「レセプトの提出期限が10日に間に合わない場合は、どうしたら良いのだろう……」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
レセプトは10日までに提出する必要があり、遅れた状態で放置してしまうと診療報酬や調剤報酬が支払ってもらえず、収益に影響を与えます。
そこで本記事では、レセプトの提出が10日に間に合わないときに取るべき行動や月遅れ請求について解説します。
紙レセプトや電子レセプトごとの月遅れ請求の方法を紹介しているので、10日に間に合わないと悩んでいる方は参考にしてみてください。
この記事の内容
レセプトの提出が10日に間に合わないとどうなる?
レセプトの提出が10日に間に合わないと、その日の請求に含めることができず、翌月以降の請求扱いになります。
たとえば、7月の診療分を8月10日までに提出できなかった場合は、9月請求扱いになります。
また、レセプトは審査が通った場合でも、支払基金や国保連合会の保険者から診療報酬・調剤報酬が支払われるタイミングは審査通過時の2か月後と遅いです。
具体例を挙げると、7月診療分は本来10月に入金される予定ですが、提出が遅れると、11月以降にずれ込む可能性があります。
このように、提出が遅れると入金も遅くなり、給与支払いや仕入れなどの資金繰りに影響が出る点を把握しておきましょう。
レセプトの提出が間に合わないときに取るべき行動
レセプトの提出が間に合わない場合は、月遅れ請求ができますが、その前に支払基金や国保連合会に対して取るべき行動が主に4つあります。
- 遅延の理由を明確に伝える
- 迅速な再提出の意思を示す
- 再発防止策を提出する
- 締め切り期日の交渉を行う
それぞれを対応しておくと、信頼関係を崩さず、柔軟な対応を取ってもらえる可能性があります。レセプトの提出が10日に間に合わない・間に合いそうにない場合は、参考にしてみてください。
遅延の理由を明確に伝える
ただ「間に合いませんでした」と伝えるより、具体的に遅延の理由を伝えることで、柔軟に対応してもらえる可能性があります。
たとえば、レセコンのシステム障害によって出力できなかったり、災害や停電の影響で業務に支障が出たりしたときなどは、理由を詳しく伝えるのがおすすめです。
「◯月◯日にシステム障害が発生し、レセプトデータの出力ができなかったため、提出が遅れました」などと細かく伝えると、相手にも理由が伝わりやすいです。
迅速な再提出の意思を示す
レセプトの提出が10日に間に合わない場合は、迅速な再提出の意思を示しましょう。遅れは発生しているものの、できるだけ早く対応する姿勢を示すことにより、信頼関係が崩れにくいです。
具体例を挙げると、「本日中に修正を完了させ、◯月◯日までに再提出いたします。」と伝えることによって、印象が崩れにくくなります。
単に遅れるだけでなく、具体的な提出予定日を明示することがポイントです。
再発防止策を提出する
支払基金や国保連合会などの保険者との信頼関係を崩したくないときは、再発防止策を提出しましょう。
遅延が恒例化しないように、原因を踏まえて対策を伝えることで、信頼関係が崩れてしまう状態を防ぎやすいです。
たとえば、「今後は締め切り前に二重チェックを行う体制を整える」や「スケジュール管理システムを導入して対応する」といった具体的な方法を伝えると良いでしょう。
再発防止策を提出する際には、原因と対策をセットで伝えるのがおすすめです。
締め切り期日の交渉を行う
レセプトの提出が10日に間に合わない場合は、締め切り期日の交渉を行いましょう。とくに、やむを得ない事情である場合は、認めてもらえる可能性があります。
具体例を挙げると、紙レセプトを使用している場合「台風の影響で輸送が遅れたため、提出◯日までに認めていただけませんでしょうか」と伝えると検討してもらえる可能性があります。
ほかにも、電子レセプトでシステム障害があった際に「急なシステム障害で出力できなかったため、◯日まで猶予いただけないでしょうか」と伝えるのがおすすめです。
すべての理由が必ず認められるわけではありませんが、事情によっては柔軟に対応してもらえる可能性があります。
紙レセプトの月遅れ請求の方法
紙レセプトの月遅れ請求は、3つの流れで進みます。
- 郵送された紙レセプトを受け取る
- 返戻理由を確認して修正
- 再請求用の封筒にまとめて再提出
それぞれの流れについて解説します。
STEP.1:郵送された紙レセプトを受け取る
紙レセプトで月遅れ請求をするときは、まず郵送された紙レセプトを受け取りましょう。
支払基金や国保連合会から、返戻・差し戻しされた紙レセプトが郵送で届きます。
たとえば、保険証の記号が未記載などの理由で返戻通知と一緒に紙レセプトが返送されます。
STEP.2:返戻理由を確認して修正
郵送された紙レセプトを受け取った後は、返戻レセプトの修正と合わせて月遅れ分のレセプトを作成しましょう。月遅れ分のレセプトは、該当する診療月ごとにレセプトを作成します。
公費や保険証情報は、その診療月時点で有効な内容を反映させることが重要です。
返戻レセプトは、返戻理由が記載された返戻通知が届くため、内容に合わせて修正します。
修正漏れや記載ミス・入力漏れがあると、再度返戻の対象になるため、ダブルチェックを行うようにしましょう。
STEP.3:再請求用の封筒にまとめて再提出
紙レセプトを修正した後は、月遅れ請求分として、支払基金や国保連合会に送付します。支払基金や国保連合会に送付する際には、専用の月遅れ請求用封筒に入れましょう。
専用の封筒は、支払基金や国保連から定期的に配布されていますが、手元にない場合は、窓口で受け取ることが可能です。
月遅れ請求用封筒には「月遅れ分 ◯年◯月診療分」と記載します。
返戻レセプトと一緒に返戻通知のコピーなどの提出書類を添付して送付します。
オンラインの月遅れ請求の方法
オンラインの月遅れ請求の方法は、3つの流れで進みます。
- 返戻レセプトをダウンロードする
- レセプトの確認と修正
- オンラインサイトから再請求を行う
それぞれの流れについて解説します。
STEP.1:返戻レセプトをダウンロードする
オンラインでは、まず返戻レセプトをダウンロードしましょう。
支払基金や国保連のオンライン請求システムにログインし、返戻になったレセプトデータを取得します。
STEP.2:レセプトの確認と修正
返戻レセプトをダウンロードした後は、返戻レセプトの修正と、月遅れ分のレセプトの作成・確認を行いましょう。
月遅れ分のレセプトは、レセコンの請求画面で「月遅れ」や「遅延請求」といった選択肢がある場合、指定します。
月遅れや遅延請求の選択肢がない場合は、摘要欄に「◯月分 月遅れ請求」と記載しましょう。
また、返戻レセプトも通知が届いているので、内容に合わせて修正を行います。
レセプトの確認と修正の段階で訂正漏れがあると、再返戻になってしまうため、二重チェックで確認するようにしましょう。
STEP.3:オンラインサイトから再請求を行う
修正済みのレセプトデータが完成した後は、月遅れ請求としてオンラインで再送信します。再送信するときは、支払基金や国保連のオンライン請求システムにログインして、再請求または月遅れ請求のメニューを選択します。
再請求・月遅れ請求のメニューを選択した後は、修正済みのXMLデータをアップロードしましょう。
送信後、受理結果をダウンロードして保管してください。
提出後は受付完了となって初めて処理が進むため、結果確認まで必須です。
レセプトの提出が10日に間に合わない主な理由・原因
レセプトの提出が10日に間に合わない理由・原因は、主に4つあります。
- 人的ミスによる提出漏れ
- スケジュールの管理不足
- システムトラブルによる遅延
- 審査機関からの返戻
それぞれの理由・原因について解説します。
人的ミスによる提出漏れ
レセプトの提出が間に合わない理由では、担当者の入力や作業ミスによって、提出そのものが遅れる「人的ミスによる提出漏れ」が挙げられます。
たとえば、レセプトデータを作成したものの、送信ボタンを押し忘れたり、紙レセプトをまとめていたが、一部の患者分を封筒に入れ忘れていたりする場合が人的ミスによる提出漏れです。
ほかにも、送信したつもりがエラーで弾かれ、そのまま放置してしまうなどの人的ミスが挙げられます。
提出前に、送信済み確認や封筒内容物確認などのチェックリストを活用するのがおすすめです。
スケジュールの管理不足
月初から提出期限までの作業計画が甘く、結果的に10日に間に合わない「スケジュールの管理不足」も挙げられます。
具体的には、月末のレセプト点検に時間をかけすぎてしまい、送信準備が締め切り直前になったり、期日が過ぎたりするケースです。
ほかにも、9日にやれば大丈夫と考えていたものの、想像よりも修正件数が多く、10日に間に合わない場合もあります。
システムトラブルによる遅延
システムトラブルによる遅延も、レセプトの提出が間に合わない原因の一つです。
レセコンやネットワーク障害で、データ送信や出力ができず、レセプトの提出ができないケースもあります。
たとえば、サーバー障害や停電でシステムがダウンしてしまった場合、締め切りまでに復旧できず間に合わないというケースもあります。
審査機関からの返戻
レセプト提出が10日に間に合わない原因として、審査機関からの返戻が挙げられます。
一度提出したものの、内容に不備があり、返戻されて修正に時間がかかって期限を過ぎてしまうというケースです。
具体例を挙げると、診療行為の算定誤りを修正するのに時間がかかり、10日を過ぎてしまう場合があります。
対策として、保険証情報は初診時に必ずコピーやスキャンを保存したり、算定条件を事前に確認して調剤・診療時点でミスを防いだりするのがおすすめです。
レセプト提出が遅れないための方法
レセプト提出が遅れないための方法は、主に4つあります。
- スケジュール管理を徹底する
- ダブルチェック体制を整える
- 電子カルテとレセプトシステムを連携させる
- スタッフの業務負担を減らす
それぞれの方法について解説します。
スケジュール管理を徹底する
レセプトが間に合わない状況を避けるために、スケジュール管理は徹底しましょう。
レセプトの提出締め切りは毎月10日と決まっているため、作業を逆算して計画を立てるのがおすすめです。
たとえば、月初の1~3日に診療内容の入力を完了させ、5日までに一次点検を終える。
7日までに最終確認を済ませ、8日を内部締め切りに設定、9日に送信するようなスケジュールを設定するのが良いでしょう。
ダブルチェック体制を整える
レセプトの提出が間に合わないときは、ダブルチェック体制を整えましょう。
入力や提出が一人任せになってしまうと、入力ミスや不備などに気付けない可能性があります。
そこで、複数人数で確認することで、一人では気付けない見落としも発見できます。
電子カルテとレセプトシステムを連携させる
電子カルテとレセプトシステムを連携させると、レセプトの提出が間に合わない状態を避けやすいです。電子カルテとレセプトシステムを連携させることで、診療情報の入力からレセプト作成までを一気通貫で処理できます。
たとえば、電子カルテに診療内容を入力すると、自動でレセプトに反映させることが可能です。
ほかにも、診療録と請求データを一致させることで、入力忘れや二重入力が減ります。システム間の連携を強化すると、修正にかかる時間を大幅に削減できます。
スタッフの業務負担を減らす
レセプトの提出を遅れさせない方法として、スタッフの業務負担を減らす方法が挙げられます。
事務作業が荷重になってしまうと、提出遅延のリスクが高くなります。
たとえば、レセプト点検業務が誰か1人に過剰に負担がかかっている場合は、作業を分担し、一人のみに負担がかからないようにすると良いでしょう。
また、年末やGW前などの忙しい時期は、臨時スタッフやレセプト代行サービスを活用し、負担を軽減すると提出が遅れてしまう状態を防げます。
まとめ:レセプトの提出期限を意識して対応しよう!
レセプトの提出が間に合わないと、入金が遅延してしまい、給与支払いや仕入れなどの資金繰りに影響が出ます。
収益に直結するため、レセプトの作成や点検は計画的に行う必要があります。
ダブルチェック体制やスケジュール管理を徹底することで、レセプトの提出が間に合わない状態を避けられるため、本記事を参考にしながら余裕のあるスケジュールで対応してみてください。