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診療圏調査とは?やり方と注意点おすすめアプリ5選を紹介

クリニックを開業するにあたって、診療圏調査を行なっておくことはとても大切です。診療圏調査することで、候補地選定に役立ちますし、来院見込みの患者の人数や属性を理解して開業後の経営に役立てることもできます。

 

本記事では、診療圏調査の正しいやり方設定する際のポイント注意点を解説します。診療圏調査に役立つおすすめのアプリも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

診療圏調査とは?

診療圏調査とは、クリニックを開業する際に、開業予定地周辺の状況を調べ、対象となる患者数がどのくらい見込めるのかを推計するものです。

 

推計の来院見込み患者数はあくまでも目安ですが、年齢層や男女比をはじめ、周辺の競合や人口特性などの情報も得られるため、開業前にしっかり行うことが大切です。

診療圏調査の手順5ステップ

では、診療圏調査の手順を5ステップで紹介していきます。

  1. 開業地を決定する
  2. 診療圏の設定する
  3. 物件や診療科目など競合クリニックの調査をする
  4. 世帯特性を調べる
  5. 推定できる患者数を計算する

開業地を決定する

まず診療圏の設定をするために、開業する候補地を決めましょう。

 

候補地は最初から一つに絞る必要はありません。

はじめは、開業を考えている医院のコンセプトに合わせて、いくつか候補地をあげてから調査する方が、より良い開業地の選択につながります。

診療圏の設定する

開業地の候補を決めたら、次は診療圏を設定します。診療圏の設定理由は、訪れる患者さんがどの範囲から来るのかを予測するためです。

 

診療圏の設定基準は、診療科名によっても異なりますが、おもな設定方法は以下の2つ。

  • 同心円の距離で設定
  • 車による到達時間で設定

同心円の距離とは、一般的なクリニックでは、半径1km前後といわれています。ここでの注意点として、範囲の設定を拡大しても、推定患者数が増えるとは限りません。推定患者数は、競合クリニックの数や生活動線などの結果も影響するため、一概に図りきれないのが特徴です。

 

また、郊外での開業を考えている場合は、同心円の距離だけでは計りきれない恐れがあります。

 

例えば、駅から遠く、周辺に住んでいる方のほとんどが車移動だとしましょう。このケースでは、同心円の距離と車による到達時間の両方を設定しなければなりません。

競合クリニックの強度を調査する

診療圏調査で、どのくらいの患者が見込まれるかを算出する際には、診療圏内の患者数を競合クリニックの数で按分します。

 

この時、患者の数が競合クリニックの数で均等に按分されるため、競合クリニックの集患状況は全く加味されない分析結果となる点に注意しましょう。

 

競合クリニックの中でも、「評判が高いクリニック」「最新の医療機器を備えているクリニック」「閉院間近のクリニック」など、さまざまな集患状況のクリニックが存在しています。

 

そのため、診療圏の競合クリニックを調査するなら、クリニックが持つ現在の集患力を把握しておかなければなりません。

 

競合クリニックの集患力を調査するには、実際に現地へ行き、自身の目と足で確かめるのが一番です。また、事前に競合クリニックのホームページで駐車場の有無、医師の専門医資格の有無などについても調べておきましょう。

診療圏内の世帯特性を調査する

そして、診療圏内の世帯特性を調査しましょう。

 

診療圏内の人口数は、市区町村などが発表する統計情報を参照してください。

 

世帯特性を調査する理由は、実際に開業した後、安定した集患が長く見込めるかどうかを知るためです。各地域により「高齢者が多いのか」「ファミリー層が多いのか」「単身者が多いのか」など、世帯の特性はそれぞれ異なります。

 

例えば、小児科を開業予定であれば、ファミリー層が多いエリアの方が来院患者数が見込めます。認知症などの専門的な治療を必要とするクリニックであれば、高齢者が多いエリアが理想でしょう。

見込みの推定患者数を計算する

推定患者数を算出する方法は、以下の式によって割り出せます。

 

エリア人口×受療率÷(科目別競合医院数+1(=自院))=推定患者数

 

高度な治療や特別な処置が必要な患者以外は、駅や自宅からの距離を第一条件にクリニックを選ぶ可能性が高いです。そのため、推定患者数だけでなく、駅からの距離や地域の特性など、多角的な調査を進めることがポイントです。

科目別|診療圏の広さを設定するポイント

診療圏の広さの設定ポイントは、診療科目によって異なります。ここでは、下記の科目毎に診療圏の広さを設定する際の基準値やポイントについて解説していきます。

  • 一般内科
  • 精神科・耳鼻科
  • 産婦人科(婦人科を含む)・泌尿器科・美容皮膚科

一般内科

一般内科を受診する患者さんは、体調が悪くなった時にすぐに行きたい方が多いため、家や勤務先の最寄りのクリニックを選ぶ方がほとんどです。そのため、都市部であれば駅から徒歩2〜3分以内、郊外なら車で10分以内を設定するのがおすすめです。

耳鼻科・精神科

耳鼻科や精神科などは特定の疾患で受診する患者さんが多いため、すぐに行きたいと思う患者さんはあまりいません。しかし、複数回に渡って治療や診察に通う可能性が高いため、遠すぎると選んでもらいにくくなります

 

そのため、都市部なら半径1km以内、郊外であれば半径2km〜4km前後を診療圏に設定するのが良いでしょう。

産婦人科(婦人科)・泌尿器科・美容皮膚科

来院間隔が空きやすい婦人科や産婦人科、泌尿器科や美容皮膚科は、広い診療圏の設定が可能です。

 

都市部の急行停車駅であれば、駅から徒歩3分前後、各駅停車駅であれば駅から徒歩1分前後が目安です。

 

ただし、クリニックの方針次第では、患者さんに気軽に来院してほしい考えがあるかもしれません。

 

その場合は、診療圏の設定範囲を少し狭めてみてください。診療圏の広さを設定する際には、診療科目だけでなくクリニックの診療方針なども考慮して決めると良いでしょう。

診療圏調査をするうえでの注意点2つ

ここからは、診療圏調査する際に注意したい2つの事項について解説していきます。

  1. 夜間人口と昼間人口の差を考慮する
  2. 人口だけでなくユーザー属性もチェックする

夜間人口と昼間人口の差を考慮する

診療圏調査で使用する人口データは、国勢調査をもとに割り出しています。国勢調査の示す人口とは、夜間人口をもとにしているのですが、クリニックの開業候補地を駅前やオフィス街で考えている場合は、昼間人口を用いるのがおすすめです。

 

就業者の多くは、日中だと勤務先へ移動していることがほとんどでしょう。そのため、居住人口の少ないエリアを開業候補地と考えている場合、夜間人口で診療圏調査をしても、正確なデータを得られないこともあります。

 

診療圏調査は、開業予定地で獲得したい患者層を明確にした上で、夜間人口と昼間人口のデータから差を求めて使用の判断をしましょう。

人口総数だけでなく世帯属性もチェックする

同じ人口総数でも年代や世帯、性別などの構成は地域によって異なります。そこで世帯属性をチェックすれば、来院見込みの患者のニーズを想定し、クリニックの運営に活かせます。

 

ファミリー層が多い地域であれば、家族での来院がしやすいように駐車場を設置したり、子供向けの内装を意識したりなどの工夫も必要です。

 

高齢者が多い地域では、院内をバリアフリー化したり、送迎の実施を検討したりすることで、より集患を見込めるでしょう。

 

人口総数と外来見込み患者数だけをみるのではなく、世帯属性も把握しておくことで、より地域に合ったクリニック運営が目指せます。

診療圏調査の実施方法2選

では、診療圏調査を実施する2つの方法を紹介します。

  1. アプリやWeb診断を利用する
  2. 専門会社へ依頼する

アプリやWeb診断を利用する

まずは、アプリやWeb診断を利用する方法です。

 

該当の条件を設定することで、簡単に調査結果がわかるため、使いやすさも良好です。

 

ただし、アプリやWeb診断の調査結果は、あくまでもデータのみによる調査結果でしかありません。

 

特に競合クリニックに関する鮮度の高い情報が知りたい場合などには、アプリやweb診断とあわせて、現地調査や専門会社へ依頼することも検討する必要があります。

専門会社へ依頼する

専門会社に依頼する方法もあります。

 

専門会社へ依頼する最大のメリットは、担当者とコミュニケーションを取りながら、調査を進められる点です。きめ細かい対応も多く、より正確な調査もできるでしょう。

 

ただし、専門会社へ依頼した場合でも、基本的な調査結果は専門ソフトを用いて行われていることもあります。

 

依頼する会社が、「実際に足を運んで現地の競合クリニックの調査まで行ってくれるのか」「データのみのフィードバッグになるのか」などは、事前に確認しておいてください。

 

診療圏調査は、開業後の集患や経営の存続を左右する大切な調査です。信頼できる業者へ依頼できるように、会社選びは慎重に行いましょう。

診療圏調査のおすすめアプリ・サービス5選

では、診療圏調査におすすめの5つのアプリやサービスを紹介します。

  1. マップソリューションズ株式会社
  2. シャープファイナンス株式会社
  3. 株式会社メディヴァ
  4. 株式会社日本統計センター
  5. 技研商事インターナショナル株式会社

マップソリューション株式会社

 

主な機能 5年毎の患者数の推計、昼間/夜間人口データ、iPad対応可など
初期費用(税込) 715,000円〜
月額費用(税込) 46,200円〜
無料トライアル

マップソリューション株式会社の診療圏調査ソフトは、診療圏内のクリニックや調剤薬局のデータが、網羅率が100%であることと、年に4回もデータ更新されています。そのため、鮮度の高い情報を分析結果として得られる可能性が高く、精度が高いデータを算出されています。

 

また、開業予定地圏内の他院情報は、名称や住所だけでなく、診療科目や病床数などの細かいデータが出力される点もポイントです。さらに、昼間人口と夜間人口の両方からのデータ算出もできるため、開業候補地の条件に合わせたデータ取得が可能です。

 

また、開業後に見込まれる診察収入や在宅患者数の算出機能もあるなど、充実したオプションデータの抽出も可能です。そのため、細かいシミュレーションをしたい方にぴったりのサービスでしょう。

 

マップソリューション株式会社

シャープファイナンス株式会社

主な機能 見込み患者数の算出、診療圏マップ作成、総合判断
初期費用(税込) 無料
月額費用(税込) 無料
無料トライアル

シャープのノウハウを取り入れた、調査データを算出しているシャープファイナンスの診療圏調査。

 

シャープファイナンス株式会社の調査の特徴は、開業予定地の資料などをもとに、担当者が実際に現地を歩いて調査する点です。それにより、競合クリニックの立地や現在の状況についての把握を正確に行えるため、開業候補地周辺の最新の情報の入手が可能な点もポイントです。

 

そして、現地調査などの情報をもとに、競合クリニックなどをプロットした診療圏マップを作成します。ここまでの調査をすべて無料で行えるので、診療圏調査が初めての方や開業が初めての方にもおすすめのサービスです。

 

シャープファイナンス株式会社

株式会社メディヴァ

主な機能 推定外来患者数の検索、競合調査、昼間/夜間人口データ分析
初期費用(税込) 無料
月額費用(税込) 無料
無料トライアル

株式会社メディヴァが手掛ける、診療圏調査のアプリもおすすめです。

 

株式会社メディヴァの手掛ける診療圏調査アプリは、開業を希望する場所の住所を入力するだけで、簡易的な日本全国の外来患者の市場調査が簡単にできます。また、昼間人口・夜間人口それぞれのデータをもとに算出した、推定患者数の算出結果も入手できるので、候補地が市街地・郊外どちらでも対応可能となっています。

 

また、不明点があれば、個別相談フォームを利用することもできます。アプリを利用することで、専門会社に依頼することなく、自身のスマートフォンを使って簡単に調査結果を入手できます。それを見ながら、ご自分のペースで実際に現地調査して候補地を検討することも可能なので、手軽に診療圏調査をしたい方におすすめのサービスです。

 

株式会社メディヴァ

株式会社日本統計センター

主な機能 見込み患者数、推計診療報酬額、競合医療機関明細、商圏人口分析
初期費用(税込)
月額費用(税込) 従量制プラン/定額制プラン
※金額については要問い合わせ
無料トライアル

株式会社日本統計センターは、完全クラウド型のオンデマンドエリア分析サービスを提供している会社です。

 

株式会社日本統計センターは、鮮度の高い多彩な統計データを使用することにより、正確な見込み患者数と、推計診療報酬額の算出が可能なのが特徴です。また、近年オフィス街や都市部への開業が増加傾向にあることを踏まえ、推定患者数は居住人口以外にも、事業所の従業者数も考慮した分析も可能となっています。

 

また、見込み患者の分布は、町丁目単位で細かく情報の把握が可能となっているところもポイントといえるでしょう。料金体系は、「従量制」と「定額制(使い放題)」プランがあるため、利用頻度に合わせたプランを検討できます。

 

株式会社日本統計センター

技研商事インターナショナル株式会社

主な機能 推計患者数、来院圏のシミュレーション、競合データ
初期費用(税込) 要問い合わせ
月額費用(税込) 38,500円〜
無料トライアル

技研商事インターナショナル株式会社が提供する、診療圏分析データサービス「MarketAnalyzer」は、病院・診療所データをはじめとする統計データを利用した推計患者数レポートです。

 

開業する候補地を選択する上で欠かせないのが、来院圏のシミュレーションです。MarketAnalyzerでは、想定される様々な来院手段での設定が可能なため、有望なエリアの絞り込みがしやすくなります。

 

また患者数の推計データは、対人口受療率ベースと、傷病別受療率ベースの2種類で算出可能なため、開業したいクリニックの方針によりあった情報が入手できます。

 

技研商事インターナショナル株式会社

まとめ:診療圏調査はクリニックの開業後に後悔しないためにしっかりと実施しよう

クリニックは「なんとなく良い感じの立地だから」という理由で開業してはいけません。クリニックの方針や診療科名にあった地域で開業できるか、患者の来院が見込めるかどうかで、開院後の経営状態が変わります。

 

クリニックの開業後に後悔しないように、事前に実施して納得のいくまでしっかりと診療圏調査をしてください。