「電子カルテを閲覧してしまった。。。」
「電子カルテの閲覧履歴は残るのかな?」
このようにお考えではありませんか。
そこで、この記事では電子カルテの閲覧履歴が残るのか、また電子カルテの不正閲覧がどのような問題を引き起こすのかを解説します。
後半では電子カルテの不正閲覧を防ぐ手段を検討しているため、併せて確認してみましょう。
電子カルテの閲覧履歴は残る場合が多い
電子カルテの閲覧履歴は、必ず残るわけではありませんが、残る場合が多いと言えます。
電子カルテには個人情報が多く含まれているため、悪用されないためにも閲覧履歴が残されている場合が多くあるのです。
また、閲覧履歴が残らない場合でも、誰かが電子カルテを見ている状態で、他の人がログインすると「〇〇さんが見ています」と表示されるタイプのものもあります。
電子カルテを不正閲覧すると訴訟に発展することも
電子カルテを不正閲覧すると訴訟に発展することもあります。
ここでは、電子カルテの不正閲覧に関する3つの事件を紹介します。
ケース①
1つ目のケースです。
高齢女性2人が孫の男に刺され、亡くなった事件で、高齢女性2人が搬送された病院にて不正閲覧が発覚しました。
電子カルテは業務と関係のある者以外閲覧してはならないことになっています。
しかし、当病院では3日間におよび約240人が不正に電子カルテにアクセスしていたことが発覚しました。
病院側は「興味本位の閲覧があった。深くおわびする」と謝罪しましたが、医療機関における個人情報保護の観点から、医療機関側に不信感が募る一件となりました。
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37716420T11C18A1AC8Z00/
ケース②
2つ目のケースです。
ある大学病院にて前立腺癌の治療を受けた患者のカルテを、泌尿器科教授らが無関係にもかかわらず、不正に閲覧したとして、患者会が厚生労働省に調査を求めました。
治療にあたった担当医師が不正アクセスに気づき、当大学の公益通報窓口へ通報。
しかし、大学からの通知がなかったため、担当医師が厚生労働省と患者会に不正閲覧があった事実を伝えることになりました。
閲覧した人数は先ほどのケースよりも少ない状況ではありますが、そもそも不正閲覧が禁止であること、また不正閲覧をしたのが大学教授であることから事件として取り上げられました。
参考:https://www.asahi.com/articles/ASM1K3VQ8M1KULBJ00D.html
ケース③
3つ目のケースは訴訟に発展したケースです。
父親からの暴力が原因で脚を怪我した妹が病院を受診し、同じく姉にも虐待の疑いがあり、2人とも保護目的で入院することになりました。
しかし、母親の勤め先で上司が姉妹が入院した経緯を知っていたことに疑問を感じ、調べたところ、当病院にて看護師・技師、従業員の計24人が不正閲覧をしていたことが発覚。
姉妹と母親は、プライバシーを侵害されたとして、病院職員と医療事務受託事業者を相手に900万円の損害賠償を請求しました。
病院職員・医療事務受託事業者は、興味本位での閲覧を認めており、のちに退社しています。
なお、本件は最終的には和解が成立しました。
参考:https://www.watakyu.jp/archives/2566
電子カルテの閲覧に厳しい制限をかけられないのか?
では、こうした事件を受け、電子カルテの閲覧に厳しい制限をかけることは難しいのでしょうか?
結論から申し上げると、現状では難しいと言えます。
電子カルテは緊急時にも閲覧することが多々あるため、ログインID・パスワードを知っていれば閲覧できるようにしておかないと、対応が遅れてしまうのです。
そのため、逆に言えばログインID・パスワードさえわかっていれば、不正閲覧ができてしまいます。
できる対策として、1番に考えられるのは、それぞれの個人情報に対する認識をもう一度確認することです。
何をしてはいけないのか、なぜしてはいけないのか、などをもう一度教育するとよいでしょう。
また、システム管理部など、アクセス履歴を確認する部署を設けることもおすすめです。
常に監視されていることがわかれば、不用意に不正閲覧する可能性が減るでしょう。
万が一、不正閲覧があった際にはあらかじめ決めておいた処分を実行します。
徹底して個人情報管理をしていることを知ってもらうことで、それぞれの意識向上にも期待できます。
まとめ
今回は、電子カルテの閲覧履歴について解説しました。
電子カルテの不正閲覧は絶対にしてはいけません。
万が一不正閲覧が発覚した際は訴訟を提起される可能性もあるので、注意してください。
不正閲覧を防ぐ画期的な方法はなく、再教育をしたり監視期間を設けたりすることしかありません。
もう一度、個人情報を扱っていることへの意識づけを強くしておくことが大事でしょう。