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跡継ぎがいない開業医がやるべきことは?第三者継承や閉鎖のリアルとやり方を解説

「跡継ぎがいない開業医は閉鎖するしかないの?」「息子が医療施設を継いでくれなくて困っている」と、悩みを抱えていませんか?

多くの企業が跡継ぎ不足を嘆く昨今、医療施設も例外ではありません。
後継者不足により閉鎖する医療施設が増加傾向にあり、スムーズに医療継承できる施設が少ないのが実情です。

そこで本記事では、跡継ぎがいない医療施設がやるべきことを解説します。

医療継承にお困りの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

跡継ぎ(後継者)がいない開業医が増えている原因と現状

まずは、跡継ぎがいない開業医が増えている原因と現状について深掘りして解説します。

後継者不足は深刻な社会問題

開業医だけにかかわらず、後継者不足は深刻な社会問題です。

帝国データバンク「全国「社長年齢」分析調査(2021年)」の調査によると、病院・医療施設の後継者不足率は73.6%という調査結果が出ており、開業医の7割以上が後継者不足に陥っています。

跡継ぎ不足に陥っている要因の一つは、開業者の平均年齢の上昇です。
厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」の調査によると、病院代表者の平均年齢が64.7歳・診療所(クリニック)代表者の平均年齢が62.0歳となっており、いずれも60歳を超えています。

次は、日本医師会が調査した開業医の後継者不足の要因を見てみましょう。

要因/施設形態 病院・有床診療所
無床診療所の全体
病院のみ
子ども・親族がいない 54.3% 41.7%
子ども・親族がいるが
継がせたくない
6.1% 8.3%
子ども・親族がいるが
継承の意向がない
25.5% 25.0%
その他 14.0% 25.0%

引用元:日本医師会総合政策研究機構「日医総研ワーキングペーパー No.440 日本医師会 医業承継実態調査」

調査結果では、子ども・親族がいない開業医が最も多くいました。
さらに、子ども・親族に継承の意向がないパターンも約25%あり、継がせたくても継承できないケースが多いことが分かります。

クリニック・診療所閉鎖の推移

まずは、医療機関の休廃業・解散件数の推移を表で確認してみましょう。

年/医療機関 診療所 病院 歯科医院 合計
2016年 375件 19件 75件 469件
2017年 366件 26件 69件 461件
2018年 387件 25件 76件 488件
2019年 444件 28件 75件 547件
2020年 411件 20件 83件 514件
2021年 471件 12件 84件 567件

引用元:帝国データバンク「医療機関の休廃業・解散動向調査(2021 年)」

上記の表を見て分かるとおり、医療機関の休廃業・解散件数は年々少しずつ増加しています。
さらに、開業医の高齢化が進んでいるので、今後も増加の一途をたどるでしょう。

跡継ぎ(後継者)がいない開業医ができること

跡継ぎがいない開業医にできることは、以下の2点に限られています。

  • クリニックの閉鎖
  • 第三者への医院継承

跡継ぎがいないといずれかの選択を迫られるので、事前に心構えと準備をしておきましょう。

クリニックの閉鎖

高齢を迎えた開業医は、跡継ぎがいないとクリニックを閉鎖する選択肢があります。継承を諦めて、自身で閉鎖を選択する開業医もいます。

体力のギリギリまで経営を続ける開業医もいますが、ある程度余裕のある時期に閉鎖を選択したほうが良いかもしれません。

ただし、クリニックは閉鎖するのにもコストがかかるので、時期ややり方を計画的に選定する必要があります。

クリニックの閉鎖にかかる費用を以下にまとめました。

  • 建物にかかわる経費
  • 医療機器や薬剤の処分にかかわる経費
  • 登記や各種手続きにかかわる経費
  • 人員にかかわる経費
  • 借入金の清算

借入金の清算に関しては全ての施設でかかるわけではありませんが、上記を合計して1,000万円を超えるケースも珍しくありません。働いていた従業員からの反感を買わないように、退職金や医療施設の紹介などの配慮をする必要もあります。

また、施設を利用している患者には、事前の告知や関連施設への紹介など、今後も継続的な医療を受けられる環境を提供してから閉鎖するのが理想的です。医療施設が充実していない地域では、引き継げるクリニックが少ないケースもあります。

いずれにしてもクリニックの閉鎖には多くのハードルがあるので、簡単にできないことを認識しておきましょう。

第三者への医院継承

医療施設の跡継ぎがいない開業医は、第三者へ医療継承するというのも一つの手段です。施設を閉鎖すると費用がかかりますが、第三者へ継承すると収入を得られます

さらに、従業員の雇用や患者の継続的な医療を保証できる場合もあるので、多くの方にとってメリットがある引退方法です。

ただし、誰でも簡単に医療継承できるわけではありません。継承するにしても時間を要するケースが多いので、早い段階から計画しておく必要があります。

跡継ぎがいない開業医が第三者へ医院継承するメリット・デメリット

医療施設を第三者へ継承するメリットとデメリットを以下にまとめました。

メリット デメリット
・スタッフを解雇しなくていい
・患者の医療を引き継げる
・譲渡金が手に入る
・金銭面の交渉をしなければならない
・方針や信念を引き継いでもらえるとは限らない

跡継ぎがおらず第三者継承を考えている方は、事前にメリットとデメリットを理解しておきましょう。

メリット

医療施設を第三者へ継承するメリットを詳しく解説します。

  • スタッフを解雇しなくて済む
  • 患者の医療を引き継げる
  • 譲渡金が手に入る

閉鎖・廃業するよりも多くのメリットがあるので、ぜひトライしてみましょう。

スタッフを解雇しなくていい

医療施設を第三者に継承すると、スタッフの雇用を継続できる可能性があります。

ただし継承する側に決定権はありません。新たな経営者との交渉が必要です。

地域性や施設を熟知している従来のスタッフを継続して雇用するのは、引き継ぐ側にもメリットがあります
その際は、新たな経営者と新規の契約を結ぶケースが多いようなので、待遇面に関しては新たな経営者の意向で決定されます。

患者の医療を引き継げる

患者の医療を引き継げるのは、医療継承の最も大きなメリットといっても過言ではありません。
特に医療施設が少ない地域では、医療施設の継承によって患者が受診先を失わずに済むので、心苦しくない引退ができるはずです。

ただし、施設の方向性や取り扱う医療は新たな経営者に決定権があるので、契約の際に交渉しなくてはなりません。
医療の方向性によっては契約が破談になるケースもあるので、交渉には仲介サービスを利用するのがおすすめです。

譲渡金が手に入る

医療施設を第三者へ継承すると譲渡金を受け取れます。
基本的に医療施設の譲渡は売買契約となり、土地や医療機器などの評価額、営業権の合計金額が算出されます。

施設を閉鎖すると支出が発生しますが、第三者へ継承するとむしろ譲渡金を受け取れるので、金銭的な違いは計り知れません。

各種手続きや仲介費用などの支出もありますが、ほとんどの場合黒字で医療施設を手放せます。

デメリット

医療施設を継承する際のデメリットを詳しく解説します。

  • 金銭面の交渉をしなければならない
  • 方針や信念を引き継いでもらえるとは限らない

デメリットを理解しておかないと後悔する原因になるので、ぜひ確認しておいてください。

金銭面の交渉をしなければならない

医療施設の継承には金銭面の交渉が必要不可欠です。
一言で金銭面の交渉といっても、以下のように複数の事柄について考えなければなりません。

  • 譲渡金
  • 建築物の原状回復費用
  • 医療機器のメンテナンス費用

譲渡金の設定については時価総額を基準に算出されるので、交渉が難航するケースはほとんどありません。

一方、建築物の原状回復費用や医療機器のメンテナンス費用をどちらが負担するかは、交渉が難航しやすいポイントです。
ここでの交渉を中途半端にしてしまうと後々のトラブルにも繋がりかねないので、お互いが納得いくまで交渉しなくてはなりません。

金銭面の交渉が負担で譲渡を諦める開業医も多いので、負担が増えることをあらかじめ理解しておきましょう。

方針や信念を引き継いでもらえるとは限らない

医療施設を継承したからといって、医療方針や信念まで引き継いでもらえるとは限りません。そのため、こだわりや愛着を持って施設を経営している方は、継承後の運営に納得できないこともあるでしょう。

また、方針や信念を引き継いでもらえないことで、地域の患者から良く思われないケースもあります。
施設の方針や信念は新たに経営する側に決定権があるので、交渉が負担になることも多いようです。

跡継ぎがいない開業医から医院を継承する際の8ステップ

開業医が医院を継承するには以下8つのステップを踏む必要があります。

  1. コンサルタントなどの専門家に相談する
  2. 継承施設を選定する
  3. 継承候補の内見や面談をする
  4. 継承施設を決定する
  5. 条件調整をして基本契約合意する
  6. 最終的な契約を締結する
  7. 支払い・各種手続きをする
  8. 施設引き渡し・継承完了

1ステップごとに詳しく解説するので、これから医院の継承を目指す方はぜひ参考にしてください。

Step1.コンサルタントなどの専門家に相談する

医療施設の継承候補は親族や現在施設で働いている従業員ですが、どちらもいない場合は専門家に相談するのがおすすめです。

たとえば、医療施設継承の仲介サービスを利用すれば、後継者探しから譲渡の段取りまでのサポートを受けられます。
親族や従業員以外の継承候補を探すのは仲介サービスを利用しないと難しいので、ぜひ活用してみてください。

Step2.継承施設を選定する

仲介サービスに相談すると、条件に当てはまる後継者候補を選定してもらえます。
初回相談時に出した条件に当てはまる候補を紹介してもらえるので、譲渡したい候補者を選びましょう。

なお、紹介を受けたからといって必ずしも契約する必要はありません。
また、継承先との合意を締結するまでは無料で利用できるサービスが多いので、無駄な経費がかからないのもポイントです。

Step3.継承候補の内見や面談をする

継承候補が見つかったら、内見や面談で実際に契約を結ぶかの判断をしてもらいます。内見の段階ではまだ契約をしていないので、この段階で破談になるケースも少なくありません。

また、面談で譲渡後どのような施設にするのかを確認するのもいいでしょう。基本的に継承する側が施設を気に入るかがポイントになるので、良いイメージを持ってもらえるようにするといいかもしれません。

ただし、必要以上に良いポイントばかりアピールすると譲渡後にトラブルを招く可能性もあるので、ありのままの施設を気に入ってもらえるようにしましょう。

Step4.継承施設を決定する

内見・面談が終わると、相手側が継承するかどうかを判断します。
相手側が継承したい意思を示したら、本格的な手続きへと進みます。

ただし「この相手には継承してほしくない」と思った際は、その時点で仲介業者に伝えておきましょう。
必ずしも継承する必要はないので、後悔しないためにも「この相手に継承してもいいのか」をしっかりと自問してみてください。

Step5.条件調整をして基本契約合意する

お互いに継承の意思が決まったら基本合意へ進みます。
基本合意の前には以下の事柄について交渉する必要があります。

  • 譲渡対価
  • 継承時期
  • スタッフの引継ぎ

上記で特に気を付けるポイントは譲渡対価の交渉です。
たとえば、医療機器や建物が劣化している場合やメンテナンスが必要な場合には、譲渡対価の割引交渉を受けるかもしれません。

また、現在働いている従業員の意向も確認しておく必要があります。

上記の交渉をすべて終えるとようやく基本合意書の締結です。
ただし、基本合意書には法的拘束力がないので、あくまでも約束の段階であることを認識しておいてください。

Step6.最終的な契約を締結する

基本合意を締結すると、継承先が買収監査(施設にリスクがないかの調査)を実施します。

継承する側がこの期間にやることは、スタッフや患者への説明などの受け渡し準備です。トラブルなく譲渡できるように、納得してもらえるまで説明しましょう。

継承先の買収監査が完了すれば、いよいよ最終的な契約の締結です。
交渉によって決定した事柄を「最終譲渡契約書」に記載し、契約を締結してください。

Step7.支払い・各種手続きをする

最終譲渡契約を締結すると、支払いや譲渡に必要な各種手続きを進めます。
譲渡する側は支払いを受ける立場なので、ここまでくれば作業量は多くありません。

Step8.施設引き渡し・継承完了

支払いや各種手続きが終わり、継承時期になると施設の引き渡しをします。
施設や医療機器の説明を求められれば応じる程度は必要ですが、ほとんどの手続きはすでに終わっています。

引き渡しが終わると譲渡完了です。

跡継ぎがいない開業におすすめの仲介サービス

開業医が医院の継承に使えるおすすめの仲介サービスは以下の3つです。

  • 医師継承ドットコム
  • メディカルプラス
  • 日本M&Aセンター

これから医院継承を目指す方は、ぜひ活用してください。

医療承継ドットコム

運営会社 株式会社メディウェル
対応地域 全国
拠点 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
公式サイト 医療承継ドットコム

医師継承ドットコムは、株式会社メディウェルが運営しているサービスです。
株式会社メディウェルは複数の医療系人材紹介サイトを経営しており、医療業界との深いつながりがあります。

着手金や中間金がなく完全成果報酬で利用できるので、比較的気軽に相談できます。

また、全国各地に拠点があるので、多くの地域で手厚いサポートを受けられるのも魅力です。

安心感をもって利用できる仲介サービスをお探しの方は、ぜひ医師継承ドットコムを活用してみましょう。

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メディカルプラス

運営会社 株式会社メディカルプラス
対応地域 全国
拠点 東京
公式サイト メディカルプラス

メディカルプラスは、医療施設の医療継承を専門的に取り扱う仲介サービスです。
公式サイト上で譲渡案件・譲受案件を検索できるので、気軽に継承先を探せます。

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日本M&Aセンター

運営会社 株式会社日本M&Aセンター
対応地域 全国
拠点 東京
公式サイト 日本M&Aセンター

日本M&Aセンターは、14個の企業が属する日本M&Aセンターグループが運営するサービスです。
医療機関だけでなくさまざまな職種の事業継承・M&Aを仲介しています。

M&A・徐行継承の成約実績でギネス世界記録にも認定されており、圧倒的な成約率を誇ります。

多くの実績とノウハウを有しているので、医療継承を的確にサポートできるのが特徴です。また、情報量も豊富なので、多くの選択肢から継承先を選択できます。

医療継承についての不安を抱えている方は、まず日本M&Aセンターに相談してみましょう。

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跡継ぎがいない開業医が第三者へ継承する際は専門家に相談しよう

近年は開業医の跡継ぎ不足が社会問題になっており、将来について悩みを抱える施設も多いでしょう。
また、施設を閉鎖するにも費用が掛かるので、どちらの選択をするのも簡単ではありません。

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本記事で紹介した複数の仲介サービスをぜひ参考にしてみてください。