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シリンジポンプとは?輸血ポンプとの違いや正しい使い方を解説

「シリンジポンプは、便利って聞くけど、どのようなメリットがあるのだろう……」
「シリンジポンプと輸液ポンプの違いが知りたい……」

 

このような悩みを抱えていませんか?

 

シリンジポンプは、正確な量の薬液をゆっくりと投与できる点が魅力で、集中治療が必要な方や重症患者におすすめです。

 

ただし、シリンジポンプは医療従事者の管理下で使用する機器になります。

 

そこで、本記事では、シリンジポンプの正しい使い方や、利用するメリットについて解説します。使用する際の注意点やおすすめ商品も含めて紹介しているので、参考にしてみてください。

シリンジポンプとは?

シリンジポンプとは?

シリンジポンプは、正確な量の薬液を、継続的にゆっくりと投与できる医療機器です。

 

シリンジの外筒部分を固定し、内筒をポンプの力で押し出して一定量の薬剤を注入する仕組みとなっています。

 

薬剤の流量は細かく設定可能で、必要な薬剤を的確に投与できます。

シリンジポンプと輸液ポンプの違い

シリンジポンプと輸液ポンプの違いは、以下の表のとおりです。

項目 シリンジポンプ 輸液ポンプ
特徴 シリンジを使って微量の薬を送る 点滴バッグなどからチューブ経由で液体を送る
投与できる量 0.1~60ml 数百~数千ml
投与内容 昇圧薬、鎮痛剤、インスリンなど 生理食塩水、抗生剤、栄養輸液など

シリンジポンプは、微量の薬液を投与したいときに活躍してくれます。主に昇圧薬や鎮痛剤、インスリン注射をする際に、シリンジポンプが利用される場合が多いです。

 

一方、輸液ポンプは、点滴バッグとチューブを活用し、多量の液体を送ります。生理食塩水や抗生剤、栄養輸血などで使用されるケースが多いです。

シリンジポンプを利用するメリット

シリンジポンプを利用するメリット

シリンジポンプを利用するメリットは、4つあります。

  1. 正確な速度で薬剤を注入できる
  2. 手作業の負担を軽減できる
  3. 過剰投与や流用のばらつきが起こりにくい
  4. アラーム機能や誤作動防止設計がありリスクを最小限にできる

それぞれのメリットについて解説します。

正確な速度で薬剤を注入できる

シリンジポンプは、正確な速度で薬剤を注入できる点がメリットです。

 

シリンジポンプは、設定した量を正確に守って注入可能で、微細な単位まで制御できます

 

数滴の誤差が血圧に大きな影響を与えてしまうため、精度が高い医療機器を使用したい方に向いているでしょう。

手作業の負担を軽減できる

シリンジポンプは、手作業の負担が少なく、自動的に設定した速度で薬剤を注入できます

 

自動的に薬剤が注入されるため、看護師や医師の負担を大幅に減らすことが可能です。

 

たとえば、緩和ケア病棟で、モルヒネを24時間かけて少しずつ注入しなければいけないときなどに活躍してくれます。

過剰投与や流用のばらつきが起こりにくい

シリンジポンプは、過剰投与や流用のばらつきが起きにくい点が大きなメリットです。

 

投与する薬剤や、患者の状況によっては、少しの量の誤りが命の危機に関わってくる場合もあります。

 

しかし、シリンジポンプは自動投与になるため、手動投与とは異なり過剰投与や流用のばらつきが起きにくいでしょう。

アラーム機能や誤作動防止設計がありリスクを最小限にできる

シリンジポンプは、アラーム機能や誤作動防止設計などがあり、リスクを最小限にできる点もメリットです。

 

たとえば、薬剤が詰まってしまい、流量に異常が起きた場合は、アラームで即時に異常を知らせてくれます。

 

ほかにも、誤作動を防ぐために、ロック機能や二重確認機能が搭載されている商品もあります。

シリンジポンプの正しい使い方

シリンジポンプの正しい使い方

シリンジポンプは、6つの流れで使用します。

  1. 患者に薬剤投与の目的や方法を説明して同意を得る
  2. 手洗いや手指消毒をして準備をする
  3. シリンジをセットする
  4. 流量の設定をする
  5. プライミングを実施する
  6. 点滴を接続する

正しい使い方について解説します。

STEP.1:患者に薬剤投与の目的や方法を説明して同意を得る

シリンジポンプを使用する際には、まず患者に薬剤投与の目的や方法を説明しましょう。

 

患者に目的や方法を説明することで、安心して投与を受けてもらいやすいです。使用する機器がポンプで、持続的に薬剤が注入されることを伝えましょう。

STEP.2:手洗いや手指消毒をして準備をする

患者に説明をしたあとは、手洗いや手指消毒をして準備をしましょう。

 

手洗いや手指消毒をすることにより、感染予防ができます。準備をする際には、シリンジ・薬液・接続部などを準備して、必要物品の滅菌状態を確認してください。

STEP.3:シリンジをセットする

手洗いや手指消毒をしたあとは、シリンジをセットします。使用するシリンジは、機種にあったサイズ・ブランドを使用します

 

認証された互換品ではない場合、誤作動のリスクがあります。シリンジをポンプに正しく固定し、ズレがないか確認しましょう。

STEP.4:流量の設定をする

シリンジをセットしたあとは、流量の設定をしましょう。医師の指示に沿って、注入速度を正確に設定してください。

 

誤設定を防ぐために、二人で確認するダブルチェック体制がおすすめです。ほかにも、流量の設定をした際に、確認者が設定師を読み上げて確認すると良いでしょう。

STEP.5:プライミングを実施する

流量の設定をしたあとは、薬液のチューブに空気が残っていないか確認してください。必要に応じて空気の排出を行い、空気塞栓のリスクを防ぎましょう。

 

たとえば、チューブのクレンメを開け、ポンプのプライムボタンで薬剤を押し出し、気泡がないか目視で確認するのがおすすめです。

STEP.6:点滴を接続する

プライミングを実施したあとは、静脈カテーテルなどの点滴ルートに接続しましょう。

 

薬液がきちんと流れているかを注入開始直後に確認し、患者の状態にも注意を払ってください。数分観察し、漏れや異常がないか確認しましょう。

シリンジポンプを使用する前に確認したいポイント

シリンジポンプを使用する前に確認したいポイント

シリンジポンプを使用する前に確認したいポイントは、3つあります。

  1. 汚れがないか
  2. 破損はないか
  3. 患者との落差・高低差をチェック

それぞれのポイントについて解説します。

汚れがないか

シリンジポンプを使用する前に確認したいポイントとして、汚れがないかチェックしましょう。

 

汚れがあると、誤作動や感染リスクの原因になってしまう可能性があります

 

シリンジポンプの本体や、装着するチューブ・装着するシリンジなどに、薬液の付着や血液汚染、ホコリなどが付いていないか入念に確認してください。

破損はないか

シリンジポンプを使用する際には、本体のディスプレイやボタンなどに破損がないか確認しましょう。

 

たとえば、チューブに小さな亀裂があると、薬液が漏れてしまう可能性があります。

 

ほかにも、シリンジやチューブにも俺やねじれ、接続部の緩みがないかなどをチェックすると良いでしょう。

患者との落差・高低差をチェック

シリンジポンプを使用する際には、患者との落差・高低差を入念に確認してください。

 

シリンジポンプの位置が患者よりも高く、シリンジの押し子がなにかしらの原因で固定されていない場合、落差で薬液が大量に注入されるサイフォニング現象が起きる場合があります。

 

たとえば、落差が大きく、シリンジ50mlの押し子が正しくスライダーに固定されていないときは、5分以内にすべての薬液が自然注入されてしまう可能性があります。

 

サイフォニング現象を起こさないために、ベッドの高さを目安に高低差を調整しましょう。

参照:旭川厚生病院

シリンジポンプ使用時のアラーム対応と注意点

シリンジポンプ使用時のアラーム対応と注意点

シリンジポンプ使用時のアラーム対応と注意点は、3つあります。

  1. 閉塞アラーム
  2. バッテリー低下アラーム
  3. 故障と思われるアラーム

それぞれのアラーム対応と注意点について解説します。

閉塞アラーム

シリンジポンプのチューブや注入経路が詰まっているまたは、折れている場合は、接続が不完全になっているため、閉塞アラームが鳴ります

 

強制的に再開すると、薬剤が一気に流れる危険性があるため、チューブの折れやねじれ、詰まりを取り除いてからスタートしましょう。

 

また、シリンジやコネクターの固定状態、ルートのクレンメが開いているか確認するのがおすすめです。

バッテリー低下アラーム

シリンジポンプのバッテリーが残り少ないときは、バッテリー低下アラームが鳴ります。

 

電源が切れると投与が停止し、薬剤切れによる症状の再発や急変の危険性があります。

 

バッテリー低下アラームが少ないときは、速やかにAC電源に接続するか、予備バッテリーに交換しましょう。

故障と思われるアラーム

シリンジポンプは、内部の機械的な異常や、システムエラーなどの異常が出た際に、故障と思われるアラームが鳴る場合があります。

 

故障と思われるアラームが鳴った際は、説明書やメーカーのマニュアルでエラーコードの内容を確認します。

 

また、明らかに動作がおかしい場合は、使用を中止して予備機に交換してから投与を再開しましょう。

おすすめのシリンジポンプ5選

おすすめのシリンジポンプ5選

おすすめのシリンジポンプは、以下の5つです。

  1. HARVARD PHD ULTRA CPシリーズ
  2. HARVARD PHD ULTRA シリーズ
  3. シリンジポンプ Legato100シリーズ
  4. L.TEX8500シリーズ
  5. KDSシリーズ

それぞれの特徴について解説します。

HARVARD PHD ULTRA CPシリーズ

HARVARD PHD ULTRA CPシリーズ

メーカー ハーバード社
費用 要問い合わせ
特徴 ・2つのモードが選べる
・PCなしでも操作が簡単
・直感的な操作で使える
販売サイト https://cscjp.co.jp/pump/hvd8.html

HARVARD PHD ULTRA CPシリーズは、定圧モードとプログラマブルモードの2種類が選択できるシリンジポンプです。

 

定圧モードでは、mmHg・kPa・psiの単位が選択でき、プログラマブルモードは圧力の上限を%で制御できます

 

また、PCなしでも簡単に操作が可能で、直感的な操作性が大きな魅力です。細かく制御できる、高機能なシリンジポンプを探している方に向いているでしょう。

HARVARD PHD ULTRA CPシリーズの詳細はこちら

HARVARD PHD ULTRA シリーズ

HARVARD PHD ULTRA シリーズ

メーカー ハーバード社
費用 要問い合わせ
特徴 ・プランジャーの移動速度を計算してくれる
・専用のシリンジが不要
・1~10ch対応
販売サイト https://cscjp.co.jp/pump/hvd.html

HARVARD PHD ULTRA シリーズは、搭載するシリンジの内径を入力すると、マイクロプロセッサーによって、プランジャーの移動速度を計算してくれる商品です。これにより、高精度な流量制御が可能で、正確に患者に薬剤を投与できます

 

また、本体に搭載するシリンジの内径を基に計算してくれるので、専用のシリンジなどを必要としません。市販されているさまざまなシリンジや、自作でも使うことが可能です。

 

汎用性の高さや流量制御に優れた商品を探している方におすすめです。

HARVARD PHD ULTRA シリーズの詳細はこちら

シリンジポンプ Legato100シリーズ

シリンジポンプ Legato100シリーズ

メーカー KDScientific社
費用 要問い合わせ
特徴 ・大型タッチパネルで使いやすい
・ゴム手袋をしたままで操作できる
・誤操作防止のロック機能が備わっている
販売サイト https://muromachi.com/archives/item/685

シリンジポンプ Legato100シリーズは、4.3インチパネルの大型タッチパネルが搭載された商品です。感圧式となっているため、ゴム手袋をした状態でも操作できる点が魅力となっています。

 

また、ディスプレイの表示は、横画面と縦画面を任意設定できるため、状況に合わせて使えるでしょう。

 

さらに、誤操作防止のロック機能が備わっているので、安心して使えます。

シリンジポンプ Legato100シリーズの詳細はこちら

L.TEX8500シリーズ

L.TEX8500シリーズ

メーカー 有限会社エルテックス
費用 要問い合わせ
特徴 ・さまざまな機能・モデルがある
・細かな仕様に対応
・目的に合わせて選びやすい
販売サイト https://www.l-tex.net/syringe_pump/

L.TEX8500シリーズは、多種多様な機能・モデルがあり、目的・用途に合わせてシリンジポンプを選びたい方におすすめです。

 

とくに、エルテックスは、カスタムメイドが基本となっており、要望にあった最適な流量範囲やシリンジ容量、切り替えバルブなどの自動化など、細かな仕様に対応しています。

 

そのため、どのような患者に使う頻度が多いのかを伝えると、最適な提案をしてもらえるでしょう。柔軟に対応してくれるので、初めてシリンジポンプを購入する方は相談してみてください。

L.TEX8500シリーズの詳細はこちら

KDSシリーズ

KDSシリーズ

メーカー KDScientific社
費用 要問い合わせ
特徴 ・多彩なサイズのシリンジに対応
・正確かつ安定した動作が可能
・シリンジのサイズ測定などの手間がない
販売サイト https://www.neuro-s.co.jp/general/view/2372

KDSシリーズは、多彩なサイズのシリンジの取り付けに対応している商品です。汎用性の高さが魅力としてあげられるほか、微量注入時でも設定された流量に対して正確に稼動してくれます。

 

また、日本国内のシリンジメーカーのシリンジサイズが登録されています。

 

そのため、使用するシリンジのサイズ測定を毎回行う必要がないので、看護師の負担を削減できるでしょう。

KDSシリーズの詳細はこちら

まとめ:シリンジポンプを使ってリスクを最小限にしながら業務効率を高めよう!

まとめ:シリンジポンプを使ってリスクを最小限にしながら業務効率を高めよう!

シリンジポンプは、正確に薬剤を投与できるおすすめの医療機器です。

 

ただし、機器や手指、周りの環境が清潔な状態であることが重要で、不衛生だと感染症リスクを招いてしまう可能性があります。患者の命を守るためにも、正しい使い方を理解して、一つずつ確認しながら作業をしましょう。