「病院事務長ってどんな仕事をする人のことなのだろうか?」
「病院事務長に必要なスキルは何だろうか?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
「病院事務長」という言葉を聞いたことはあっても、その実態については詳しくない方が少なくありません。
本記事では、病院事務長の仕事について、以下の内容を解説します。
- 病院事務長の役割や仕事内容
- 病院事務長の仕事をする上で求められるスキル
- 病院事務長の仕事がうまくいくためのコツ
それぞれを理解することで、病院事務長がどんな仕事なのかを理解できるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
この記事の内容
病院事務長の仕事とは?役割・仕事内容
病院事務長の仕事とは、どのようなものなのでしょうか?
ここでは、病院事務長の仕事について、基本的な事項をまとめました。
- 病院事務長とは?
- 病院事務長の役割
- 病院事務長の仕事内容
- 病院事務長の1日の流れ
1つずつ解説します。
病院事務長とは?
病院事務長とは、病院における診療以外の事務を全体的に統括する人のことです。
病院の事務には、「医事」「総務」「経理」「労務」など、多くの分野がありますが、それぞれの分野に精通し、それら全てを統括することになります。
病院事務長の役割
では、病院事務長は具体的にどのような役割を果たすのでしょうか?
主に以下の4つの役割を果たします。
- 現場監督
- 情報の発信
- 戦略の策定・実行
- ヒト・モノ・カネの最適化
1つずつ解説します。
現場監督
病院事務長は、事務全体を統括する役割を担いつつ、自身でも事務作業に取り組みます。
大きな病院であれば、人数が足りているため、事務作業に携わらなくて良いケースもありますが、多くの場合は現場兼監督の立場を取ることもあります。
自身が現場に立つことで見えてくる課題もあるため、病院の規模が大きくても、余裕があれば現場に立つことが大切です。
情報の発信
院長には診療に専念してもらうため、院長が必要とする情報を集め、伝えるのは病院事務長の仕事です。
情報を取捨選択し、必要な情報を伝達することが求められます。
また、院長が発信する情報をスタッフに伝達し、浸透させるのも病院事務長の仕事です。
これも院長の手を煩わせることなく、スタッフに情報を伝達することが大切になります。
戦略の策定・実行
院長が下す経営判断に必要な情報をまとめ、戦略の策定や実行を行います。
また、下された経営判断を実行するために計画から管理までを行うのも役割の1つです。
先ほども触れましたが、院長には治療に専念してもらうことが大切なため、なるべく治療に専念できる環境を整えるのが事務長の役目です。
ヒト・モノ・カネの最適化
ヒト・モノ・カネなどの資源は、誤った使い方をするとすぐに枯渇し、病院がうまく経営できなくなってしまいます。
さまざまな要因からヒト・モノ・カネをどのように使うのが最適なのかを見定めます。
また、院長が下す判断が誤りである際は、方向性を修正するのも事務長の役割です。
多くの情報を手にし、事務全般を統括している病院事務長しか、院長の判断に口を出せる人はいない場合も少なくありません。
そのため、院長の判断が間違っていると感じた時は、躊躇せずに指摘することが求められます。
病院事務長の仕事内容
今まで見てきたことからもわかる通り、病院事務長の仕事内容は多岐にわたります。
大きく分けて以下の4つの仕事内容があります。
- 人事・労務管理
- 経理・財務
- 広報
- 企画・総務
人事・労務管理
人事や労務管理の全般を統括します。
人事は、必要人員の把握、条件の設定からスタッフの面接・選定までの一連の流れ全てに関わります。
また、勤怠管理や給与管理、社会保険や入退職の手続きなどの労務管理にも関わるため、業務内容は多岐にわたります。
経理・財務
医療機関は非営利組織ではあるものの、利益を上げなければ必要な資金が確保できず、経営が成り立たなくなる恐れがあります。
そのため、利益を確保するための経理業務や財務管理なども病院事務長の仕事です。
広報
広報では病院の宣伝だけでなく、医療に関する情報発信も行います。
情報発信を熱心に行うことで、病院の存在を知ってもらい集患につなげることが可能です。
そのため、院内掲示やパンフレットの作成だけでなく、ホームページやSNSの運用も積極的に行うことが求められます。
企画・総務
企画や総務の仕事も病院事務長の仕事です。
企画や総務は効率化することが難しく、多くの時間を要することになります。
逆にいえば、これらの内容を医師の先生にやってもらうのは、かなり大変なことなので、代わりに引き受けることが病院事務長の本領発揮といえるでしょう。
病院事務長の1日の流れ
病院事務長の1日の流れは、以下のようになることが多いです。
- 出社・準備
- 朝礼
- 事務作業
- 先生やスタッフとの交流
- 業者との面会・やりとり
- 終了・退勤
病院事務長は、複数の病院を掛け持ちしている場合が多く、それぞれの病院の出勤時間に合わせて出社をします。
朝礼では、共有事項の漏れがないか、注意します。
そして、実際の業務が始まります。
事務作業をしたり、先生・スタッフとのコミュニケーションをとったり、依頼先の業者との面会ややりとりをしたりします。
これらは順番が決まっているわけではなく、重要度の高い順番に次々と対応していきます。
このほかにも、場合によっては、以下のような仕事が入ることもあります。
- 採用活動
- ホームページ運用
- ミーティング・勉強会への参加
これらをうまく予定に組み込みながら、仕事を進めていきます。
病院事務長の仕事をする上で求められるスキル
病院事務長の仕事をする上では、主に3つのスキルが求められます。
- 情報収集・分析能力
- 問題解決能力
- 戦略策定・実行
1つずつ解説します。
情報収集・分析能力
1つ目は、情報収集能力と情報分析能力です。
今までに紹介した多様な仕事をこなすためには、それぞれの知識を備えている必要があります。
仕事に必要な基礎知識だけでなく、最新の情報を手に入れることが仕事をスムーズに進めるためのコツです。
そのため、膨大な情報を集める情報収集能力と、それらの情報を取捨選択し、さまざまな判断や事務に活用する情報分析能力が必要になります。
問題解決能力
2つ目は、問題解決能力です。
病院では、日々さまざまな問題に直面します。
直面する問題の分野はさまざまであり、医療分野のこともあれば、労務や経理などの医療以外の分野のこともあります。
特に医療以外の分野においては、院長先生が判断するのではなく、事務長の判断に委ねられる場合が多いです。
その際に、自ら舵を切って問題解決に向かうことが求められるため、問題解決能力が必要とされるのです。
戦略策定・実行
3つ目は、戦略策定・実行のスキルです。
病院事務長の仕事には、院長先生の方針に従い、具体的な戦略を立てたりそれを実行したりすることが含まれています。
そのため、戦略策定や戦略を実行するスキルが必要になります。
病院事務長の仕事がうまくいくためのコツ
病院事務長の仕事がうまくいくためには、2つのコツがあります。
- 時には厳しく対応する
- 院長の考えを伝える
1つずつ解説します。
時には厳しく対応する
1つ目のコツは、時には厳しく対応することです。
院長に限らず、組織のトップに立つ人間は、「嫌われたくない」「スタッフに辞められると困る」などの思いから、スタッフに対して甘く接してしまうことがあります。
もちろん、院長が厳しく接することで、スタッフが萎縮してしまう現実があるため、なかなか厳しく踏み込めないのも事実です。
しかし、スタッフに対していつまでも甘く接していては、病院が良い方向に向かいません。
そこで、必要に応じて厳しく接する役割を病院事務長が引き受け、院長は良い人、病院事務長は厳しい人、という位置付けにすることもあります。
院長の考えを伝える
2つ目のコツは、院長の考えを伝えることです。
日頃、院長はさまざまなことを考えていますが、直接スタッフに考えを伝えることは少ないでしょう。
しかし、院長と日頃から会話をしていると、院長が何を考えているのかを知ることができます。
そうした考えを病院事務長がスタッフに伝えることで、認識や考えのズレがなくなり、円滑な事業運営ができるでしょう。
まとめ
今回は、病院事務長について解説しました。
病院事務長は、院長を陰で支えるNo.2の役割を果たします。
仕事内容は多岐に渡り、それぞれに関する知識はもちろん、情報収集能力や課題解決能力など、幅広いスキルも必要となります。
責任が重く、大変な仕事ではありますが、やりがいを感じられる仕事でもあります。
ぜひ今回の内容を参考に、病院事務長の仕事への理解を深めましょう。