「ネブライザーは、気管支喘息や、肺炎の治療に使われているって聞いたけど、どのようなものなんだろう」という疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
ネブライザーは、医師から処方された薬液を専用の容器に入れ、薬液を霧状にして吸引できる専用機器です。短い時間で効果的に薬剤を吸引できるため、子供から大人まで幅広い層におすすめです。
そこで本記事では、ネブライザーがどのようなものなのか、使用するメリットや正しい使い方を含めて解説します。ネブライザーが気になっている方は、本記事を参考にしてみてください。
この記事の内容
ネブライザーとは?どのような方が利用する?
ネブライザーとは、液体の薬剤を細かい霧状にして吸引できる医療機器です。
気管支喘息や急性気管支炎、肺炎などの呼吸器系の治療に使用されてます。吸う力が弱い方でも問題ないため、子どもや高齢者にも使える点が魅力です。
また、霧状にすることで、薬が気道に直接届きやすく、効率よく治療を行えるでしょう。
ネブライザーを利用するメリット
ネブライザーを利用するメリットは、5つあります。
- 薬が直接気道や肺に届く
- 全身への副作用が少ない
- 乳幼児や高齢者にも使いやすい
- 継続的な吸入が可能
- 小型タイプも多く持ち運びしやすい
それぞれのメリットについて解説します。
薬が直接気道や肺に届く
ネブライザーは、薬剤を霧状にできるため、直接気道や肺に届けられる点がメリットです。
粉薬などの内服薬の場合は、効果が現れるまで時間がかかってしまいます。しかし、霧状にすることで吸い込みやすく、数分で気道が拡張されて呼吸が楽になります。
そのため、呼吸がしんどい時間が長い・頻度が多いという方は、ネブライザーの利用がおすすめです。
全身への副作用が少ない
ネブライザーは、全身への副作用が少ないという点が魅力です。飲み薬の場合は、胃に負担があったり、成長抑制などの副作用があったりします。
しかし、ネブライザーであれば、内服薬や注射薬と比べて血中への吸収が少なく、副作用リスクを軽減できます。
呼吸器系の薬で副作用が気になるという方は、ネブライザーを検討してみてください。
乳幼児や高齢者にも使いやすい
ネブライザーは、乳幼児や高齢者にも使いやすいという点がメリットです。
薬剤が霧状になるので、呼吸に合わせて自然に吸入でき、吸う力が弱かったり、正確な吸入動作ができなかったりする方にもおすすめです。
たとえば、赤ちゃんが風邪で咳や痰がひどいとき、ネブライザーで去痰薬を吸入すると、呼吸が楽にできるでしょう。
座っているだけで治療ができるので、多くの方におすすめです。
継続的な吸入が可能
ネブライザーは、継続的な吸入ができる点も魅力です。1回の治療時間が数分~10分程度なので、継続的に薬剤を気道に届けることができます。
そのため、慢性疾患のコントロールにも向いているでしょう。
たとえば、気管支炎で粘りのある痰がある場合は、去痰薬と生理食塩水を混ぜて吸引すると、痰が柔らかくなるため排出が楽になりやすいです。
症状を少しでも早く和らげたい方におすすめです。
小型タイプも多く持ち運びしやすい
ネブライザーは、小型タイプも多く持ち運びしやすい点もあげられます。
近年は、さまざまな商品が登場しており、充電式や手のひらサイズの商品も登場しています。外出先でも使えるので、退院時や旅行時でも安心できるでしょう。
ネブライザーの種類
ネブライザーの種類は、3つあります。
- ジェット式
- 超音波式
- メッシュ式
それぞれの種類について解説します。
ジェット式
ジェット式は、空気圧を利用して薬剤を霧状にするタイプです。ネブライザーの中でも一般的なモデルで、医療機関や家庭でも広く使用されています。
ただし、ほかの種類と比べると、モーター音が大きいため、夜間の使用には不向きです。
また、本体がやや大きいため、持ち運びしにくいという点があげられます。価格が比較的安く耐久性にも優れているので、長く使いたい方に向いているでしょう。
超音波式
超音波式は、超音波を振動で薬剤を霧化します。ほかの種類と比べて霧の粒が細かく、吸引時に負担が少ないという点が大きな特徴です。
また、動作音が静かなので、夜間で使用したいという方にも向いているでしょう。
ただし、熱が発生しやすいため、タンパク質を含む一部の薬剤は変性する可能性がある点に注意してください。
メッシュ式
メッシュ式は、微細な金属フィルターを超音波で振動させるタイプです。小型のタイプが多いので、持ち運びしやすい点が魅力となっています。
また、音も静かなので、夜の使用にも向いているでしょう。
ただし、価格が比較的高く、メッシュ部分の掃除や管理が手間というデメリットがあります。メリットとデメリットを照らし合わせて、ネブライザーを選ぶようにしましょう。
ネブライザーの正しい使い方
ネブライザーは、使用する際に以下の4つの流れで進みます。
- 1回分の薬液をよく振りボトルに入れる
- 薬液が噴射しているのかを確認する
- ゆっくり呼吸しながら薬液を吸入
- ネブライザーを洗浄し乾燥させる
正しい使い方を解説していきます。
STEP.1 1回分の薬液をよく振りボトルに入れる
ネブライザーを使用するときは、まず1回分の薬液をボトルに入れて振りましょう。
とくに、薬剤が懸濁液タイプの場合は、しっかりと振ることが重要です。
医師や薬剤師の指示に従い、生理食塩水を作って必要に応じて薄めるようにしましょう。
STEP.2 薬液が噴射しているのかを確認する
1回分の薬液をボトルに入れたあとは、ネブライザーを起動させて、噴射しているか確認しましょう。
霧が出ていない場合は、部品の詰まりや組み立てミスが考えられます。たとえば、ノズルの詰まりやチューブの接続ミスがあった場合は、霧が出ない可能性があります。
目視で霧が出ているか、しっかりと確認しましょう。
STEP.3 ゆっくり呼吸しながら薬液を吸入
霧が出ていることがわかった後は、口から深く吸い、ゆっくりと呼吸しましょう。
小さな子どもや高齢者の場合は、マスクを使って自然な呼吸で吸入すると、しっかりと体に取り込めます。
吸引時間の目安は、約5分~10分程度にしましょう。終了の目安は、薬剤が霧化しなくなったらと考えるとわかりやすいです。
STEP.4 ネブライザーを洗浄し乾燥させる
薬剤が霧化しなくなったあとは、ネブライザーを洗浄して乾燥させましょう。薬液カップやマスク、チューブなどを分解して、水道水でよく洗います。
また、週に1回は中性洗剤で洗い、よくすすいでから乾燥させるのがおすすめです。
ただし、本体が濡れたら壊れてしまうため、洗う際には注意してください。
ネブライザーを使用する際の注意点
ネブライザーを使用する際の注意点は、6つあります。
- 姿勢を意識する必要がある
- 使用後は必ず洗浄し乾燥させる
- 複数の薬を使うときは混ぜてよい薬剤か確認する
- 使用期限を守る
- 消耗品は定期的にメンテナンスが必要
- 他人との共用はしない
それぞれの注意点について解説します。
姿勢を意識する必要がある
薬剤を気道や肺に届ける必要があるため、背筋を伸ばした状態で吸引するのが理想的です。
寝たままの姿勢や、姿勢を崩している状態では、薬剤が喉に留まりやすく、効果が落ちてしまう可能性があります。
背筋を伸ばすのが難しい場合は、背もたれを使い、45度以上起きている状態がおすすめです。
使用後は必ず洗浄し乾燥させる
ネブライザーを使用した後は、必ず洗浄してしっかりと乾燥させましょう。使用後にしっかりと洗えていない・乾燥できていない状態だと、カビや雑菌が繁殖する原因に繋がります。
使用直後に水道水ですすぎ、週に1回は中性洗剤で洗って乾燥させるのがおすすめです。
洗った後にしっかりと乾燥させないと、菌が繁殖しやすい状態になるので、通気性が良い場所で乾燥させてください。
複数の薬を使うときは混ぜてよい薬剤か確認する
ネブライザーを使用する際に、複数の薬を使うときは、混ぜて良い薬剤か確認しましょう。組み合わせが悪いと効果が落ちたり、化学反応を起こしたりする薬剤もあります。
複数の薬を使用する際には、かかりつけの医師や薬剤師に、組み合わせて吸引しても問題ないか確認してください。
使えない組み合わせの場合は、時間を開けて別々に吸引すると良いでしょう。
使用期限を守る
ネブライザーの注意点として、使用期限を守るようにしてください。
薬剤やネブライザーの部品には使用期限があり、期限が過ぎてしまうと効果が落ちたり、有害になったりする可能性があります。
使用する前に、薬剤のパッケージまたはラベルに記載された期限をチェックしてください。
消耗品は定期的にメンテナンスが必要
ネブライザーの消耗品は、定期的にメンテナンスすることが必要です。フィルターやチューブ、マスクなどが消耗品に該当し、劣化してしまうとネブライザーの性能が落ちてしまう場合があります。
たとえば、機種によって異なりますが、フィルターは1~2か月ごとに交換すると良いでしょう。
ほかにも、メッシュ式の場合は、メッシュ部分の洗浄や交換が必要です。メーカーの取扱説明書に記載された、内容に沿ってメンテナンスすると良いでしょう。
他人との共用はしない
ネブライザーを使用する際には、他人との共有はしないようにしてください。
ネブライザーは、口や鼻に直接触れるため、他人と共有すると、感染症のリスクがあります。たとえば、同居家族であったとしても、必要人数に合わせて部品を揃えるのが好ましいです。
ネブライザーの選び方
ネブライザーを選ぶ際に意識したいポイントは、3つあります。
- サイズ・重さで選ぶ
- 動作音で選ぶ
- 薬の種類で選ぶ
それぞれの選び方について解説します。
サイズ・重さで選ぶ
ネブライザーを選ぶときは、サイズや重さをチェックするのがおすすめです。
たとえば、自宅で使用する機会が多い場合は、耐久性を重視し、多少大きめでも良いでしょう。
外出先や旅行先でも使用したいときは、軽量でコンパクトなメッシュ式などが向いています。使用する場所に合わせてサイズや重さを選ぶと、自分にあった商品を見つけやすいです。
動作音で選ぶ
動作音は、ネブライザーを選ぶ際に意識したいポイントです。
ネブライザーは、人によって使用する時間帯や環境が異なります。具体例をあげると、夜間や寝室で使用する場合は、動作音が静かなメッシュ式や超音波式がおすすめです。
また、音が大きいと子どもが怖がってしまう可能性があるため、小さな子どもに使用する際にも、動作音が静かな商品が良いでしょう。
薬の種類で選ぶ
ネブライザーを選ぶときは、使いたい薬に対応している商品か確認しましょう。
たとえば、懸濁液や粘性のある薬剤には対応していないネブライザーもあります。
また、超音波式は、タンパク製剤や粘性薬などの一部の薬に不向きな場合があります。
医師や薬剤師に、気になっている機種が薬剤に対応しているか確認すると良いでしょう。
おすすめのネブライザー6選
おすすめのネブライザーは、以下の6つです。
- コンプレッサー式 ネブライザ NE-C803
- コンプレッサー式 ネブライザ NE-C28
- ハンディ吸入器 NE-S20
- 超音波温熱吸入器 UN-135
- ネブライザー(コンプレッサー式)ME101
- ポータブル型超音波吸入器 UN-302
それぞれの特徴について解説します。
コンプレッサー式 ネブライザ NE-C803
メーカー | OMRON |
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費用(税込) | 9,900円 |
特徴 | ・180gと軽く手のひらサイズ ・キッズ用のアクセサリーを装着できる ・静音設計 |
公式サイト | https://store.healthcare.omron.co.jp/item/NE_C803.html |
コンプレッサー式 ネブライザ NE-C803は、180gと軽く、手のひらサイズの商品です。コンパクトなため、持ち運びがしやすく、外出先や旅行先で使用したい方に向いているでしょう。
また、ゾウやうさぎなどのキッズ用のアクセサリーを装着できるため、子どもに使いたいという方にもおすすめです。
さらに静音設計で作られているので、夜間で使用しても音が気になりにくいです。
コンプレッサー式 ネブライザ NE-C28
メーカー | OMRON |
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費用(税込) | 15,290円 |
特徴 | ・操作性に優れている ・手入れが簡単 ・口と鼻どちらにも対応 |
公式サイト | https://store.healthcare.omron.co.jp/item/NE_C28.html |
コンプレッサー式 ネブライザ NE-C28は、スイッチを押すだけで、誰でも簡単に吸引できる商品です。
手入れが簡単で、いつでも簡単に清潔な状態を作りやすいでしょう。口や鼻どちらにも対応しており、吸う力が少ない方にも向いています。
状況に合わせて使用方法を変えられるので、さまざまな方におすすめです。
ハンディ吸入器 NE-S20
メーカー | OMRON |
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費用(税込) | 9,980円 |
特徴 | ・持ち運びに便利なハンディタイプ ・パーツが少なく準備や手入れが簡単 ・使い切りのメッシュで衛生的 |
公式サイト | https://store.healthcare.omron.co.jp/item/NE_S20.html |
ハンディ吸入器 NE-S20は、持ち運びに優れたハンディタイプの商品です。さまざまな場所に持ち運びしやすいため、外出先や旅行先で使いたい方にも向いているでしょう。
また、パーツが少ないため、準備や手入れが簡単な点も魅力です。
さらに、使い切りのメッシュで衛生的な状態を作ることができ、清潔な状態を保ちたい方におすすめです。
超音波温熱吸入器 UN-135
メーカー | A&D |
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費用(税込) | 16,280円 |
特徴 | ・優しく喉や鼻を温められる ・風邪や花粉の季節に活躍 ・噴霧量を調整できる |
公式サイト | https://x.gd/Tpxds |
超音波温熱吸入器 UN-135は、ハンディタイプで持ち運びのしやすさに優れた商品です。
約43℃・5マイクロメートルの霧で、やさしく喉や鼻などを温めてくれます。風邪や花粉の季節に活躍してくれるネブライザーで、鼻内を加熱・加湿できます。
また、噴霧量は強と普通で調整できるため、状況に合わせて使い分けられるでしょう。
ネブライザー(コンプレッサー式)ME101
メーカー | MEDIKEN |
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費用(税込) | 5,324円 |
特徴 | ・幅広い薬剤に対応 ・手のひらサイズで持ち運びしやすい ・USB-Cで電源供給が可能 |
公式サイト | https://www.mediken.net/product/me101/ |
ネブライザー(コンプレッサー式)ME101は、懸濁液など、ほとんどの薬剤に対応しています。手のひらサイズで持ち運びのしやすさに優れており、ポケットに入れて収納も可能です。
また、USB-Cで電源供給が可能で、コンセントがなくてもモバイルバッテリーなどで使えます。
本体には、薬剤カップ置き台も付いているため、電源準備時に作業をしやすいでしょう。
ポータブル型超音波吸入器 UN-302
メーカー | A&D |
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費用(税込) | 6,980円 |
特徴 | ・生理食塩水に対応 ・わずか60gで持ち運びに優れている ・給水ユニットは丸洗いして繰り返し使える |
公式サイト | https://x.gd/8Yavn |
ポータブル型超音波吸入器 UN-302は、生理食塩水に対応しているネブライザーです。生理食塩水を使えるため、むせずにスムーズに吸入しやすいでしょう。
また、わずか60gと軽く、収納袋も付いているので、持ち運びもしやすいです。
さらに、給水ユニットは丸洗いできるため、繰り返し使えて経済的な負担を軽減できます。
まとめ:ネブライザーを正しく使って喘息をコントロールしよう!
ネブライザーは、正しく使うと喘息をコントロールできます。
薬剤を霧化できるため、肺や喉にしっかりと届けられる点が大きな魅力です。また、全身への副作用が少ないほか、幼児や高齢者にも使えるため、多くの方におすすめです。
気管支喘息や肺炎などで悩んでいる方は、本記事でご紹介したネブライザーの選び方やおすすめ商品を参考にしてみてください。