病院のブランディングが注目されています。
しかし、実際に病院を経営している方の中には、ブランディングの必要性が分からないかたも多いのではないでしょうか。
本記事では、病院にもブランディングが必要な理由と、ブランディングに必要な要素、注意点について解説します。
この記事の内容
病院にもブランディングが必要な理由
病院経営にもブランディングが求められる時代になっています。
保険で成り立っている日本の医療制度においては、均一な医療サービスが提供されているのだから、わざわざブランディングをして他の医療機関との差別化を図る必要はない、と考える方も多いでしょう。
しかし実際のところ、病院にもブランドは存在し、患者が病院を選ぶ際の1つのポイントにもなりつつあります。
ここではまず、なぜ病院にもブランディングが必要なのか、2つの理由について解説します。
- 患者から質の高い医療機関が選ばれるため
- 深刻な人手不足で人材採用が急務であるため
患者から質の高い医療機関が選ばれるため
病院にもブランディングが求められているのは、患者が質の高い医療機関を選ぶようになっているからです。
保険制度によって均質化されたサービスが提供されている一方、医療機関によって専門分野や診療内容、地域特性などによる細分化も進んでいます。
そのため、患者側からすると病院を選ぶ際の基準が分かりにくく、「どの病院へ行くべきなのか」を決めるための判断材料が求められているのです。
均質化されたサービスを受けられると言っても、せっかくだからサービスが良く、安全・安心な医療機関を受診したいと考える患者が増えています。
どんな病院なのかを分かりやすく伝え、質の高い医療機関であることをアピールするための手段として、ブランディングの必要性が高まっているのです。
深刻な人手不足で人材採用が急務であるため
ブランディングは患者だけでなく、医療従事者へのアピールにもつながります。
多くの病院が人手不足に悩まされている中、優秀な人材の採用は急務です。
医療機関のブランドは、医療従事者が勤務先を決める判断材料になります。
医療従事者からしても、安心・安全で離職率が低く、働きがいのある場所で働きたいと考えるのは当然のことでしょう。
ブランディングには患者へのアピールだけでなく、医療従事者の確保という目的もあるのです。
病院のブランディングに必要な4つの要素
それでは、病院のブランディングにはどのような要素が必要なのでしょうか。
今のブランディングに求められる、以下の4つの要素について解説します。
- 病院の口コミ
- 医師や看護師の評判
- 病院施設・設備
- 治療技術
病院の口コミ
利用者による病院の口コミは、患者にとって重要な判断基準の1つになります。
特に都心など、病院の数が多い地域の場合は、「都内 内科」など地域名と症状や診療科目を組み合わせて複数の病院を吟味します。
その際、病院のホームページだけでは実際に来院した患者がどう感じたのかは分かりません。
口コミによって、患者目線での評価を確認できます。
患者の口コミの評価を上げるためには、対応や医療技術、施設の設備など、総合的に魅力を高めなければなりません。
医師や看護師の評判
病院の口コミの中に、
「受付の人の対応が悪かった」
「先生の診察がすぐ終わってしまった」
など、医師や看護師、スタッフへの不満が書かれているのを見たことがある方もいるはずです。
医師や看護師の評判は、病院の口コミ、ひいてはブランディングに直結します。
病院が目指すイメージを明確にしたうえで、スタッフ全員にも方向性を共有し、対応を促す必要があるでしょう。
病院施設・設備
施設が古かったり、設備が整っていない医療機関は、患者が敬遠する原因にもなります。
外観や内装の新しさ・綺麗さや、最新の設備が整っていることがアピールできれば、患者は安心感を得やすくなるでしょう。
施設や設備の管理には費用もかかるため、予算と相談しながらブランドイメージの実現に向けて動いていく必要があります。
治療技術
「どのような病院か」「安心・安全な病院か」を患者に判断してもらうためには、治療技術についての情報は欠かせません。
過去の治療実績や症例数を数字で示したり、得意とする治療について解説したりと、優れた治療技術があることをアピールしたいところです。
病院ブランディングにおける3つの注意点
病院のブランディングは、とにかく評価を上げるために広告をたくさん打ったり、最新の設備を導入したりすれば良いというものではありません。
最後に、病院ブランディングにおける注意点として、以下の3点について解説します。
- イメージが先行しないようにする
- 病院の特色を把握する
- 他病院の口コミや事例を参考にする
イメージが先行しないようにする
良いイメージのブランディングをしたい、と考えるのは当然ですが、実際の病院の評価との間に差があると、結果として評判が落ちてしまいます。
広告やホームページから良いイメージを持って来院したものの、実際には対応が悪かった、となれば、患者からの評価は下がってしまうでしょう。
そのため、イメージが先行し過ぎないように、実態の伴ったブランディングを考えていくことが大切です。
病院の特色を把握する
病院の特色に合ったブランディングを実施することも大切です。
「アットホームな病院を目指す」
「最新の治療技術を全面に押し出す」
など、クリニックの特色を把握して目指すべき方向性を決めなければ、具体的なブランディング施策は実施できません。
他病院の口コミや事例を参考にする
ブランディングに成功している他の病院の口コミや事例を参考にしてみることも大切です。
周辺の病院はもちろん、他地域で同じような特色を持った病院がないかを参考にし、良い口コミ・悪い口コミやブランディングの手法について調べてみましょう。
ブランディング戦略のヒントが得られるはずです。
まとめ:病院ブランディングを確立させよう
病院にもブランディングは必要です。
患者が病院を選ぶ際の基準が求められており、人手不足を解消するために、スタッフにとって働きやすい環境を作る必要もあります。
ブランディングには口コミを中心に、患者の満足度や安心感を高める取組みが必要です。
イメージが先行し過ぎないよう、特色をふまえて実態の伴ったブランディングを進めていきましょう。