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薬局(調剤薬局)が内装で意識するポイント!こだわるべき理由も紹介

調剤薬局の内装は、実はとても重要な要素です。

現在、カフェ風の雰囲気やスタイリッシュなデザインなど、さまざまなコンセプトの調剤薬局が増えています。来院時に内装で惹きつけられれば、気分が高まり、評判や口コミにつながる可能性もあるでしょう。

そこでこの記事では、調剤薬局が内装で意識するポイントやこだわるべき理由などについて詳しく紹介します。レイアウトで意識すべきポイントも場所別で解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

薬局(調剤薬局)が内装にこだわるべき理由

調剤薬局の内装にこだわるべき理由は、集客と売上に影響するからです。

患者に快適な空間を提供するだけでなく、薬局のブランドイメージにも影響を与えるため、内装へのこだわりは重要です。

外から見て内装に魅力を感じてもらえれば、入店してもらいやすくなるため、集客につながります。

また、薬局では医薬品を処方したり、顧客の健康にかかわるサービスを提供するため、清潔感が重要となります。

温かみがある内装で落ち着く空間であれば、処方箋を渡してから受け取るまでの待ち時間も過ごしやすくなるでしょう。

リピートしてもらいやすい環境を提供することで、継続して通ってもらえて売り上げアップにつながります。

薬局(調剤薬局)における内装のポイント

調剤薬局の内装をデザインするうえでのポイントを7つご紹介します。

  1. ブランドイメージをもとに設計する
  2. 動線を意識してプランニングする
  3. 必要なスペースをレイアウトする
  4. 設備・機器・什器の数量・サイズを確認する
  5. ユニバーサルデザインを意識する
  6. 清潔感・温かみのある内装材を選ぶ
  7. 採光や照明器具を検討する

ブランドイメージをもとに設計する

ブランドイメージをもとに設計することで、一貫したサービスの提供ができ、リピーターの増加効果が期待できます。

調剤薬局の内装や品質は、信頼性に直結し、患者の満足度を高められるかを左右するポイントです。

待合室の印象一つで薬局への評価も大きく変わってくるため、コンセプトに基づいた内装を完成させましょう。

内装は個性を出しやすい部分で、例えばカフェのような雰囲気は好まれやすい傾向にあります。

動線を意識してプランニングする

患者さんやスタッフにとって、心地いい内装をデザインするには、動線を意識したプランニングが重要です。

動線とは、人の移動経路を線で表したもので、顧客の満足度向上と従業員の作業効率の両方に影響を与えます。

患者さんと従業員を区別して動線を設計することで、売上アップ・集客効果が期待できます。

調剤薬局の動線は、以下を意識して設計すると効果的です。

  • 患者と従業員を交差させない
  • 従業員の作業動線を極力短くする
  • 患者の滞在時間を考慮する
  • 死角をなくす

調剤薬局では、処方された医薬品の量によっては、すぐに用意ができて患者の滞在時間が短くなるケースも考えられます。そのため、待合とレジ(受付)までの距離を短くしておくのがいいでしょう。

提供スピードも重要なため、従業員の作業動線を短くすることも大切です。

必要なスペースをレイアウトする

調剤薬局に必要なスペースをレイアウトするのも、大切なポイントです。

サービス内容に応じて検討する必要があり、受付や待合室、調合室はもちろん、トイレや事務室、休憩室などもレイアウトしてください。

特に薬局では、患者さんの病気や怪我などの顧客情報が漏洩しないようなレイアウトにしなければなりません。

受付のパーテーション設置」や「事務室が待合室から見えないようにする」などの工夫が必要です。

子どもの患者さんがよく来店される場合は、キッズスペースなどを用意するか、絵本などを置いておくとお子様連れの顧客からの評価も高まりやすいです。

設備・機器・什器の数量・サイズを確認する

設備・機器・什器の数量やサイズもしっかり確認しておきましょう。

薬局に必要な機器や什器としては、レセプトコンピューターや分包機、レジスターなどが挙げられます。

快適な空間を提供するためのエアコンやカウンター、ソファなども必要です。

物件探しの前に設備・機器・什器の数量・サイズを事前に計算しておくことが重要です。

必要なものが配置できるか、収納できるかを確認しておくと店舗選びがスムーズに進み、失敗リスクを減らせるでしょう。

ユニバーサルデザインを意識する

ユニバーサルデザインを意識して内装をデザインすると、幅広い顧客ニーズに応えられて評判も高くなりやすいです。

ユニバーサルデザインとは、全ての人が利用しやすい設計のこと。自動ドアや手すり、多機能トイレなど、お子様やお年寄りの方、妊婦の方でも利用しやすい環境を作りましょう。

調剤薬局はあまり大きな店舗でないことが多いため、こだわりすぎるのもかえって窮屈になる恐れがあります。とはいえ、自動ドアや手すりは、多くの方にとってメリットがあります。

清潔感・温かみのある内装材を選ぶ

清潔感・温かみのある内装材を選ぶことも、重要なポイントです。

病院にいって気分が落ち込んでいる人や、体調や体の状態が優れない人も多いため、患者はあまり長く薬局に滞在したいとは思いません。そのため、少しでもリラックスして過ごしてもらえるように、明るく清潔感のある内装にするのが望ましいです。

壁や床には温かみのある内装材を採用することで、和やかな雰囲気を演出できます。気分を落ち着かせて、ストレスなく待機してもらえるような環境を整えましょう。

採光や照明器具を検討する

薬局の内装は、法令に基づき、適切な採光や照明でデザインする必要があります。

参照:e-gov法令検索「薬局等構造設備規則」(第1条)

照明は、内装空間の雰囲気を決める重要な要素の一つで、光の色味次第で開放的な空間なのか、温かみのある空間なのかなど、雰囲気が左右されます。

適切な採光や照明を満たすためにも、照明器具やガラス窓を取り入れるなどして、採光や照明器具を検討しましょう。

薬局(調剤薬局)のレイアウトで意識すべきポイント

続いて、薬局(調剤薬局)のレイアウトで意識すべきポイントを、場所別で解説します。

受付

受付は、できるだけ入り口に近い場所に設置しましょう。

調剤薬局では、患者がまず薬剤師に処方箋を渡す必要があるため、スムーズに受付するには入り口からの距離が近くなくてはなりません。

しかし、入り口に近すぎるところにあっても、今度は調剤室との距離ができてしまう可能性があります。

その場合は、患者さんがスムーズに受付まで来られるよう設計してください。

待合室の先に受付があるレイアウトの場合は、しっかり動線を考え、広めの通路を確保するなどの工夫が必要です。

スペースを確保できるなら、受付カウンターは長めにし、レジを複数設置すると回転率を高められます。

薬の説明や相談などで時間を有することが多いため、患者さんを待たせないための工夫をしましょう。

車椅子やベビーカーに乗ったお子様連れの患者さんもいるため、そういった場合でもスムーズに動けるようなレイアウトを心掛けることが重要です。

調剤室

調剤室は調剤薬局において最も重要な場所です。

調剤室の広さは法律で決まっており、薬局等構造設備規則の第1条10項には、以下のように定められています。

イ 六・六平方メートル以上の面積を有すること。

引用:厚生労働省「〇薬局等構造設備規則 第一章第一条四」

また、明るさについても規定があり、120ルクス以上なければなりません。

市区町村によっては、出入口が引き戸・開き戸であることなどの審査基準を設けている地域もあります。

また、患者さんに安心感を与えるためにも、待合室から調合室の中が見えるように透明ガラスで中で覗ける作りにする必要があります。

このように、調合室には様々な規定があるため、事前に管轄する自治体に確認したうえで工事を行いましょう。

待合室

待合室は、患者さんが調剤薬局内で最も長い時間を過ごす場所です。

処方箋を受け取ってから調剤を行うため、店内の混雑状況や薬の量によっては2〜30分以上待つケースも生まれます。

混雑すると予想される立地の場合は、ソファを多めに置くなど、座れない人が出てこないように配慮しましょう。

また、座っていてもテレビや雑誌だけでは退屈に感じる人もいるかもしれません。

退屈させないためにも、客層に合わせて待ち時間を快適に過ごせる工夫をしましょう。

例えば、壁に健康に関するコラムを貼ったり、小児科の近隣の場合はキッズスペースを設置し、おもちゃや絵本を用意するといいでしょう。

薬局のコンセプトに合わせて、清潔感のあるコーディネートを心掛けましょう。

事務所・更衣室

スタッフのために事務室や更衣室も必要で、自治体によっては設置を義務付けているところも少なくありません。

着替えをするには更衣室は必須で、事務室も1日の売り上げ計算などをしたり、休憩場所としても利用できます。更衣室や休憩が取れる事務室がなければ、働きやすい環境は作れません。

スタッフのモチベーションを高めるためにも、必ず設置して清潔感を保ちましょう。

ただし、法令で定める薬局の面積に事務所や更衣室は含まないとする自治体があります。法律で定められた薬局に必要な面積は、事務室・更衣室を除いて条件を満たさなければなりません。

薬局(調剤薬局)は内装制限を心がける

薬局(調剤薬局)のレイアウト時は、内装制限を心がける必要があります。

薬局の構造・設備は、国によって内装制限が定められており、必要な要件を満たしていなければ開業できません。

調剤薬局の主な内装制限は、以下のとおりです。

  • 薬局全体の面積は19.8㎡(5.99坪)以上であること
  • 調剤室・待合室の面積は6.6㎡以上であること
  • 天井及び床は板張り、コンクリート、またはこれらに準ずるものであること
  • 調剤業務従事者以外が侵入できないような構造であること
  • 鍵のかかる貯蔵設備を有すること
  • 医薬品を交付・陳列する場所の照明は60lux(ルクス)以上、調剤台の上は120lux以上の明るさを有すること
  • 調剤に必要な設備や器具を備えていること
  • 換気が十分であり、かつ清潔であること
  • 医薬品は通常陳列とすること

参照:厚生労働省「薬局等構造設備規則(昭和三十六年二月一日)」

上記は国で定められている法令で、自治体が個別に内装制限を設けている場合もあるため、詳しくは管轄の自治体の保健所で相談することをおすすめします。

また、薬局の内装を手掛けたリフォーム会社に相談してみるのもいいでしょう。

薬局(調剤薬局)の照明を自由に選べない!その理由とは?

内装制限の関係上、薬局(調剤薬局)の照明は自由に選べません

国によって、場所ごとに明るさが決められており、例えば医薬品を交付する場所は60lux(ルクス)以上、調剤台の上は120lux以上と定められています。

薬局やドラッグストアでは内装制限で定められる規定よりも明るい照明を設置しているところも多く、JIS(日本産業規格)で規定されている照明基準では、500lux程度が推奨されています。

薬は間違って服用すると命に関わる場合があり、間違いのないように丁寧な説明をして受け渡す必要があります。そういった意味でも明るさを保つことが重要です。

トラブルを未然に防ぐためにも、明るめの照明を設置しておきましょう。

薬局(調剤薬局)の内装工事にかかる費用相場

薬局(調剤薬局)を開業するためには、予算を確保しておかなければなりません。

内装工事にかかる費用相場は店舗の大きさにより異なりますが、おおよその相場をご紹介します。

一般的な調剤薬局の開業時の内装工事にかかる費用の相場は、以下の通りです。

費用の内訳 費用の相場
デザイン 30万~60万円程度
施工監理や仮設・解体 30万~60万円程度
内装工事
(天井や壁、床、建具など)
90万~180万円程度
設備・機器・什器工事
(電気・水道・ガス・空調・カウンターなど)
150万~300万円程度
合計 300万~600万円程度

これはあくまで一例ですが、この中でも多くを占めているのは設備・機器・什器で、その次に内装工事に大きな費用がかかることがわかります。

内装工事費以外にも外装工事費や、人件費、物件の取得料や宣伝料なども発生するため、多めの資金を確保しておきましょう。

薬局(調剤薬局)は内装以外に看板や外装にもこだわるべき

薬局(調剤薬局)は、内装だけでなく看板や外装にもこだわる必要があります。

こだわるべきポイントは、以下の3点です。

  1. 一目で薬局だとわかる看板にする
  2. 外観は薬局の集客に影響する
  3. 入口はバリアフリー対応にする

一目で薬局だとわかる看板にする

遠くから見ても一目で薬局だとわかる看板にしておくと、高い集客効果を生みます。

病院・診療所に隣接している薬局なら、病院の受付で隣に薬局があると案内されて来てもらいやすいでしょう。しかし、数軒離れた場所にある場合は、看板でアピールしなければ目に止まりません。

一般的な薬局は、青や緑を基調とした看板が多いですが、明るめの色を使用して目立たせる薬局も中には存在します。

しかし、あまり派手すぎると何のお店かわからなくなり、薬局だと気付いてもらえない恐れもあるため、シンプルなデザインにしましょう。

「処方せん」「薬」などの言葉を大きく目立つように記載するなどし、薬局であることがわかるようにしてください。

外観は薬局の集客に影響する

薬局は、内装だけでなく外観も集客に影響します。

一般的には、外に面した壁はガラス張りにして、中の様子がわかるようにすると安心感が生まれ入りやすくなります。

なお、他の薬局と差別化を図りたい場合は、取り扱っている薬の種類が分かるようなデザインにしましょう。

外から見ても十分清潔感があると感じられれば、選んでもらいやすくなります。

店内はもちろん、外装の清掃も業者を呼ぶなどして定期的に行ってください。

入口はバリアフリー対応にする

調剤薬局には、病気で具合が悪い方やお年寄りの方も多く来店します。そのため、なるべく体に負担がかからないようなバリアフリー構造にすることが重要です。

入り口に段差があると膝や脚、腰などに不安を抱える人は、上り下りがつらくなるでしょう。

車椅子の患者さんは自力での入店が難しく、薬局に入るハードルが上がってしまいます。

できるだけ入り口には段差がないほうが望ましいですが、構造上段差をなくすことが難しいのであれば、スロープや手すりを設置しましょう。

入り口だけでなく、トイレや内部の壁、受付カウンターにも手すりを設置し、患者さんが少しでも移動しやすい構造を心がけてください。

まとめ:薬局(調剤薬局)は内装にこだわって快適に過ごせる空間にしよう

薬局(調剤薬局)は、清潔感が大切な場所になるため、内装にこだわって待ち時間を快適に過ごせる空間にしましょう。

調剤薬局は治療に必要となる薬を受け取る場所であるため、透明性の確保にもこだわらなければなりません。

内装制限を満たして設計する必要があるため、自力で検討するよりも薬局の施工会社に相談するなど慎重に検討を進めていってください。