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クリニックの広告禁止事項とは?病院で広告活用するポイントも解説!【医療法による広告規制】

医療法の改正にともないホームページやSNSが広告という解釈になり、ホームページを改良されている医院も多いでしょう。

医療広告ガイドラインには分かりづらい広告可能事項の限定解除という項目があります。本記事では以下について詳しく解説していきます。

  • 広告事項の限定
  • 広告事項の限定解除
  • 広告規制違反の罰則

クリニック広告について詳しくみていきましょう。

クリニックの広告と医療法改正による広告規制とは

2018年6月1日に医療法が改正になり、医療に関する広告規制のルールが大きく変わりました。ルールの詳細を記載した「医療広告ガイドライン」は2007年制定以後最も大幅な改正になりました。

本改正の最も大きな変更点は、医療機関のホームページが広告として扱われることになったという点です。

ホームページも広告規制に従って制作しなければならず、違反した場合は罰則を受けることを意味します。

  • 広告可能事項の限定があるもの
  • 広告事項の限定がなく禁止事項のみのもの
  • 広告事項の限定を受けないWEBサイトの条件

それぞれ詳しく解説していきます。

広告可能事項の限定があるもの

  • 看板
  • チラシ
  • テレビCM

上記のものは従来から医療法で広告可能事項が定められ、医療法で認められた項目以外の事項については広告が禁止されています。今回の医療法改正でも変更はありません。

広告可能事項の限定がなく禁止事項のみのもの

医療機関のホームページは、医療法が改正されるまでガイドラインによる指導にとどまっていました。医療法による規制はなかったのです。

今回の医療法改正で大きく変更になった点が、医療機関のホームページについても医療法による広告規制の対象とされたことです。

ただし、以下の条件を満たすホームページについては患者への情報提供の観点から今回の医療法改正でも、看板やチラシ、テレビCMのような広告可能事項の限定は設けられていません。

その結果、誇大広告の禁止など6つの禁止事項に違反しない限り自由な広告が許容されます。

広告可能事項の限定を受けないホームページの条件

医療法の広告事項の限定を受けないためのホームページの条件は以下になります。

  • 電話番号やメールアドレスなどの問い合わせ先がホームページに記載されている

自由診療についての情報を記載する場合は以下のことを記載します。

  • 通常必要とされる治療内容
  • 標準的な費用や標準的な治療期間
  • 治療回数の記載
  • 主なリスクや副作用についての情報

上記のポイントは必ず抑えましょう。

クリニックの広告と医療広告ガイドラインの歴史

医療に関する情報提供が規制され始めたのは戦後間もない1948年からでした。その後紆余曲折を経て2007年に旧医療広告ガイドラインが制定されます。

医療広告ガイドラインの広告規制の体系図が以下になります。

出典:新医療広告ガイドラインで日本の医療が変わる【図表1−1】広告規制の体系 深谷泰亮著2020/1/15

2007年当時は医療機関のホームページは今のような集患ツールではなく、純粋な情報提供の場で、当時のホームページは広告の対象とはされていませんでした

時代は変わりスマートフォンの普及によりホームページを見て来院する患者が増えていきます。

ホームページが広告規制に引っかからないと気づいた一部の医療機関と、ホームページ制作会社は故意に虚偽や信頼性の低いホームページを制作し始めます。

その後、美容整形などの美容医療に関する相談内容が増えたことを受け、ホームページ上で誤解を招く広告表現を規制するため、医療広告ガイドラインは改正されてホームページも他の広告媒体と同様に規制の対象とし、是正命令や罰則等の対象になったのです。

医療広告ガイドラインの対象になる媒体

医療広告ガイドラインの対象になる媒体は下記10個です。

  1. チラシ・パンフレット・その他これらに類似するものによるもの(ダイレクトメール・ファクシミリ等によるものを含む)
  2. ポスター・看板(プラカード及び建物または電車、自動車等に記載されたものを含む)
  3. ネオンサイン・アドバルーンその他これらに類似するもの
  4. 新聞紙・雑誌その他の出版物
  5. 放送(有線電気通信設備による放送を含む)映像または電光によるもの
  6. 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等)
  7. 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオまたは口頭でおこなわれる演述によるもの
  8. アフェリエイターの記事
  9. 口コミサイト・ポータルサイト(医療機関が運営する)
  10. Facebook・Twitter・Instagram等のSNS

広告を行う際は上記媒体は必ず理解しておきましょう。

クリニックのWEBサイトにおける禁止事項

 

医療広告ガイドラインで禁止されている広告とは以下になります。

 

出典:https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20180524_1.pdf

  • 治療内容・治療効果に関する体験談
  • 治療前・治療後の写真の掲載
  • 他院と比較する比較優良広告
  • 誇大広告
  • 虚偽広告
  • 根拠のない効果・効能を表示する広告

それぞれ詳しく解説してきます。

治療内容・治療効果に関する体験談

患者の主観に基づく治療内容または治療効果に関する体験談は、真実であるかどうかを問わずホームページへの掲載は禁止されています。

治療内容や治療効果に関する感想は、個々の患者の状況により異なり誤認を与えるおそれがあるというのが理由です。

治療前・治療後の写真の掲載

いわゆるビフォーアフターの写真や治療前、治療後のイラストの掲載については、通常必要とされる治療内容や費用等に関する記載、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項については詳細な説明をつけた場合に限り認められます。

詳細な説明をつけないで、治療前、治療後の写真やイラストを掲載することは、たとえ真実であっても禁止されています。

治療の結果は個々の患者によって異なり、ビフォーアフターの写真は患者を誤認させるおそれがあるということがその理由です。

他院と比較する比較優良広告

他の病院と比較して自院が優れていると広告することは禁止されています。

  • 著名人との関係性を強調するもの
  • 日本有数の実績を誇る病院
  • 県内一の医師数を誇る

誇大広告

科学的な根拠が乏しいにもかかわらず「リスクの低い手術をおこなえる」と記載するケースも禁止されています。

虚偽広告

データーの根拠を明確にせず「100%の満足度」と記載するのも禁止されています。

他法規制に違反する広告

他法規制とは次の法令です。

  • 医薬品医療機器等法
  • 健康増進法
  • 景品表示法
  • 不正競争防止法

他法令に抵触する表現をおこなわないことは当然として、他法令に関する広告ガイドラインも遵守する必要があります。

クリニックの広告の禁止表現例

ここでは具体的な禁止表現を解説していきます。

  • 最先端・最適
  • 〇〇センター
  • 術後・術前の写真
  • キャンペーン・プレゼント
  • 日本一・NO.1

禁止事項の詳細についてみていきましょう。

最先端・最適

最先端や最適といった表現は誇大広告に当たります。次のような表現はできません。

  • 最先端の医療
  • 最適な治療

上記の表現をしていないか必ず確認しましょう。

〇〇センター

救急救命センター、総合周産期母子医療センター、休日夜間急患センターなど、一定の医療を担う医療機関である場合、または該当診療について地域における中核的な機能、役割を担っていると都道府県が認める場合以外は広告を表示することはできません

術後・術前の写真

写真を加工するなど、施術の効果が高いと誤認させる写真の掲載は虚偽に当たるため表示することはできません。ただし、治療結果の分析をおこなっている旨及び当該分析の結果を提供している目的であれば広告をすることが可能です。

キャンペーン・プレゼント

「〇〇円OFFキャンペーン実施中」等の費用を強調した広告や「〇〇をプレゼント」など医療の内容とは直接関係していない事項により自院へ誘導する広告は、患者に誤認を与えるおそれがあるため広告できません。

日本一・NO.1

自らの病院が他の医療機関よりも優良である旨を記載することは認められていません。「日本一」「NO.1」などの最上級の表現は事実であったとしても、優秀性について著しく誤認を与えるおそれがあるため比較優良広告として禁止されています。

クリニックの広告規制違反の罰則

実際に広告規制違反を犯した場合、医療機関の管理者へ次のような連絡が入ります。

  • 行政指導
  • 報告命令
  • 立入検査
  • 中止命令
  • 是正命令

罰則が適用された場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。事例が公表される場合もあり、医療機関においての信用度のダメージは計り知れません。

実際に閉院に追い込まれる可能性もあるため、医療広告ガイドラインの遵守を徹底する必要があるでしょう。

クリニックの医療法の広告可能事項とは

医療広告規制の基本的な考え方は、医療に関する広告は患者保護の観点に則り考えられています。

  • 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は他の分野に比べ著しいこと
  • 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること

この考えに基づき、医療法第6条の5第3項に記載された14項目以外は広告をしてはならないと定められています

医療法第6条の5第3項

医療法第6条の5第3項で定められている広告可能事項とは以下になります。

  1. 医師または歯科医師である旨
  2. 診療科名
  3. 名称、電話番号、所在の場所を表示する事項、管理者の氏名
  4. 診療日時、予約診療の有無
  5. 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院等(特定機能病院)
  6. 地域医療連携推進法人の参加病院等である旨
  7. 入院設備の有無、病床種別の数、医師等の従業員の員数、施設、設備に関する事項、従業員の人員配置
  8. 医師等の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴、厚生労働大臣が定めた医師等の専門性に関する資格名
  9. 医療相談、医療安全、個人情報の適正な取扱を確保するための措置、病院等の管理、運営に関する事項
  10. 紹介可能な他の病院等、保健医療、福祉サービスの名称、施設、設備等の共同利用の状況、連携に関する事項
  11. ホームページアドレス、診療録や入院診療計画等の情報提供に関する事項
  12. 病院等において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術、治療方法については、保険診療、評価療養、患者申出療養及び選定療養、分娩、また自由診療のうち、保険診療等と同一の検査等、医薬品医療機器等法の承認等を得た医薬品等を用いる検査等
  13. 手術、分娩件数、平均入院日数、平均患者数等、医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
  14. その他①〜⑬に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項(健康検査や予防接種の実施、外部監査を受けている旨等)

広告を行う際は可能事項を理解しておきましょう。

広告可能事項の限定解除とは

広告可能事項には限定解除という拡大解釈が認められています。医療広告ガイドラインでは以下の3つの条件をすべて満たす広告媒体であれば、広告可能事項の限定解除ができると定めています。

  • 患者自ら求めて入手する情報
  • 問い合わせ先の明記と照会
  • 自由診療の場合

可能事項の詳細について解説してきます。

患者が自ら求めて入手する情報

限定解除の第1の要件は、チラシやDM、看板や新聞、テレビCMのように、その情報を求めて探していたわけではないのに、見てしまった・見せられたという受動的な広告ではなく、患者自身が自分で知りたいと思い調べないと手に入らない能動的な広告であることです。

たとえば、自分でGoogleで検索をおこない表示されたページから選んで見たホームページや、ホームページ等で個人情報を入力し資料請求して届くパンフレット、あるいは自分で登録したメルマガなどが該当します。

問い合わせ先の明記と照会

第2の要件は、患者が疑問に思ったときにすぐに問い合わせができるよう、問い合わせ先としての電話番号やEメールアドレスが明記されていることです。

これらはホームページであれば当然記載されていることでしょう。しかし次のような場合は

  • とても小さくて見つけにくい
  • 目立ちにくい場所にあって分かりづらい

条件を満たしていないと判断されることがあるため注意が必要です。

自由診療の場合

第3の要件は、自由診療の治療を実施していないのであれば、考える必要はありません。自由診療をおこなっている医院は下記の7項目を記載しなければいけません。

  • 治療名称
  • 通常必要とされる治療内容
  • 公的医療保険が適用されない旨
  • 標準的な費用
  • 治療期間及び回数
  • この治療による主なリスクや副作用
  • 適切かつ十分な情報を提供する

自由診療に関しては広告できる治療法は限られています。許されているものは「自由診療のうち保険診療と同一の検査等、医薬品医療機器等法の承認を得た医薬品等を用いる検査等について」は広告が可能ですが、それ以外の自由診療に関しては広告することが許されていません。

クリニックの広告は公告事項の限定解除で書ける幅が広がる

続いて限定解除の範囲についてですが、先述した3要件を満たすことで記載できる具体例を紹介します。

限定解除することで記載できることの例

下記が限定解除により記載できます。

  • 専門外来(アンチエイジング外来、禁煙外来、糖尿病外来)
  • 死亡率、術後生存率、治癒率、治療効果等 ※1
  • 雑誌や新聞で紹介された旨の記載
  • 広告が認められている自由診療以外のすべての自由診療
  • 未承認医薬品・機器(海外の医薬品やいわゆる健康食品等)による治療の内容 ※2
  • 広く定着していると認められない治療・検査(遺伝子検査、アンチエイジングドッグ、免疫療法等)
  • 法令に根拠のない診療科目(審美歯科、インプラント科、女性科)
  • 医薬品・医療機器の販売名(商品名)、型式番号、(医療行為としての使用または処方に限る)
  • 厚生労働省に届出がなされていない団体の認定資格(専門医、指導医、認定医等)※3
  • 医師個人がおこなった手術件数(過去の勤務医時代も含む)※4

※1、ただし、合理的な根拠を示し、客観的に実証できるデータが必要
※2、条件付きで記載が可能
※3、活動実態のないものは不可。今後ルールが変更される可能性もあり
※4、ただし、客観的に実証できるデータが必要。期間も併記する

条件も確認した上で広告を作りましょう。

リスティング広告

リスティング広告自体の文章や画像は限定解除ができません

しかし、そのリスティング広告にリンクされた先のサイトは、閲覧者が広告を自らの意志でクリックすることにより辿り着いたサイトになるため限定解除の要件1である「患者が自ら求めて入手する情報である」と考えられるため限定解除が可能になるということです。

クリニックのホームページは専門の制作会社に依頼するのがおすすめ

現在ではクリニックのホームページは集患ツールとして重要な役割を担っています。医療広告ガイドラインを遵守しながら集患できる魅力的なホームページを持つことは医院にとってとても大きなメリットをもたらすといえるでしょう。

しかし、医療広告ガイドラインを熟知してホームページを制作するには専門的な知識が必要になります。一般的なホームページ制作会社に依頼すると間違った解釈でホームページを制作することもあり得るのです。

医療広告ガイドラインに違反すると罰則があるため間違ったホームページを掲載することは大きなリスクになります。記事を読まれて少しでも不安に思われることがあるなら医療知識のあるホームページ制作会社に相談することをおすすめします。

クリニックのホームページ制作に強い会社はこちらでまとめてあります。

クリニックのホームページ制作で成功するコツ5選!おすすめの制作会社は?

まとめ:クリニックの広告は医療広告ガイドラインに準じて制作することが重要!

新しい医療広告ガイドラインの制定で医療広告の内容が大きく変化しました。ホームページやSNSが広告という解釈になり、ホームページを改良されている医院も多いことでしょう。

記事では、医療広告ガイドラインの分かりづらい広告事項の限定解除について詳しく解説しました。

広告として記載できる範囲を参考にして自院のホームページの見直しをすると、ガイドラインに準じたホームページであるかがわかるでしょう。

医療広告ガイドラインには罰則があることを意識してホームページを見直すことは、リスク回避のために非常に重要なことになります。

引用書籍:新医療広告ガイドラインで日本の医療が変わる 深谷泰亮著2020/1/15