運営:東京ドクターズ

開業のための
Web集患戦略

開業医のための経営支援メディア
『ウェブドクター』

CPAP(シーパップ)とは?睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療効果などを紹介

「CPAP治療を始めることになったけれど、何をするか心配」
「CPAPを使えば睡眠時無呼吸症候群が治る?」

 

CPAP(シーパップ)とは、睡眠時無呼吸症候群の症状を改善するための、有効的な治療方法です。

 

当記事では、CPAP治療について解説します。睡眠時無呼吸症候群の治療の効果や使い方などについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の内容

CPAP治療とはなにか?

CPAP治療とは、主に睡眠時無呼吸症候群の患者に対して、使用される治療方法です。

  1. CPAP治療の特徴
  2. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に有効

この章では、まずCPAP治療とはどのようなものなのかを説明し、睡眠時無呼吸症候群に有効な理由を解説します。

CPAP治療の特徴

CPAP(シーパップ)は、気道が塞がって呼吸不全を起こさないように、装置で空気を送り込む役割を果たします。

 

CPAPの装置からは、一定の圧力をかけた空気が出てきます。圧力をかけた空気をチューブやマスクを通して、患者の鼻から体内に送り込み、気道を広げることで、呼吸を安定させることが可能です。

 

CPAPは、あらかじめ圧力を設定しておくことで、設定された一定の圧力の空気を送り込み続けます。

 

睡眠中にCPAPの空気を送り込むマスクをつけて眠ることで、睡眠時の無呼吸を予防できます。

 

圧力の大きさについては、常に一定の圧力を保って空気を送り込み続けるパターンと、無呼吸の時には自動的に圧力が増すパターンがあり、患者の状態によって選択可能です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に有効

CPAPは、睡眠時に装着することで睡眠中の無呼吸を防ぎ、安定した呼吸ができるように補助する装置です。

 

睡眠時無呼吸症候群の患者は、睡眠中にいびきをかいたり、無呼吸になったり、呼吸が浅くなったりすることで、体が低酸素状態となります。

 

そのため、朝起きたときに、寝たはずなのにスッキリしない、体がだるいといった倦怠感がある、日中に我慢できない眠気に襲われるなど、日常生活に支障をきたす病気です。

 

CPAPは、睡眠時無呼吸症候群の患者の中の95%を占めているとされる、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の中等~高等度の患者に対して有効的で、標準的な治療法になっています。

CPAP治療で睡眠時無呼吸症候群が改善する仕組み

閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者は、睡眠時に舌が喉のほうへ落ち込んでいくことや、首回りについている脂肪によって、気道が狭くなったり、塞がれたりします。

 

その結果、気道から空気が入っていかなくなり、無呼吸や呼吸が浅くなって、低酸素状態に陥る病気です。

 

CPAP治療では、装置からチューブを通して、患者の鼻につけているマスクへと空気を送ることで、塞がった気道を広げます。

 

気道が広がれば、空気の通り道が作られて呼吸ができるようになり、睡眠時無呼吸症候群の改善につながります。

CPAP治療の必要性・得られる効果

CPAP治療が睡眠時無呼吸症候群患者にとって不可欠である理由は、3つあります。

  1. 睡眠時無呼吸症候群の合併症リスクや死亡リスクを下げる
  2. 生活の質(QOL)が向上する
  3. 質の高い睡眠ができる

CPAP治療で得られる効果を解説します。

睡眠時無呼吸症候群の合併症リスクや死亡リスクを下げる

睡眠時無呼吸症候群は、放置しておくと、糖尿病や高血圧、脳血管疾患、虚血性心疾患などの合併症を引き起こすリスクが高くなることがわかっています。

 

合併症を引き起こして、合併症が進行・悪化することで死亡リスクが高まってしまいます。

 

CPAP治療を行って、睡眠時の無呼吸や微弱な呼吸が改善されれば、合併症のリスクだけでなく、死亡リスクも下げることにもつながるのです。

生活の質(QOL)が向上する

睡眠時無呼吸症候群の患者は、睡眠時に呼吸が止まることで体に負担をかけており、十分な休息をとれていないため、日中に眠気が襲ってくることがあります。

 

また、患者本人だけでなく、同居する家族にも、大きな負担がかかっているケースが多いです。

 

患者の呼吸が止まるのが気になる、いびきがうるさくて眠れないなどの理由で、家族も患者が気になって夜しっかりと眠れないことがあります。

 

CPAP治療を始めれば、患者の呼吸を常にサポートするため、呼吸が止まるリスクを回避しやすくなります。

 

家族も安心してぐっすりと眠ることができ、患者本人も夜間しっかりと眠れていることで、日中元気に活動でき、生活の質(QOL)が向上します。

質の高い睡眠ができる

CPAP治療では、治療前には睡眠時の無呼吸や浅い呼吸によって、息苦しさを感じていたはずの睡眠が快適になり、質の高い睡眠がとれるようになる点が大きなメリットです。

 

CPAP治療によって、呼吸が安定することで、朝までぐっすりと眠ることができ、体をしっかりと休められます。

 

呼吸が安定して体にしっかりと酸素が取り込まれていれば、睡眠時に体内の細胞にも酸素が行き渡って体が回復し、翌日からも元気に活動できるでしょう。

CPAP治療の方法:流れ

CPAP治療の流れは、問診から始まります。

  1. 問診
  2. スクリーニング検査
  3. 確定診断
  4. 診断結果をもとにCPAP治療の開始

CPAP治療の流れを解説します。

問診

まずは、かかりつけの医療機関を受診して、問診を行うことから始まります。

 

問診では、担当医師の質問に回答しながら、自身の睡眠時の気になる症状や日中の体調などについて詳しく説明しましょう。

 

問診で「睡眠時無呼吸症候群の疑いがある」と判断されたら、スクリーニング検査を受ける流れとなります。

スクリーニング検査

スクリーニング検査は、自宅で行える簡易的な検査です。

 

睡眠時無呼吸症候群の検査では、睡眠時の状態を計測する必要があるため、眠った状態で検査をしなくてはなりません。

 

そのため、医療機関から検査キットを借りて、自宅で簡易的なスクリーニング検査を行います。

 

簡易スクリーニング検査の方法は、パルスオキシメーターのセンサー部分を指に挟んで眠るだけです。パルスオキシメーターでは、動脈血の酸素飽和度がわかります。

 

酸素飽和度が低ければ、睡眠時無呼吸症候群によって、呼吸がきちんとできていないと判断できます。

確定診断

スクリーニング検査の結果を担当医師に渡して、担当医師から確定診断が下されます。

 

スクリーニング検査の結果、無呼吸の状態や呼吸が浅くなる状態が「1時間に5回以上ある場合」に、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

 

さらに、1時間に20回以上、無呼吸の状態となったり、呼吸が浅くなったりすれば、CPAP治療の適用が検討される流れです。

診断結果をもとにCPAP治療の開始

スクリーニング検査の診断結果をもとに、CPAP治療が開始されます。

 

CPAP治療では、設定する圧力の強さが重要です。例えば、患者が必要な圧力よりも低い圧力を設定している場合は、塞がった気道を広げるほどの強さがなく、症状が改善しません。

 

反対に、必要以上の圧力を与えると、マスクから空気が漏れだしてしまったり、患者の腹部に空気がたまって膨満感がでてしまう恐れがあります。

 

患者の状態に合わせて、最適な圧力を設定して、CPAP治療を開始します。

CPAP治療の費用

CPAPは、自費購入するか、医療機関からレンタルすることが可能です。

  1. 自費の場合
  2. レンタルの場合

自費購入の場合とレンタルの場合の費用相場を確認しましょう。

自費の場合

レンタルのCPAPの機器は種類が豊富ではないため、レンタル可能な機種の中に自身が使いたい機種がなければ、自費購入する方法があります。

 

他にも、以下の項目に当てはまる場合が、自費購入してCPAP治療を実施することになります。

  1. 保険適用となる基準を満たしていない
  2. 毎月1回の定期通院ができない
  3. 海外で使用する場合

自費購入の場合は、保険適用とならないため、購入費用が高額となります。

CPAP装置本体代やマスク代、チューブ代、フィルターなどの消耗品代、加湿器などを一式購入する必要があるため、費用相場は20~50万円程度です。

 

また、マスクやチューブなどの消耗品は、使用すると劣化するため、定期的に交換が必要です。

項目 費用発生のタイミング 費用相場
CPAP装置本体 初回のみ 20~50万円以上
マスク 初回と定期的な交換 1~3万円程度
チューブ、加湿器など 初回と定期的な交換 数万円程度

CPAP治療の機器は清潔に保つ必要があるため、定期的な交換をしなくてはなりません。

 

初回に一括購入する費用だけでなく、定期的な消耗品の購入も、継続的にかかる費用であることを知っておきましょう。

 

一方、自費購入は初回の費用が大きくなりますが、継続して使い続けることを考えると、トータルコストをおさえられる点がメリットです。

レンタルの場合

医療機関が保険適用でレンタル可能としている機種を選択した場合は、自費購入よりも初期費用をおさえることができます。

 

レンタルの場合、3割負担の保険適用となるため、毎月のレンタル費用は、4,500〜5,000円程度です。

 

レンタル費用の内訳は、以下の通りです。

  1. CPAP装置本体とマスクなどの付属品一式
  2. 毎月1回の診察、指導
  3. 医師によるCPAP装置のデータ確認
  4. 定期的なマスクなどの消耗品交換

医療機関によって、レンタル料金の内容が異なるため、内容には何が含まれているかを事前に確認しておきましょう。

 

レンタルをすれば、定期的なメンテナンスを自身で行う必要がないため、管理が非常に楽になります。

 

「交換し忘れていた…」というミスが起こらないため、常に清潔な装置を使って安全にCPAP治療を行えます。

 

また、レンタルは初回の費用が大きくならないため、支払い計画を立てやすいという点がメリットです。

 

CPAPの利用者の約6割は、10年以上CPAPを利用し続けているとされています。

 

CPAPを10年利用すると仮定すると、まず1年間のレンタル料は4,500円×12(1年)=54,000円になります。年間54,000円を10年続ける場合、10年間で540,000円支払う計算です。

 

ただし、毎月継続して必ずレンタル料が発生するため、支払いが苦しくならないかをシミュレーションしておきましょう。

CPAP治療の保険適用の条件

保険適用の条件は、3つあります。

  1. 中等症以上の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合
  2. 担当医師が必要と判断した場合
  3. 毎月1回の通院で医師の診察・指導管理を受けること

条件について、詳しく解説していきます。

中等症以上の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合

睡眠時無呼吸症候群の簡易検査または、精密検査を受けて、結果を見た医師から「中等症以上の睡眠時無呼吸症候群」であることを診断された場合、保険適用されます。

 

睡眠時無呼吸症候群は、AHI(無呼吸低呼吸指数)から重症度を判定します。

 

AHIは、睡眠時間1時間の間に、無呼吸や呼吸が浅くなる低呼吸となった回数をカウントするものです。

 

睡眠時無呼吸症候群の重症度は、以下の通りに判定されます。

  1. AHIが5:睡眠時無呼吸症候群と診断される
  2. AHIが5~15:軽症
  3. AHIが15~30:中等症
  4. AHIが30以上:重症

AHIが15~30になると、中等症と診断されるため、CPAP治療の保険適用が可能となります。

担当医師が必要と判断した場合

睡眠時無呼吸症候群の中等症と診断されなかった場合でも、診療を行った担当医師が「CPAP治療を開始する必要がある」と判断した場合は、保険適用となるケースがあります。

 

担当医師の判断でCPAP治療を開始する場合は、医師が治療計画書を作成し、計画書に沿って治療を受けることが可能です。

 

判断基準は医療機関によってさまざまであるため、保険適用の有無を確認してみることをおすすめします。

 

例えば、夜しっかりと眠れていないと感じており、CPAP治療をしたいと考えている場合でも、担当医師によっては、実施の必要なしと判断されるケースもあるでしょう。

 

診断結果に納得がいかない場合は、セカンドオピニオンをして、他の医療機関も受診してみるなど、納得のいく説明・診断を受けられる信頼できる担当医師を探すことがおすすめです。

毎月1回の通院で医師の診察・指導管理を受けること

CPAP治療で保険診療を受けるためには、毎月1回のペースで医療機関に通院し、医師から指導管理を受ける必要があります。

 

CPAP治療は、自己判断では進められないため、睡眠のデータをもとに担当医師が治療の効果や、今後の治療計画を考えていきます。

 

毎月1回の通院ができない場合は、保険適用とならないため、注意が必要です。

CPAP治療で使われるマスクの種類

CPAP治療では、3種類のマスクが使われています。

  1. ネーザルマスク
  2. フルフェイスマスク
  3. 鼻ピローマスク

患者は自身に合ったマスクを選択して、CPAP治療を受けられます。

ネーザルマスク

ネーザルマスクとは、鼻だけを覆う「鼻マスク」のことです。

 

サイズのバリエーションが豊富にあり、顔全体を覆うわけではないため、視界が確保できるという特徴があります。

 

CPAP治療を行う患者の多くが使用しているマスクです。

 

ただし、装着中に口呼吸となった場合、口から空気が漏れだしてしまい、十分な効果を得られないという注意点があります。

 

口呼吸をしてしまう患者には、不向きなマスクといえるでしょう。

フルフェイスマスク

フルフェイスマスクは、口と鼻を覆う「口鼻マスク」です。

 

ネーザルマスクと比較して顔を覆う面積が広くなっているため、視界が確保しづらいと感じる方もいます。

 

一方でフルフェイスマスクは、口呼吸になってしまう方や、鼻づまりがあって鼻呼吸がしづらい方に適したマスクです。

 

特に、気づいたら睡眠中に口呼吸になってしまうという方に最適で、鼻だけのマスクよりも、より安心して眠れると感じる患者もいます。

鼻ピローマスク

小型のシリコン製のチューブである鼻プロングを鼻に差し込む形で使用するのが、鼻ピローマスクです。

 

小型なので、軽くて装着がしやすいというメリットがあります。

 

顔を覆うマスクではないため、視界が良好で寝る前にテレビを見たり、読書をしたりする方も使いやすいマスクです。

 

また、顔を覆うことに圧迫感がある閉所恐怖症の方なども比較的使いやすい、解放感のあるマスクです。

CPAP治療で使う最適なマスクの選び方

CPAP治療を行う際は、マスクから鼻を通して空気が取り込めることが最も重要です。

最適なマスクを選ぶためには、以下の3つを試してみてください。

  1. 担当医師に相談する
  2. サイズを測る
  3. 鼻のトラブルは専門医に相談する

選び方のコツを解説します。

担当医師に相談する

自身に合ったマスクがどのような形態のものか、判断できない場合は、担当医師に相談しましょう。

 

担当医師であれば、患者の状態を正確に把握しているため、患者に適したマスクを選択してもらえます。

 

例えば、口呼吸をしているという意識のない患者が、問診の際に担当医師に「朝起きたら喉が乾いて痛みがある」などと申告した場合で考えてみましょう。

 

担当医師は、患者の喉の乾きから口呼吸の可能性があると判断し、鼻のみを覆うマスクではなく、口の部分も覆うマスクを選択できます。

サイズを測る

マスクのサイズは、あらゆる患者に対応できるように、豊富に展開されています。

 

しっかりサイズを測って、自身の顔に合ったサイズのマスクを選択すれば、マスクの横からの空気漏れを防ぐことが可能です。

 

例えば、フルフェイスマスクを使用して、鼻と口の両方を覆うことで効果的に治療を進めたいと考えている患者が、顔のサイズより大きなマスクを選択すると、必ず空気漏れが起こります。

 

CPAP治療を開始したにもかかわらず、きちんと空気を取り込めていなければ、どれだけ使用しても治療の効果はでません。

 

マスクは必ずフィッティングを行い、自身のサイズに合ったマスクを使用しましょう。

鼻のトラブルは専門医に相談する

鼻づまりなどの鼻トラブルを抱えている場合は、かかりつけの内科や耳鼻科を受診して、鼻の治療を行いましょう。

 

鼻づまりがある状態では、いくらマスクをつけていても、鼻から空気を取り込むことができません。

 

CPAP治療を行う前に、まずは鼻づまりを解消し、CPAP治療の効果が得られる状態にしてから治療に望む必要があります。

CPAP治療の注意点

CPAP治療を行う際の注意点は、3つあります。

  1. 機器の清潔を保つ
  2. 夜間睡眠のみではなく昼寝の際も利用する
  3. 自己判断で中断しない

注意点を守って、効果的にCPAP治療を進めていきましょう。

機器の清潔を保つ

CPAP治療を行う機器は、常に清潔を保つ必要があります。

 

マスクやチューブ、フィルターなどの消耗品は、定期的な交換が必要です。

 

例えば、汚れたチューブを使用し続けていると、菌が繁殖し、睡眠時無呼吸症候群以外の呼吸器疾病を引き起こす可能性も考えられます。

 

体にきれいな空気を送り込むための機器であるため、常に清潔な状態を心がけましょう。

夜間睡眠のみではなく昼寝の際も利用する

睡眠といえば「夜間のみ」と考える方もいますが、睡眠時無呼吸症候群の治療を行うためには、昼寝の際もCPAPを利用する必要があります。

 

CPAPは「睡眠中」に使う機器であるため、短時間の昼寝の際も利用しなくてはなりません。

 

昼寝をする際も、装着することが面倒だと思わずに、CPAPを利用して、無呼吸や低呼吸を防ぎましょう。

 

ついうっかりとつけ忘れてしまう方は、眠気がきたら機器を準備し、眠りに落ちる前につけておくことがおすすめです。

自己判断で中断しない

CPAPの効果を感じた場合、感じなかった場合、いずれも自己判断でCPAP治療を中断してはいけません。

 

CPAPは睡眠時の無呼吸や低呼吸を「完治させる」ための機器ではないためです。

 

睡眠時に、無呼吸や低呼吸にならないためにサポートを行う機器であるため、自己判断で勝手に中断しないようにしましょう。

CPAP治療でのトラブルへの対応方法

CPAP治療で、トラブルが発生した場合の対応について紹介します。

  1. 鼻や目、耳などにかゆみや痛みが出たら主治医に相談する
  2. 息苦しくなる場合は鼻呼吸を意識する
  3. 寝つけない場合は眠気がでてからCPAPをつけて布団に入る
  4. 効果が感じられない場合はCPAPを4時間以上つける
  5. CPAPを使用して喉が乾燥する場合は口にテープをつける
  6. CPAPを使用して鼻炎症状が出る場合は鼻炎の治療をする

トラブルへの対応方法を解説します。

鼻や目、耳などにかゆみや痛みが出たら主治医に相談する

鼻や目、耳など、マスクが当たっている部分にかゆみや痛みが出たら、必ず主治医に相談しましょう。

 

マスクがこすれたり、きつすぎたりすることで、かゆみや痛みが出ている可能性があります。

 

かゆみや痛みは、我慢すると悪化する可能性があるため、必ず主治医に伝えて、マスクのサイズを調整するなどして、かゆみや痛みを改善する対策をとりましょう。

息苦しくなる場合は鼻呼吸を意識する

息苦しくなる場合は、鼻呼吸を意識しましょう。

 

普段、口呼吸をしている患者はCPAP治療のマスクをつけていると、息苦しく感じる場合があります。息苦しいと感じたら、鼻呼吸を意識して、口呼吸にならないようにすると改善します。

 

CPAPをつけていないときも、普段から鼻呼吸を意識して生活することがおすすめです。

 

例えば、無意識に口呼吸となってしまう場合は、家で過ごすときに、睡眠時に口が開かないように装着するテープをつけてみるとよいでしょう。

 

テープで口を塞ぐことで、強制的に鼻呼吸をする環境が作れるので、慣れてくると自然と鼻呼吸ができるようになります。

寝つけない場合は眠気がでてからCPAPをつけて布団に入る

マスクをつけて寝ようとしたときに、邪魔になってしまい、なかなか寝つけないことがあります。

 

マスクをつけてから横になると寝つけない場合は、眠気がでてからCPAPをつけて、布団に入るようにすることをおすすめします。

 

ただし、CPAPをつけることで寝つけなくなる場合は、マスクのサイズが合っていない、圧力が合っていないなど、CPAP装置やマスクに問題があるケースも考えられるでしょう。

 

この場合は、布団に入って快適な睡眠が得られるように、マスクのフィッティングや設定を担当医師に相談することが大切です。

効果が感じられない場合はCPAPを4時間以上つける

1〜2時間程度の短い睡眠では、CPAPの効果が感じられないケースがあります。

 

4時間以上装着することで、呼吸を補助する回数が増えるため、より効果を感じることが可能です。装着して眠る時間が長ければ長いほど、CPAPの効果が感じられます。

 

ただし、長時間装着しても効果が得られないと感じる方は、マスクから空気が漏れている、圧力が不足しているなど、患者に適したマスクや設定ではない可能性が考えられます。

 

この場合、長時間装着しても、本来の効果を発揮できないため、担当医師への相談が必要です。

 

また、そもそも睡眠時に息苦しさを感じていない、自覚症状が少ない患者は、CPAP治療の効果を実感できていないケースもあります。

 

CPAPの効果については、毎月1回の健診の際に、担当医師から説明があるため、自己判断しないように注意しましょう。

CPAPを使用して喉が乾燥する場合は口にテープをつける

CPAPを使用して、朝目が覚めた時に喉の乾きを感じる場合は、口呼吸となっている可能性が高いでしょう。

 

口呼吸になると、マスクから空気が漏れだしてしまうため、CPAPの効果を十分に得られません。

 

CPAPを使用すると喉が乾燥する場合は、口を閉じる専用のテープがおすすめです。

 

口を閉じるテープは「口閉じテープ」「鼻呼吸テープ」などの名称で、ドラッグストアやAmazon、楽天市場などで購入できます。

 

口を閉じるテープは、鼻呼吸を促し、いびきを防止する役割を果たし、喉の乾きを防ぎます。

CPAPを使用して鼻炎症状が出る場合は鼻炎の治療をする

CPAP装置から患者の鼻の中に冷たく乾燥した空気が送り込まれることで、鼻水や鼻づまりなどの鼻炎症状が出るケースがあります。

 

鼻に冷気が送り込まれると、鼻粘膜の血液量を増加させて、自身の体温と同じくらいの温度になるまで温めようとします。

 

鼻粘膜の血液量が増加すると、鼻粘膜が腫れて、鼻づまりなどの鼻炎症状が起こる仕組みです。

 

CPAPには鼻水や鼻づまりを改善する効果はなく、鼻づまりによって空気を十分に取り込めない可能性があるため、注意が必要です。

 

鼻炎症状がある場合は、かかりつけの耳鼻科を受診しましょう。鼻炎症状をしっかりと治してから、CPAPを利用することで効果的な治療が行えます。

CPAP治療でよくある質問

CPAP治療を行っている患者から、よくある質問をまとめました。

  1. CPAPを使えば睡眠時無呼吸症候群は治る?
  2. CPAPをやめたい、いつまで使うべき?
  3. CPAP治療で使うマスクやホースはどのように手入れするべき?
  4. 旅行先でもCPAP治療は行うべき?

質問の回答を紹介します。

CPAPを使えば睡眠時無呼吸症候群は治る?

CPAPを使い続けたからといって、将来的に睡眠時無呼吸症候群が完治することはありません。

 

CPAPは、睡眠時無呼吸症候群の患者が睡眠時に無呼吸や低呼吸にならないように、呼吸をサポートする仕組みであり、あくまでも対症療法です。

 

CPAPは継続的に使い続けることで、症状を緩和させる働きをします。

 

睡眠時無呼吸症候群は、あらゆる要因が関係して発症しているケースが多いため、完治させるためには、持病の治療や生活習慣の改善などが必要です。

 

例えば、鼻炎や扁桃腺炎などの持病がある方は、専門医の指導のもと、治療を進めていく必要があります。

 

肥満を指摘されている方は、運動や食事、規則正しい生活を送って肥満を改善することで、肥満を原因とした睡眠時無呼吸症候群が改善するでしょう。

CPAPをやめたい、いつまで使うべき?

CPAPは途中でやめるべきではなく、担当医師がCPAPを継続する必要がないと判断するまでは、使い続けるべきです。

 

CPAPは先述した通り、対症療法であり、睡眠時無呼吸症候群を完治させる治療法ではありません。

 

自己判断で途中で使用をやめると、合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

 

無呼吸やいびきがなくなったと感じても、途中でやめずに、担当医師が必要としている限り、継続して使い続ける必要があります。

CPAP治療で使うマスクやホースはどのように手入れするべき?

CPAP治療で使うマスクやホースは、石けんで手洗いをして、清潔を保つ必要があります。

 

マスクやホースにほこりやカビなどが付着していると、体内に不衛生な空気を取り込むことになってしまいます。

 

マスクやホースは、CPAP本体から取り外し、石けんを使って温かい水で手洗いをしましょう。

 

洗ったマスクやホースは、柔らかい清潔な布で水気を拭き取るなどして、完全に乾燥させてから、使うようにしましょう。

旅行先でもCPAP治療は行うべき?

旅行先でも、CPAP治療は行うべきです。

 

CPAPの治療は、1日4時間以上・週5日以上使用したほうが良いという結果が出ているため、毎日欠かさずに治療を行うことが重要です。

 

そのため、旅行先での睡眠時でも、必ずCPAPを利用するようにしましょう。

 

CPAPには専用の持ち運び袋があるため、旅行先に持っていく際も、持ち運びがしやすいようになっています。

まとめ:CPAP治療を続けて睡眠時無呼吸症候群を改善しよう

CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群の対症療法として広く利用されています。

 

睡眠時の無呼吸や低呼吸、いびきを防いで、睡眠の質を向上し、糖尿病などの合併症を防ぐ役割を果たします。

 

CPAP治療で使用するマスクは3種類あり、患者の状態に合わせて最適な形状のものを選択可能です。

 

条件を満たせば保険適用となり、CPAP装置一式をレンタルして利用できます。

 

ぜひ当記事を参考にして、CPAP治療で睡眠時無呼吸症候群の症状を改善し、生活の質を向上させましょう。