「医療ツーリズム(医療観光)」という言葉を耳にしたことはありませんか?
近年、ニーズが高まっている分野であり、外国人患者との関係や医療機関の安定的な運営において非常に重要な役割を果たす可能性があります。
しかし、そんな医療ツーリズムについて「あまりよく理解できていない」と感じている方も少なくないはずです。
そこで、本記事では医療ツーリズムとは何か、目的や現状、さらには将来の見通しについても解説します。
また、記事の後半では、アジア各国で行われている医療ツーリズムの実例についても紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
この記事の内容
医療ツーリズム(医療観光)とは?
医療ツーリズム(医療観光)とは、外国に行き治療を受けることです。
各国の医療体制が異なることから、外国で治療を受けたほうがメリットが大きいと判断した方が外国へ行って治療を受けます。
外国で治療を受ける理由は費用の節約や美容、人間ドックなど多岐にわたります。
もちろん医療「観光」と名付けられていることからも分かるとおり、治療だけが目的なのではなく、観光も一緒に行う場合がほとんどです。
医療ツーリズム(医療観光)の目的
医療ツーリズムには、具体的にどのような目的があるのでしょうか?
先ほども解説しましたが、医療ツーリズムへ行く目的は外国で治療を受けたほうがメリットが大きいからです。
具体的には、以下の例が挙げられます。
- 高いレベルの医療が受ける
- 最先端の治療を受ける
- 治療費を安く抑えられる
- 迅速に治療を受ける
自国よりも外国で治療を受けたほうが、これらのメリットを享受できると判断した場合に、医療ツーリズムが利用されます。
医療ツーリズム(医療観光)の現状・問題点
ここでは、医療ツーリズムの現状や問題点を解説します。
医療ツーリズムの現状
まずは、日本における医療ツーリズムの現状を解説します。
日本政策都市銀行によると、2020年の日本ではおよそ5,500億円の市場規模があり、実際の経済効果は2,800億円となっています。
厚生労働省が中心となって、近隣の諸外国(中国・ロシアなど)の富裕層をターゲットに設定し、シェアの拡大を図っているのです。
参考文献:https://www.dbj.jp/topics/report/2010/files/0000004549_file2.pdf
医療ツーリズムの問題点
では、日本における医療ツーリズムにはどのような問題点があるのでしょうか?
1番大きな問題点は、医療ツーリズムで訪れた患者を優先するあまり、日本に住んでいる患者を後回しにしてしまう危険があることです。
医療ツーリズムで訪れるような患者は、大きな金額がかかる大掛かりな治療を受けることが多くあります。
この際、医療ツーリズムの患者を優先し、日本に住んでいる患者を後回しにすると、医療への不信感が募る可能性があるため、医療ツーリズムばかりに気を取られないことが大切です。
医療ツーリズム(医療観光)の将来
では、医療ツーリズムは今後、どのような展開が予想されるのでしょうか?
コロナ禍により需要が減少している可能性はありますが、厚生労働省が中心となって医療ツーリズムの普及を進めているため、需要が大きくなることが予想されます。
インターネットの普及により、医療の正確な情報が自分で素早く手に入れられるようになったため、積極的に医療ツーリズムを利用することが容易に想像されるでしょう。
しかし、日本では医師不足が盛んに叫ばれているため、そこへ医療ツーリズムの患者も受け入れると、状況はより厳しくなります。
それでも、医療ツーリズムの患者は医療保険を利用せず自費で治療を受けにくるため、病院が得られる収益が高くなる傾向にあります。
そのため、医療ツーリズムを受け入れることで病院の経営が安定する可能性が十分に考えられるのです。
したがって、医師不足の懸念を解消しつつ医療ツーリズムを受け入れることが今後において、重要になると考えられます。
医療ツーリズム(医療観光)のアジア各国での実例
ここでは、医療ツーリズムの実例を3つ紹介します。
- シンガポール
- タイ
- 韓国
日本と同じアジアの国で行われている医療ツーリズムの実例を1つずつ見ていきましょう。
シンガポールでの実例
まずは、シンガポールでの実例から紹介します。
シンガポールでは政府が主導し積極的に医療ツーリズムの受け入れが進められており、世界の主要医療拠点としての地位を確立しました。
その中でも多くの注目を集めているのが癌治療。
周囲の国よりも高い水準で癌の治療ができるようになったことから、癌患者の多くがシンガポールでの医療ツーリズムを選択しています。
タイでの実例
続いて、タイでの実例を紹介します。
タイではアジア通貨危機にて自国の通貨の価値が暴落したことを受け、外貨獲得を目的に医療ツーリズムをスタートしました。
国内情勢に不安を抱えていますが、医療水準は高く、日本からの医療ツーリズム患者の獲得も視野に入れています。
医療ツーリズムに特化した病院を設けるなど、地元市民との棲み分けがうまくなされているので、見習うべき点が多くあります。
韓国での実例
最後に、韓国での実例を紹介します。
韓国では美容に力を入れているため、美容外科や皮膚科を目的として医療ツーリズムを選択される方が少なくありません。
また、その他の診療科においても高い水準での治療が受けられます。
さらに、日本からの距離が近いことも影響し、多くの日本人が韓国へ医療ツーリズムに行っているのです。
まとめ
今回は、医療ツーリズムに関して解説しました。
自国よりも外国で診療を受けた方がメリットがあると判断した方が利用する医療ツーリズムは、日本の医療が置かれている状況を改善することに大いに役立つでしょう。
しかし、医療ツーリズムを優先するあまり、自国の市民に対する診療がおろそかになってはいけません。
医師不足を解決しつつ、バランスを保ちながら医療ツーリズムを受け入れる環境を作ることが望ましいでしょう。
クリニックの開業のことなら「クリニック経営改善ラボ」
「クリニック経営改善ラボ」は、株式会社ケアマックスが提供する医科特化型コンサルティングサービスです。
ケアマックスの強み
- コンサル実績800件以上(クリニック経営コンサル300件以上、病院経営コンサル100件以上)
- 心理的な距離が近い、一番に相談できるパートナー
- 開業から事業承継まで、クリニックの発展段階に応じた多角的な視点での提案
- 税理士、社労士、弁護士と連携し、さまざまなお悩みに応えられる体制
- 医療報酬改定などに関して、最新情報や業界トレンドを共有・アドバイス
- 既存のクリニックは月1回以上は直接訪問して打ち合わせ
実績が豊富なコンサル会社で、広い視野から戦略策定を行うことを得意とされています。開業コンサルのみならず、開業した後も事業承継をするまで段階ごとに課題解決をサポートしてくれます。
無料相談も可能なので、開業や経営についてお悩みの方はぜひ下記からサービス内容をチェックしてみてください。