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歯科医院の利益率は少ない?歯科医院のお金の仕組みや利益率を高めるための方法を解説

「歯科医院の利益率が少ない」
このような声を聞くことはありませんか?

利益率が低ければ、せっかく売上を高くする努力をしたのに、手元に残る利益が少なく、安定した歯科医院の経営ができないため、常に不安を抱えたまま運営を続けることになってしまいます

そこで、歯科医院の利益率の現状はどうなっているのか、また、利益率を高めるための方法も解説します。

歯科医院のお金の仕組み

利益率は売上から経費を引いた値のことを指します。

利益率を確認することで、事業がうまく回っているのかどうかの判断がしやすくなります。

では、歯科医院における利益率はどのように算出されるでしょうか?売上・経費の2つの観点からみていきましょう。

歯科医院の売上

では、歯科医院の売上には具体的に何があるのでしょうか。

歯科医院の売上には、保険診療の売上自費診療の売上があります。

第23回医療経済実態調査」によれば、個人開業の歯科医院では、平均すると保険診療による売上が82.2%その他(自費診療等)での売上が17.6%です。

歯科医院の経費

一方、歯科医院の経費には具体的に何があるのでしょうか。

第23回医療経済実態調査」に掲載されている歯科医院の経費の主な内訳は、以下の通りです。

  • 給与費(29.2%)
  • 医薬品費(1.0%)
  • 歯科材料費(7.8%)
  • 委託費(7.9%)
  • 減価償却費(6.0%)
  • その他(18.9%)

(参考:第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告

なお、括弧内に書いてある数値は医業収益全体に占める割合の平均値です。

これらの数値と自院の経費を比較することで、経費削減の目安にしてみましょう。

歯科医院の平均的な利益率

ここでは、歯科医院の平均的な利益率について解説します。

保険診療中心の歯科医院と、自由診療に取り組んでいる歯科医院では利益率が異なります。

一般的な保険診療中心の歯科医院の平均的な利益率は25%ほどと言われているのに対し、自由診療も取り入れている歯科医院では、平均的な利益率は45%ほどと言われています。

これは、保険診療と自由診療の制度設計の違いにあります。

保険診療では「最低限度の医療」の保証が目的なので、医療の質はあまり高くなく、得られる収益もわずかなのです。

一方、自由診療ではより高度な医療の提供が可能です。

高度な医療を提供するにはそれ相応の金額を請求できるため、保険診療よりも利益率が高くなるのです。

しかし、自由診療は失敗するリスクが保険診療よりも高いと言えます。

トラブルを起こしてしまうと、患者からの信用を失い、集患数の減少につながる恐れもあるので、注意が必要です。

自由診療について詳しく知りたい方は、以下のリンクから自由診療に関する記事をご覧ください。

自由診療は儲かる?自由診療の失敗例や成功させるポイントを紹介

歯科医院の利益率が低くなる3つのパターン

歯科医院の利益率が低くなるパターンは、主に以下の3つが挙げられます。

  • 全体的な売上が少ない
  • チェア当たりの売上が少ない
  • 歯科材料費が高い

それぞれのパターンを理解することで、利益率が低くならないようにしましょう。

全体的な売上が少ない

1つ目は、全体的な売上が少ないパターンです。

言うまでもありませんが、そもそも売上が少なければ利益を出すのは難しいです。

基準は、ユニット4台以下の歯科医院で1億円5〜6台の歯科医院で1〜1.5億円ほどです。

まずは利益率に目を向けすぎず、売上を増やすことを考えましょう。

チェア当たりの売上が少ない

2つ目は、チェア当たりの売上が少ないケースです。

売上が高くても、チェア当たりの売上で見たらあまり高くないケースがあります。

チェア当たりの売上が少ないことは、生産性が低いことの証になってしまいます。

利益を残している医院は、おおむねチェア1台あたり350万円以上の月間売上があるため、少なくともチェア1台当たりの月間売上が200万円を超えるようにしましょう。

歯科材料費が高い

3つ目は、歯科材料費が高いケースです。

歯科材料費は費用が変動しやすい経費のうちの1つであるため、歯科材料費が増えないように注意する必要があります。

第23回医療経済実態調査」によれば、歯科材料費の医業収益全体に占める割合の平均値は7.8%となっているため、この数値を目安にチェックすると良いでしょう。

歯科医院の利益率を高める3つの方法

歯科医院の利益率を高めるには、以下の3つの方法が考えられます。

  • お金の流れを理解する
  • 収入を増やす
  • 出費を減らす

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

お金の流れを理解する

まずは、お金の流れを理解することが大切です。

具体的には、最初の章で紹介したような「売上」や「経費」には何が含まれているのか、また、どのようにお金が回っているのかを理解しましょう。

お金の流れが理解できないと、利益が上がらない理由が突き止められず適切な対策方法が取れなくなってしまうからです。

さまざまな施策を実行するより前に、まずはお金の流れを理解しましょう。

収入を増やす

続いて、収入を増やすことを考えましょう。

収入を増やすには、以下の2つの施策が考えられます。

  • 集患数を増やす
  • 自費診療数を増やす

1つずつ確認していきましょう。

集患数を増やす

まずは、集患数を増やすことが大切です。

多くの患者に来てもらわなければ、当然ながら売上は増えません。

患者からの信頼を地道に積み上げることで口コミを拡大させる方法もあれば、広告に投資をしてより多くの患者に来てもらう方法もあります。

しかし、目の前の診療、経営に手一杯で集患施策まで手が回らない先生も多くいらっしゃるはずです。

その際は、プロの力を借りるのも一つの手であることを頭に入れておくと良いでしょう。

自費診療数を増やす

医療形態には、保険診療と自費診療の2種類があります。

ほとんどの患者が保険診療を使用しますが、歯科医院の保険診療は利益が出にくい構造になっています。

一方、自費診療は保険診療に比べると利益率が高いため、自費診療を増やせば経営が安定する状況が作れるのです。

しかし、自費診療は患者の負担が大きいため、無理やり自費診療を選択させてはなりません

あくまでも、自費診療という選択肢があることをお伝えし、患者の意志で保険診療か自費診療かを選択できるようにしましょう。

出費を減らす

収入を増やすと同時に、出費を減らすことも忘れてはなりません。

出費を減らすには、以下の2つの施策が考えられます。

  • 経費を削減する
  • 節税対策をする

1つずつ確認していきましょう。

経費を削減する

まずは、経費を削減する方法を考えましょう。

先ほども触れましたが、医療機関では主に以下のような経費が発生します。

  • 給与費
  • 医薬品費
  • 歯科材料費
  • 委託費
  • 減価償却費
  • その他

(参考:第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告

この中では、医薬品費や歯科材料費が変動費で、人件費、家賃、光熱費、リース料が固定費に当たりますが、固定費を削減することをおすすめします。

毎月決まって出ていくお金を減らすことで、安定的に経費を減らすことができるからです。

しかし、人件費の削減は慎重に行ってください。

給料を安くしたり首を切ったりすることは、スタッフのモチベーションを下げるだけでなく、労基法に抵触してしまう可能性があります。

経費削減がトラブルに繋がらないよう、人件費以外の部分から削減していくことをおすすめします。

節税対策をする

新患が増えれば利益も増えますが、一方で多額の税金を支払わなければならなくなります。

経営を安定化するには「節税対策」をして、なるべく支払う税額を下げる必要があります

しかし、先生自身が節税対策を行うことは少なく、良い税理士さんをみつけて会計事務所側で対応してもらうほかありません。

また、個人所得の場合、大きな効果を期待できる節税方法はないと考えるのが望ましいでしょう。

そのため、売上が上がって節税が難しくなってきた場合には、医療法人化という選択肢も最終的に検討することになります。

まとめ

今回は歯科医院の利益率について解説しました。

歯科医院の利益率は保険診療の歯科医院と、自費診療を取り入れている歯科医院で異なることがわかります。

必ずしも自費診療を取り入れればいいわけではありませんが、保険診療だけで収入が安定しない場合には、検討すべき事項だだといえるでしょう。

今回ご紹介した利益率の仕組みを理解した上で、売上アップや経費削減、節税対策を進めてみてください。