歯科医院では、歯の状態に合わせた最適な治療をしなければなりません。しかし、肉眼で見えている歯に関しては、正確な治療ができますが、見えていない歯はどのような治療が最適か判断が難しいという問題があります。そこで「パノラマレントゲン」という技術が注目を集めています。
パノラマレントゲンとは、肉眼では見えていない歯を確認できる技術のことです。本来であれば治療の難しい歯に対しても適切な治療が可能になります。
本記事では、そんなパノラマレントゲンについて詳しく解説します。より詳しい効果や安全性について網羅的に説明しているため参考にしてください。
この記事の内容
パノラマレントゲンとは1枚のX線フィルムに撮影するレントゲン機器
パノラマレントゲンとは、1枚のX線フィルムで撮影するレントゲン装置のことです。患者の顔の周りをカメラが回る回転方式と、細いX線管を口の中に入れて撮影する体腔管方式があります。
撮影できる場所は、目の周囲から下顎までの範囲で、一回の撮影ですべて映せます。それによって上の歯と下の歯をわかりやすく映すことが可能です。
パノラマレントゲンでわかる9つのこと
パノラマレントゲンでわかることは9つです。
- 虫歯の有無
- 歯周病の進行度
- 親知らずの状態
- 歯の根元状態
- 歯を支える骨の状態・病気の有無
- 顎関節の状態
- 詰め物・かぶせ物の状態
- 歯科の治療歴
- 過剰歯の存在
虫歯の有無
パノラマレントゲンでは、虫歯の有無や進行状況、また大きさも確認できます。レントゲン撮影には、歯の状態が正確に映し出されるため、患者が気づいていない虫歯も発見できます。
歯周病の進行度
歯周病の進行度もチェックできます。パノラマレントゲンでは、歯単体の状況だけでなく、歯を支えている骨の状況や溶け具合を確認可能です。状況を把握した上で患者に適した治療法や対策法を伝えられます。
親知らずの状態
親知らずの状態もパノラマレントゲンでわかることの1つです。親知らずがどの方向に向いているのか、どのように生えているのかを確認できます。また隣の歯と干渉していないかなどもチェックできるので、便利です。
しかし親知らずの位置がわかるだけなので神経が通っているかどうかまでは確認できない点には注意しましょう。
歯の根元状態
歯の根本状態を確認するのにパノラマレントゲンは最適です。完璧に判断することは難しいですが、根本の状況によって神経が残っているか、神経に感染や炎症が起こっていないかを確認できます。
また根元が割れていないかや根本の形態もチェックできます。
歯を支える骨の状態・病気の有無
歯を支える骨の状態や病気の有無を確認できます。どこの歯槽骨がどれくらいなくなっているのかも確認でき、顎の骨の中で起こった病気や損傷も同時にチェックできます。
骨の状態を見ることで、ある程度神経の位置を把握できるので、安全に麻酔を行える、抜歯できるといったメリットがあります。
顎関節の状態
顎関節の状態を確認できます。パノラマレントゲンは歯だけでなく、下顎まで撮影可能です。顎の関節のズレや変形によって、歯にどんな影響があるのかをチェックできます。
詰め物・かぶせ物の状態
詰め物やかぶせ物の状態を確認できます。詰め物やかぶせ物にはどうしても段差やすき間が生まれます。しかし外して確認するのは、手間がかかり、治療費も発生します。
パノラマレントゲンを使うことで、詰め物やかぶせ物の中身を確認できるので、手間も費用も抑えられるのです。段差やすき間、虫歯がないのかなどをチェックしましょう。
歯科の治療歴
パノラマレントゲンを利用することで、歯科の治療歴もわかります。パノラマレントゲンは歯や歯肉の部分がよく見えるので、手術した跡がわかりやすいです。
パノラマレントゲンによって映ったところから治療歴を判断し、追加でどんな治療が必要なのか判断できます。
過剰歯の存在
過剰歯の存在を確認できます。過剰歯とは乳歯が20本・永久歯28〜32本より多く生えてきた歯のことです。基本的には抜歯をしますが、どんな治療が必要なのか、他の永久歯に悪影響がないのかを確認できます。
パノラマレントゲンの安全性
パノラマレントゲンの安全性はどうなっているのか気になるでしょう。結論、パノラマレントゲンは安全だと言えます。なぜなら、パノラマレントゲンで使用されるX線は、他の診断でも使われているものと同様のものだからです。
- 胃のX線精密検査:0.6ミリシーベルト
- 胸部のX線:0.05ミリシーベルト
- パノラマレントゲンの放射線量:0.03ミリシーベルト
パノラマレントゲンの放射線量は0.03ミリシーベルトなので、安全な治療を1つです。
パノラマレントゲンを利用するときの注意点
パノラマレントゲンを利用する際の注意点は以下のとおりです。
- 装置によっては立つか座るか変わる
- 撮影に2分〜3分かかる
- ネックレスやピアスは外す必要がある
- レントゲンの撮影中は口を動かさない
もし注意点を守らないと正常な診断ができません。患者にも協力してもらうようにお願いしましょう。
まとめ:パノラマレントゲンとはどんな機器か理解して上手に活用しよう
パノラマレントゲンは歯の位置や形、さらに歯に起こっている病気なども判断可能です。しかし神経の有無はわかりません。
歯科医院の治療内容は主になにが多くあるのかを考えて導入するのかも1つの判断基準になります。パノラマレントゲンの導入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。