「クリニック開業時から働いていたスタッフから辞めると言われた」
「スタッフの離職率をなんとかして下げたい……」
このような悩みを抱える経営者の方も、いるのではないでしょうか。
クリニックスタッフが辞める場合は、原因もわからないまま引き止めても離職の原因は根本から防げません。
そこで本記事では、クリニックスタッフが辞める9つの原因を紹介していきます。10個の解決法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
クリニックスタッフが辞める9つの原因
それでは、クリニックスタッフが辞める9つの原因について解説していきます。
- 院長がスタッフの雇用に慣れていない
- 人間関係や職場の雰囲気が悪い
- 昇給ルールが曖昧で給料が安い
- 激務で休みが取れない
- ワークライフバランスが悪い
- 院内が古く清潔感がない
- 医療機器や業務システムが古い
- 患者さんからの評判が悪い
- 仕事にやりがいを感じられない
院長がスタッフの雇用に慣れていない
クリニックスタッフが辞めるのは、院長がスタッフの雇用に慣れていない可能性があります。
クリニックを開業する前は、多くの医師が勤務医として働いていたはずです。
スタッフを雇用する場合は、クリニックのトップとしてリーダーシップやマネジメント能力、コミュニケーション能力が欠かせません。
院長にこれらの能力が備わっていなければ、クリニックのトップとしてスタッフをまとめるのは難しく、不満にもつながるでしょう。
人間関係や職場の雰囲気が悪い
クリニックの人間関係や職場の雰囲気が悪いと、スタッフが辞めたいと思う原因になり得ます。
例えば仕事でミスをしたとき、院長から患者や他のスタッフがいる前で指摘を受けた、お局の指導が厳しすぎるなどが挙げられます。
このようなことが続けば、スタッフは精神的に辛くなりますし、モチベーションが下がれば職場の雰囲気も悪くなります。雰囲気の悪い職場では、気持ちよく働けないでしょう。
昇給ルールが曖昧で給料が安い
昇給ルールが曖昧で給料が安いのも、スタッフが辞めたいと思う原因の一つです。
働きはじめはやる気にも満ちていて、モチベーションが高いスタッフも多いでしょう。
しかし、どんなに頑張っても一向に昇給しない、昇給ルールも曖昧で給料が安いままでは、スタッフのモチベーションが下がる恐れがあります。
激務で休みが取れない
激務で休みが取れないのも、スタッフが辞めたいと思う原因です。
クリニックでは業務量が多くなるため、休みが取れなければ肉体的にきつくなります。
休みが取れなければ、プライベートの時間を持てず、心身ともに擦り減り、限界を感じたとき、辞めたいと思うのは仕方ないことでしょう。
ワークライフバランスが悪い
ワークライフバランスの悪さも、スタッフが辞めたいと思う理由です。
夜勤や仕事以外で研修や勉強会があると、不規則な生活を余儀なくされ、ワークバランスが崩れます。
日勤のみで夜勤がないとしても、勤務終了後の雑用に時間を取られることも少なくありません。
特に、レセプト業務も担当している場合、毎月残業が当たり前になれば、担当者には大きな負担がかかります。
院内が古く清潔感がない
院内の設備が古いのも、スタッフが辞めたいと思う理由になる可能性があります。
古い設備は使い勝手が悪かったり、清潔感がなかったりするので、スタッフのモチベーションにも影響しかねません。
見た目だけでなく、雨漏りや空調トラブルが頻繁に起きれば、患者さんからのクレーム対応に追われスタッフの負担が増えます。
医療機器や業務システムが古い
医療機器や業務システムが古いと、時間や手間がかかり不便に感じます。
新しい医療機器や業務システムであれば省ける工程も、古いために時間や手間がかかればスタッフの負担が増え辞めたいと思う原因になるでしょう。
患者さんからの評判が悪い
患者さんからの評判が悪ければ、スタッフの耳にも入ります。
患者さんからよく思われていないクリニックは、クレームが多くなる恐れもあるため、医師と患者さんの間に立つスタッフにとっても居心地はよくありません。
仕事にやりがいを感じられない
仕事にやりがいを感じられないのも、スタッフが辞めたいと考える原因です。
例えば、雑務ばかりで一向にスキルアップできない、仕事がマンネリ化してモチベーションを保てないなどが挙げられます。
仕事にやりがいを感じられなければ、辞めたいと思うのも仕方ありません。
スタッフを大事にしないクリニックの特徴
次に、スタッフを大事にしないクリニックの特徴を見ていきましょう。
- スタッフへの指示が多すぎる
- 福利厚生が充実しすぎている
- 定期的な面談で満足してしまう
- 経営理念がスタッフに浸透していない
スタッフへの指示が多すぎる
スタッフへの指示が多すぎると、信頼されていないと感じる可能性があります。
スタッフを教育するつもりで指示を出していても、多すぎればスタッフは信頼されていないと感じるでしょう。
何をするにも指示が飛んでくれば、自分の裁量で仕事ができなくなり、やる気を失い辞めたいと思わせてしまいます。
福利厚生が充実しすぎている
福利厚生が充実し過ぎているのは、意外にもスタッフが辞めたいと思う原因の一つです。
福利厚生が充実しているのは一見良いことのように思えますが、充実させるにはコストがかかります。
使わない福利厚生にコストをかけるなら、それを給料に反映して欲しいと考えるスタッフもいるでしょう。
定期的な面談で満足してしまう
定期的な面談で満足するのは危険です。
スタッフの声を聞こうと定期的に面談していても、対面では言いたいことが言えないスタッフもいるでしょう。
頻繁に面談があっても本音を言えないだけでなく、面倒で窮屈と感じれば辞めたいと思うかもしれません。
経営理念がスタッフに浸透していない
経営理念がスタッフに浸透していなければ、スタッフは目標を設定できません。
どんなに立派な経営理念を掲げても、それがスタッフに浸透していなければ共有はかなわないでしょう。
スタッフが将来像をイメージできるよう、経営理念は浸透させておいてください。
クリニックスタッフが辞めるのを防ぐための解決法
では、クリニックスタッフが辞めるのを防ぐための解決法を紹介します。
- スタッフとのコミュニケーションを円滑に取る
- スタッフの教育制度を整備する
- 適正な労働条件や給与に見直して福利厚生を整える
- 築浅・キレイな建物を選ぶ
- 清掃業者に依頼して清潔感を維持する
- 医療機器・業務システムを最新版にアップデートする
- やりがいを感じてもらうためのサポートをする
- スタッフの人数は余裕を持って多めに採用する
- スタッフなしでは運営できないことを意識する
- 雇用する前に適性検査を導入する
スタッフとのコミュニケーションを円滑に取る
スタッフとのコミュニケーションは、円滑に取るよう意識してください。
コミュニケーションが取れなければ、良好な関係は築けません。
日頃から積極的にスタッフとコミュニケーションを取り、良好な関係を築ければ職場の雰囲気も良くなっていくでしょう。
スタッフの教育制度を整備する
スタッフの教育制度を整備するのも大切です。
教育制度は新人に仕事を覚えてもらうためだけでなく、スキルアップしたいと考えるスタッフのサポートも取り入れましょう。
教育制度が整っていれば、新人も早く仕事を覚えられ、スキルアップできればできる仕事も増え仕事にやりがいを見いだせるようになる可能性があります。
スタッフが快適に働けるよう、教育制度の整備を検討してください。
適正な労働条件や給与に見直して福利厚生を整える
適正な労働条件や給与の見直し、福利厚生を整えることも重要です。
仕事に見合った給料をもらえなければ、スタッフは不満を持たれかねません。
そこで、適正な労働条件や給与を見直せば、スタッフはモチベーションを維持しやすくなります。
福利厚生が整っていれば、仕事と家庭の両立もしやすくなるでしょう。
築浅・キレイな建物を選ぶ
これから物件を選ぶなら、築浅で清潔感のあるキレイな建物を選びましょう。
できるだけ築浅で、きれいな物件であれば見た目にも清潔感があります。職場の環境が良ければ、スタッフは気持ちよく働けるでしょう。
清掃業者に依頼して清潔感を維持する
清掃業者に依頼して清潔感を維持するのも有効です。
掃除はスタッフに協力してもらうクリニックが多く見られますが、忙しい中でスタッフの手が空かない現状は少なくありません。
そこで、清掃業者に依頼すれば、看護師の負担が減り院内の清潔感も維持できます。
医療機器・業務システムを最新版にアップデートする
医療機器や業務システムが古いと、操作に手間と時間がかかりスムーズに業務を遂行できません。
可能な範囲で医療機器や業務システムは、最新版にアップデートしましょう。
医療機器や業務システムが使いやすければ、業務効率化にも役立ちスタッフも働きやすくなります。
やりがいを感じてもらうためのサポートをする
スタッフが辞めるのを防ぎたいなら、やりがいを感じてもらうためのサポートは欠かせません。
頑張っているスタッフを褒める、ミスしても人前で指摘しない、指摘後はフォローするなどが挙げられます。スタッフに任せられるところは任せれば、自分を信頼してくれていると励みになるでしょう。
スタッフが休憩する、スタッフルームの設備を充実させるのも有効です。スタッフの希望をヒアリングし、可能な範囲で設備を整え、スタッフの満足度を高めましょう。
スタッフの人数は余裕を持って多めに採用する
スタッフの人数には余裕を持っておくことも大切です。
常にギリギリの人数で運営していると、病気や怪我、急用などで休むスタッフがいた場合、他のスタッフにかかる負担が大きくなります。
もしも突然スタッフが辞めてしまえば、残されたスタッフの負担や不安は計り知れません。スタッフを採用する場合は、少し余裕を持たせるためにも多めに採用しましょう。
スタッフなしでは運営できないことを意識する
クリニックの円滑な運営の実現には、スタッフの存在が欠かせません。
スタッフがすぐに辞めてしまうクリニックの特徴として、スタッフを大事にしないことが挙げられます。
全てのスタッフの希望を叶えるのは難しくとも、できるだけスタッフの意見を聞き、スタッフが働きやすい環境を整えましょう。
ときには、スタッフへの感謝の言葉をかけるもことも大切です。
雇用する前に適性検査を導入する
スタッフを雇用する際に、適性検査を導入するのも有効です。
適性検査を導入すれば、採用のミスマッチを防ぎ、客観的な目線で採用できます。
適性検査なしで採用すれば、スタッフ間のトラブルが起き職場の雰囲気が悪くなる恐れがあります。後から辞めて欲しいと思っても、そう簡単にはいきません。
- クレペリン検査:求職者の能力面・性格や行動の特徴
- Y-G性格検査:環境に適応できる性格
- SPI3:適性検査と性格検査
- 玉手箱III:知的能力とパーソナリティ
- GAB:チームワークやバイタリティ
適性検査にはさまざまな方法があるので、自院に合った方法を見極めてください。
クリニックスタッフについてよくある質問
では最後に、クリニックスタッフについてよくある質問を紹介します。
クリニックスタッフが辞める時の予兆はありますか?
クリニックスタッフが辞める予兆としては、不満を言わない、コミュニケーションが減ったなどが挙げられます。
何を言っても改善されない、自分の希望が通らないといった状態が続けば、関係は徐々に悪化するでしょう。
「普段より雰囲気が違う」「思い悩んだ顔をしている」など、ちょっとした変化にも予兆は見受けられます。相談に乗ることが大切です。
スタッフの適正人数は何人ですか?
スタッフの適正人数は、1人のスタッフに対して患者20人までとされています。
スタッフを雇う際は、最大患者数に合わせて人数を見極めてください。
辞めてもらいたいスタッフにはどのような対応を取れば良いですか?
辞めてもらいたいスタッフへの対処法は、解雇と退職勧奨による自主退職の2通りです。
ただし、突然解雇を言い渡されたスタッフが納得できなければ、労働基準監督署に訴えかけ訴訟に発展する恐れがあります。
1人のために職場の雰囲気が悪くスタッフが辞めたい理由になっているなら、本人に問題点を自覚させましょう。
説得力を増すために、問題行動を記録しておくのも効果的です。
まとめ:クリニックスタッフが辞めない職場の環境づくりをしよう
クリニックの安定した運営には、スタッフの協力が欠かせません。
院長がしっかりと自分を見て理解し、信頼されていると実感できればモチベーションも保てます。
また、気持ちよく働けるような、クリニックスタッフが辞めない職場の環境づくりも意識してください。