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歯科医院のクレーム対応ガイド!よくある5つのケースと対処法を紹介

歯科医院において、患者からのクレームは、できる限り避けたいものです。クレーム対応を誤ると酷評につながり、歯科医院の運営に悪影響がでかねません。

クレームを速やかに解決するためには、患者に寄り添った初期対応が重要です。

そこでこの記事では、歯医者でクレームになりやすい5つのケースと、その対処法について詳しく説明します。歯科医院と患者の関係を円滑にするためにも、参考にしてみてください。

歯科医院でよく見られるクレーム

歯科医院において発生するクレームは、具体的にどのような内容があるのでしょうか。まずはよく見られるクレーム例についてチェックしていきましょう。

  1. 予約制なのに待ち時間が長い
  2. 予約が取りづらい
  3. 治療期間が長くていつ終わるかわからない
  4. 治療費用が高い
  5. 治療内容に関する「言った」「言わない」のすれ違い

ケース1:予約制なのに待ち時間が長い

予約制の歯科医院でも、前の患者の治療時間が長引くと、次の患者を待たせてしまうことがあります。このような場合、予約時間通りに来院した次の患者に待ち時間が発生して「予約してきたのに遅い」というクレームにつながりかねません。

治療時間が長引いている場合は、患者さんから指摘される前にクリニック側から声がけして、待たせてしまうことを先にお詫びしておくとよいでしょう。

ケース2:予約が取りづらい

歯医者で多いトラブルが、予約が取れないことに関するトラブルです。予約を取りたいのになかなか取れず、早急に治療してほしいのに予約を断られた患者は平静でいられません。

「いつだったら取れるの」と患者をイライラさせることもあるでしょう。

予約が取りにくい歯科医院では、患者側に混雑状況をあらかじめ見せておくことをおすすめします。クリニックの待合室やホームページなどで、混雑しやすい曜日や時間帯を知らせることで、患者もスケジュールの見通しが立てやすくなるでしょう。

ケース3:治療期間が長くていつ終わるかわからない

歯科における治療は、何度か通院してもらうことが一般的です。なかには数ヶ月かかるケースもあります。

患者によっては「わざと治療回数をふやして金儲けをしているのか」といった不信感を持つこともあるようです。

対処法としては、初診の際にどのような治療をするのか、どのくらい期間がかかるのか説明することがおすすめです。治療中も進捗を報告し、患者の質問にも丁寧に答えると、患者は安心して治療できるでしょう。

ケース4:治療費用が高い

歯科医院では、治療費が高額になることもクレームとして見られます。これは、保険が適用されない自由診療を受けた場合に起こりやすい内容です。

治療費用に関するクレームを防ぐためには、歯科医院側は保険適用内の治療と自由診療の違いを、あらかじめ患者に分かりやすく説明する必要があります。

自由診療を行う際は、先に見積書を作成して患者に金額を提示しておきましょう。

ケース5:治療内容に関する「言った」「言わない」のすれ違い

治療内容の説明が十分でないと、クレームの原因になることもあります。また、歯科医院側が十分に説明していても「言った」「言わない」のすれ違いもあるようです。

このようなケースの対処法は、事前に治療の注意点を説明し、患者の質問に丁寧に答えておくことです。治療に関する説明は口頭だけでなく、写真や模型といった視覚的なツールも活用すると患者も理解しやすくなります。

また、あらかじめ治療同意書を作成することも対処方法のひとつです。

歯科医院のクレームは必ずしも悪いものではない

赤と白のマッサージチェア

患者からのクレームは、必ずしもマイナス面しかないとは限りません。歯科医院の改善点を発見するきっかけになり、より良いサービスにつなげられることもあります。

そのため、患者からのクレームを受けた際は、貴重な意見として誠意を持って対応することが重要です。

また、クレームは誰しもが直接口に出せるものではありません。医院内にご意見箱を設置したり、ネット上でアンケートを募るなどして、患者の不満を見過ごさないシステムを取り入れてみましょう。

歯科医院のクレームを受けたときの対応方法

黒いペンを持つ白いドレスシャツの男

患者からクレームを受けてしまった際は、冷静に患者の気持ちを汲み取って誠実に対応することが大切です。ここで、歯科医院がクレームを受けたときの対応方法を見ていきましょう。

  1. 不快な思いをさせたことにまず謝罪する
  2. 患者の気持ちに寄り添いながら話を聞く
  3. クレーム内容を記録しておく
  4. 落ち度があった場合は改善策や補償を提案する

不快な思いをさせたことにまず謝罪する

クレームの内容には納得いかない部分があったとしても、患者に不快な思いをさせてしまったことには間違いありません。そのため、クレームを真摯に受け止めて、まずは謝罪することも大切です。

もし、お詫びをせずにクレーム対応を進めてしまうと、患者はより感情的になってしまい、さらなるトラブルへと発展する恐れもあります。そこでまずは不快な思いをさせてしまったことに対してのお詫びをしましょう。

ここでの注意点としては、クレームの内容を全面的に謝罪してはいけません。内容をしっかり聞かないまま全面的に謝罪してしまうと、「すべての非は歯科医院側にある」と患者に思われてしまう可能性もあります。

患者の気持ちに寄り添いながら話を聞く

不快にさせたことへのお詫びの気持ちを伝えた後は、患者の話に熱心に耳を傾けましょう。

患者の話にしっかりとうなずき、相づちを打ちながら共感して、理解しようとする姿勢を伝えることがポイントです。

ただし、不可能なことでも「医院側で何とかします」と受けてしまわないように注意してください。要求に対してどうしても応えられない場合もあるので、患者さんの気持ちに寄り添いながらも、真摯にその旨を伝えることが大切です。

クレーム内容を記録しておく

クレームの内容については、カルテなどに記載して記録するのがいいでしょう。記録しておくことで、次回患者が来院した際の注意意識やお詫びするのに役立ちます。

また、「前も伝えたのに改善されてない」といった二次クレームへつなげないためにも記録は重要です。

落ち度があった場合は改善策や補償を提案する

クリニック側に落ち度があり、対応が必要な場合は、その改善策や補償内容を患者に提案しましょう。

クレームを訴える側の要求としては、「謝罪してほしい」「自分の状況を理解してほしい」「改善してほしい」などに分類されます。患者とスムーズに和解できるように努めてください。

すぐには解決できない場合であっても、いつまでにどうするのかなどの流れを伝えておきましょう。

こんな対応はNG!歯科医院のクレーム後に気をつけたいポイント

白い白衣を着た女性が窓の外を見ている

患者のクレームに対応する場合は、やってはいけないことが3つあります。ここでは、歯科医院のクレーム発生時に避けるべきNG行動をご紹介します。

  1. 患者さんの話をさえぎる
  2. 迷惑そうな態度を取る
  3. 歯科医院の常識を押し付ける

患者さんの話をさえぎる

まずは患者さんの聞き役に徹することがポイントです。患者さんの話を途中でさえぎらないようにしましょう。

「でも」や「それは違います」などと話の途中で発してしまうと、患者に言い訳と捉えられかねないので注意が必要です。

患者が言いたいことを全て吐き出すことで、自然に気持ちがスッキリして怒りが抑えられるパターンもよくあります。

迷惑そうな態度を取る

クレームを受けた際、迷惑そうな態度を取らないようにしましょう。このような対応をしてしまうと、患者が逆上してしまい、さらに大きなトラブルへとつながりかねません。

また、患者を疑うような言動をしないこともポイントです。信じがたい内容であっても「本当ですか?」と聞き返したり、話を否定したりしないようにしましょう。患者は疑われたことに気分を害し、「悪者扱いされた」と怒りが増す可能性があります。

歯科医院の常識を押し付ける

歯科医院内では常識であっても、患者の話を一方的に否定しないようにしましょう。患者は病院の治療を黙って受け入れるべきだという考えを表してしまうと、患者に不快感を与えてしまいます。

医師が推奨する治療内容を患者に押し付けることなく、患者にとって最善の治療を行えるように協力する姿勢を見せましょう。

歯科医院がクレーム対策のためにすべきこと

壁からぶら下がっている歯科用器具の列

クレームが発生した際、どのように対処するかによって、その後大きなトラブルに発展するかどうかが決まります。クレーム対応を誤らないために、以下の4点に取り組んでおくことをおすすめします。

  1. 歯科医師から適切に漏れなく説明する
  2. クレーム対応時のマニュアルを作成する
  3. ロールプレイングを院内で実施して慣れておく
  4. クレーム内容を院内で共有する

歯科医師から適切に漏れなく説明する

歯科医院での治療は、患者にとって痛みや不安を伴うものです。そのため、歯科医師から適切に漏れなく説明を受けることが、患者の満足度に大きく影響します。

もし説明が不十分だと、患者は治療の内容やリスク、費用などを正確に理解できず、クレームの原因になるので注意が必要です。

クレーム対応時のマニュアルを作成する

クレームが発生した際、スタッフや医師によって対応がバラバラだったり不十分だったりすることもあります。

発生したクレームに対しては、迅速かつ適切に対応することが重要です。そのためには、クレームが起こったときに、全員がスムーズに対応できるマニュアルを作成しておくことが望ましいでしょう。

クレームが発生した場合に誰がどのように対応するか、また周囲はどのようにフォローに入るかなどを明確に記載しておくと、一貫性が向上します。

ロールプレイングを院内で実施して慣れておく

クレーム対応に慣れていない新人スタッフの場合、患者が怒って大きな声を出していることに萎縮して、落ち着いた対応ができなくなってしまうこともあります。

どのような状況でも冷静に対応していくためには、日頃からスタッフ同士でロールプレイングを実施し、クレーム対応に慣れておきましょう。

クレーム内容を院内で共有する

クレームが起きた際は、その事実をスタッフ全員で共有し、次に同様のトラブルが起きたときの対処法として学ぶことも重要です。事後共有しておくことによって、他のスタッフが同じようなミスをしてしまうことを防げます。

また、現在進行しているクレームも、全員が状況を把握しておけば、必要な対処を取れるでしょう。

歯科医院に向けた悪質なクレーマーへの対策

白い表面に茶色の木製工具

真摯な態度で適切な対応をしても、クレームを入れた患者の怒りが収まらない場合は、警察や弁護士への相談も検討しましょう。

暴言や暴力を起こす患者は、他の患者にまで被害が及ぶ可能性があります。悪質なクレーマーによる危険を感じた場合は、いつでも通報できる準備をしておいてください。

また、あまりに理不尽な要求をされる場合には、法律の専門家に対応を任せることも選択肢の一つです。

悪質なケースは、脅迫罪や威力業務妨害罪などの犯罪行為にあたることもあります。自院だけでの解決が難しいと感じた場合は、弁護士への相談を視野に入れましょう。

まとめ:歯科医院のクレームには冷静かつ適切に対応しよう

白いセラミックシンクの近くの白いセラミックシンク

患者からのクレームは、歯科医院の問題点を見つける貴重な機会でもあります。まずは真摯な態度で耳を傾けることが大切です。

歯医者でクレームを防ぐためには、マニュアルを作成してスタッフ全員が対処法を把握しておくことが求められます。

この記事を参考にしながら、歯科医院のクレームに冷静かつ適切に対応してください。