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レセプトの取り下げ方法は?依頼時の注意事項や取り下げを減らすためのポイントを解説

「レセプトを取り下げたいけど、どのようにしたら良いのだろう……」
「レセプトの誤りを見つけたから、正しい内容に修正して再提出したい……」

 

このような疑問・悩みを抱えていませんか?

 

レセプトの取り下げは、請求データに誤りがある場合や、本来請求してはいけない内容を誤って請求してしまったときに行います。

 

本記事では、レセプトの取り下げ方法や注意点について解説します。

 

レセプトの取り下げをしたいと考えている方は、参考にしてみてください。

レセプトの取り下げとは?

レセプトの取り下げとは?

レセプトの取り下げとは、病院やクリニックでレセプト(診療報酬明細書)を作成して提出した後に、何かしらの理由で請求を取り消し、再審査請求を行うことを指します。

 

主に、患者情報や診療行為の入力ミスなどの請求データに誤りがあったときや、保険証の確認漏れで資格がなかったりしたときに行います。

 

請求データに誤りを発見した際に、取り下げを行い、修正したうえで再提出することが必要です。

 

誤りを発見したのにもかかわらずそのまま放置していると、返戻を受けたり、査定を受けたりするため、気をつけましょう。

返戻と査定の違い

レセプトに誤りがあったのにもかかわらず、支払基金や国保連合会などの保険者にそのまま提出してしまうと、返戻や査定を受けます。返戻と査定は、減額されるか請求不可となっているかに違いがあります

 

返戻は、提出したレセプトが審査を通過せず、請求不可として病院・クリニックに通知が届くことです。

 

そのまま放置してしまうと、診療報酬や調剤報酬を請求できないため、収益に大きな影響を与えます

 

一方査定は、診療報酬や調剤報酬が算定ルールや根拠が適正ではないときなどに、減額された状態で支払いを受けることです。

 

返戻の場合は再提出を行って請求できるものの、査定は減額に対して再提出ができないので、基本的には諦めないといけない点に違いがあります。

【紙レセプトの場合】レセプトの取り下げ方法

【紙レセプトの場合】レセプトの取り下げ方法

原則として、レセプトの取り下げはオンライン請求で対応するように社会保険診療報酬支払基金より推奨されています。

 

紙レセプトでの対応は将来的に受け付けてもらえない可能性もあるため、オンラインのやり方も含めて確認しておきましょう。

 

紙レセプトでの取り下げをする場合は、4つの流れで進めます。

  1. 取り下げ用紙の準備
  2. 必要事項の記入
  3. レセプトの提出
  4. 保険者の確認・承認

それぞれの流れについて解説します。

取り下げ用紙の準備

紙レセプトの取り下げを行いたいときは、まず請求済みの紙レセプトを取り消すための正式な依頼書を用意します。

 

医師会支払基金国保連合会のホームページから、ダウンロードできる場合もあります。

 

レセプト取り下げ依頼書や、返戻・取り下げ依頼書といった専用の書式を使用して、提出先の保険者に依頼書を出しましょう

必要事項の記入

取り下げ依頼用紙を準備した後は、どのレセプトをなぜ取り下げたいのかを明確にします。

 

取り下げ理由では、「保険証番号の誤入力により誤請求したため」や「自費処置を誤って保険請求したため」などと記載します。

 

ほかにも該当する診療年月や患者氏名、保険者番号などを確認しましょう。

 

なかでも患者の名前や生年月日が間違っている場合は、返戻対象となるため気をつけてください。

レセプトの提出

取り下げ依頼書を記載した後は、対象の紙レセプトとあわせて提出します。

 

国保であれば「国民健康保険団体連合会」、社保なら「社会保険診療報酬支払基金」に提出しましょう。

 

また、取り下げるレセプトは、原本を添付する必要があります

 

月締め後に誤りに気づいた場合は、速やかに郵送または持参するようにしましょう。

保険者の確認・承認

レセプトの取り下げ依頼書と対象となるレセプトの原本を提出した後は、保険者の審査が行われます。保険者が内容確認を行い、問題ないと判断した場合は、取り下げが正式に成立します。

 

審査内容にあわせて、医療機関に取り下げ完了通知や返戻通知が届くため、返戻がある場合は最終性を行いましょう

 

一方で、返戻通知が届いた場合は、内容に不備があることを示しており、再度修正して提出することが必要です。

 

正しい内容に直したレセプトを再提出することで、診療報酬や調剤報酬が支払われます。

【電子レセプトの場合】レセプトの取り下げ方法

【電子レセプトの場合】レセプトの取り下げ方法

電子レセプトの取り下げ方法は、4つの流れで進みます。

  1. システムにログイン
  2. 取り下げ対象レセプトの選択
  3. 取り下げ操作
  4. 保険者への送信

それぞれの流れについて解説します。

システムにログイン

電子レセプトを取り下げたい場合は、まずレセプト請求用のオンラインシステムに入りましょう。

 

オンライン請求システムや、レセコンの請求管理画面にユーザーIDとパスワードを入力してログインします

 

支払基金のオンライン請求端末に接続して、対象となる診療月の請求データを確認しましょう。

取り下げ対象レセプトの選択

システムにログインした後は、誤って請求したレセプトを特定しましょう。

 

患者氏名や診療年月、受付番号などで検索をすると、目的のレセプトをすぐに見つけられます

 

対象レセプトを一覧から選択し、取り下げ対象にマークします。

取り下げ操作

取り下げたい対象のレセプトを見つけた後は、選択したレセプトを無効化するデータを作成します。システム上で取り消し・取り下げといった専用のボタンを押し、取り下げ理由を選択します

 

取り下げ理由を選択すると、入力する画面が表示されるため、取り下げ理由を記載しましょう。

 

取り下げ理由では、保険証情報誤りや、診療内容の誤入力などと記載して確定を押します。

 

レセプトを選択して取り下げ理由を記載した後は、システム上で取り下げデータが生成されます。

保険者への送信

取り下げ用のデータを作成した後は、取り下げデータを支払基金や国保連合会などの保険者に送信し、正式に取り下げを依頼します。

 

送信完了後は、受付エラーの有無や承認状況などの受付結果ファイルが届きます。

 

提出された内容が問題なければ保険者側で承認され、該当するレセプトが無効となって後日再請求することが可能です。

レセプトの取り下げ依頼に関する注意事項

レセプトの取り下げ依頼に関する注意事項

レセプトの取り下げ依頼に関する注意事項は、主に2つあります。

  1. 当月請求の取り下げ依頼時
  2. 当月以前の取り下げ依頼時

それぞれの注意事項について解説します。

当月請求の取り下げ依頼時

当月請求の取り下げ依頼時は、支払基金や国保連合会の受付締切をすぎると、当月扱いで取り下げられなくなります。

 

たとえば、9月分を10月10日の締め切り前に取り下げれば、その月の修正請求が可能です。

 

しかし、10日を過ぎてしまった場合はそのまま審査が行われるため、減額された状態で支払われたり、返戻を受けたりします。

 

そのため、提出したレセプトに問題があると発覚した段階で、すぐに取り下げ処理を行うようにしましょう

当月以前の取り下げ依頼時

当月以前の取り下げをする際には、取り下げ依頼書の提出が必須です。

 

また、当月以前のレセプトは、すでに審査や支払いが進んでいるため、入金済みなら返金手続きや過誤調整になります。

 

ほかにも、保険資格喪失などが理由の場合は、保険者から支払われないため、患者に自己負担分の請求をする必要があります。

 

書類準備や再提出、基金または国保とのやり取りが必要になり、当月以前の取り下げ依頼は事務負担が多い点に注意しましょう

レセプト取り下げを減らすためのポイント

レセプト取り下げを減らすためのポイント

レセプトの取り下げを減らすためのポイントは、主に4つあります。

  1. 保険情報の確認を徹底する
  2. 月次点検の精度向上を図る
  3. 調剤時点で加算条件を確認する
  4. スタッフ教育・ダブルチェック体制を構築する

それぞれのポイントについて解説します。

保険情報の確認を徹底する

レセプトの取り下げを減らしたいときは、患者の保険情報の確認を入念に行いましょう。

 

たとえば、新しい保険証に変更されているのに、旧情報の保険証で請求を出してしまうと、返戻を受けるため取り下げをする必要があります。

 

患者が保険証を更新した場合、レセコンに正しい保険番号や有効期限を入力しましょう。

 

来院時に保険証を毎回確認したり、資格喪失や更新を事前にチェックしたりするのがおすすめです。

月次点検の精度向上を図る

月次点検の精度の向上を図ることは、レセプトの取り下げを減らす方法として挙げられます。

 

レセプト提出前に不備を早期発見すると、その場で直せるため、取り下げの必要がなくなります。

 

月次点検の精度を上げる方法として、請求前チェックリストを用意し、カルテとレセプト内容を照合するのがおすすめです。

 

ほかにも、点数の算定ミスや診療日、処方日数の確認を行うと良いでしょう。

調剤時点で加算条件を確認する

薬局の場合は、調剤時点で加算条件を確認するのがおすすめです。

 

加算条件を入念に確認することで、加算算定ミスによる返戻や取り下げを防げます

 

具体例を挙げると、処方箋の内容に応じて、調剤時に在宅加算や服薬指導加算などの必要な加算条件をチェックしましょう。

スタッフ教育・ダブルチェック体制を構築する

レセプトの取り下げを減らしたいときは、スタッフの教育やダブルチェック体制を構築しましょう。スタッフの教育やダブルチェック体制を重視することで、人為的なミスを減らすことができます

 

たとえば、新人スタッフに対してレセプト作成手順の教育を定期的に行ったり、チェックリストを活用して複数人でカルテとレセプト照合をしたりすると良いでしょう。

 

人為的なミスから返戻・取り下げになるケースがあるため、スタッフ教育やダブルチェック体制を検討してみてください。

まとめ:レセプトの取り下げ依頼は状況に合わせて対応が異なる!

まとめ:レセプトの取り下げ依頼は状況に合わせて対応が異なる!

レセプトの取り下げ依頼は、状況に合わせて柔軟に対応する必要があります。

 

とくに、月次点検のときにダブルチェック体制で入念に確認したり、スタッフ教育で作成手順を定期的に指導したりすると、取り下げの頻度を減らすことが可能です。

 

また、締め切り直前に点検をすると時間の少なさから焦ってしまい、返戻を受けたり取り下げが必要になったりします。

 

そのため、レセプトを作成・提出する際には、計画的に進めて余裕を持った状態で行うようにしましょう。