看護師資格を活用できるのは、病院やクリニックだけとは限りません。
看護師資格を使える職種は、一般企業から美容分野、さらには公的な医療機関まで多岐にわたります。
この記事では、看護師資格を活用できる珍しい求人について、職場・ジャンル別に詳しく紹介します。
病院やクリニック以外で働いてみたくても、どのような就職先があるか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
看護師資格が使える公的機関の珍しい求人
公的な機関で看護師資格を活用できる求人は、公務員としての安定した雇用条件が多いのが大きなメリットです。
- 厚生労働省の看護系技官
- 自衛隊看護師
- 刑務所看護師
- 運転免許センターの看護師
- 地域包括支援センターの看護師
それぞれの求人について、詳しく見ていきましょう。
厚生労働省の看護系技官
厚生労働省で働く看護系技官は、看護師としての知識をもとに、政策立案に携わって医療全体に影響を与える仕事です。
国や自治体の医療政策に関わる業務を担当し、診療報酬や看護教育制度の見直しなどに取り組みます。
看護師として、社会全体の医療の質向上に貢献したい方におすすめの求人です。
自衛隊看護師
自衛隊看護師には「自衛官看護師」「技官看護師」の2種類があります。
自衛官看護師は、通常の看護業務に加え、防衛活動に関連した特殊業務を兼ね備えているのが特徴です。
大規模災害時には被災地へ派遣され、隊員の健康管理だけでなく、被災者の救急救護や巡回診療なども実施します。
技官看護師とは、防衛省管轄の医療施設で看護業務に従事する特別職国家公務員(技術系職員)を指します。
自衛隊員としての訓練を受けず、一般の看護師と同様の業務を担う点が特徴です。
刑務所看護師
刑務所看護師は「法務技官」とも呼ばれ、法務省に所属する国家公務員です。
国家公務員として刑務所や少年院などの矯正施設に勤務し、受刑者や被収容者の健康管理や医療ケアを行います。
刑務所看護師が勤務する施設は、主に「一般施設」「医療重点施設」「医療専門施設(医療刑務所)」の3種類に分けられます。
それぞれの特徴や役割は、以下の通りです。
区分 | 主な施設例 | 特徴・役割 |
---|---|---|
一般施設 | 刑務所・拘置所・少年院 | 基本的な健康管理や応急処置が中心。医療設備は限定的で、日常的な体調不良やケガの対応が主な業務。 |
医療重点施設 | 一部の刑務所・拘置所 | 一般施設より医療に重点を置き、急性医療などの中核を担う。専門設備は医療専門施設ほどではないが、より多くの医療業務を実施。 |
医療専門施設(医療刑務所) | 医療刑務所、矯正医療センター | 総合病院並みの医療体制を持ち、身体・精神疾患など専門的な治療や看護を必要とする受刑者が対象。幅広い診療科が存在する。 |
刑務所看護師は国家公務員として勤務するため、病院の経営状況に左右されず、安定した収入を得られる点が魅力です。
受刑者の更生支援という、矯正医療ならではの社会的意義を感じながら働ける点もやりがいとなるでしょう。
ただし、受刑者を対象にケアを行うため、犯罪歴や複雑な背景を持つ人への対応が必要です。暴力的な受刑者も多く、精神的なストレスも伴います。
安全対策として、受刑者への対応時は必ず刑務官が同席し、単独行動を避けるシステムが確立されています。
運転免許センターの看護師
運転免許センターで働く看護師は、免許取得者や更新者の健康状態を確認するのが仕事です。
簡易的な健康診断を担当し、視力検査や聴力検査、血圧測定などを行います。
これらの業務は、認知機能や運転機能の低下など、運転に支障をきたす症状を早期に発見するのが目的です。
地域包括支援センターの看護師
地域包括支援センターの看護師は、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるよう医療的観点から支援する専門職です。
保健師や社会福祉士、ケアマネジャーなどとチームを組み、地域包括ケアシステムの一端を担います。
高齢者の自宅を訪問して、個人や家族からの健康相談に応じ、医療と介護の橋渡し役として機能します。
地域包括支援センターの看護師の主な業務内容は、高齢者や家族からの相談対応や包括的なマネジメント支援です。
健康や介護、医療に関する悩みや不安に対し、専門的な知識を活かしてアドバイスや情報提供を行います。
さらに、介護予防ケアプランの作成も大切な業務のひとつ。介護が必要になる前の段階で、認知症の重症化防止や介護予防を目的としたケアプランの作成に携わります。
ほかにも、介護予防や健康維持を目的とした教室やセミナーを企画・実施します。
医療行為自体を行うことはほとんどなく、主に相談や調整、予防に重点が置かれています。
看護師資格が使える一般企業の珍しい求人
看護師資格を活かして企業で働く求人では、健康管理やサポート業務が中心になり、医療機関とは違った環境での活躍が期待されます。
- 産業保健師
- ホテル
- テーマパーク
- コールセンター
- 治験コーディネーター
それぞれの求人について、詳しく見ていきましょう。
産業保健師
産業看護師は、企業内で従業員の健康管理と職場環境の改善を総合的に担います。
具体的には、従業員の健康診断や健康相談を実施するのが主な業務です。ストレスチェックで従業員の心の健康を把握するケースもあります。
労働衛生管理や健康経営などの専門知識を求められるのもポイント。産業カウンセラーといった資格取得で、専門性を強化する必要があります。
ホテル
ホテルの看護師は、ホテルの宿泊施設内でゲストやスタッフの健康管理や応急処置を担当するのが主な仕事内容です。
宿泊客の急病やケガが発生した際に迅速に対応し、必要に応じて医療機関への手配をサポートします。
特に、高級ホテルやリゾート施設での求人が多く、ゲストに安心を提供するために重要な役割を果たします。
テーマパーク
テーマパークの看護師は、園内の救護室で来園者の応急処置や体調管理を行います。
具体的には、転倒・擦り傷などの軽傷への手当や、熱中症・脱水症状への対応が主な業務内容です。
医師不在の環境下で、市販薬の効果や副作用の違いを説明し、来園者自身に適切な薬を選ばせる判断力も必要です。
夏場は熱中症予防の経口補水液の準備、梅雨時は滑りやすい場所の事前把握など、時期に応じた予測的対応も求められます。
コールセンター
コールセンターの看護師は、電話を通じて健康相談に対応する専門職です。直接的な身体介護負担が少ない点が特徴といえます。
具体的には、自社医療機器や服薬のサポート、病状に関するアドバイスを行うのが主な仕事内容です。
看護師としての臨床経験や知識が求められ、顧客やその家族が安心して相談できるコミュニケーション能力も重要です。
治験コーディネーター
治験コーディネーターは、医療機関で治験の計画や実施、被験者への対応、データ収集までを担い、治験が適切に行われるようサポートするのが役割です。
例えば、治験実施計画書(プロトコル)を管理し、被験者へ治験の進め方を説明します。
直接的な医療行為は行わず、調整業務がメインとなりますが、新薬開発の現場で患者と社会の架け橋となるやりがいのある仕事です。
なお、治験コーディネーターになるために、看護師資格は必須ではありません。
しかし、被験者への説明やケア、医師や看護師との連携など、看護師ならではのコミュニケーション能力が役立ちます。
看護師資格が使える健康・美容業界の珍しい求人
健康や美容に特化した業界でも、看護師資格は役立ちます。看護師資格を健康・美容業界で活かせる珍しい求人には、以下のような選択肢があります。
- 美容クリニック
- 健康食品メーカー
- エステサロン
それぞれの求人について詳しく見ていきましょう。
美容クリニック
美容クリニックの看護師は、美容医療を中心に提供するクリニックで働く看護師です。
美容皮膚科や美容外科を中心に、外見の美しさを追求する医療サービスを提供する職場で活動しています。
美容クリニック看護師の具体的な仕事内容は、美容クリニックの診療分野(皮膚科系・外科系など)によって異なります。
美容皮膚科では、看護師単独でレーザー照射やピーリング時の薬剤塗布、治療中の皮膚観察、アフターケア、美容注射などを行うケースも多いです。美容外科では、豊胸や脂肪吸引など手術時の高度な介助技術が求められます。
健康食品メーカー
健康食品メーカーで働く看護師は、医療知識を活用して製品の安全性や効果に関する業務に従事します。
開発中の健康食品について、医療的観点から成分の安全性評価や効果検証を実施。治験データや研究結果の分析を通じ、消費者に安全な製品を提供するためのバックアップを行います。
医療現場とは異なる製品開発プロセスへの参画と、消費者目線での健康サポートの両面から働ける点が特徴です。
エステサロン
エステサロンの看護師は、医療行為を伴う美容施術を行う施設で働きます。
主に医療機器を使用した施術や術前術後のケアを担当し、一般的なエステサロンとは異なる医療的業務が特徴です。
患者の美容悩みや肌状態を分析し、適切な施術プランを提案するのも仕事のひとつ。医療知識を活かしたリスク説明や効果予測が求められます。
看護師資格が使える子ども関連の珍しい求人
ここからは、看護師資格が使える珍しい求人で、子どもと関わって勤務できる仕事を紹介します。
- 学校の保健室
- 保育園・幼稚園
- 特別支援学校
- 児童福祉施設・乳児院
子どもに囲まれて働きたい看護師の方は、是非チェックしてみてください。
学校の保健室
学校の保健室での看護師は「養護教諭」とも呼ばれ、学生の健康管理と急病やケガの対応などが主な業務です。
いじめや不登校の相談対応、保健室登校の支援といった心理的ケアも行います。
養護教諭になるためには、看護師免許とは別に、養護教諭免許状を取得し、教員の採用試験に合格する必要があります。
保育園・幼稚園
保育園や幼稚園に配置される看護師は、園児・職員・保護者の健康管理を担う専門職です。
医療機関とは異なり、健康な子どもの予防医療と安全な環境づくりが主な役割です。保育士や保護者と連携して、園全体の衛生や健康を守ります。
保育園看護師は、医療行為よりも健康管理と教育的支援に重点を置き、子どもの成長を間近で支えられるのが特徴です。
特別支援学校
特別支援学校の看護師は、障害や医療的ケアを必要とする児童が安全に学校生活を送れるよう支援する専門職です。
喀痰吸引や経管栄養、導尿、血糖値測定などの日常的ケアを実施。アナフィラキシーショックや意識レベルの低下など、緊急時の救急対応も行います。
特別支援学校の看護師は、単に医療行為を行うだけでなく、児童が持つ可能性を最大限引き出す教育的視点が求められます。
児童福祉施設・乳児院
児童福祉施設と乳児院の看護師は、医療的ケアと福祉的支援を兼ね備えた専門職です。医療行為だけでなく子どもたちの成長や健康管理に深く関わります。
児童養護施設の看護師は、日々の体調チェックから成長発達の記録管理まで、施設で暮らす子どもの健康状態を総合的に把握する仕事です。
小児看護の知識に加え、児童心理の理解も不可欠で、虐待経験児の心理的ケアといった医療以外のニーズにも対応します。
乳児院の看護師は、乳児の健康監視が主な業務です。0~2歳児の言語表現できない乳児の微妙な変化を察知する必要があり、特に未熟児や病児の経過観察が重要です。
看護師資格が使える旅行・観光関連の珍しい求人
看護師資格が使える旅行・観光関連の珍しい求人は、いずれも医療の専門性と観光業界の特性を融合しているのが特徴です。
- シップナース
- イベントナース
- ツアーナース
- 空港(エアポートナース)
それぞれの求人について詳しくみていきましょう。
シップナース
シップナースは、クルーズ船や貨物船などに乗船し、乗客や乗組員の健康管理や医療対応を行う看護師です。
主に豪華客船や国際クルーズ船で活躍し、医療機関と異なる環境下で幅広い看護業務を担当します。
医療スタッフが少ないため単独判断が求められ、語学力や長期間の船上生活への適応力も必要です。
イベントナース
イベントナースは、大規模なスポーツ大会や音楽フェスティバルなど、多くの人が集まるイベントで活動します。
イベントナースの主な役割は、イベント客の急な体調不良やケガの対応です。
普段の勤務とは異なり、限定的な期間のみの勤務が多いため、自由度が高いのも特徴です。
ツアーナース
ツアーナースとは、学校の修学旅行や企業の団体旅行などに同行し、参加者の健康管理や急病・ケガの応急処置を行う看護師を指します。
トラベルナースや添乗看護師とも呼ばれ、国内・海外の宿泊を伴う案件が中心ですが、日帰り旅行にも対応します。
病棟看護師との違いは、特定の職場を持たず案件ごとに派遣される点で、臨機応変な対応力と幅広い医療知識が求められます。
空港(エアポートナース)
空港の看護師は、検疫官とも呼ばれ、感染症の拡大を防ぐのが主な仕事です。
具体的な業務は、入国者に対する問診や健康観察、検査の検体採取などです。
国際空港では多言語対応や異文化への理解が求められるケースもあり、グローバルな視点での業務が経験できます。
看護師資格が使えるリモートワーク可能な珍しい求人
最近では、リモートワークでも看護師資格を活かせる仕事が増えています。看護師の資格を活かして在宅で働きたいと考えている方にとって最適な仕事です。
- オンライン診療スタッフ
- メディカルライター
- 医療系デザイナー
- 医療系アプリのコンテンツ監修
- インフルエンサー
それぞれの求人について、詳しく見ていきましょう。
オンライン診療スタッフ
オンライン診療スタッフとして働く看護師は、主に医師と患者間の遠隔診療をサポートし、診療補助や技術的支援を行います。
オンライン診療に不安を感じる患者に対し、操作説明だけでなく診療内容の説明や精神的なケアを実施します。
特に在宅医療や地方の医療過疎地において、医師の負荷軽減と患者のQOL向上に直結する重要なポジションです。
メディカルライター
看護師のメディカルライターは、看護師の資格と臨床経験を活かし、医療分野の専門文書や記事を執筆する職業です。
具体的には、医療や看護、健康などのテーマについて、専門的で信頼性の高い記事を提供します。
製薬会社の治験資料作成からWebメディアのコラム記事まで、幅広い領域で活動可能です。
医療系デザイナー
医療系デザイナーは、看護師としての医療知識を活用して、医療機関向けの広告やWebデザイン、患者向け資料の制作を行う職種です。
医療業界特有の規制やニーズを理解したうえで、視覚的に情報を伝えるクリエイティブ業務に従事します。
医療分野の専門的な知識を活かしつつ、創造的な仕事をしたい看護師にとって、魅力的な選択肢です。
医療系アプリのコンテンツ監修
看護師の医療系アプリのコンテンツ監修とは、看護師が専門知識を活用して医療関連コンテンツの信頼性を担保する業務です。
専門知識をもとに、疾患解説や看護技術に関する記述の誤りがないかチェック。薬機法遵守の確認や、読者に誤解を与える表現の修正も行います。
アプリ監修では、教科書的な知識だけでなく、実際に現場で通用するかという視点も重要です。読者がどこでつまずくかを予測し、難しい医学用語を平易化する能力も求められます。
インフルエンサー
看護師インフルエンサーとは、医療現場での経験を活かし、SNSを通じて看護師向けの専門知識やキャリア形成に関する情報を発信する人物です。
具体的には、看護技術の解説や職場環境の改善策、フリーランスとしての働き方などをテーマに、InstagramやYouTubeでコンテンツを投稿します。
従来の臨床スキルに加え、コンテンツ制作力や個人ブランディング能力が求められる新しい働き方として注目されています。
看護師資格が使える珍しい求人で働くメリット
ここからは、看護師資格を使って珍しい求人に転職するメリットを紹介します。
- 新しいスキルを身につけられる
- ワークライフバランスが整えられる
- 人間関係によるストレスが軽減できる
- 急変のリスクが少なく心理的負担を軽減できる
看護師資格が使える珍しい求人で働くメリットを知って、より良い転職を実現しましょう。
新しいスキルを身につけられる
看護師資格を活かして珍しい求人に転職すると、新しいスキルを身につけられるのがメリットです。
例えば、コールセンターでは顧客対応スキル、保育園では保育士の業務知識など、看護師としての専門技術以外の能力も習得できます。
特に、異業種の業務知識を学ぶ意欲が求められる職場では、多角的な成長が可能です。
ワークライフバランスが整えられる
ワークライフバランスを保った働き方ができやすくなるのも、看護師資格を活かして珍しい求人に転職するメリットです。
病院外の職場は、勤務時間や場所に柔軟性があるケースが多く、自分のライフスタイルに合わせたスケジュールを組みやすいのが魅力です。
そのため、家庭やプライベートの時間を確保しながら仕事を続けられ、生活の質を向上させられるでしょう。
人間関係によるストレスが軽減できる
看護師資格を活かした珍しい求人で働くメリットとして、人間関係のストレス軽減が期待できる点も挙げられます。
なぜなら、病院と異なり、看護師が単独または少人数で勤務する職場が多く、複雑な人間関係に巻き込まれにくい傾向があるからです。
人間関係のトラブルが発生しにくい職場を選択すると、ストレスを感じる場面が減り、より快適に働けるでしょう。
急変のリスクが少なく心理的負担を軽減できる
看護師資格が活用できる珍しい求人に転職して、命にかかわる業務が少なくなると、心理的な負担を軽減できます。
病院やクリニックでの勤務と比べて、一般企業やリモートワークなどでは緊急対応が少なく、落ち着いた環境での業務が中心です。
このような環境で働くと、心理的に安定して、健康的な勤務スタイルを実現しやすくなります。
まとめ:看護師資格が使える珍しい求人に応募して活躍の幅を広げよう
看護師資格は、病院以外でも幅広い分野で活かせるのが特徴です。一般企業や美容業界、教育分野など、さまざまな職場で重要な役割を果たせます。
新しい分野でキャリアを築きたい方や、柔軟な働き方を考えている方は、本記事を参考にして、自身のスキルを活かせる職場を見つけてみてください。