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歯科用CTとは?特徴とメリット・注意点や費用相場などを徹底解説!

「歯科用のCTって何?」
「歯科用CTにはどんなメリットがある?」

 

歯科用CTは、歯の適切な治療を行うために必要不可欠です。

 

そこで当記事では、歯科用CTについて詳しく解説していきます。メリットや注意点についてもまとめて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

歯科用CTとは?

歯科用CTは、口腔内やあごなど、歯科の診断に必要な部位の詳細な画像を撮影するCTです。

 

歯科に特化したCTであり、口腔内やあごなどの詳細な画像を撮影して、診断や歯科の治療の進め方を決めるために使用します。

 

歯科用CTは、X線管が円形に回転することで、広範囲の撮影ができるという特徴があります。

 

撮影したデータは、コンピューターで3D画像に生成されるため、歯の内部の状態などが詳しく分かる検査方法です。

そもそもCTとは何か

CTとは、X線を使用して人体を輪切りにした画像データを生成するものです。

 

通常のCT検査では、頭から足の先までの内臓など、人体の内部の詳細を画像データで確認できるようになっています。

 

がんなどの疾病や疾病の部位、広がりなどを正しく把握し、治療方法や治療方針を決定するために活用します。

 

また、治療効果の確認や再発の有無の確認にも使用されるケースがあり、適切な治療を進めるために必要不可欠です。

歯科用CTのメリット

歯科用CTには3つのメリットがあります。

  1. かかりつけ医で検査から治療までできる
  2. 撮影部分が少ないため負担が少ない
  3. 情報の正確性が高く安全性が高い

それぞれのメリットを詳しく解説していきます。

かかりつけ医で検査から治療までできる

かかりつけの歯科医院に歯科用CTがある場合は、歯科用CTでの検査から治療まですべてを完結できる点が大きなメリットです。

 

従来は、かかりつけの歯科医院に歯科用CTがないケースが多く、CT検査と治療のために2つの病院に行く必要がありました。

 

しかし、近年では、歯科用CTを設置している歯科医院が増えてきています。

 

歯科用CTを使った検査を受けるために、別の病院を受診する必要がないため、検査から治療までを1つの歯科医院で行うことが可能です。

 

検査から治療までを、一か所ですべてがまかなうことで、時間と費用を節約が可能です。

撮影部分が少ないため負担が少ない

歯科用CTは口腔内やあごなどを専門的に撮影するCTであるため、時間がかからず、撮影時の負担が少なくなります。

 

歯科用CTの一般的な撮影範囲(FOV)は、直径8cmであり、親知らずを除く7番目までの撮影が可能です。さらに、部分撮影の場合は、撮影範囲が直径4cmであり、非常に狭い範囲の撮影を行えます。

 

体への被ばく量は、1回の撮影で0.04ミリシーベルト程度なので、人体へほとんど負担を与えません。

 

長時間拘束されて検査を受けることは、肉体的だけでなく精神的にも負担となるため、撮影時間が短くて済むことで心身ともに負担が減るという点がメリットです。

情報の正確性が高く安全性が高い

歯科用CTは、通常のCTよりも歯科診療に必要な詳細な画像を生成できるため、データの正確性が高まります。

 

口腔内やあごなど限定した部位を専門的に撮影できるため、歯の生え方や神経など、より詳細なデータをもとに適切な治療が行えます。

 

インプラントや歯列矯正などには、歯科用CTの正確性の高いデータが必要不可欠です。口腔内の詳細画像をもとに、安全な治療を進めることができる点が大きなメリットです。

正確な情報をもとに効率的な治療計画を立てられる

正確性の高いデータをもとに治療計画や方針を立てることで、効率的に治療を進められる点がメリットです。

 

例えば、むし歯の治療をする際に、むし歯となっている部分だけ処置しようとしても、歯の内部のむし歯が表面から見えない場合、健康な歯を削りすぎてしまう恐れがあります。

 

歯科用CTで撮影した正確なデータを活用して、治療計画を立てることで、健康な部分を守りながら効率的な治療を進められます。

レントゲンではわからなかった問題点を見つけられる

歯科用CTを活用すれば、レントゲンでは見つけることができなかった問題点を見つけられるケースがあります。

 

歯科用CTでは、骨の厚みや神経、血液などの情報が得られるため、レントゲンでは写し出せなかった詳細なデータを得られるためです。例えば、インプラントをする際は、顎の骨などの状態を詳しく知る必要があります。

 

レントゲンでは問題ないと思っていても、歯科用CTを撮ることで骨の状態をより詳しく見て問題点を見つけることが可能です。

 

インプラントを埋め込むための、骨の厚みが足りないなどの問題点を発見できるでしょう。

歯科用CTとレントゲン・医療用CTとの違い

歯科用CTとレントゲン・医療用CTとの違いは、3つあります。

  1. レントゲンよりも正確性が高い
  2. レントゲンよりも撮影時間が短い
  3. 医療用CTと異なり座ったまま撮影が可能

それぞれの違いを詳しく解説していきます。

レントゲンよりも正確性が高い

3Dで立体的な画像が生成できる歯科用CTは、レントゲンよりも正確性が高いという特徴があります。

 

例えば、骨の厚みなどを立体的に見れるため、インプラントなど詳細な画像が必要となる場合は、レントゲンよりも正確性が高い歯科用CTが最適です。

 

傷つけてはならない神経の位置も正しく把握することで、適切な治療ができます。

 

歯周病の進行具合など、レントゲンでは確認できない部分をカバーする役割も果たします。

レントゲンよりも撮影時間が短い

歯科用CTは1度で広範囲の画像を撮影できるため、複数枚撮影する必要がなく、短時間で撮影を終わらせることが可能です。

 

レントゲンでは、1度に撮影できる範囲が狭いため、何度も撮影が必要となり、撮影時間が長くなります。

 

歯科用CTは、撮影時間が短いため、迅速に治療を始められます。

医療用CTと異なり座ったまま撮影が可能

歯科用CTは、座ったまま撮影できる検査です。

 

口腔内やあごの部分の撮影になるため、衣服を脱ぐ必要もなく、すぐに検査できるという特徴があります。

 

一方で医療用CTは、ベッドにあおむけになって筒状の機械に入った状態での撮影になります。

 

例えば、ベッドに寝た状態で大きな機械に入っていく医療用CTが苦手という方でも、歯科用CTであれば、機械がコンパクトで座ったままで撮影可能です。

 

閉鎖的な空間が苦手という方でも医療用CTは、抵抗が少なく検査を受けられます。

歯科用CTが活用される場面

歯科用CTは、必ずしも歯科診療の際に使われるものではありません。歯科用CTが活用される場面は、以下のようなときです。

場面 確認内容
親知らずを抜歯する際 神経の位置や歯の生え方の確認
インプラントをする前 骨の厚さや密度などの確認
歯の神経治療の際 神経の位置などの精密検査
歯周病の際 進行具合を確認
顎関節症(がくかんせつしょう)の際 あごの状態の確認

いずれも、治療を適切に行うために、口腔内やあごの詳細の画像データを必要とします。

 

歯科用CTを利用することで、治療の際のリスクを最小限までおさえて、患者に負担がかからないような効率的な治療を進めることが可能です。

歯科用CTの撮影手順

歯科用CTは、医療用のCTとは異なり、座ったままで撮影できます。歯科用CTの撮影手順は以下の通りです。

  1. 歯科用CTの説明を受ける
  2. 妊娠の有無や体内にペースメーカーなどの金属があれば申告する
  3. 身につけている金属製のものを外す
  4. 専用のエプロンを着用する
  5. 検査用の椅子に座る
  6. 歯科用CTで撮影
  7. 画像の確認のため待機

撮影はすぐに終わるため、撮影中は、なるべく顔を動かさないようにして、正確な画像が撮れるようにしましょう。

歯科用CTにかかる時間

歯科用CTの撮影にかかる時間は、約10秒と非常にスピーディです。

 

検査にかかる時間は、片あごを撮影する場合や両あごを撮影する場合で時間は異なりますが、10分程度です。さらに、撮影後は、画像を確認するために10〜20分程度待つ必要があります。

 

そのため、検査にかかる時間は、おおよそ20〜40分程度となります。

 

撮影時間は非常に早く、座ったままでさっと撮影が終わるため、患者への負担は少ないといえるでしょう。

歯科用CTの費用相場

歯科用CTは保険適用となれば検査費用が安くなり、ならない場合は高くなるため、どちらになるかによって費用が大きく異なります。

 

保険適用となった場合の費用相場は、約3,000~4,000円です。

 

保険適用となる場合は、担当の歯科医師が「歯科用CTが必要」と判断したときです。「歯科用CTが必要」と判断されて保険適用となる例としては、以下の条件が挙げられます。

  1. 横向きに生えている親知らずの抜歯
  2. 変形性顎関節症
  3. あごの骨を骨折している場合
  4. 中等度以上の歯周病

一方で、保険適用とならないのは、インプラントの治療の際のCT検査やまっすぐに生えている親知らずの抜歯、根尖病巣のない根管治療などです。

保険適用とならなかった場合は、約8,000〜10,000円を自己負担する必要があります。

歯科用CTの被ばくリスクと安全性

歯科用CTの被ばくリスクや人体への影響について、気になる方も多いと思います。

  1. 被ばく量は少ない
  2. 被ばく対策によって安全性が高い

それぞれの項目について詳しく解説していきます。

被ばく量は少ない

歯科用CT検査を受ける際は、被ばくを避けることはできませんが、被ばく量は少ないため心配はいりません。

 

歯科用CTを使用した際の被ばく量は、0.04mSv程度とされています。

 

日本で日常生活を送る中で、受けている自然放射線量は、1年間で2.1mSvとされているため、歯科用CTでの被ばく量の少なさが分かります。

 

100mSv以下の放射線は、人体に影響を与えないことがわかっているため、歯科用CTの被ばく量は、全く問題ありません。

 

参照:被ばく量の比較|株式会社アールエフ
参照:自然・人工放射線からの被ばく線量 – 環境省

被ばく対策によって安全性が高い

歯科用CTは、被ばく量を抑えるための被ばく対策があるため、安全性が高いという特徴があります。

 

被ばく量を必要最低限に抑えて、詳細な画像を取得できるように作られています。

 

また、歯科用CTを撮影する際は、X線を通さない鉛のエプロンなどを使用して、他の部分への被ばくを防ぐ対策がなされており、さらに安全性を高めて検査が行われる仕組みです。

歯科用CT撮影で注意が必要なケース

歯科用CTの撮影では、検査前に申告が必要なケースがあります。

  1. 妊娠中または妊娠の疑いがある
  2. 体内に金属が埋め込まれている
  3. 心臓ペースメーカーを使用している

それぞれの注意点について詳しく解説していきます。

妊娠中または妊娠の疑いがある

妊娠中や妊娠の疑いがある場合は、事前に担当の医師に申告しましょう。

 

医療機関によって、妊娠中または妊娠の疑いがある患者へのCT撮影について、取り決めが異なるため、事前に撮影が可能であるか確認しておく必要があります。

 

ただし、妊娠中や妊娠の可能性がある方が、必ずしも歯科用CTを撮れないということではありません。

 

まず、歯科用CTはお腹に対して撮影するものではないため、胎児に影響を与えません。さらに、X線を通さない鉛のエプロンを着用することで、X線の被ばくを抑えます。

 

安全と言っても、胎児への影響が気になる方は多いため、被ばく量を最小限に抑える工夫がなされています。

体内に金属が埋め込まれている

体内に取り除くことができない金属が埋め込まれている場合は、念のため事前に申告をしておきましょう。

 

人工内耳、人工関節などの金属がある場合は、金属がある部分について事前に担当の医師に伝えておくことでスムーズに検査が行えます。

 

申告をしなかった場合、高品質な画像が撮れないなどの問題が起こる可能性があるため注意が必要です。

 

例えば、人工内耳を入れている患者が歯科用CTを撮影した際に、歯の部分と金属の部分が重なってしまうとCT画像に影ができ、歯の状態を正確に判断することができません。

 

事前に申告しておけば、金属があることを認識したうえで撮影に挑めるので、撮影したい箇所に対して適切な撮影方法を実施できます。

心臓ペースメーカーを使用している

心臓ペースメーカーを使用している場合も、安全に検査を行えるようにするために、事前に申告しましょう。

 

なぜなら、心臓ペースメーカーの本体の回路にX線が照射されることで、ペースメーカーが異常動作を起こす恐れがあるためです。

 

事前に申告しておけば、撮影の際に、鉛のエプロンをつけて心臓の部分が被ばくしないように対策をとることができます。

 

担当医師は、患者の体のことをよく知っておくことで、適切な治療を安全に進めることが可能です。

歯科用CTでよくある質問

歯科用CTを撮影することになったときに、多くの方が疑問に思うことをまとめました。

  1. 歯科用CTはどこの歯科医院でも撮影できる?
  2. 歯科用CTは保険が適用される?
  3. 子どもでも歯科用CTは使える?
  4. 歯科用CTを繰り返すと肌や髪に悪い?

それぞれの質問の回答を参考にしてみてください。

歯科用CTはどこの歯科医院でも撮影できる?

歯科用CTの普及は進んでいますが、すべての歯科医院で撮影ができるわけではありません。

 

そのため、事前に歯科医院に連絡をして、歯科用CTの有無を確認しておくことがおすすめです。

 

歯科用CT検査が必要な場合は、歯科用CTを所有している歯科医院を受診することで、検査と治療をすべて1つの病院で行えます。

歯科用CTは保険が適用される?

歯科医師が歯科用CTの検査が必要と判断する症例のみ、保険が適用されます。

 

保険が適用される例としては、顎関節症などの顎関節の形態を確認するための撮影があります。インプラント治療などの自由診療に対しては、保険適用とならないため、注意が必要です。

 

自身の症例が保険適用となるのかどうかは自己判断できないため、担当医師に確認しておきましょう。

子どもでも歯科用CTは使える?

子どもでも、歯科用CTは使えます。

 

担当医師が歯科用CTの撮影が必要と判断すれば、撮影が可能です。子どもの体格に合わせて、放射線量を最小限に設定して安全に検査が行われます。

歯科用CTを繰り返すと肌や髪に悪い?

歯科用CTは被ばく量が非常に少ないため、肌や髪に影響を与えることはありません。

 

例えば、1度に2,000枚以上の撮影を行った場合には、肌や髪などに悪影響を及ぼす恐れがありますが、現実的に撮影する枚数ではないため、問題はありません。

まとめ:歯科用CTで正確な情報を得て安全に治療しよう

歯科用CTは、歯科診療において正確な情報を得て、効果的な治療を進めるために活用できる検査です。

 

X線による被ばく量は非常に少なく、人体に与える影響はないため、安全性が高く、安心して検査を受けられます。

 

歯科用CTは、保険適用となるケースとならないケースがあるため、事前に担当医師に確認しておきましょう。

 

ぜひ当記事を参考にして、歯科用CTの特徴やメリットを知り、効果的な治療に活かしてください。