「医療向け生成AIサービスがあるって聞いたけど、なにができるのだろう……」
「医療向け生成AIは、具体的にどのような活用方法があるのだろう……」
このような疑問を抱えていませんか?医療向け生成AIサービスを活用すると、業務効率の向上やスタッフの負担を軽減することが可能です。
そこで本記事では、おすすめの医療向け生成AIサービスについてご紹介します。具体的にできることや、選び方・活用方法まで解説しているので、医療向け生成AIサービスが気になっている方は、参考にしてみてください。
この記事の内容
医療向け生成AIサービスとは?
医療向け生成AIサービスとは、医療分野に特化して利用されている生成AI技術を駆使したサービスです。たとえば、チャットボットで患者と会話し、問診や症状の相談を受けて医師および看護師に伝えるという活用方法があります。
医療向け生成AIサービスは、医師や看護師、薬剤師などさまざまな医療従事者または、患者・病院などを対象に、サービスの質向上や意思決定支援などを目的に提供されています。
病院運営などにも役に立つため、業務効率を高めたい場合や、サービスの質の向上を図りたいときは、医療向け生成AIサービスをチェックしてみてください。
医療向け生成AIサービスでできること
医療向け生成AIサービスでできることには、以下の4つがあげられます。
- 医療文書の作成サポート
- 診療報酬算定の効率化
- 問診支援
- 情報収集・業務負担の軽減
それぞれのできることについて解説します。
医療文書の作成サポート
医療向け生成AIサービスを活用すると、医療文書の作成支援が受けられます。たとえば、生成AIサービスを使うとカルテ記載の自動化や要約なども可能です。
ほかにも、医師の音声入力をテキスト化できるため、セミナーなどに参加した際に専門医が説明した内容を文書化し、ゆっくりと落ち着けるタイミングで確認するのもおすすめです。
また、紹介状や退院サマリーなどの自動生成もできるので、医療文書を作成したいときにサポート機能として活用するのも良いでしょう。
診療報酬算定の効率化
医療向け生成AIサービスを活用すると、診療報酬算定の効率化にも活用できます。診療報酬の算定業務は、診療行為ごとに点数が決まっていてルールが細かく、複雑さから難しいと感じてしまう方も少なくありません。
そこで、AI生成サービスを活用することにより、自動的に処理・補助してくれます。
診療報酬算定は、高い専門知識と多大な時間が必要で、医師や医療事務スタッフに大きな負担となってしまうケースが多いです。診療報酬算定の効率を高めたい場合は、生成AIサービスの活用が向いているでしょう。
問診支援
生成AIサービスを活用すると、問診の効率を高めることが可能です。たとえば、AI問診システムを導入すると、患者の症状や背景の情報収集を自動でしてくれるほか、情報を整理してくれるため、医師は診察前に要点を把握できます。
また、症状や背景などの情報を知っている前提で会話・問診できるため、患者とのコミュニケーション効率が良いです。さらに、症状にあった内容を事前に調べることも可能で、診療の質向上につながるでしょう。
情報収集・業務負担の軽減
生成AIサービスを活用すると、情報収集や業務負担の軽減が図れます。たとえば、生成AIに求めている情報について入力すると、医師が必要とする医学情報を迅速に集めることが可能です。
ほかにも、文書や指示書作成なども、書き方などの支援や情報収集をしてくれるので、業務負担を軽減できるでしょう。
医療向け生成AIサービスの選び方
医療向け生成AIサービスを選ぶ際に意識したいポイントは、6つあります。
- 用途や目的に合わせて選ぶ
- 医療の専門性について調べる
- 薬機法や個人情報保護法・HIPAA準拠などに対応しているか
- しっかりとセキュリティ対策されているか
- 操作性・現場との親和性
- 導入・運用サポート体制
それぞれのポイントについて解説していくので、気になる方は参考にしてみてください。
用途や目的に合わせて選ぶ
生成AIサービスは、医療文書作成や問診支援など、さまざまな活用方法があるため、用途や目的に合わせて選びましょう。たとえば、診療の質を良くしたいと考えているときは、問診支援に関する生成AIサービスがおすすめです。
また、書類作成などの負担を少しでも減らしたい場合は、退院サマリーや紹介状の自動生成などの文書作成支援が向いているでしょう。生成AIサービスはさまざまな活用ができるため、用途や目的に合わせて選ぶようにしてみてください。
医療の専門性について調べる
生成AIサービスの中でも、医療の専門性について調べるようにしましょう。医療分野の場合は、専門用語や特有の表現が多く、情報収集をしたいときに生成AIが理解・処理できるかが重要になります。
医療の専門性が高い場合は、医学用語辞書を搭載していたり、医療専門データの学習実績があったりします。学習実績などが重要になるため、生成AIサービスを活用するときは、医療分野の専門性をチェックしてみてください。
薬機法や個人情報保護法・HIPAA準拠などに対応しているか
生成AIサービスを選ぶときは、薬機法や個人情報保護法・HIPAA準拠などに対応しているか確認しましょう。医療データは機微情報を含むため、法令遵守が欠かせません。
法令を遵守していない情報を取得した状態で書類作成などをしてしまうと、トラブルになってしまう可能性があります。法令を遵守しているか確認してから、生成AIサービスを選ぶようにしてみてください。
しっかりとセキュリティ対策されているか
医療情報の漏洩は大きなリスクを伴うため、生成AIを選ぶときは、セキュリティ対策をチェックしましょう。たとえば、通信が暗号化されていたり、二重認証が採用されていたりすると、不正アクセスやサイバー攻撃から情報漏洩リスクを防げます。
ほかにも、ユーザーごとの権限設定ができる場合は、アクセス制御をしておくと、不正アクセスされにくいでしょう。大切な情報を守るためにも、セキュリティ対策としてどのような方法が実施されているか確認するようにしてみてください。
操作性・現場との親和性
医療向け生成AIサービスを選ぶときは、操作性や現場との親和性に注目しましょう。たとえば、優れている生成AIサービスを導入しても、医療現場で使いにくければ意味がありません。
そのため、現場で使用する場合は、親和性を意識しながら選ぶと良いでしょう。また、操作性に優れていると、実際に使用する際に時間がかからず、ストレスも抱えにくいです。
生成AIサービスの中には、導入前に実際に体験できるトライアルもあるので、操作性を確認してから決めるのもおすすめです。
導入・運用サポート体制
導入・運用サポート体制が整っているかも、重要な選定ポイントです。導入や運用サポートが付いていると、初期設定やスタッフの研修などで支援を受けられます。
また、運用サポートが付いている場合、障害・トラブルが発生した際にも対応してもらえるでしょう。さらに、良いサポート体制が整っている場合は、目的に応じた導入設計やカスタマイズを提案してくれます。
実際に使用する際にわからない点がでても相談できるため、導入して後悔してしまうという状態を避けられるでしょう。
医療向け生成AIサービス10選
医療向け生成AIサービスを導入したい方におすすめのサービスは、以下の10個です。
- AIチャート byGMO
- AI自動返信 by Medrock
- Medrock BOT
- medimo
- ユビーAI問診
- ALYアシスタント
- cotomi
- GaiXer
- Hippocratic AI
- HOKUTO
それぞれの特徴について解説していくので、導入を検討している方は参考にしてみてください。
1.AIチャート byGMO
運営会社 | GMOヘルステック株式会社 |
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特徴 | ・AIアシスト機能がある ・通知機能がある ・導入サポート体制が充実 |
費用 | 無料 ※オンライン診療利用料はクレジットカード決済手数料の2.0% |
公式サイト | https://gmo-healthtech.com/contents/aichart/ |
AIチャート byGMOは、GMOグループが提供しているサービスで、クリニックと患者の利便性を追求しています。Web問診や電子カルテ、オンライン決済などさまざまな機能が備わっており、患者の満足度向上を図れるでしょう。
なかでも、AIアシスト機能は音声入力した内容をAIが要約し、カルテや紹介状の作成を支援してくれます。入力された情報や、文字起こししたボリュームのある文章をSOAP形式に書き換えたり、紹介状に転記できる形式に要約したりできます。
カルテなどの書類作成時間を大幅に削減したい方におすすめです。
2.AI自動返信 by Medrock
運営会社 | 株式会社Medrock |
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特徴 | ・最適な返信文で自動生成 ・多言語にも対応 ・カスタマイズ性に優れている |
費用 | 基本無料 |
公式サイト | https://medrock.co.jp/autoreply/ |
AI自動返信 by Medrockは、AIによる口コミ返信自動化ツールです。口コミに対して自動的に定めた内容を返信してくれるため、丁寧な印象がつきやすいでしょう。
口コミの返信を怠ってしまうと、信頼性の低下や新規患者の減少などが起きてしまう可能性があります。そこで、AIで自動化することによって信頼性を落とさず、好印象を残すことが可能です。
また、カスタマイズ性に優れており、クリニックの特色や要望に合わせて返信文をカスタマイズできます。
3.Medrock BOT
運営会社 | 株式会社Medrock |
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特徴 | ・手軽にHPに埋め込める ・多言語対応 ・24時間365日AIサポート |
費用 | 11,000円~/月額 |
公式サイト | https://medrock.co.jp/ |
Medrock BOTは、医師エンジニアが作成した、クリニック特化型のAIチャットボットです。コーディングが不要で、プログラミングやITに関する知識がない方でも簡単に設置できます。
よくある質問に対してAIが対応してくれるため、時間のかかる電話対応から解放される点が魅力です。
また、患者へのAIサポートは24時間365日AIが瞬時に対応し、予約ページにスムーズに誘導できるでしょう。多言語に対応していることもあり、外国人患者に対しても柔軟に対応できます。
4.medimo
運営会社 | 株式会社medimo |
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特徴 | ・音声認識エンジンで書き起こし ・電子カルテと連携できる ・紹介状の作成機能がある |
費用(税込) | 初期費用:0円 月額:19,800円~ |
公式サイト | https://medimo.ai/ |
medimoは、全国300件以上の医療機関に導入されている、医療向けAI生成サポートです。医療用語に詳しい音声認識ソフトとなっており、医薬品の名前や病名などをしっかりと文字起こしできます。
また、電子カルテとスムーズに連携できるため、使い勝手の良さが大きな魅力です。さらに、紹介状作成機能があり、マイクに向かって内容を吹き込むだけで、自動で作成できます。
書類作成業務の負担を減らしたい、カルテ残業をなくしたいと考えている医療機関におすすめです。
5.ユビーAI問診
運営会社 | Ubie株式会社 |
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特徴 | ・最適な質問をAIが提案 ・言葉で言いにくい内容を入れられる ・詳しい質問を聞きやすい |
費用 | 要問い合わせ |
公式サイト | https://ubie.app/about-ai-monshin |
ユビーAI問診は、専用のタブレット端末によるAIを使用した事前問診サービスです。搭載されているAIに症状などを答えた際、最適な質問を自動で判断して聞いてくれます。
従来の問診よりもさらに詳しい質問が可能で、質の良い診療が期待できるでしょう。
また、直接は言いづらいことでも、タブレットを通してなら入れられる内容もあるほか、言い忘れや伝え漏れを減らせるでしょう。
6.ALYアシスタント
運営会社 | 株式会社ALY |
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特徴 | ・医療に特化している ・専門知識が不要 ・万全なセキュリティ対策 |
費用 | 要問い合わせ |
公式サイト | https://aly.ai/assistant |
ALYアシスタントは、医療に特化しているAIアシスタントサービスです。医療文書の自動生成や電子カルテの情報検索が可能なサービスとなっており、書類作成業務や電子カルテを扱う際の時間削減を図れます。
具体的にあげると、退院サマリーや看護サマリー、リハビリサマリーなどの文書作成が可能です。
また、専門知識が不要で、複雑な設定がなくても医療現場で生成AIを簡単に活用できます。
7.cotomi
運営会社 | 日本電気株式会社 |
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特徴 | ・高い日本語力 ・高速レスポンス ・外来受付も自動化 |
費用 | 要問い合わせ |
公式サイト | https://jpn.nec.com/LLM/cotomi.html |
cotomiは、NECが提供している医療機関向けの生成AIです。高い日本語性能と高速レスポンスを備えており、医療文書の作成サポートだけでなく、外来受付の自動化やオンライン診療の高速化対応などもできます。
外来受付に関しては、AIチャットボットを利用して、次回の予約日の掲示や予約の取得・変更が可能です。空き状況をAIが検索して患者に示してくれるため、病院の負担を大幅に減らせます。
8.GaiXer
運営会社 | 株式会社FIXER |
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特徴 | ・データ保護機能 ・アクセス制御機能 ・プロンプト作成支援 |
費用 | 要問い合わせ |
公式サイト | https://www.fixer.co.jp/news/2024/02/2024_0209_001 |
GaiXerは、データ保護機能やアクセス制御機能に特化している生成AIサービスです。社内マニュアルなど学習に基づく高品質な回答の生成や、文書作成業務の効率化を期待できます。
ほかにも、クラウド上のさまざまなサービスと結合することによって、カスタマー支援などの幅広い分野で活用できます。データ保護や、アクセス制御を強化したい方に向いているでしょう。
9.Hippocratic AI
運営会社 | Hippocratic AI Inc. |
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特徴 | ・大規模言語モデル ・医療制度と安全性向上 ・3T+パラメータ構造採用 |
費用 | 要問い合わせ |
公式サイト | https://www.hippocraticai.com/ |
Hippocratic AIは、アメリカのスタートアップ企業が運営している生成AIサービスです。医療向けに特化しており、安全性を重視した大規模言語モデルで、医療の制度と安全性に貢献してくれます。
ほかにも、独自の3T+パラメータ構造を採用しており、病気や保険会社のポリシーに合わせた情報提供が魅力です。患者の症状や段階に応じて、栄養バランスを考慮したメニュー提案を行います。
10.HOKUTO
運営会社 | HOKUTO株式会社 |
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特徴 | ・簡単入力で生成 ・英語出力可能 ・PCからも利用できる |
費用 | 要問い合わせ |
公式サイト | https://hokuto.app/post/kTxklMMkZ2TVGjWVK3RP |
HOKUTOは、患者への説明文を生成したいというときにおすすめです。「説明する内容」「説明する相手」「説明する相手の特徴」「説明に含みたい項目」「ポイント」という項目があるため、それぞれ内容を入れていくと適した文章を作成可能です。
たとえば、乳がんを患っている女性の配偶者に説明する文章を作成したいとき、項目や説明したい内容を入力するだけで、配偶者にあった説明文を作成できます。
出力は数秒から数十秒で生成されるため、素早い対応が大きな魅力です。また、スマホやPCからでも利用可能で、病院にいない場所でも説明文の作成ができ、時間効率の良い業務を行えます。
医療向け生成AIサービスの活用事例
医療向け生成AIサービスの活用事例では、以下の3つがあげられます。
- 順天堂大学
- 恵寿総合病院・東北大学病院・橋本市民病院
- メイヨークリニック
それぞれの活用事例について解説していきます。
順天堂大学
順天堂大学は、生成AIサービスで診療報酬算定の高速化を図っています。
電子カルテの情報を基に、診療報酬算定の労力を減らす仕組みの構築を行っています。一般的に数日かかっていた診療報酬の算定を数十分程度に短縮することが可能です。
時間がかかっていた業務の負担を大幅に下げられるため、ほかの業務に集中できる時間を確保できています。
恵寿総合病院・東北大学病院・橋本市民病院
恵寿総合病院・東北大学病院・橋本市民病院では、退院サマリー作成業務にかかる時間を、生成AIを活用して最大3分の1まで短縮できたという活用事例です。
看護師と事務スタッフの業務効率を高めたという点が、魅力に感じられています。
具体的には、医師のサマリー作成業務が15分から5分に短縮され、年間約6,500人の患者が退院・転出する場合には、約540時間の作業時間が削減できることが推測されています。
メイヨークリニック
生成AIを活用して、医師の専門知識を保管するシステム開発を行い、関節リウマチの治療に最適な薬剤を選定しているという事例です。生成AIは膨大な医学論文やガイドラインの要点を素早く抽出・要約することが可能で、医師が忙しい診療の合間に効率よくエビデンスの確認や学習ができます。
また、問診や症状、検査データを基に、鑑別診断や治療方針候補を提示する際の補助ツールとして活用することが可能です。診断精度の向上と知見の深化が図れるため、多くの医師に生成AIサービスの活用はおすすめです。
まとめ:医療向け生成AIサービスで業務効率を高めよう!
医療向け生成AIサービスを活用すると、医療文書作成のサポートや診療報酬算定の効率化が図れます。医療の専門性や現場との親和性を考慮すると、あなたに合ったサービスを選べるでしょう。
医療向け生成AIサービスを活用したい方は、本記事でご紹介した選び方やおすすめサービスをチェックしてみてください。