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健康診断結果をデータ化!方法やおすすめアプリ3選を紹介

健康診断は一度行えば良いわけではありません。継続的に行い、過去の結果も保管しておく必要があります。

しかし、従来では健康診断の結果を紙で保管しており、紛失や探すのに手間がかかるといった不具合が生じていました。

そこで本記事では、健康診断における結果のデータ化について解説します。外部委託する際のおすすめアプリを3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

健康診断のデータ化が推進される背景

まずは、なぜ健康診断の結果が電子化されたのかを解説します。

厚生労働省から健康診断結果のデータ化が推進されている

厚生労働省によると、健康診断結果は様々な健診機関や法に基づく事業者などを行き来し、複雑になることからデータ化を推進しています。

また、個人が健康に関心を持ち、より良い健康生活を送ってもらうために、マイナンバーカードに健康保険証の機能を加えました。2021年からはマイなポータルにて、特定健診や薬の情報を確認でき、いつでもどこでも自分の体にかかわる情報を知ることができます。

参照:データヘルス計画における健康情報(個人情報)の取扱い

2020年8月の法改正で「医師などの押印」が不要となっている

2020年8月に行われた法改正により、医師などの押印が不要になりました。

今までは健康診断結果に医師などの押印が義務だったため、データ化しても印刷しなければなりません。しかし法改正により、結果票に押印や署名などが不要になり、データでのやり取りがしやすくなりました。

参照:健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。

健康診断結果をデータ化するメリットとは?

では、健康診断結果をデータ化することでどんなメリットがあるのか解説します。

  1. 担当者の業務効率が高まる
  2. 病院が従業員を受け入れやすくなる
  3. 健康経営のコア業務に注力できる
  4. コラボヘルスを推し進められる
  5. 従業員へのアプローチがスムーズになる

担当者の業務効率が高まる

健康診断結果のデータ化は、管理する担当者の業務効率が高まります。紙の結果だとファイリングやコピーなどの保存業務に追われ、通常業務に手がつけられません。従業員数が多い大企業になると、保存作業だけでも数週間かかります。

データ化することで保存業務が省け、全体の業務効率を高めることが可能です。また、データ化された健康診断結果はパソコンで管理できますので、保管場所の確保や移動による紛失リスクを抑えられます。

健康診断結果を提示が必要になった場合は、紙での保管では探す時間がかかりますが、データ化だと瞬時に見つけられる点も魅力です。担当者のデータ管理にかかる負担も軽減できるでしょう。

病院が従業員を受け入れやすくなる

健康診断結果をデータ化することで、従業員の健康状態がわかるので病院側も受け入れやすくなります。患者が重症化しているときは、自分の状態をうまく伝えられません。他にも病気を持っていないか、どういう原因でこのようになったのか検査する必要があります。

そこで、健康診断の結果から判断できれば、検査する時間を短くできます。

健康経営のコア業務に注力できる

健康経営とは、従業員の健康を経営する視点で考えながら管理をすることです。健康経営の促進には人事を中心に業務体制を見直し、改善のために大きな労力と時間をかけなければなりません。しかし、健康診断結果の管理に追われると、コア業務にかける時間を取れなくなります。

そこで、データ化することで、保存業務が削減でき、結果的にコア業務に時間をかけられます。健康経営は時間をかければかけるほど、より大きなメリットを生み出します。健康診断結果のデータ化は必要でしょう。

コラボヘルスを推し進められる

コラボヘルスとは、保険者と事業者が積極的に連携し、明確な役割と良い職場環境のうえで予防と健康づくりを効率的かつ効果的にすることです。

保険者に健康診断の結果を提供し、労働者はマイナポータル上で健康データの動きがわかり、今後の健康管理に役立てられます。こうした連携は労働者の健康促進や維持につながり、会社全体の健康づくりが活発化され、健康経営が良い傾向に傾きます。

従業員へのアプローチがスムーズになる

健康診断結果から従業員へ健康促進のアプローチがスムーズにできます。紙の健康診断結果票だと、郵送で送られますが、時間帯によって受け取れません。受け取ったとしても、時間が経つとどこに置いてあるかわからない場合があります。

そこで、健康状態の結果をデータ化することで、携帯電話があれば時間に関係なくメールで添付し、送信可能になります。結果が必要になった場合、いつでも確認できるので、非常に役立つでしょう。

健康診断結果をデータ化する方法2選

健康診断結果をデータ化する方法について2つご紹介します。

  1. 内製化する
  2. 業者に外部委託する

内製化する

紙の健康診断結果をエクセルなどで管理する方法で内製します。メリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット ・コスト削減ができる
・個人情報に関する取り扱いリスクを軽減できる
デメリット ・専門知識が必要
・医療機関によって診断基準やフォーマットが異なる

自社で一貫して行うので、コストを抑えられます。新たなシステムを導入する必要がないので、システムを探す手間が省くことが可能です。外部やシステムに委託しないので、個人情報取り扱いのリスク軽減もできます。

健康診断結果票には、住所や電話番号などが書かれています。こうしたデータは外部委託による流出リスクがありません。

デメリットは、健康診断結果を見るうえで専門知識が必要になることです。どの部分が悪くてどのように改善するかが必要です。正しい見方ができなければ、社員へ正確に共有もできません。

もし判断が難しいなら、産業医や保険師などのサポートを依頼するのがおすすめです。医療機関によってフォーマットが異なるので、担当者が統一したフォーマットにまとめる作業が増え、結果的に担当者の負担が大きくなるでしょう。

業者に外部委託する

健康診断のデータ化は、業者に委託する方法もあります。

メリット ・担当者の負担が軽減される
・健康経営に関するサポートが受けられる
デメリット ・コストがかかる
・個人情報漏洩のリスクがある

先ほどお伝えした保存業務や管理に対して時間をかけなくてよいので、担当者の負担が減ります。その分、通常業務や健康経営などのコア業務に集中できるので、会社全体の事業促進につなげられるでしょう。

システムや業者によっては健康診断の結果から従業員へのサポートや今後の生活についてアプローチもするので、従業員の健康づくりを手助けしてくれます。

デメリットはコストがかかるところです。導入から年間契約まで、さまざまなコストが必要になります。導入することによってどんな価値が生まれるのかを見極めなければなりません。

また、個人情報の漏洩には最新の注意を払う必要があります。外部に漏洩すれば、企業にとって大きな損害になりかねません。信頼できる業者に依頼することが大切です。

健康診断結果のデータ化におすすめのサービス3選

それでは、健康診断結果のデータ化におすすめのサービスを3つ紹介します。

  1. スマートOCR健康診断書
  2. パシャっとカルテ
  3. WELSA(ウェルサ)

スマートOCR健康診断書

運営会社 株式会社インフォディオ
機能 ・健康診断書管理
・データ抽出エンジン
・高セキュリティ
利用料金 要問い合わせ
無料トライアル 5日間あり
公式サイト スマートOCR健康診断書

スマートOCR健康診断書は、人工知能を用いて健康診断書の画像から歪な文字などを高い精度で読み取れるクラウドサービスです。どんなフォーマットでもデータ化でき、特定の要件であってもカスタマイズできます。

管理や連携もスムーズで、「未確認」や「ダウンロード済」などの色タグ付けや検索機能も導入可能です。スマホアプリをとることで連携し、スマホでデータを確認できます。

パシャっとカルテ

運営会社 Arteryex株式会社
機能 ・健康診断データ化
・血液検査結果データ化
・処方箋のデータ化
利用料金 無料(プレミアム会員だと200円〜)
無料トライアル なし
公式サイト パシャっとカルテ

パシャっとカルテは、病院で作られたカルテを専用のアプリで写真を撮って、送信すると書類がデータ化されるアプリです。健康診断結果はもちろん、PCR検査などの結果や、処方箋もデータ化可能です。

スマホアプリ内で診断結果をすぐに表示できるので、医師に見せられます。機能性は診断結果をデータ化して保存するだけですが、とてもシンプルで扱いやすいサービスです。

WELSA(ウェルサ)

運営会社 インフォコム株式会社
機能 ・健康診断管理
・ストレスチェック
・分析・予測
利用料金 要問い合わせ
無料トライアル なし
公式サイト WELSA(ウェルサ)

WELSA(ウェルサ)は、従業員と組織の健康状態を集めて管理するサービスです。健康診断はもちろん、ストレスチェックなどバラバラな健康データを一元管理し、エビデンスに基づいた分析や予測を立てます。

そこから生まれた健康課題から健康セミナーやフィットネスアプリを導入し、改善するまでサポートする体制です。健康診断の再診通知が設定できたり、従業員と面談で話したことを記録したりなどもできます。

健康診断のデータ化を内製化するときのポイント

健康診断のデータ化を内製化するときのポイントを3つ紹介します。

  1. 個人情報保護法に注意する
  2. データのバックアップは必ず取っておく
  3. 万全なセキュリティ対策を取る

個人情報保護法に注意する

健康診断結果をデータ化する際に、個人情報保護法に注意しなければなりません。経済産業省によると、平成27年9月に個人情報保護法が改正され、個人の不利益や差別を受けないように定められました。今かかっている病気や障害、そして健康診断結果などは本人あが同意しない限り、第三者へ提供できません。

もし健康診断結果をデータ化する場合は、あらかじめ従業員の同意を得る必要があります。

参照:データヘルス計画における健康情報(個人情報)の取扱い

データのバックアップは必ず取っておく

管理しているデータが予期しないトラブルで紛失したり、災害などで消えてしまったりしないようにバックアップを取っておきましょう。

バックアップを取る際は、自社でサーバーを立ち上げて管理することをおすすめします。サーバーなら社内で安全に管理でき、複数台でも運用できます。

万全なセキュリティ対策を取る

個人情報を取り扱うので、万全なセキュリティ対策を準備してください。

具体的にはアクセス制限やシステムの監視です。また、外部からのハッキングにも備えるために、ウイルス対策ソフトを別で導入すると、より強いセキュリティ対策がとれます。

健康診断結果のデータ化を外部委託する際のポイント

次に、健康診断結果のデータ化を外部委託するときのポイントを4つご紹介します。

  1. 健康情報管理規程を熟知しているか
  2. PマークもしくはISMSを取得しているか
  3. 納品スピードが早く利用しやすいか
  4. フォーマットや基準値が統一されているか

健康情報管理規程を熟知しているか

健康情報管理規程とは、企業と労働者間で健康情報を扱う際のルールのことです。外部に労働者の個人情報や健康情報を渡すので、扱い方を理解しているのかが重要になります。そのため、セキュリティが十分であるかなどを確認しなければなりません。

個人情報が漏れるリスクをなくすために、チェックしていきましょう。

参照:事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き

PマークもしくはISMSを取得しているか

PマークとISMSを取得しているかどうかも重要です。PマークとISMSそれぞれについて、下記にまとめました。

Pマーク(プライバシーマーク) 個人情報の適切な保護体制をとっている事業者であることを証明するマーク
ISMS セキュリティ対策が十分である認定マーク

これら2つのマークは、各審査機関の審査を通って認定されたものです。個人情報の取り扱いおよびセキュリティ対策も万全にするため、取得しているか確認しておきましょう。

納品スピードが速く利用しやすいか

健康診断結果を送付した後の納品は早いか、納品期限を守っているのかについて確認しなければなりません。会社の全体スケジュールを確認し、どれくらいにまとめた結果が反映されてほしいかを目安に探すのがおすすめです。

また、担当者の業務が軽減される機能やサポートが完備されているかも確認する必要があります。健康診断結果のデータ分析から健康サポートや受診が必要な従業員にリマインドメールが送信されるかなどのアプローチが可能かどうかもポイントです。

不具合の発生後にすぐメンテナンスし、改善・対策を取れるかも確認しておきましょう。

フォーマットや基準値が統一されているか

受信した医療機関によってフォーマット、基準値は異なるので適切なサポートができません。十分な健康サポートができるフォーマットと基準値が必要になります。

まとめ:重要な健康診断結果はデータ化して安全な状態で保管しよう

健康診断結果には個人情報が含まれている大切な書類です。内製化したり、外部に委託する場合でも流出してしまう恐れがあります。これから健康診断結果をデータ化するときは個人情報の取り扱いに注意、確認したうえで導入することが大切です。

健康診断結果も従業員を守る必要がある企業にとって大切な機密情報ですので、データ化して厳重に管理しましょう。