「潰れるクリニックにはどんな特徴がある?」
「クリニックを倒産させないためにはどのような対策が必要?」
厚生労働省が公表する「医療施設動態調査」(2021年10月)によると、日本国内のクリニック廃業率は約0.47%とされています。
一般的な企業と比較すると低いですが、廃業数は年々増加傾向にあります。
では、潰れるクリニックにはどのような特徴があるのでしょうか。
そこで本記事では、潰れてしまうクリニックの特徴や対策について解説します。
開業を控えて不安を感じている方や、経営に行き詰まりそうな方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
潰れるクリニックの特徴5選
では早速、潰れるクリニックの特徴を5つ紹介していきます。
- 立地の利便性が悪い
- ドクターのスキル・知見が足りない
- スタッフ間の人間関係がうまくいっていない
- 資金繰りが上手くできていない
- 広報・宣伝が十分にできていない
立地の利便性が悪い
最も大きな特徴は、立地の利便性が悪いことです。
特に、高齢の方や体調が優れない患者は、徒歩で通院する必要があるクリニックには気軽に通えません。
立地の利便性が悪いと言えるポイントは以下の通りです。
- 駅やバス停から遠い
- 進行方向の逆車線にある
- 駐車場が狭い
- 建物の2階以上にある
- クリニック付近の人通りが少ない
開業前に立地を検討し、集患が見込める土地を選択しましょう。
ドクターのスキル・知見が足りない
ドクターのスキルや知見が不足していては、患者に離れられてしまいます。
診断や治療の正確さをはじめ、患者との丁寧なコミュニケーションを大切にしなければなりません。
患者とのコミュニケーションをないがしろにしていては「あのクリニックの先生は感じが悪い」「もっと優しい先生に見てもらいたい」など、ネガティブな感情を持たれてしまうでしょう。
近年は、クリニックを選ぶ際にインターネットの口コミを参考にする人も珍しくはありません。
悪い評判や口コミがインターネット上に拡散してしまうと、どうしても集患はうまくいかなくなります。
スタッフ間の人間関係がうまくいっていない
スタッフ間の人間関係がうまくいっていないクリニックも注意が必要です。
人間関係が悪いと退職するスタッフが出てきたり、業務効率が悪くなってミスにつながったりする恐れもあります。
新しい人員を採用する際もコストや時間がかかるため、スタッフが長く働けるようなクリニックを作っていかなければなりません。
資金繰りが上手くできていない
資金繰りが上手くできていなければ、倒産するリスクは高まります。
初期から必要以上に医療機器を導入したり、目的なく改装を実施したりと、資金を使い過ぎてしまうケースは珍しくありません。
導入する機器は必要最低限にしたり、資金をふまえて慎重に改装を検討したりといった対応をしなければ、資金不足で倒産するリスクが高まります。
広報・宣伝が十分にできていない
集患がうまくいかなければ、潰れるリスクは高まります。
キレイなクリニックを建て、腕の立つドクターがいたとしても、地域の人たちに知ってもらえなければ意味がありません。
ホームページの開設をはじめ、地域にアプローチしたマーケティング戦略の立案と実施をしないと集患は見込めないでしょう。
潰れないクリニックにするための対策6つ
潰れないクリニックにするためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
それでは、以下6つの対策をご紹介します。
- 事業計画をしっかりと立てる
- 開業地を入念に調査する
- スタッフの採用と育成に力を注ぐ
- 広報活動を積極的に行う
- 第三者への医療継承を視野に入れる
- 惰性で仕事をしない
事業計画をしっかりと立てる
クリニックを潰さないためには、事業計画をしっかりと立てることが大切です。
開業前に金融機関からの融資を受ける際には、開業時の資金調達や開業後の収支の見積もりなどをまとめた事業計画書が必要になります。
事業計画書の作成を通して、綿密な検討を重ねておきましょう。
開業後も定期的に計画を見直し、資金繰りが順調にできているかどうか、確認してみてください。
開業地を入念に調査する
倒産のリスクを減らすために、開業地についての調査は入念に行ってください。
立地の利便性はもちろん、クリニックの診療科目やコンセプトに合った場所を選ぶことが大切です。
たとえば、子育て世代の家庭が少ない地域で小児科クリニックを開業しても、集患は困難でしょう。
地域の人口構成や競合の医院数などをチェックし、集患が見込めそうな場所を選定してください。
スタッフの採用と育成に力を注ぐ
スタッフの採用と育成への注力も重要なポイントです。
優秀なスタッフや診療方針に共感してもらえるスタッフがいなければ、業務の効率化は見込めません。人間関係のトラブルも起こりやすいでしょう。
採用活動に力を入れて優秀なスタッフを集め、採用後もクリニックの戦力になってもらえるように育成する必要があります。
広報活動を積極的に行う
多くの患者に来てもらえるように、広報活動を積極的に行いましょう。
患者にクリニックの存在を知ってもらうために、ホームページの開設をはじめ、さまざまな施策を検討してみてください。
とはいえ、Webを使って集患を成功させるには専門的なノウハウが必要です。
ITやWebへの苦手意識がある場合は、専門の業者への依頼も視野に入れましょう。
第三者への医療継承を視野に入れる
後継者が見つからない場合は、第三者への医療継承を視野に入れてみてください。
クリニックを子どもや親族に継いで欲しいと思っていても、必ずしもうまくいくとは限りません。
閉院させるよりも費用を抑えられたり、譲渡損益が得られたりといったメリットもあるため、専門のコンサルタントに相談してみましょう。
惰性で仕事をしない
惰性で仕事をせずに学び続ける姿勢を持つことも、クリニックを潰さないために重要なことです。
医師としてのスキルアップはもちろん、経営に関する勉強や情報収集に力を入れてみてください。
より良いクリニックを作り、良質な医療体験を提供できるように研鑽を積んでいきましょう。
潰れるクリニックは増えている?医療機関の倒産動向
では、実際に潰れるクリニックは増加しているのでしょうか。
東京商工リサーチの実施した調査によると、2022年度の診療所の倒産数は、過去最多タイとなる「22件」でした。
倒産するクリニックが急増する結果となった原因として、コロナ禍にともなう受診控えを背景とする販売不振や放漫経営などが挙げられます。
また、後継者や経営上の失敗、コンプライアンス違反といった要因により潰れてしまうクリニックが少なくありません。
参照:2022年度の「診療所」倒産、過去最多の22件「コロナ関連」は減少、後継者難や不正発覚が増加|株式会社東京商工リサーチ
こうした背景を踏まえて、今後は改善策を模索していく必要があるでしょう。
潰れるクリニックに関するよくある質問
最後に、潰れるクリニックに関するよくある質問を紹介します。
潰れる病院やクリニックに前兆はありますか?
スタッフの離職が立て続けに起こり、悪い口コミや評判が目立つと要注意です。
多くのスタッフが働きたいと思えないクリニックは、何らかの問題を抱えていると考えられるでしょう。
また、クリニックについての悪い口コミや評判がインターネットなどを通じて話題になってしまうと、患者はさらに離れていってしまいます。
スタッフと細かくコミュニケーションをとり、広報活動や患者への対応について定期的に見直す機会を作りましょう。
人気のクリニックにはどのような理由がありますか?
人気が集まるクリニックの特徴として、以下の要因が挙げられます
- 患者が通いやすい
- 外装と内装がキレイ
- 待ち時間が少ない
- 先生の診察が丁寧
- きちんと検査してくれる
患者にとって利便性が高く見た目も綺麗なクリニックには、患者も気持ちよく通えるでしょう。
もちろん、診察の丁寧さや待ち時間の少なさなど、良質な医療体験を提供してくれるかどうかも、人気を高めるためのポイントになります。
まとめ:潰れるクリニックの特徴を理解して人気の医院を築こう
潰れるクリニックには、利便性の悪さやドクターのスキル不足、人間関係や経営方針など、さまざまな特徴があります。
自院が潰れるクリニックの特徴を持っていないかどうかをチェックし、潰さないための対策を検討してみてください。
潰れないクリニックを築くために、まずは開業前の事業計画の検討や立地の調査、スタッフの育成や広報活動に注力しましょう。
また、患者により良い医療体験を提供できるように、院長自身がスキルアップする気持ちを持ち続けることも大切です。