは子供の親だけではなく祖父母世代も目にするので、病院を知ってもらうという効果は高いでしょう。
小児科がとるべきオンライン集客戦略
小児科にとってオンライン集客は外せない施策です。集客のターゲットとなる保護者はインターネットを積極的に使う世代といえます。
「行動を起こす前にはまず検索する」ことが当たり前の世代なのです。小児科を探す際にもまずネットで検索します。
小児科はオンライン集客に力を入れなければ、生き残る病院になることは非常にむずかしいと考えられるでしょう。効果的なオンライン集客を見てみましょう。
- SEO対策
- MEO対策
- リスティング広告
- ポジショニングメディア
SEO対策
現在ではホームページを持っていない小児科は少ないでしょう。ホームページをしっかりと活用するにはSEO対策をとる必要があります。
SEO(Search Engine Optimization)とは「検索エンジンの最適化」という意味です。
GoogleやYahoo!といった検索エンジンの検索結果で上位に表示させるための取り組みを「SEO対策」と呼びます。
SEO対策ができているホームページ
- 検索したときに検索上位に表示される
- クリックされる可能性が高い
- ホームページからの集客が望める
小児科のホームページでSEO対策が重要な理由は、患者の保護者の多くはインターネットを使いこなしている世代だと考えられます。
小児科を探すときにネットでの検索が当たり前におこなわれるため、SEO対策をとることは非常に重要な施策なのです。
以下のページではSEO対策を詳しく説明しています。
歯科医院のSEO対策は重要!おこなう際のポイント3つや注意点を紹介
MEO対策
MEO対策とはグーグルマップで検索上位を狙う対策のことで「Map Engine Optimization」の略称です。Googleマイビジネスに登録しておこないます。
MEO対策をとるとGoogleで検索したときに以下のように表示されます。
大手のリスティング広告より上位表示されるため、集客へのメリットが非常に大きく近年注目されている集客手法です。
MEO対策は基本的に無料でできるため、SEO対策にくらべてコストを大幅に削減できるでしょう。
小児科がMEO対策をとるメリットは以下の理由が挙げられます。
- 対策をしている小児科が少ない
- 地域密着でエリア内の患者の集客に強い
- 写真の投稿を活用できる
MEO対策自体の認知度がまだまだ低く、対策を施していない医療機関がほとんどです。競合が少ない今対策をおこなうことで、Googleマップでの上位表示が狙いやすいでしょう。
MEO対策は別名ローカルSEOともいいます。小児科を検索する際のキーワードは「〇〇市+小児科」「〇〇駅+小児科」など地域名を入れて検索します。
地域名や「〇〇駅」という地域性の高いワードで検索されやすい点が、MEO対策と相性が良く、ローカルSEOのメリットを最大限に活かすことができるでしょう。
Googleマイビジネスには写真を登録できる機能があります。院内の設備などの写真をたくさん登録して、来院を検討している保護者にひと目で小児科の印象を伝えることが可能です。
来院を検討している保護者は急いで病院を探していると考えられ、わざわざホームページを見なくても情報が十分伝わることもMEO対策をとるメリットでしょう。
以下のページではMEO対策について解説しています。
歯科医院Googleマップの口コミ・MEO対策完全版!悪い口コミは削除できる?
リスティング広告
リスティング広告は以下のように表示されます。
リスティング広告を取り入れている小児科も多いのではないでしょうか。リスティング広告のメリットは検索画面の最上位に表示されるため、集客の効果が高い点です。
リスティング広告は興味のあるユーザーに向けて、ピンポイントでアプローチできることがメリットでしょう。来院する可能性が高い保護者に向けたアプローチが可能なのです。
リスティング広告は別名「検索連動型広告」「PPC広告」とも呼ばれ、ユーザーにクリックされると広告費が発生します。
競合が多い地域では広告枠が増える可能性もあり費用対効果と事前の地域の状況を確認して導入を検討しましょう。
ポジショニングメディア
ポジショニングメディア
マーケティング戦略のひとつで、差別化・独自化をWebサイトで体現したものを指す。
引用:ポジショニングメディア – Wikipedia
ホームページとは別にポジショニングメディアを持つことも集客には有効な手段です。多くの保護者は自分の住んでいるエリア内で小児科を探します。
小児科はエリア内集客を考えることが重要でしょう。
エリア特化型のポジショニングメディアで効果的なキーワードは以下になります。
- 病気+地域名
- 予防接種+地域名
- 乳幼児健診+地域名
診療内容のコンテンツを充実させると、ポジショニングメディアを有効に活用することができるでしょう。
たとえば、自院がぜんそくに対する治療が得意であればエリア内のぜんそくに優れている、小児科との比較サイト(ポジショニングメディア)をつくります。
比較サイトでは他院を紹介しながら自院の強みを打ち出します。
ユーザーは多くのホームページを見比べる必要はなく、紹介している他院との差別化がはかれていれば集客につながるでしょう。アピールすべきことは以下になります。
- エリア内での優位性
- 他院との違い
小児科のホームページ集客とは
オンライン広告が成功して自院のホームページを見られることが集客の第一歩ですが、ホームページのコンテンツが充実していなければ残念ながらユーザーは離脱してしまいます。
SEO対策がとられていることは最低限必要なことですが、ホームページを見るユーザーにとって重要なのは、知りたい情報が記載されているか、知りたい疑問に答えているかでしょう。
- 子供の病気に関すること
- 子育てに関すること
記載している情報の価値がユーザーに伝われば「なにかあったらここで診てもらおう」という見込み客をつくる可能性が上がります。
- 必要なコンテンツとは
- 小児科がとるべきSEO対策とは
- ブログを併設する
必要なコンテンツとは
小児科のホームページで必要なコンテンツは以下になります。
- 一般的な子供の病気
- 予防接種
- 乳幼児健診
- 医師の紹介
しかし、インターネットの普及により、より専門的な内容を現在の保護者は求めています。
現在の保護者が求めている情報について掲載することは、ホームページを読んでもらうためには必須になるでしょう。以下のような疾患は保護者に注目されます。
- アレルギー
- ADHDなど発達障害
- 児童心理
- 肥満
- 低身長
ADHDなどの発達障害の診察ができる小児科医師は、時代のニーズにマッチした医師といえるでしょう。
「もしかしたら、うちの子は……」と心配を抱えている保護者は数多くいます。専門医を探している保護者のためにも積極的な情報提供をおこなうべきでしょう。
小児科がとるべきSEO対策とは
「小児科+地域名」「小児科+曜日」などの基本的なSEO対策は多くの小児科でとられている施策でしょう。
一方「小児科+症状」といった検索ワードも多く見られます。ホームページに症状別のページをつくることはSEO対策上でも有効です。
症状で検索しているということは、保護者にとって緊急事態である可能性が高いでしょう。
症状 | ・急な発熱・急に吐いた |
・頭を打った・やけどをした | |
・息が苦しそう | |
・ひきつけ・けいれん | |
・タバコや薬品などを食べた |
症状別に詳しく解説してあるページがあると、保護者にとって有益な情報になります。
ユーザーにとって有益な情報があるホームページはGoogleからの評価が高くなり、検索結果の向上も見込めるでしょう。
ブログを併設する
ホームページはつくって終わりではありません。つねに最新の情報に更新していく必要があるため、ホームページにブログを併設するメリットは大きいでしょう。
子育てに対する豆知識や、子供が病気のときの看病のポイントなど、保護者にとって有益な情報が掲載されているブログは読まれる可能性が高くなり、自院のホームページに何度も訪問してもらえるメリットがあります。
ブログによって院長の人柄などが伝わり、保護者は親近感と信頼感を持ちます。信頼感を得ることができれば、子供が病気になったときは「この小児科に行こう」と選んでもらえる小児科になれるでしょう。
小児科集客の動画活用方法
動画を活用して自院のプロモーションをおこなうことは、今後ますます増えていく集客方法のひとつだといえるでしょう。
YouTubeは検索エンジンとしてGoogleやYahoo!に次いで3位の媒体として成長しているのも理由のひとつです。
動画は視覚に訴えることで文章を読むより、コンテンツの内容をわかりやすく伝えることができます。動画活用のメリットを以下で詳しく解説します。
- 動画活用のメリット
- クリニック紹介
- 医療情報の紹介
動画活用のメリット
YouTubeに出演して、病気の解説をおこなう医師が増えているのをご存知でしょうか。
YouTubeで病院のプロモーションをおこなうことは集客に大きくつながると考えて間違いないでしょう。
医師がYouTubeに出演するメリットは、潜在的な患者に対して親近感と信頼感を持ってもらえることが挙げられます。
たとえば、保護者が子供がぜんそくに悩んでいるなら、ぜんそくについて詳しい解説や、改善方法などを発信している医師のYouTubeチャンネルがあれば、興味を持つでしょう。
「いつも見ているYouTubeチャンネルの先生に診察をしてもらいたい」と考える保護者もいます。遠方でも来院につながる可能性もあるのです。
YouTubeを活用するメリット
- 動画は文章よりもメッセージが伝わりやすい
- 潜在的な患者に訴求しやすい
- 情報発信としてわかりやすい
- 医師に対して信頼感を持ってもらえる
また、YouTube内からの流入だけではなく、ホームページにYouTube動画を掲載することで明確にメッセージを伝えることができます。
患者向けメッセージを動画で伝えることでわかりやすい訴求をすることができるでしょう。
クリニック紹介
クリニックのPRにつながる動画コンテンツとして、クリニック紹介があります。
- 待合室
- 処置室
- 予約方法
待合室の様子や処置室の設備などクリニックの雰囲気を伝えることは、はじめて来院する患者や保護者に安心感を持ってもらうことにつながります。
患者や保護者が不安に思う点を整理しながらクリニックの施設の紹介をしましょう。
医療情報の紹介
素人では病気の判断はつきません。そんなときに小児科の医師が「こんな症状が出たときはすぐに病院に行く」というようなコンテンツもPR動画として活用が可能です。
見ている保護者にとって非常に有益な情報になるでしょう。
得意分野や専門性が高い分野の情報発信も有益なコンテンツになります。
専門性の高い分野は、情報を探している保護者も多く、そこにわかりやすい解説動画があると発信している医師に対して信頼度が増し、自院のPRにも大きく役立つでしょう。
選ばれる小児科とは
地域のなかで選ばれる小児科になるためには、ほかの小児科との徹底的な差別化をはかることです。
集客に成功して患者や保護者が来院したときに、ネットの情報を信じて来院して良かったと思ってもらえるクリニックになることでしょう。
そのためには以下の施策をとることが大切になります。
- クリニックの環境を整える
- 子供がよろこぶ待合室にする
クリニックの環境を整える
育児中の保護者は子供に関することには神経質になる傾向が強いです。子供に悪い菌や病気をうつされないように、さまざまな点に目を配っています。不潔な小児科に好んで行く保護者はいません。
院内の清掃を徹底しなければ、リピーターとして患者が増えることはないでしょう。コロナ禍ということもあり掃除と消毒の徹底は、1番に取り組むべき課題です。
また、患者が重篤な状態で自院で診ることが不可能な場合は、提携医療機関や提携病院とバックアップ体制が整っているという安心感を与える情報の発信も重要でしょう。
子供がよろこぶ待合室にする
エントランスや待合室は、かわいらしく子供ウケするデザインに工夫する必要があるでしょう。
キッズスペースを設けて子供がおもちゃで遊べるようにしたり、子供向けの絵本を充実させたり、待ち時間を退屈しないで過ごせるようなスペースにすることです。
授乳スペースが設置してあると、赤ちゃんを連れた保護者も安心して待ち時間を過ごせるでしょう。
子供と保護者の利便性を考えられた待合室のある小児科は、地域のなかで選ばれる可能性が高くなるでしょう。他院との差別化をはかる努力は無駄にはなりません。
まとめ:動画も使いながら大きく集客を目指そう!
本格的な集客には手間と時間、それなりの費用もかかります。集客にかけたコストを無駄にしないためには正しいマーケティングをおこなうことが必要でしょう。
紹介したマーケティング手法はどれも有効な手段ですが、なかでも動画を使った集客方法は今後ますます伸びていくと考えられます。
動画はわかりやすく情報を伝えるというメリットがあり、集客にフォーカスしたプロモーションができるでしょう。
いち早く動画も取り入れて、かけたコストを無駄にしないマーケティングで集客を伸ばして地域のなかで生き残る小児科を目指しましょう。