自由診療に特化した機能が豊富に搭載されている「自由診療向け電子カルテ」。
保険診療用の電子カルテにはない機能も多く備わっているのが特徴で、多くの自由診療クリニックが導入しています。
本記事では、数あるシステムの中から厳選した、おすすめの自由診療向け電子カルテを紹介していきます。
自由診療向け電子カルテの主な機能や、自院に合った選び方についても解説しますので、導入を検討している方は参考にしてみてください。
この記事の内容
自由診療向けの電子カルテとは?
自由診療向けの電子カルテとは、美容整形やAGA、インプラントなど、自由診療を行うクリニックが使いやすい機能を多数搭載した電子カルテです。
自由診療に必要となる同意書を簡単に作成できたり、集客ツールで効率的に集患したりなど、保険診療向けの電子カルテにはない機能も豊富に備えています。
自由診療向け電子カルテの機能
自由診療を実施するクリニックで役立つ電子カルテには、どのような機能が搭載されているのでしょうか。
ここからは、自由診療向け電子カルテに備わっている代表的な機能について紹介します。
- 顧客管理機能
- 書類作成機能
- 画像管理機能
- コース管理機能
- 集患支援機能
- 経営分析機能
顧客管理機能
自由診療クリニックでは、同じ患者が複数回来院するケースが多いため、顧客管理機能があると役立ちます。
電子カルテの顧客管理機能では、患者の個人情報や来院履歴、施術履歴などを記録・管理できます。
顧客情報を素早く検索・更新できるうえ、スタッフ間で正確な情報を共有できるので、業務効率化を図れるのがメリットです。
書類作成機能
自由診療を行うクリニックでは、施術の前に契約書や同意書を作成する場面が多くあります。
これらを紙で作成していると、どうしても量が膨大になり、管理に手間がかかってしまいます。
書類管理機能があれば、患者ごとに書類をデータ化できるため、業務効率化やミス防止につながるのがメリットです。
製品によっては、電子署名機能や紙の書類をスキャンしてデータ化できる機能を持つシステムもあります。
画像管理機能
自由診療では、患部の写真や絵図を使用する場面も多くあるため、まとめて画像を管理できる機能があると便利です。
画像管理機能が搭載されていれば、登録した画像を並べたり重ねたりして施術のビフォーアフターを比較でき、患者により分かりやすく説明できます。
コース管理機能
クリニック独自に設定した診療コースがある場合、コース管理機能のあるシステムがおすすめです。
患者ごとにコースの残り回数や使用期限などを管理できるため、受付や予約業務をより効率化できます。
集患支援機能
集患に力を入れる場合に特に重視したい機能は、集患支援機能です。
自由診療においては、メールやSNSを通じて治療内容を宣伝して集患するクリニックも少なくありません。
下記のような集患支援機能を活用すると、リピーター数を効率的に増やしやすくなります。
【集患支援機能の代表例】
- ステップメール配信機能
- LINE連携機能
- ポイント管理機能
- 割引キャンペーン配信機能
また中には、施術コースが中断している患者に絞ったメッセージ送信や、誕生日の患者にバースデークーポンを配信して来院を促すといった集患機能も備えています。
経営分析機能
来院患者数や顧客単価など、カルテに記録した情報を経営分析に活かす機能を有した電子カルテも登場しています。
電子カルテを活用して経営状況を分析すると、従来の紙カルテでは困難だった詳細な分析も容易になるのがメリットです。
データに基づいた戦略的な意思決定が可能になり、患者層に合ったキャンペーン施策や売上悪化の原因追求などに役立てられます。
自由診療向け電子カルテの選び方
自由診療向け電子カルテを選ぶ際は、搭載されている機能やサポート体制を確認しておくのが大切です。
ここからは、自由診療向け電子カルテの選び方について紹介します。
- 自由診療特化型か保険診療併用型か確認する
- 自院に必要な機能を有しているか確認する
- サポート体制が充実しているか確認する
自由診療特化型か保険診療併用型か確認する
自由診療向け電子カルテは、大きく分けて「自由診療特化型」と「保険診療併用型」の2種類が存在します。
それぞれの特徴を紹介しますので、どちらのタイプが自院にあっているかチェックしてみてください。
自由診療特化型
自由診療のみを行うクリニックの場合、自由診療特化型の電子カルテが適しています。
診療報酬の請求に必要なレセプトを作成するソフトウェアは必要ないので、保険診療向けの電子カルテを選ぶベネフィットはないからです。
基本的に自由診療特化型の電子カルテは、院内業務の効率化や集患の強化に焦点を当てて作られています。
経営分析機能がついているシステムもあり、高い収益性が求められる自費診療に合った設計が多いのも特徴です。
保険診療併用型
自由診療と保険診療どちらも行うクリニックの場合は、保険診療併用型の電子カルテが向いています。
自由診療と保険診療と併用できる電子カルテは、保険診療と自由診療の両方を行う医療機関向けに設計されているのが特徴です。
患者が保険診療と自由診療の両方を受ける場合に同じカルテで一元管理でき、クリニック側は患者の治療全体を把握しやすくなります。
自院に必要な機能を有しているか確認する
自院にとって必要な機能を洗い出したうえで、自院のニーズに合った機能を持つ電子カルテを選ぶのも重要です。
自由診療向け電子カルテにはさまざまな製品があり、製品によって対応できる機能や業務効率化できる範囲は異なります。
自院に必要な機能が基本搭載なのかオプションなのかもメーカーによって異なるため、導入前にしっかり確認しておきましょう。
サポート体制が充実しているか確認する
電子カルテ会社のサポート体制が整っているかも、大切なチェックポイントです。
導入時だけではなく、導入後もどこまでサポートしてもらえるのか、事前にしっかりと確認しておきましょう。
サポートの方法は、訪問対応や電話やメールでの遠隔対応などメーカーごとにさまざまなので、自院に合った方法で支援が受けられるメーカーから選んでください。
自由診療向け電子カルテおすすめ8選
ここからは、自由診療クリニックにおすすめの電子カルテ8選を紹介します。それぞれの特徴をチェックして、自院に合ったシステムを選んでみてください。
- medicalforce|株式会社メディカルフォース
- B4A(ビーフォーエー)|株式会社B4A
- キレイパスコネクト|GMO Internet Group
- Kalonade(カロネード)|Kalonade株式会社
- SMARTCRM(スマートCRM)|カルー株式会社
- ACUSIS Cloud|株式会社プロ・フィールド
- MEDIBASE|株式会社メディベース
- CLIPLA Light|株式会社クリプラ
medicalforce|株式会社メディカルフォース
主な機能 | 予約管理
会計 在庫管理 経営管理 Web予約 CRM(顧客関係管理) デジタル問診票 メッセージ配信 リマインド通知 |
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タイプ | クラウド型 |
料金 | 要問い合わせ |
運営会社 | 株式会社メディカルフォース |
公式サイト | https://service.medical-force.com/ |
株式会社メディカルフォースのmedicalforceは、美容クリニックをはじめとする自由診療クリニックの業務を管理するクラウド型電子カルテです。
WEB予約や来院管理、問診票、会計、経営管理、在庫管理などの院内リソースがすべて連携しています。
美容クリニックで働くスタッフへのヒアリングによって生み出された操作画面で、現場で使いやすい設計なのも魅力のひとつ。
LINEとの連携に優れているのも特徴で、予約受付やリマインドメッセージ配信などをLINEを介して行えるため、患者とのコミュニケーションが取りやすいのも注目ポイントです。
B4A(ビーフォーエー)|株式会社B4A
主な機能 | リアルタイム予約
事前オンライン問診 電子カルテ管理 画像管理 シフト管理 経営数値管理 請求・役務管理 |
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タイプ | クラウド型 |
料金 | 初期費用:要問い合わせ
月額費用:要問い合わせ |
運営会社 | 株式会社B4A |
公式サイト | https://www.b4a.co.jp/ |
株式会社B4A のB4A(ビーフォーエー)は、予約から決済まで、自由診療クリニック運営に必要な機能が網羅的に備わったクラウドツールです。
B4Aが提供する予約システムと顧客管理機能は特許取得済みで、エラーが起きにくい点に定評があります。
患者が空き状況を確認し、その場で予約を完結できるリアルタイム予約機能を搭載しており、スタッフと患者両方の手間を削減してくれます。
顧客管理機能では、売上推移や各種情報を自動で蓄積するのが特徴です。クリニックの運営状況を可視化できるため、リピート率向上のためのマーケティング施策立案に役立ちます。
キレイパスコネクト|GMO Internet Group
主な機能 | 予約システム
WEB問診 デジタル診察券 LINE連携 会計 CRM 経営分析 |
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タイプ | クラウド型 |
料金 | 初期費用:0円
月額費用 プレミア:90,000円 カスタマイズ:60,000円 スタンダード:40,000円 トライアル:9,000円 |
運営会社 | GMO Internet Group |
公式サイト | https://connect.kireipass.jp/ |
GMO Internet Groupのキレイパスコネクトは、自由診療クリニックの業務にかかわる一連のシステムを管理できるクラウド型電子カルテです。
予約システムや会計、コース管理、経営分析など、多岐にわたって自由診療に必要なツールを一括管理できます。
WEB予約とLINE予約の連携が可能なのも魅力で、LINEからの予約も自動的に予約表へ登録されます。
WEB問診機能も備えており、ネット予約した患者に対して問診表を自動で配信可能です。来院前にオンライン上で回答してもらえるため、受付の手間や時間の削減につながります。
料金プランを4つ用意しているのも特徴で、デジタル化の段階に適したプランが選択できます。
Kalonade(カロネード)|Kalonade株式会社
主な機能 | WEB・LINE予約
受付・会計 シフト管理 デジタル問診・アンケート 売上管理 役務管理 Google予約連携 |
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タイプ | クラウド型 |
料金 | 初期費用:0円
月額費用:要問い合わせ |
運営会社 | Kalonade株式会社 |
公式サイト | https://service.kalonade.com/ |
Kalonade株式会社のKalonadeを導入すると、自由診療クリニックのあらゆる業務をオールインワンにまとめて管理できます。
予約管理やシフト管理、会計管理、デジタル問診など、クリニック運営に必要なあらゆる業務を総合的に担うのが特徴です。
LINE予約やプッシュ通知、メッセージ配信などによってリピート率向上に向けた施策も行えます。
カスタマイズ性にも優れており、クリニックのニーズに合わせた柔軟なサービス提供が可能です。
SMARTCRM(スマートCRM)|カルー株式会社
主な機能 | 顧客管理
予約管理 役務管理 電子書類 電子契約 販売管理 デジタル診察券 WEB予約 アンケート取得 セグメント配信 WEB問診 スタッフ管理 |
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タイプ | クラウド型 |
料金 | 初期費用:要問い合わせ
月額費用 電子カルテ利用:50,000円~ WEB予約利用:30,000円~ |
運営会社 | カルー株式会社 |
公式サイト | https://www.smart-crm.me/ |
カルー株式会社のSMARTCRM(スマートCRM)は、自由診療クリニック専用のクラウド型電子カルテです。
LINEを通じた集患に注力したシステムが特徴で、クリニックのLINE公式アカウントを通じてLINEが診察券になる「デジタル診察券」を発行しています。
デジタル診察券は機能やデザインをクリニックのオリジナル仕様に変更できるため、より独自性を出したアプローチが可能です。
WEB予約やリマインド通知、患者マイページ、チェックインなどの各種機能もLINE上で提供しています。
ACUSIS Cloud|株式会社プロ・フィールド
主な機能 | 予約管理
画像管理 在庫管理 アプリ機能 |
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タイプ | クラウド型 |
料金 | 初期費用:50万円~
月額費用:59,800円~ |
運営会社 | 株式会社プロ・フィールド |
公式サイト | https://profield.co.jp/acusis/ |
株式会社プロ・フィールドのACUSIS Cloudは、自由診療に特化した電子カルテですが、日医標準レセプトソフト「WEB ORCA」と連携すると保険診療にも対応可能です。
予約システムや会計について、自由診療と保険診療をどちらも把握しやすい構成になっています。
そのため、皮膚科や産婦人科など、保険診療を主体としながら自由診療も希望する患者を増やしたいクリニックにおすすめです。
患者別・科目別の売上集計機能といったマーケティングツールも搭載しているので、経営分析にも役立ちます。
MEDIBASE|株式会社メディベース
主な機能 | 見積書・概要書面・契約書作成
電子署名 画像管理 予約受付・問診 分院展開 |
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タイプ | クラウド型 |
料金 | 初期費用:140,000円~
月額費用:45,000円〜 |
運営会社 | 株式会社メディベース |
公式サイト | https://medibase.cloud/ |
株式会社メディベースのMedibaseは、必要なサービスだけを選別して契約できるので、シンプルな電子カルテを希望するクリニックにおすすめです。
月額費用は45,000円からと比較的リーズナブルな料金設定で、端末台数と利用人数は無制限となっています。
見積書や契約書、施術同意書は電子サインにも対応しているため、患者からサインを得るために印刷する必要がなく、徹底したペーパーレス化を実現できます。
国内データセンターで24時間有人監視しているため、万が一トラブルが発生しても迅速に対応してくれる点も大きな魅力です。
CLIPLA Light|株式会社クリプラ
主な機能 | 電子カルテ機能
複数端末からの同時アクセス 画像データの取り込み |
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タイプ | クラウド型 |
料金 | 要問い合わせ |
運営会社 | 株式会社クリプラ |
公式サイト | https://clipla.jp/light/ |
株式会社クリプラのCLIPLA Lightは、シンプルで使いやすい設計にこだわった自由診療向けのクラウド型電子カルテです。
他のカルテに比べて機能が一定数しかないため、スマホのような感覚で手軽に利用でき、導入ハードルが低くなっています。
毎月の機能アップデートとシステム更新は無料で実施しているのもうれしいポイント。
更新費用はかからず、端末が増えても追加の料金が発生しないので、維持費にコストをかけたくないクリニックにもおすすめです。
自由診療で電子カルテを使う際の注意点3つ
ここからは、自由診療向け電子カルテの導入を検討する際に注意しておくべきポイントを3つお伝えします。
- 自由診療でもカルテを記載する必要がある
- 保険診療と自由診療はカルテをわけて記録する
- 自院に必要な機能を見極める
自由診療でもカルテを記載する必要がある
保険診療と同様に、自由診療でもカルテを記録する必要があります。
「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。」
引用:保険医療機関及び保険医療養担当規則
上記のように医師法24条で定められているため、自由診療の場合でも患者のカルテを残すのは必須です。
保険診療と自由診療はカルテをわけて記録する
保険診療と自由診療の両方を行う場合、それぞれのカルテを分けて記録する点にも注意が必要です。
医療機関が守るべき内容をまとめた「療養担当規則」で、下記のように定められています。
「保険医療機関は、第二十二条の規定による診療録に療養の給付の担当に関し必要な事項を記載し、これを他の診療録と区別して整備しなければならない。」
引用:保険医療機関及び保険医療養担当規則
自院に必要な機能を見極める
まずは自院に必要な機能を明確にしたうえで、自院のニーズに合った機能を持つ電子カルテを選ぶようにしましょう。
電子カルテ選定に向けて「何を目的として導入するのか」「どのような課題を解決したいのか」を改めて洗い出すのがポイントです。
たとえば、カルテへの入力を簡素化したいのか、予約業務を効率化したいのか、あるいは他のシステムとの連携を進めたいのかなど、目指す姿を具体化してみましょう。
多くのメーカーで設けている無料トライアルを利用したうえで検討するのもおすすめです。
まとめ:自由診療を効率化する電子カルテを導入しよう
自由診療を行うクリニックでは、顧客管理機能や書類作成機能、集患支援機能などを搭載した電子カルテが役立ちます。
本記事を参考に、自院の診療内容や経営戦略に合った電子カルテを導入し、さらなる業務の効率化を目指しましょう。