看護業務においては、さまざまなシーンで看護師がリーダーシップを取る必要となる機会があります。
看護師がリーダーシップを発揮すれば、業務効率向上や看護の質を高められるでしょう。
「看護師のリーダーシップには何が求められる?」
「看護師のリーダーシップはどのような役割がある?」
そこで本記事では、看護師のリーダーシップについて解説します。求められる7つのスキルも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
看護師のリーダーシップとは?
リーダーシップとは、自分が軸となり、チームをまとめ上げて統率力を高めること。
看護師のリーダーシップといえば、看護部長や看護師長などの管理職を思い浮かべるかもしれません。
ですが、各部署のチーム単位でもリーダーシップは求められます。チームのために積極的に動ける人材こそリーダーシップを持っていると言えます。
なお、看護師のリーダーシップには、人より秀でた特別なスキルや能力は必要ありません。
看護師におけるリーダーシップの役割
それでは、看護師におけるリーダーシップの役割について解説していきます。
- サポート役
- 仕切り役
- 橋渡し役
サポート役
看護師のリーダーシップにおいては、サポートの役割があります。
部署内やチーム内のメンバーに経験が浅い看護師がいた場合、業務に慣れておらず支障が出たり患者さんへの対応に困ったりする恐れがあります。
そこで、リーダーがサポート役になり適切な指示やアドバイスをすれば、メンバーは安心して業務を遂行でき、看護の質も向上するでしょう。
仕切り役
看護師のリーダーシップでは、仕切り役として活躍するシーンも多々あります。
チームで業務を行う場合、メンバーそれぞれが受け持つ患者さんの割り振りが必要です。
急患や割り込み検査などがあった場合、一部のメンバーに負担が集中すれば不満に思うこともあるでしょう。
リーダーは、メンバーのスキルや状況を把握しながら、業務量の偏りが生じないよう、仕切り役として担当を振り分けなければなりません。
橋渡し役
橋渡し役は、病棟内や他病棟及び他職種への連絡と、スケジュール管理を担います。
医師から看護師への指示や、看護師から医師に指示を仰ぐとき、病棟間の移動や手術では、他部署とのスケジュール管理調整なども必要です。
あらゆるシーンにおいてリーダーが橋渡し役となれば、スムーズに業務を遂行できるでしょう。
看護師のリーダーシップとして求められる7つのスキル
次に、看護師のリーダーシップとして求められる7つのスキルを紹介します。
- 看護の知識とスキル
- 指導力・伝達力
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- 状況把握力
- 組織の管理能力
- チームの連携能力
看護の知識とスキル
看護師のリーダーシップには、看護の知識とスキルが欠かせません。
例えば、高齢者や慢性疾患の患者さんに対応する場合、看護の知識とスキルに乏しければ、適切な看護を提供できない恐れがあります。
看護の知識とスキルが高い看護師がリーダーになれば、よりよい看護を提供できるでしょう。
ただし、看護の質を向上させるためには、リーダー自身の継続的なスキルアップも必要です。
指導力・伝達力
各部署やチーム内でリーダーシップを発揮するには、指導力と伝達力が必要です。
部署やチーム内に新人看護師がいる場合は、指導力が求められます。ただ指導するだけでなく、やりがいを感じられるよう、新人看護師を指導しましょう。
なお、指導力があっても意図を正しく伝えられなければ、思わぬトラブルに発展しかねません。
伝達力はチーム医療においても重要なスキルです。リーダーシップを発揮するためにも、相手にわかりやすく伝えられるよう意識しましょう。
コミュニケーション能力
看護師がリーダーシップを発揮するには、コミュニケーション能力が必要です。
リーダーのコミュニケーション能力が低ければ、医師や看護師同士、他部署とのスムーズな連携は図れません。
コミュニケーション能力は、患者さんに適切な医療や看護を提供するためにも必要不可欠です。
コミュニケーション能力を高めるには、積極的に話かける以外にも、相手の話に耳を傾け理解するよう心がけてください。
問題解決能力
看護師のリーダーには、問題解決能力も必要です。
看護業務においては、予期せぬ問題やトラブルに直面する機会があります。
問題やトラブルが生じたとき、リーダーに助けを求めるでしょう。リーダーの問題解決能力が低ければ、チームメンバーが判断に困り、患者さんを不安にするかもしれません。
いかなる状況でも、看護師としてのリーダーシップを発揮できるように、冷静に判断と対応する問題解決能力を身につけましょう。
状況把握力
リーダーが部署やチームメンバーをまとめ適切な指示を出すには、状況把握力が必要です。
リーダーが状況を把握できていなければ、適切な指示が出せずメンバーを混乱させかねません。
現場が混乱すれば、ミスを引き起こす恐れもあります。リーダーが状況を把握して適切な指示を出せれば、メンバーも安心でき、業務中のミスといったリスクを軽減できるでしょう。
組織の管理能力
看護師のリーダーシップを発揮するためには、組織の管理能力が重要です。
部署やチームを組んで業務にあたるとしても、1人の看護師が対応できる業務量は限られます。また、看護師によって業務スピードが異なるため、業務量の調整も必要です。
どんなに優秀な看護師でも、自身のキャパシティを超えるとミスを引き起こしかねません。
リーダーは、部署やチーム内で業務量の調整をし、看護師が働きやすい環境を作れるよう組織の管理能力も求められます。
チームの連携能力
医師や他職種との連携が必要なチーム医療では、連携能力が問われます。
リーダーは、各部署とスムーズな連携を図れるように、正確に情報を把握しチームで共有しなければなりません。
チーム内の連携ができていなければ、他部署や他職種とスムーズな連携はかなわないでしょう。
看護師のリーダーを発揮するには、チーム内だけでなく他部署や他職種との連携が取れるかも重要です。
看護師としてのリーダーシップを発揮するポイント
では最後に、看護師としてのリーダーシップを発揮するポイントを4つ紹介します。
- 業務効率化を図るために優先順位をつける
- 指示に説得力を持たせる
- 常にスキルアップを目指す
- アメとムチを使い分ける
業務効率化を図るために優先順位をつける
看護師としてリーダーシップを発揮するためには、業務効率化を図るために優先順位をつけるよう心がけてください。
優先すべきことを後回しにすれば、業務に支障が生じ患者さんに適切な看護を提供できない恐れがあります。
まずは、状況を把握して、何を優先すべきか整理するよう心がけましょう。
指示に説得力を持たせる
リーダーが指示を出す際は、説得力を持たせることも大切です。
メンバーはリーダーから指示を出されても、なぜそうしなければならないのか理解できなければ戸惑うでしょう。
指示を出す際は、言葉だけでなくリーダー自らが行動し手本を見せるのも有効です。
常にスキルアップを目指す
看護師のリーダーシップを発揮するには、リーダー自身が常にスキルアップを目指すことも重要です。
スキルアップのために、研修に参加したり資格を取得したりするのも選択肢のひとつです。「認定看護師」や「専門看護師」の資格は、看護師のリーダーシップを発揮するために役立つでしょう。
アメとムチを使い分ける
リーダーは、アメとムチを使い分けるスキルが必要です。
メンバーがミスをしたり、看護師同士がぶつかったりした場合は、叱らなければならないこともあります。
ときには注意も必要ですが、指摘されてばかりではモチベーションを維持できません。
指摘と褒める部分、アメとムチを使い分けましょう。また、叱ったときはフォローも忘れないようにしてください。
まとめ:看護師としてのリーダーシップを発揮してチームの統率を図ろう
リーダーシップと聞くと、「自分にできるのか不安……」と思う方もいるでしょう。
看護業務では、看護部長や看護師長以外にも、リーダーシップを発揮しなければならない場合があります。
看護師としてのリーダーシップを発揮するポイントを把握していれば、誰でも実践できます。
本記事で紹介した内容を参考に、看護師としてリーダーシップを発揮し、チームの統率を図ってください。