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歯科衛生士ができることは5つ!やってはいけない業務内容を解説

歯科衛生士は、歯科医師の診療の補助や患者さんの歯の処置、保健指導などを行う仕事です。

人手不足であるものの、需要は高まっており、多くの歯科医院で求められている存在です。

しかし、歯科医師と歯科衛生士ではできる業務内容が異なり、歯科衛生士がやってはいけない業務があります。

この記事では、歯科衛生士ができる5つの業務ややってはいけないこと、禁止行為をするとどうなるのかについて解説します。歯科衛生士という仕事の魅力についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

歯科衛生士とは?

歯科衛生士とは、歯科医師の診療のサポート患者さんの健康な歯を維持するために予防処置や保健指導を行う医療専門職です。

歯科衛生士になるには国家資格が必要で、短期大学で3年間の修学を経て国家試験に合格すれば就職できます。

これまで口腔内の予防処置は「歯科医師の直接の指導」のもと行う必要があり、歯科医師の立ち合いが必要でした。

しかし、2014年に歯科衛生士法が一部改訂されたことで、歯科医師の常時立ち合いが不要となり、歯科衛生士だけでできる業務も増えてきています。

参照:歯科衛生士法の一部改正の施行について(厚生労働省)

歯科衛生士ができることとは?仕事内容を紹介

歯科衛生士は、主に以下5つの業務ができます。

  1. 歯科予防処置
  2. 歯科保健指導
  3. 歯科診療補助
  4. 口腔機能訓練
  5. ホワイトニング

1.歯科予防処置

患者さんの虫歯や歯周病を予防するための処置です。

フッ素を塗布したり、歯垢や歯石を専用器具・機械で取り除く作業を行います。

歯を失う原因の多くは虫歯や歯周病のため、患者さんの歯を守るべく、日ごろから虫歯や歯周病を予防するための処置を行います。

2.歯科保健指導

歯科保健指導は、患者さんがご自身で虫歯や歯周病を予防するための口腔ケア方法を指導することです。

健康な生活を送る上での歯やお口の大切さを説明し、生活習慣改善のアドバイスや、歯の磨き方、フロスの使い方などを指導します。

一度自身で歯を磨いてもらい、磨き残しを確認して歯ブラシの使い方をお伝えするという内容になります。

幼稚園や保育園に出向いて子どもに説明を行うなど、地域への貢献もできる業務です。

3.歯科診療補助

歯科診療が円滑に進められるように、歯科医師の診療を補助する役割です。

具体的には、待合から診察室への誘導やうがいの案内、唾液や水の吸引など、歯科医師が治療に専念できるよう業務をサポートします。

治療中、器具を渡す役割も担っており、器具の名称や形状を覚えて適切に対応しなければなりません。

また、歯科医院には小さなお子様も来院することが多く、多くのお子様の患者さんは歯科治療が苦手なため緊張をほぐすことも大事な仕事です。

コミュニケーション能力も必要になってくるでしょう。

4.口腔機能訓練

咀嚼や嚥下機能が低下してくる高齢者や、病気などによるリハビリテーションを目的に、お口周りを鍛えるトレーニングを行う訓練です。

安全な食べ方や噛み方を指導し、「おいしく食べる」ために訓練を行います。

飲み込む機能(嚥下機能)が低下すると、食べかすや逆流した胃液、口腔内の最近が誤って気管に入ってしまうという、「誤嚥性肺炎」が起こりやすくなります。

こうした病気を防ぐために重要な役割を担っているというわけです。

5.ホワイトニング

歯科衛生士は、歯科治療以外にホワイトニングも行うことができます。

歯に専用の薬剤を塗布し、ライトを当てて歯を白くしていきます。こうした施術以外にも、歯を白く保つためのアドバイスも行います。

ただし、歯科医師の指導や監督のもと行ってください。

歯科衛生士と歯科医師・歯科助手との違いとは?

それでは、「歯科医師」「歯科衛生士」「歯科助手」の職種についてそれぞれ紹介していきます。

歯科衛生士と歯科医師との違い

歯科医師は、国家資格を持って歯の治療を行う専門職です。

歯科衛生士は補助以外にも歯科予防処置や歯科保健指導を行うため、単なる補助役ではありませんが、大まかに説明すると治療ができるかどうかです。

後程説明する「絶対的歯科医行為」は、歯科医師にしかできない業務で、歯科衛生士がやってはいけない業務が存在します。

歯科衛生士と歯科助手との違い

歯科衛生士と歯科助手の違いは、国家資格を必要とする職種であるかどうかという点になります。

歯科衛生士は国家資格を有していないとなれません。しかし、歯科助手は資格が無くても就業できます。

離職率の高さもあり歯科衛生士が不足している中、歯科助手は資格を必要としないため、採用ハードルが低いメリットがあります。

歯科助手の基本的な業務内容は、以下の通りです。

  • 患者さんの応対
  • 受付業務、事務作業
  • 器具の滅菌
  • 待合スペースや診療室の清掃
  • 診療中の器具の受け渡しなどの補助
  • カルテの管理

歯科衛生士と比較してできることに限りはありますが、幅広く業務を任せられるため、歯科衛生士不足の穴を埋める形で活躍してくれます。

歯科助手は、医療行為ができません。誤って医療行為を任せてしまうと医療事故につながる恐れもあり、法律で罰せられる可能性があります。

歯科衛生士がやってはいけないこと

歯科衛生士は国家資格で認められた職種ですが、業務の中でやってはいけないことがあります。

それは、以下の2点です。

  1. 絶対的歯科医行為
  2. 歯科医師の監視下にない相対的歯科医行為

絶対的歯科医行為

絶対的歯科医行為とは、歯科医師しかできない業務です。

虫歯治療や抜歯、レントゲン撮影、麻酔などがそれにあたり、治療行為は歯科医師にしかできません。

レントゲン撮影に関しては、撮影は歯科医師しかできませんが、撮影の説明や誘導などは歯科衛生士でも行えます。

歯科医師の監視下にない相対的歯科医行為

相対的歯科医行為とは、表面麻酔や歯石の除去、ホワイトニングなどのことです。

相対的歯科医行為は、歯科医師の監視・指示がなければ行うことができません。

相対的歯科医行為の中でも、難易度が高いものであれば歯科衛生士のスキルによって対応できる業務であるか、またその範囲が異なります。

医療事故を防ぐためにも、経験やスキルが必要となる業務は、ベテランスタッフに任せるようにしましょう。

歯科衛生士がやってはいけない業務の例

歯科衛生士がやってはいけない業務の具体例は、以下の5つが挙げられます。

  1. 歯牙の切削
  2. 歯茎切開や切除・抜歯
  3. 精密印象・咬合採得
  4. 麻酔注射
  5. レントゲンの撮影

歯牙の切削

う蝕に罹患した歯質を取り除く作業、つまり虫歯の治療ですが、これは歯科衛生士はやってはいけません。

歯科医師のみが許される行為で、歯科衛生士がこうした治療行為をすると、他の部位を損傷させるといった医療事故につながる恐れがあります。

たとえ歯科医師であってもミスが起こり得る繊細な作業であり、ミスを犯すと最悪命にも関わるため、絶対に歯科衛生士が行ってはいけません。

歯茎切開や切除・抜歯

歯茎切開や切除、および抜歯についても歯科衛生士は行ってはいけません。

親知らずの抜歯でよくある医療行為ですが、親知らずの抜歯に限らずできません。

表面麻酔はしてもいい行為に入ることから、歯茎切除なども大丈夫と思われるかもしれませんが、抜歯・切開切除はできないため注意しましょう。

精密印象・咬合採得

精密印象・咬合採得も、歯科衛生士がやってはいけない業務です。

咬合採得に関しては、一見歯科衛生士でもできそうな業務に思えるかもしれません。

しかし、適切な方取りを行うことは難しく、歯を傷める恐れがあるため歯科医師のみできます。

麻酔注射

麻酔注射は、皮下、皮肉、歯内へ注射する麻酔が該当します。

表面麻酔に関しても、相対的歯科医行為に該当するため、歯科医師の指示・監視下でなければ行えません。

レントゲンの撮影

レントゲンの撮影も歯科衛生士はできません。

レントゲン撮影は歯科医師のほか、医師や診療放射線技師のみが行える業務です。

レントゲン室への案内や撮影に関する説明や準備は歯科衛生士でもできます。ただし、撮影のスイッチは押せません。

歯科衛生士がやってはいけない業務を行うと処罰の対象になる

歯科衛生士が認められた業務の範囲外のことをすると、処罰の対象となります。

歯科衛生士が歯の治療をしていたとして、実際に逮捕された例もあります。

参照:留守の治療は衛生士 歯科医ら歯科医師法違反容疑で逮捕|朝日新聞デジタル

この事件では、歯科衛生士が歯を削る治療やX線撮影をしていたとして、歯科医師・歯科衛生士の2人が逮捕されています。

このように、やってはいけない業務を行うと法律で罰せられるため、歯科医師はもちろん歯科衛生士も注意しなければなりません。

上司や医師からの命令だからといって、絶対的歯科医行為はしてはいけません。命令されても勇気をもって断ることが必要です。

歯科衛生士の5つの魅力

歯科衛生士は、国家資格を持っていなければなれない職種で、働くことに魅力も多い仕事です。

具体的には、以下の5つの魅力があります。

  1. 働き場所に困らない
  2. 深夜勤務がない
  3. やりがいがある
  4. 長く働ける
  5. キャリアアップを目指せる

1.働き場所に困らない

歯科衛生士は、長年人手不足が続いている状態で、新卒就職者の数よりも求人数の方が圧倒的に多い売り手市場となっています。

全国歯科衛生士教育協議会の調査によると、2023年の新卒歯科衛生士の求人倍率は23.3倍で、かなり就職しやすい状況であるといえます。

もし就職した医療機関が自分に合っていなかったとしても、転職先を探しやすい職種であることは間違いないでしょう。

参照:歯科衛生士教育に関する現状調査の報告|全国歯科衛生士教育協議会

2.深夜勤務がない

歯科医院は基本的に深夜勤務がないため、時間に融通が利き、予定を立てやすい仕事です。

歯科医院の多くは、19時~20時くらいには診療を終了し、深夜帯の時間はゆっくりと過ごせます。

歯科医院は水曜日もしくは木曜日と、日曜日・祝日を休診日としているところが多く、休みが固定されている点も魅力です。そのため、休みや終業後の時間を確保しやすく、仕事とプライベートを分けて生活しやすく、私生活も充実しやすいです。

結婚後も主婦と両立しやすい職業であり、非常勤で働く歯科衛生士も少なくありません。

こういった職場環境であることから、育児休業をとっても復職しやすいのも魅力の一つです。

3.やりがいがある

歯科衛生士として働く多くの人はやりがいを感じて仕事をしています。

日本歯科衛生士会のアンケート調査によると、「現在の仕事にやりがいを感じていますか」という質問に対して、「非常にそう思う」が27.5%、「まあそう思う」が56.8%と、8割以上の方はやりがいを感じています。

また、「歯科衛生士として誇りを感じていますか」という質問に対しても、「非常にそう思う」「まあそう思う」の合計が78.1%と、誇りが感じられる仕事であることも読み取れます。

参照:歯科衛生士の勤務実態調査報告|日本歯科衛生士会

歯科衛生士は、患者さんのお口の健康を守る仕事であり、人や社会に貢献できる点がやりがいにつながると考えられます。

継続して通院されている患者さんとも親しくなりやすいお仕事のため、患者さんから感謝されることでやりがいを感じられるでしょう。

収入も安定しており、売り手市場であることから転職先となる職場を探しやすいという点から、心に余裕を持ちやすくやりがいを持って働きやすい職種であるといえます。

4.長く働ける

歯科衛生士は、国家資格であり一度取得すると長く働ける職業です。

コンビニの数よりも多いと言われる歯科医院ですが、歯科衛生士は不足していることから、今後も歯科衛生士の需要は高まり続けると予想できます。

働き手に対して求人数が多いため、引っ越しをした場合、産休で退職した場合でも復職しやすい職業です。

長く働きたいとビジョンを持っている方におすすめです。

5.キャリアアップを目指せる

歯科衛生士の取得をしたらそれで終わりではなく、キャリアアップも目指せるのも魅力の一つです。

歯科衛生士として持っているとキャリアアップや昇給が目指せる資格の例として、以下が挙げられます。

資格の名前 内容
日本歯周病学会認定歯科衛生士 歯周病に関する知識、処置の方法など
日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士 口腔インプラントの治療のケアに関する専門知識の認定制度
臨床歯科麻酔認定歯科衛生士 麻酔のための必要な知識・技術に関する資格。歯科医師の補助で麻酔ができるようになる
ホワイトニングコーディネーター ホワイトニングに関する知識や技術の認定
歯並びコーディネーター 歯の矯正に関する知識のための資格

上記はあくまで一例で、他にもたくさんの資格があるため、資格を取得して知識・技術を向上させていけばさらなるキャリアアップを目指せるでしょう。

まとめ:歯科衛生士ができることを理解して業務に取り組もう

歯科衛生士は、業務の中でできることとやってはいけないことがあります。

できない行為は、法律によって定められているため、やってはいけない業務を行ってしまうと罰せられます。注意しなければなりません。

とはいえ、歯科衛生士は十分にやりがいを感じられ、魅力の多い仕事です。正しい知識を持って適切に従事していれば楽しく働ける可能性も高いです。

歯科衛生士ができることをしっかりと理解して、医療事故を起こさないように業務にあたりましょう。