「マイナ保険証」の導入が進む中で、具体的な使い方や準備について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、マイナ保険証の基本的な使い方や作成手順、導入時に押さえておきたい注意点を分かりやすく解説します。
患者からの問い合わせにも的確に対応できるよう、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
従来の健康保険証は2024年12月2日で廃止
2024年12月2日をもって、これまで使用されてきた健康保険証は廃止され「マイナ保険証」へと移行します。
マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、クリニックと患者の双方にとって事前準備が必要です。
スムーズな移行を実現するために、マイナ保険証の作り方や使い方を事前にしっかりと理解し、周知しておきましょう。
医療機関・薬局でのマイナ保険証の使い方
マイナ保険証の使い方は非常に簡単です。
顔認証付きリーダーの画面案内に従って操作すればよいだけなので、特別難しいことはありません。
以下に手順をまとめましたので、参考にしてください。
同意することで、クリニック側が過去の医療情報を確認できるため、より良い医療が受けられます。
マイナ保険証を使える医療機関・薬局
2024年4月からオンライン資格確認が義務化されたため、マイナ保険証が利用できる医療機関や薬局は増加しています。
ただし、まだ導入が済んでいない施設が存在するのも事実です。
マイナ保険証が利用できる医療機関や薬局には、目印としてステッカーやポスターが掲示されています。
出典:マイナポータル
事前にマイナ保険証が利用できる医療機関・薬局を確認する場合は、厚生労働省のホームページを参考にしてください。
マイナ保険証の作り方
マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには申請が必要です。
健康保険証利用の申請をするには、以下の3つの方法があります。
それぞれ見ていきましょう。
- マイナポータル
- セブン銀行のATM
- 医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダー
マイナポータル
スマートフォンやパソコンを使用し、ご自宅で登録できます。
パソコンの場合はカードリーダーが必要ですが、スマートフォンの場合はNFC機能を使って直接カード情報を読み取ることが可能です。
まず、マイナポータルにログインし、「保険証等利用登録」を選択します。
数字4桁の暗証番号を入力し、マイナンバーカードを読み取れば登録が完了です。
セブン銀行のATM
全国のセブン銀行ATMでもマイナ保険証利用の申請登録ができます。
スマートフォンを持っていない方や、スマートフォンの操作が不安な方におすすめです。
マイナンバーカードを準備し、セブンイレブン店舗内にあるセブン銀行ATMで、画面の案内に従って操作してください。
マイナンバーカード作成時に設定した4桁の暗証番号を入力しますので、忘れないようにしましょう。
医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダー
事前に利用登録を忘れていたとしても、医療機関や薬局の受付に設置されている顔認証付きカードリーダーからも登録できますので心配いりません。
顔認証付きカードリーダーで本人確認をした後「マイナンバーカードを保険証として登録する」を選択し、手続き完了です。
マイナ保険証に関するQ&A
マイナ保険証の導入に伴い、多くの医療機関や患者からさまざまな疑問が寄せられています。
ここでは、よくある質問をピックアップし、わかりやすく解説します。
マイナ保険証で12桁のマイナンバーは使いますか?
医療機関や薬局では、患者のマイナンバー(12桁の番号)を直接扱うことはありません。
代わりに、マイナンバーカードに入っているICチップの利用者証明用電子証明書が使われます。
現行の健康保険証は使えなくなるのですか?
2024年12月2日以降、健康保険証は新たに発行されなくなりますが、当日まで有効な保険証は最長1年間引き続き利用が可能です。
また、マイナ保険証を保有していない場合でも資格確認書が交付されるため、これまで通り受診できます。
暗証番号を忘れてしまっても使えますか?
顔認証付きカードリーダーは暗証番号以外にも顔認証機能があるため、マイナ保険証として利用できます。
ただし他の機能が使えない場合があるため、必要に応じて市区町村窓口にて暗証番号を再設定してください。
【医療機関向け】マイナ保険証を導入するメリット
医療機関にマイナ保険証を導入することは、業務効率化や利便性向上などさまざまなメリットをもたらします。
ここでは、医療機関がマイナ保険証を導入するメリットを3つ紹介します。
- 受付業務の負担が軽減する
- レセプト業務を効率化できる
- 患者情報を閲覧できる
受付業務の負担が軽減する
マイナ保険証の導入により、受付スタッフが保険証情報を確認したり、手入力したりする手間が省けます。
患者が顔認証付きカードリーダーを使用し、必要な情報を自動的に取り込めるため、受付業務の効率化が可能です。
本人確認が迅速かつ正確に行えることで、受付対応の時間を短縮でき、患者の満足度向上にもつながるでしょう。
レセプト業務を効率化できる
マイナ保険証を導入することで、レセプト業務の効率が向上します。
保険証情報が自動で反映されるため、入力ミスや確認作業が減り、スタッフの負担を軽減できるからです。
また、資格過誤による返戻が減少することで、レセプトの処理速度が向上し、事務業務全体の時間短縮にもつながります。正確なデータ管理により、よりスムーズな診療報酬請求が可能になるでしょう。
患者情報を閲覧できる
マイナ保険証を使用することで、医師や薬剤師が患者の過去の診療情報や処方された薬の履歴を閲覧できます。
医療従事者は患者の健康状態をより正確に把握できるため、適切な診断や処方が可能になり、よりよい医療を提供できるでしょう。
【医療機関向け】マイナ保険証導入にあたっての準備
患者がマイナ保険証を使用するためには、医療機関側の導入準備が必要です。
以下に、マイナ保険証の基本的な導入手順をまとめましたので参考にしてください。
- 顔認証付きカードリーダーを調達する
- システムベンダーへ見積・発注する
- オンライン資格確認の利用申請をする
- 機器を設置・設定する
- 運用を開始する
- 運用を開始する
- 補助金申請をする
顔認証付きカードリーダーを調達する
マイナ保険証の運用には、顔認証付きカードリーダーが必須です。
ポータルサイトの登録が済んだら、厚生労働省が推奨する対応機器を選び、早めに調達しておきましょう。
なお、おすすめの顔認証付きカードリーダーについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
あわせて参考にしてください。
システムベンダーへ見積・発注する
顔認証付きカードリーダーと連携するシステムを構築するため、信頼できるシステムベンダーに見積を依頼し、導入計画を立てます。
事前に複数社を比較検討し、要件に合ったサービスを選ぶのがポイントです。
オンライン資格確認の利用申請をする
オンライン資格確認を利用するためには、事前に必要情報を用意して申請手続きを行います。
申請に必要な情報は以下の通りです。
- 電気通信回線種別
- お客さまID
- オンライン資格確認の利用開始予定年月
- 運用テスト開始予定年月(決定している場合)
医療機関向けポータルサイトから申請できます。システム導入日の5日営業日前までに申請しましょう。
機器を設置・設定する
顔認証付きカードリーダーや必要な周辺機器を院内に設置し、システムとの接続や初期設定を行います。
設定作業にはシステムベンダーのサポートを受けられるため、スムーズに進められるでしょう。
運用を開始する
設定が完了したら、実際に運用を開始します。
初めは操作に慣れるまでの時間が必要ですが、患者への案内やサポートを丁寧に行いながら対応を進めましょう。
補助金申請をする
マイナ保険証の導入にかかる費用を軽減するため、国が設ける補助金制度を活用しましょう。
申請期限が設定されているため、要件を確認したうえで、速やかに申請を行うことが重要です。
【医療機関向け】マイナ保険証導入にあたっての注意点
マイナ保険証を導入する際には、スムーズな運用のために押さえておきたいポイントがあります。
ここでは、マイナ保険証を導入するにあたって注意すべき3つの重要なポイントを解説します。
- システムトラブル発生の恐れがある
- 最初は患者への対応が増える
- コストがかかる
システムトラブル発生の恐れがある
マイナ保険証を利用するためには、顔認証付きカードリーダーをはじめとする精密機器を使用するため、通信エラーやシステムトラブルは付きものです。
患者がマイナ保険証のみを持参して従来の健康保険証を携帯していない場合、トラブルが生じると確認作業が滞る恐れがあります。
こうした事態に備え、システム障害時に対応できる代替手段の準備や、対応マニュアルをスタッフ間で共有することが重要です。迅速に対応できる体制を整えておくことで、患者やスタッフへの負担を最小限に抑えられます。
最初は患者への対応が増える
マイナ保険証を導入してすぐは、患者が顔認証付きカードリーダーの操作に慣れていないため、スタッフが操作のサポートを求められる場面が増えるでしょう。
また、一部の患者がマイナ保険証に抵抗感を示すことも考えられます。
本来、受付業務を効率化する目的もあるシステムですが、運用に慣れるまでは丁寧な対応が必要です。
マイナ保険証の利便性やメリットを患者にわかりやすく伝えつつ丁寧にサポートしていくことで、徐々にクリニックと患者双方にとって不可欠な取り組みへと定着させていくことが期待できるでしょう。
コストがかかる
マイナ保険証を導入する際には、顔認証付きカードリーダーの設置や、システム構築に伴う初期費用が発生します。
加えて、定期的なメンテナンスやシステムの運用にはランニングコストも必要です。
そのようなコストの負担を軽減するために、政府や自治体で助成制度も設けられています。助成の対象条件や申請手続きは自治体ごとに異なる場合がありますので、早めに確認し対応してください。
一時的にコストはかかりますが、長期的にみれば業務効率化や人的ミスの削減といったメリットがコスト削減につながるでしょう。
まとめ:マイナ保険証を導入してクリニック運営をよりスムーズにしよう!
マイナ保険証の導入には一定の準備が必要ですが、運用が始まれば業務の効率化や患者サービスの向上に大きく貢献します。
本記事を参考に導入準備を着実に進め、よりスムーズで質の高いクリニック運営を実現しましょう!