「CT検査とはどんな検査なの?」
「CT検査をすることになったけれど注意点はある?」
「CT検査は保険適用なのか知りたい」
CT検査は、体の該当部分を撮影することで輪切り画像が抽出でき、体の内部の状態を把握できる検査であり、がんなどの疾病を見つける重要な手段です。
そこで当記事では、CT検査とはどのような検査なのかを詳しく紹介します。
CT検査にかかる費用相場や、検査を受ける際の注意点などもまとめて解説していきますので、参考にしてみてください。
この記事の内容
CT検査とは?
CT検査とは、X線で体の該当部分を撮影し、輪切り画像を写し出す検査です。
X線は電磁波のひとつであり、波長が短く透過力が高いという特徴があります。
X線は、発見者の名前から、レントゲン線と呼ばれる場合もあります。輪切り画像から、当該部位の体の臓器や組織などの内部を確認することで疾病の有無を把握でき、がんの診断の基本の検査です。
ベッドにあおむけになって寝転び、リラックスした状態で、円形のトンネル状の機械の中に入って撮影を行います。
CTの機械の中ではX線を回転させながら体に照射して、得られたデータをコンピュータで解析することで、画像を生成できます。
CT検査を行う目的
CT検査は、検査前や治療中、治療後の疾病の有無や変化の確認のために行います。
CT検査を行う具体的な目的は、以下の通りです。
- がんなどの疾病の有無を把握
- 疾病箇所の確認
- 他の臓器への転移や広がりの調査
- 治療の効果の確認
- 治療後の再発の有無の確認
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
がんなどの疾病の有無を把握
がんなどの疾病が疑われる場合に、体のどの部分にがんがあるのかや広がり具合を確認するために、CT検査を行います。
CT検査では、体全体の臓器を輪切りにして内部の確認ができるため、問診では見つからない隠れた疾病を発見することが可能です。
CT検査の結果の画像データから、がんなどの疾病の有無が一目で分かるため、正確な診断がつけられます。(がんの特定には造影剤の使用が必要)
疾病箇所の確認
CT検査の画像を確認することで、疾病箇所を把握できます。
例えば、胃にがんができていたとした場合、胃のどの位置にがんができているのかを詳細な画像データから適切に把握することが可能です。
がんの位置から、最適な治療方法や治療方針の検討ができます。
他の臓器への転移や広がりの調査
CT検査では、体全体の内部の画像データを抽出できるため、がんが他の臓器に転移していないかどうかや、広がり方について把握できます。
例えば、息苦しいと感じて肺のがんを疑っていた場合にCT検査をしたら、他の臓器にも転移が見つかれば、肺以外の臓器にも適切な治療を施すことが可能です。
治療の効果の確認
治療方針を決め、治療を進めていく中で治療の効果が出ているかどうかを確認するためにCT検査を行うこともあります。
治療によってがんが小さくなっているかどうかや、他に転移していないかどうかなどを確認することで、治療の進め方が適切であるかを判断できます。
治療後の再発の有無の確認
治療後にがんが完治したあと、再発していないかどうかの確認のためにCT検査を行うケースもあります。
治療後の定期検査などでCT検査を実施し、がんが再発していないかを確認し、再発がなければ定期検査を継続し、再発があれば適切な治療を開始することが可能です。
CT検査の特徴
CT検査の特徴は大きく分けて2つあります。
- 短い時間で検査が終わる
- 広範囲の検査が可能
特徴について詳しく解説していきます。
短い時間で検査が終わる
CT検査では、短時間で体の内部の詳細な画像を撮り、コンピューターで情報を解析ができるというメリットがあります。
CTの機械は、64列・80列・320列など、列数(一度に撮影できる枚数)が異なります。
列数が多いCTの機械を使う場合は、列数が少ないCT機械の検査時間よりも短い時間で撮影が終わる点がメリットです。
例えば、64列のCTで撮影すると11秒程度かかるところが、320列のCTでは4秒程度で検査が終わります。
広範囲の検査が可能
CT検査では、体の広範囲にわたって画像を撮影し、検査することができます。
CTの列数が多い機械を使うと、一度の撮影で広範囲の画像を撮れるという特徴があります。
一度で広範囲の撮影ができることによって、検査時間を短くできる点がメリットです。
複数回に分けて撮影する必要がなくなることで、X線に照射される時間も短くなるので、被ばくリスクをおさえることもできます。
CT検査で分かる疾病
CT検査は、臓器や血管の状態を把握できる検査で、がんの診断をする際の基本的な検査のひとつであり、多くのがんを見つけられる特徴があります。
CT検査で分かる、部位ごとの疾病は以下の通りです。
部位 | 疾病 |
---|---|
頭部 | 脳梗塞、脳腫瘍、脳出血、水頭症、脳動脈瘤、脳挫傷、頭蓋骨骨折など |
口・喉 | 上咽頭がん、下咽頭がん、中咽頭がん、舌がんなど |
胸部 | 心臓疾患、肺がん、肺炎、肺結核、肺梗塞、大動脈瘤、縦隔腫瘍など |
腹部 | 胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、大腸がん、膵炎、腸閉塞など |
骨 | 骨折、脱臼、椎間板ヘルニア、腫瘍など |
その他 | 甲状腺腫瘍、大動脈瘤、大動脈解離、子宮筋腫、卵巣腫瘍など |
CT検査では、体全体の臓器や血管などの詳細な情報を画像データで確認できるため、さまざまな疾病を発見できます。
CT検査の種類
CT検査は造影剤を使うパターンと使わないパターンがあります。
造影剤とは、特定の臓器や部位を協調させるために、診断画像に白と黒のコントラストをつけて見やすくするものです。
- 単純CT検査
- 造影CT検査
それぞれの項目を詳しく解説していきます。
単純CT検査
造影剤の注射を打たずに、そのまま検査できるのが、単純CT検査です。
CTの検査時間は5~10分程度と短くて済み、造影剤による副作用がないという点が大きな特徴です。
造影剤を投与する時間や、CT検査後の副作用の反応を見る時間がないため、短い時間で検査が終了します。
単純CTのデメリットとしては、病気によっては正常な組織と病変とのコントラストが少ないことから、病変が見つかりづらいことがある点です。
また、明瞭な画像を撮影するためには、アクセサリーや金属を取り外して検査を受ける必要があります。
例えば、胸部CTを撮る際に、長いネックレスをしたまま撮影すると、撮影部分にネックレスが写り込み、病変部分の正確な情報を得られなくなります。
服などにも金属がついていないかを確認してから、検査を受けるようにしましょう。
造影CT検査
造影CT検査は、CT検査前に造影剤を体内に注射してから受けるCT検査の方法です。
静脈注射で造影剤を打ってからCT検査を始め、検査後も副作用の様子を見る必要があるため、検査時間が10~20分程度であり、単純CT検査と比較して少し長くなります。
造影CT検査では、血管や臓器などの状態が鮮明に写し出されるため、病変の発見が可能です。
単純CT検査の画像では分かりづらかった、臓器の中にある腫瘍などを見つけられます。
また、どの部位を撮影する場合でも、検査が始まる数時間前から絶食をする必要があります。さらに、造影剤を使った検査では、副作用に注意しなくてはなりません。
造影剤による軽い副作用には、吐き気・動悸・頭痛・かゆみ・発疹などがありますが、これらは自然に治癒します。
まれに、呼吸困難・意識障害・血圧低下などが起こるケースがあるため注意が必要ですが、医師が症状に応じた適切な処置を行います。
CT検査の流れ
CT検査の流れを解説していきます。
- 検査の数時間前から絶食をする(固形物はNG・水やお茶のみOK)
- 事前説明・問診
- 検査着に着替える
- ベッドの上であおむけになる
- 機械が自動でベッドをトンネル型の装置へと移動する
- さまざまな方向からX線を当てる
- 撮影したデータをコンピューターが画像化する
- トンネル型の装置から出てきて終了
CT検査では、ベッドの上にあおむけの状態で横になったまま、じっとしていれば検査が終わります。
トンネル状のCT機械であれば、密閉感が軽減され、閉所恐怖症の方でも比較的抵抗がなく検査を受けられる傾向にあります。
不安に思う点がある場合は、検査前に主治医に相談してから、検査を受けるようにすることをおすすめします。
CT検査にかかる時間
一般的にCT検査の所要時間は、約5〜10分であるため、短時間で検査ができる点が特徴です。
単純CT検査の場合は約5分、造影剤CT検査の場合は約10分の検査時間がかかります。
ただし、冠動脈CTの場合は約30分かかるため、他のCT検査と比較して検査時間が長めです。
造影剤を注射して、心電図を撮りながら心臓の撮影を行う冠動脈CTでは、CT検査の前に心電図をとり、造影剤を注射し、舌の裏側にニトログリセリンを噴霧したうえで撮影を行います。
撮影終了後も副作用が起こらないか様子を見る必要があるため、15分程度待機しておく必要があり、他の部位に比べて時間がかかることを知っておきましょう。
また、検査部位や患者の状態など特別な条件がある場合は、検査にかかる時間が長くなるケースもあるため、事前に医師に確認しておくと安心でしょう。
CT検査の費用相場
CT検査の費用相場は、単純CT・造影剤CT・冠動脈CTなど方法によって異なります。
検査方法 | 全額負担の費用 | 1割負担の費用 | 3割負担の費用 |
---|---|---|---|
単純CT検査 | 20,000~27,000円 | 2,000~2,700円 | 6,000~8,000円 |
造影剤CT検査 | 30,000~40,000円 | 3,000~4,000円 | 9,000~12,000円 |
冠動脈CT検査 | 30,000~54,000円 | 3,000~5,400円 | 9,000~16,000円 |
CTの検査費用は、医師がCT検査が必要であると判断した場合に健康保険が適用され、検査費用が安くなります。
CT検査以外に心電図などの検査が必要な場合は、別途費用がかかるため、事前に主治医に確認しましょう。
CT検査を受ける際に注意する点
CT検査を安全に受けるためには、以下の注意点を押さえておく必要があります。
- 妊娠の疑いがある、妊娠中の場合は申告する
- 脳深部刺激装置を使用している場合は申告する
- 数日前にバリウムを使用した検査を受けた場合は申告する
- ペースメーカーやICDを装着している場合は申告する
- 金属類がついた服装を避け、アクセサリーをはずす
- 撮影時はなるべく動かないようにする
- 撮影方法によっては食事をとれない
- 放射線による被ばくのリスクがある
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
妊娠の疑いがある、妊娠中の場合は申告する
妊娠の可能性がある場合や、妊娠中の場合は、事前に申告しましょう。
CTの撮影部位によって、胎児への被ばく量が変わります。
頭部の場合は、胎児の被ばく量が0.005mSv未満、胸部レントゲンの場合は0.01mSv未満、骨盤部CTで最大79mSvとされています。
胎児が奇形になる可能性がある被爆量は、少なくとも100mSv以上とされているため、どの部位でも一度の撮影で胎児奇形を起こす可能性は低いといえる数値です。
ただし、短期間に骨盤部CTを何度も撮影することによって、胎児への被ばく量が高くなるため、注意が必要です。
事前に妊娠の可能性を申告しておくことで、安全に検査が受けられます。
脳深部刺激装置・ペースメーカーなどを使用している場合は申告する
パーキンソン病やジストニアの方など、脳深部刺激装置を使用している場合は申告が必要です。
なぜなら、脳の核という部分に刺激電極を留置し、前胸部などに刺激装置を埋め込んでいるため、電流や磁場に対する注意が必要となるためです。
他にもペースメーカーやICDを装着している場合も、申告する必要があります。
体内で電流が流れる医療器具を使用している場合にCT検査を受ける場合は、必ず医師に申告・相談しましょう。
数日前にバリウムを使用した検査を受けた場合は申告する
CT検査の数日前にバリウムを使用した検査を受けた場合は、申告が必要です。
バリウムがまだ体内に残っている場合は、画像に影響を及ぼす恐れがあるため、検査が受けられないケースがあります。
数日前だから大丈夫だろうと自己判断せずに、いつバリウムを使用した検査を受けたのかを医師に伝えておきましょう。
金属類がついた服装を避け、アクセサリーをはずす
金属類がついた服は、検査前に着替える必要があります。病院によっては検査着に着替えるケースや、下着になるケースがあります。
下着にも金具がついていないかどうかを確認しておくことが大切です。
他にも、アクセサリーなどをつけたままCT検査を受けることはできないため、あらかじめはずしておきましょう。
撮影時はなるべく動かないようにする
CT検査の撮影時は、なるべく動かないようにじっとしている必要があります。
動いてしまうことで、きれいな画像が撮れなくなり、内部の詳細画像が正しく撮れないためです。
詳細な画像でなければ、正確な診断を下せないため、場合によっては撮り直す必要がでてきます。
痛みやかゆみなど、体に不調をきたした場合も動き回らずに、担当者に相談して対応するようにしましょう。
撮影方法によっては食事をとれない
CT検査は、撮影部位によって食事がとれるケースととれないケースがあります。
たとえば腹部CTを撮る場合は、午前の検査では朝食を絶食し、午後の検査では前日の夕食を20時までに済ませ、検査当日の昼食が絶食となります。
水やお茶は飲むことが可能ですが、牛乳やジュースなどは飲めないため注意が必要です。
一方で頭部CTなど、食事の影響を受けない部位を撮影する場合は、普段通りの食事でかまいません。
主治医からの説明を聞いて、食事のとれる時間帯に注意しましょう。
放射線による被ばくのリスクがある
CT検査では、放射線を使用するため、被ばくのリスクがあります。
CT検査による放射線の被ばく量は、撮影部位によって異なりますが、おおむね20mSv以下です。
放射線による被ばくで健康被害を及ぼす恐れのある放射線の量は、100mSv以上といわれていますが、一般的なCT検査で100mSvを超えることはまずないといわれています。
そのため、多少の被ばくリスクはありますが、CT検査の被ばくにより健康被害を起こすことはないでしょう。
CT検査でよくある質問
CT検査でよくある質問をまとめました。
- 造影剤を使うときの注意点は?
- 授乳中でも検査を受けられる?
- 被ばくで体へ負担はかからない?
それぞれの質問に対する答えを解説していきます。
造影剤を使うときの注意点は?
造影剤は静脈注射によって投与されるため、血管から造影剤が漏れだした際には、傷みを感じるケースがあります。
傷みがある場合はすぐに医師に相談しましょう。
また、造影剤を使用したことで、吐き気や頭痛などの副作用が出るケースもあるため、検査後は体調の変化に注意しておく必要があります。
造影剤は尿と共に排泄されるため、造影剤を使用した検査後は、多めに水分をとるように意識しましょう。
授乳中でも検査を受けられる?
造影剤を使った検査のあとは、48時間授乳を控える必要があります。なぜなら、ごく少量の造影剤が母乳に移行する可能性があるためです。
胎児への影響は極めて少ないとされていますが、念のため、授乳を控えておくことでより安心できるでしょう。
事前に搾乳をして母乳を冷凍保存しておくなどの対策をとっておけば、ストックした母乳を温めて飲ませることが可能です。
授乳をしていない間は、母乳がたまり乳腺炎になる危険性が高まるため、搾乳をして乳腺炎を防ぐことも重要です。
被ばくで体へ負担はかからない?
CT検査では、多少の被ばくがありますが、人体に影響を与えるほどの被ばく量とはならないため問題ありません。
CT検査を受けた後、放射線によって傷ついた細胞は、通常数日のうちに修復されるようになっています。
前回のCT検査から次のCT検査までの検査期間があいていれば、被ばく量が蓄積されていくこともありません。
ただし、極端に短期間で何度もCT検査を行う場合は、被ばく量が極端に増えてしまうため、事前に医師に相談しましょう。
まとめ:CT検査でがんを早期発見し治療に活かそう
CT検査は、がんなどの疾病を発見する有効な検査です。
被ばくリスクが心配という方も多いですが、実際には人体に影響を及ぼすような被ばく量ではなく、安全にできる検査です。
CT検査で体の内臓などの組織の詳細画像を解析することで、がんなどの疾病をいち早く発見し、適切な治療を受けましょう。