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酸素吸入器とは?おすすめメーカー6選や在宅酸素療法について紹介!

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんは、体内の血液中で酸素不足が起こったり、二酸化炭素が溜まってしまったりといった症状が現れます。
酸素不足の場合には酸素吸入器を使用して、不足した酸素を補い、症状の改善や生活を送りやすくするための治療が必要となります。
この記事では酸素吸入器を使用することで得られる効果や、酸素吸入器の種類、おすすめのメーカーなどについて紹介しています。

酸素吸入器とは?

酸素吸入器とは、酸素療法で使用する機器のことです。
酸素療法は、室内の空気よりも高い濃度の酸素を投与(吸入)するという治療で、低酸素状態の組織に酸素を与えて、動脈血酸素分圧を上昇させるのが目的です。
この低酸素状態のことを低酸素血症と呼びます。

酸素不足になると、息切れが起こりやすくなることから呼吸がしづらくなり、運動不足や栄養不良に陥ります。
また、酸素不足が進行すると心臓に負担がかかり、心不全や肺性心といった疾患を患ってしまいます。

こうした病気の治療や予防のために酸素吸入器を使用して、酸素不足を解消し、肺や心臓への負担を軽減します。

酸素吸入器の効果3選

酸素吸入器を使用すれば以下の3つの効果が期待できます。

  1. 肺や心臓の負担軽減
  2. 歩行距離の延長や行動範囲の拡大
  3. 酸素不足の改善による諸症状の緩和

1.肺や心臓の負担軽減

酸素吸入器を装着すれば常に高い濃度の酸素が吸入され続けるので、肺や心臓へも十分に酸素が行き届くようになります。
そのため、肺血管が拡張し、心臓への負担も少なくなります
肺や心臓の負担が軽減されれば心不全の予防・軽減にも繋がりますし、寿命が延びることも期待できます。

2.歩行距離の延長や行動範囲の拡大

酸素を吸入することで、運動や入浴といった日々の動作がこれまでより楽に行えるようになり、歩行距離の延長や生活の行動範囲の拡大も可能になります。
完全に息切れをなくすことができるわけではありませんが、酸素を吸わないよりも吸ったほうが息切れが軽減し、より長い距離を歩行できるようになります。

3.酸素不足の改善による諸症状の緩和

酸素不足が改善されれば、酸素不足が原因により引き起こされる、イライラや頭痛、注意力や記憶力の低下、といった諸症状が緩和されます。
酸素の吸入によって脳にも酸素が行き渡ることで、うつ症状や認知機能が良くなるという効果もあります。
また、健康状態の改善により、生活の質(QOL)が上昇し社会復帰も目指せます。

酸素吸入機器の種類

酸素吸入機器には以下の4種類があり、それぞれ用途や目的によって使い分けられます。

  1. 酸素濃縮器
  2. 液体酸素
  3. 鼻カニュラ
  4. 酸素マスク

酸素濃縮器

酸素濃縮器は酸素供給装置で、自宅で使用が可能です。
窒素を取り込んで、酸素濃度が90%以上にもなる空気を作り出して排出する装置です。
電気があればどこでも使用可能で、容易かつ簡便に使用できるため、現在では酸素療法を行う約9割の患者さんが酸素濃縮器を使用しています。
高流量を供給するものほど電気代も高くなるというデメリットがあり、バッテリー内蔵型でない限り停電時は停止してしまうのが欠点です。

液体酸素

液体酸素も酸素供給装置の一つで、液体酸素供給装置に充填させた液体酸素を気化させることによって、適正な酸素を供給する装置です。
液体酸素供給装置を親器とし、外出する際は携帯用の小さな容器(子器)に充填することで持ち運びが可能です。
酸素濃縮器との違いは停電時でも使用できるという点で、電気代の負担もありません。
ただし、離島や豪雪地帯などの一部地域では使用が困難な場合があります。

鼻カニュラ

鼻カニュラとは、鼻カニューレとも呼ばれ、鼻から酸素を投与する器具です。
簡単に装着でき、圧迫感や閉鎖感がなく、違和感なく使用できます。
装着したままでも食事や会話ができるため、入院の際や在宅療法でも幅広く一般に使用されています。
酸素投与量が多くなると、鼻粘膜の乾燥・損傷のリスクが生じるため、6リットル/分以下の使用が推奨されています。

酸素マスク

5リットル/分以上と、多くの酸素を投与する際に使用される器具です。
口と鼻をマスクで覆う形になるので、鼻腔と口腔から酸素を体内へ取り込むことができます。
簡便に使用できる鼻カニュラと比較して、圧迫感や閉鎖感が出てくるデメリットがあり、在宅療法で使用されることは基本的にありません。

酸素吸入器が必要な在宅酸素療法とは?

在宅酸素療法とは、慢性心不全や慢性呼吸不全の患者さんに対して、病院以外の自宅等でも酸素を吸入するという治療法です。
Home Oxygen Therapyを略してHOT(ホット)と呼ばれています。
2021年1月時点で、日本では約17万人(※)の方が在宅酸素療法で治療されています。
入院回数を減らすことができ、家族と一緒に過ごせたり、基準を満たせば健康保険が適用されるなどのメリットがあります。

参照:日本呼吸器疾患患者団体連合会による「令和3年度 慢性呼吸器疾患患者の療養環境整備に関する陳情書

在宅酸素療法の健康保険適用条件

在宅酸素療法では一定基準を満たすことで健康保険が適用されます。
適用条件は以下の通りです。

  1. 高度慢性呼吸不全例
  2. 肺高血圧症
  3. 慢性心不全
  4. チアノーゼ型先天性心疾患

それぞれ、医師が在宅酸素療法が必要であると認めた場合などの詳細な条件がある場合もあるため、下記参考資料をご確認下さい。

参照:【参考資料】社会保険適用基準と費用|ぜん息などの情報館|大気環境・ぜん息などの情報館|独立行政法人環境再生保全機構

酸素吸入器を自宅で使用するまでのステップ

患者さんが酸素吸入器を自宅で使用するためには、医師に必要と認められ、酸素吸入器をレンタルするという形で入手することとなります。
そのためにはまず医師による診察、検査が行われ、在宅酸素療法(HOT)の適応を確認します。
酸素療法の処方が決定すれば、酸素流量や吸入時間を決め、患者さんとご家族に使用方法、注意点を詳しく説明します。
その後、どの酸素供給機器が適しているかを選定して、決定すれば患者さんのご自宅へ設置し、使用開始となります。
必ず月1回以上、外来受診か往診のどちらかで定期検診を受診する必要があり、機器導入後の状況を確認します。

酸素吸入器おすすめメーカー6選

ここからは酸素吸入器のおすすめメーカーを6つ紹介します。
ぜひ導入の際の参考にしてください。
表の下に各製品の紹介を記載していますのであわせてご覧ください。(表の製品名をクリックすると、各製品の紹介欄にジャンプします。)

メーカー/商品名 価格 特徴
ブルークロス株式会社|酸素吸入器(キャリータイプ) 59,000円 運搬車にセットされており、移動性に優れた酸素吸入器
新鋭工業株式会社|酸素吸入・吸入スタンドOVH-1000シリーズ 65,890円 1つのスタンドで同時に酸素吸入と吸引が可能
ブルークロス株式会社|エマジン酸素吸入機 スタンダードタイプ・ダイヤル式流量計タイプ 56,000円~71,000円 室内、室外問わず、いつでもどこでもすぐに使用可能
ダイキン工業株式会社|酸素濃縮装置ライトテック-5B 要お問い合わせ ボンベ自動切替機能により、停電時も酸素を供給
合同会社美沢メディカルサービス|オキシウェル・3X/医療用・酸素濃縮装置 要お問い合わせ 安全性・耐久性・静音性が高く、音声ガイドで使いやすい
村中医療機器株式会社|携帯酸素吸入器 活気ゲン 21,560円 ダイヤル操作のみで簡単に酸素流量を調節

①ブルークロス株式会社|酸素吸入器(キャリータイプ)

公式サイト https://www.bluecross-e.co.jp/sanso.html?tab=2#
価格 59,000円
特徴 運搬車にセットされており、移動性に優れた酸素吸入器

ブルークロス株式会社は救急用医療器のメーカーで、ブルークロスから販売されているキャリータイプの酸素吸入器は、運搬車にセットされているため、移動性に優れています
チューブ付きの酸素マスクや酸素カニューラも付属しており、患者さんの症状によって使い方を選べるのが特徴です。
操作はダイヤル式なので、流量調節が容易で使いやすいです。
付属ボンベに酸素は充填されていませんので、必ず医療ガス販売店で補充するようにして下さい。

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②新鋭工業株式会社|酸素吸入・吸入スタンドOVH-1000シリーズ

公式サイト https://www.shinei.me/piping/piping_stand.html
価格 65,890円
特徴 1つのスタンドで同時に酸素吸入と吸引が可能

新鋭工業株式会社は、50年以上の歴史を持ち、医療機器の開発・販売を通じて医療福祉社会への貢献を目指す医療機器メーカーです。
OVH-1000シリーズはコンパクトな形状をしているため、スペースを取らず室内を有効活用できます。
1つのスタンドで酸素吸入と吸引が同時に行えるというのが特徴で、容易かつ簡便に扱えます。
グリップは標準で付属しているため、別途購入する必要はありません。
組み立て式となっており工具を要するため注意が必要です。

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③ブルークロス株式会社|エマジン酸素吸入機 スタンダードタイプ・ダイヤル式流量計タイプ

公式サイト https://www.bluecross-e.co.jp/sanso.html?tab=2#
価格 OX-100S:56,000円
OX-200S:67,000円
OX-100DX:65,000
OX-200DX:71,000円
特徴 室内、室外問わず、いつでもどこでもすぐに使用可能

ブルークロス株式会社のエマジン酸素吸入機は、先程紹介したキャリータイプ以外にも、スタンダードタイプ・ダイヤル式流量計タイプの2種類が展開されています。
室内、室外問わず、いつでもどこでもすぐに使用できるため、救急・災害・介護に適しています。
ショルダーケースが付属しており、肩掛け、背負いで持ち運べます
酸素マスク、酸素カニューラ等の付属品をオプションとしてつけることも可能なので、用途に応じてご利用下さい。

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④ダイキン工業株式会社|酸素濃縮装置ライトテック-5B

公式サイト https://www.daikin.co.jp/tokki/litetec/5b
価格 要お問い合わせ
特徴 ボンベ自動切替機能により、停電時も酸素を供給

ダイキン工業株式会社の酸素濃縮装置ライトテック-5Bは、ボンベ自動切替機能が搭載された酸素吸入機器です。
停電時や万が一の機器故障時に自動でボンベからの供給に切り替わり、酸素供給を継続します。
静音化やコンプレッサの高効率化によって消費電力が抑えられるので、長期の療養でも安心して使用できます。
従来モデルから約19%の省スペース化と、19kgへの軽量化が実現しているため、設置・移動が簡単で置き場所にも困りません。

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⑤合同会社美沢メディカルサービス|オキシウェル・3X/医療用・酸素濃縮装置

公式サイト http://m-medical-s.com/sales/
価格 要お問い合わせ
特徴 安全性・耐久性・静音性が高く、音声ガイドで使いやすい

合同会社美沢メディカルサービスのオキシウェル・3Xは従来のオキシウェルシリーズと比較して、約半分のサイズへと改良された、スリムかつコンパクトな酸素濃縮装置です。
新開発のコンプレッサーの採用によって、消費電力を抑えつつ安全性と耐久性を向上させました。
静音性も高く、普段の生活中はもちろん、就寝中も気になりません。
音声ガイド付きなので、簡単に操作でき、チューブが曲がっているなどの異常を検知した際もわかりやすく説明してくれます。

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⑥村中医療機器株式会社|携帯酸素吸入器 活気ゲン

公式サイト https://www.muranaka.co.jp/online/products/detail.php?product_id=75719
価格 21,560円
特徴 ダイヤル操作のみで簡単に酸素流量を調節

村中医療機器株式会社の活気ゲンは、小型・軽量タイプの携帯用酸素吸入器です。
操作が簡単なのが特徴的で、ダイヤル操作のみで簡単に酸素流量を調節できます。
残量ゲージがついているため酸素残量を確認しやすく、酸素切れの心配もありません。
カートリッジ式の酸素のため、交換も容易で使いやすいです。
酸素マスクや酸素カニューラの使用も可能ですので、状況や患者さんの症状に合わせて幅広い仕様が可能です。

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酸素吸入器を使用する際の3つの注意点

酸素吸入器を使用する際は以下の3点に注意しましょう。

  1. 酸素吸入中は火気の使用を控える
  2. 酸素吸入機の使用時間・使用量を守る
  3. 保険適用のためには月に1回の受診が必要

1.酸素吸入中は火気の使用を控える

酸素吸入中はタバコ等火気の使用は控えるようにしましょう
酸素は空気中で燃えやすく、燃焼を助ける性質がありますので、火気を近づけるとチューブや衣類等に引火して火災の原因となります。
また、周囲2m以内に火気を置くことをも避けましょう。
酸素濃縮装置や酸素ボンベの添付文書や取扱説明書にも、火を近づけてはならないという旨の注意書きが記載されていますので、患者さんにもしっかりと説明を行いましょう。

2.酸素吸入器の使用時間・使用量を守る

酸素吸入器を使用する上でもう一つ重要なのが、使用時間や使用量を守って適切に使用しなければならないという点です。
体調が悪いという理由で勝手に吸入の量を増やしたり、使用時間を伸ばして長時間使用し続けるという患者さんも中にはいらっしゃいます。
必要以上に酸素を吸入してしまうと、かえってうまく呼吸ができなくなってしまうなどのトラブルが生じてしまいます。

3.保険適用のためには月に1回の受診が必要

月に最低1回の受診をしなければ酸素の処方はできないと決められており、保険適用もされなくなってしまいます。
保険適用のためだけでなく、患者さんの体調に合わせて都度酸素の吸入量を調整したりしますので、必ず月1回以上の受診が必要です。

まとめ:酸素吸入器は利用者の生活の質を改善する

血液中の酸素が少なくなってしまうと、息が上がりやすくなり、運動不足や栄養不足に陥ってしまうため、健康状態の悪化に繋がります。
酸素吸入器を使用し、適切な酸素を投与することによって利用者の生活の質を改善することができますので、適切な診察の上、患者さんに必要かどうかを見極めていきましょう。
この記事が酸素吸入器の導入の参考になれば幸いです。