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開業医がクリニックを売却する際の相場費用は?売却手順や注意点を解説!

院長の高齢化経営難自身の転職などの理由により、クリニックの売却を考える開業医が増えています。しかし、売却に関わる費用や手順など、不明点が多く困っている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、クリニック売却に関する費用相場や具体的な売却手順、売却時に気を付けるべきポイントを分かりやすく解説していきます。クリニック売却でよくある質問にも答えていくので、ぜひ参考にしてみてください。

開業医によるクリニックの売却が増えている理由とは?

開業医によるクリニックの売却が増えている理由とは?

近年、開業医によるクリニックの売却が増加傾向にあります。主な理由としては、「後継者不足」「転職や移住」「経営難」の3つとされていますが、具体的にどういった背景があるのでしょうか。ここでは、それぞれの理由について詳しく解説します。

理由①院長の高齢化や引退による後継者不足

クリニックの院長が高齢になり引退を考えている場合、後継者がいないと廃院に追い込まれてしまいます。
例えば、院長の親族や従業員の中に後継者がいれば事業承継できますが、そうでない場合は売却を検討せざるを得ません。

開業医の場合、クリニックに院長以外の医師が在籍していないケースも多いため、後継者不足による売却が増えていると考えられます。

理由②転職や移住

開業医が転職や移住を検討している場合、クリニックを継続運営することが難しくなり、売却を選択肢に入れる必要が出てきます。
例えば、個人院の経営難や患者の集客不足などの理由から、総合病院等への転職を検討するケースなどが増えているようです。
また、家庭の事情により遠方へ移住を検討しているケースも多く見られます。

理由③経営難

医療制度改革や人件費の高騰、患者数減少などの影響で経営が厳しくなり、継続が困難になったため売却を考えているケースもあります。医療関係者の働き方改革や、新型コロナウイルスの影響により経営が傾いてしまうクリニックが増加傾向にあるようです。
また、地域によっては過疎化の影響で患者数が減少していることもあり、安定的な経営が難しくなってしまうケースも増えています。

【注意】売却とM&Aは違う!?どちらがおすすめ?

売却 M&A
クリニックの事業そのものを廃止 第三者にクリニックの経営を引き継ぐ

クリニックの事業承継には「売却」と「M&A」の2つの選択肢があります。売却は、クリニックの事業そのものを終了して資産を現金化するもので、M&Aは第三者にクリニックの事業を引き継がせるものです。

M&Aのメリットとしては、開業医が譲渡益を得られること、患者への医療提供が継続できること、従業員の雇用が守られることなどが挙げられます。

売却に比べてM&Aの方が、地域医療の継続やスタッフの雇用維持という点でメリットが大きいため、状況に応じてM&Aを検討するのもおすすめです。

開業医がクリニックを売却する際の費用相場は?

開業医がクリニックを売却する際の費用相場は?

クリニックを売却する際には、様々な費用が発生します。主な費用項目と相場は以下の通りです。

弁護士・税理士報酬 数十万円〜百万円程度
デューデリジェンス費用 数十万円程度
事業所得に対する所得税・住民税 最高55%程度の実効税率
固定資産税 譲渡所得に対して最大20%程度

上記の項目以外に、仲介業者に委託した場合には手数料や成功報酬などがかかります。
また、売却ではなく、M&Aをした場合には引継ぎ費用等も上乗せされるので注意が必要です。

開業医がクリニックを売却するための手順を解説

開業医がクリニックを売却するための手順を解説

開業医がクリニックを売却する場合、具体的にどのような手順を踏めば良いのでしょうか?クリニック売却に向けた5つのステップは、以下の通りです。

  1. 事前準備
  2. 買い手へのアプローチ
  3. 契約交渉
  4. 開業許可等の移行手続き
  5. 税務・会計処理

それではこの5つのステップを詳しく解説していきましょう。

ステップ1:事前準備

まずはクリニックの現状を把握し、売却の準備を進めます。クリニックの財務諸表を整理して収益性や負債状況を明確にしたり、クリニックの市場価値を評価していきます。

市場価値の評価方法には、コストアプローチインカムアプローチマーケットアプローチなど複数あるため、専門家に協力してもらうと短時間で準備が完了します。
また、売却の目的や希望条件を明確にし、どのような買い手をターゲットにするかを決定していきましょう。

ステップ2:買い手へのアプローチ

次に、適切な買い手を見つけるためのアプローチをします。売却を仲介業者に依頼する場合には、信頼できるM&A仲介業者フィナンシャル・アドバイザー(FA)を選定しましょう。また、クリニックの魅力や強みをアピールする買収提案書を作成し、買い手にアピールするのも効果的です。

いくつかの買い手をピックアップしたら、直接あるいは仲介業者を経由して、クリニックの詳細情報を提供していきます。

ステップ3:契約交渉

買い手が見つかったら、具体的な契約交渉に入ります。買い手がクリニックの財務状況や運営状況を詳細に調査(デューデリジェンス)を行い、リスク評価最終的な買収価格を決定します。
その後、売却価格や支払い条件、M&Aの場合には引き継ぎ期間など、具体的な条件を交渉し契約書を作成していきましょう。
この時、契約書には法的問題も発生するため、弁護士や税理士などのサポートが必要になります。仲介業者を利用すれば、一貫して専門的なサポートを受けられるため安心です。

ステップ4:開業許可等の移行手続き

M&Aによる事業継承の場合には、クリニックの運営に必要な許可やライセンスの移行手続きを進めます

保健所や医師会などの関係機関に対して、開業許可や医療機関コードの変更手続きを行ったり、クリニックのスタッフに売却の詳細を説明して引き継ぎを進めていきましょう。
この時、スタッフの退職を最小限に抑えるためには、丁寧な説明移行に向けた具体的なスケジュールを提示することが大切です。

ステップ5:税務・会計処理

最後に、売却に伴う税務・会計処理をします。売却益に対する所得税や法人税の申告をしたり、売却に伴う会計処理と財務諸表の整理をしたりします。
これらの処理には税理士などの専門家のサポートが不可欠です。

開業医がクリニックの売却を成功させるための4つのポイント

開業医がクリニックの売却を成功させるための4つのポイント

クリニックの売却を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。以下4つのポイントを参考に、スムーズな売却を目指しましょう。

  1. 早期から準備を始める
  2. 適正な価値評価を行う
  3. 法的手続きを遵守する
  4. 専門家のアドバイスを受ける

ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

ポイント①早期から準備を始める

クリニックの売却は、思い立ったらすぐにできるものではありません。売却を検討し始めたら、できるだけ早期に準備を始めることが重要です。
財務状況を整理してクリニックの収益性や負債状況を明確にしたり、老朽化した設備や施設をメンテナンスしたりして、売却価格へ影響する問題をクリアしていきましょう。

ポイント②適正な価値評価を行う

クリニックの適正な価値評価は、売却価格を適切に設定するために不可欠です。
クリニックの資産を時価に評価替えし、負債を差し引いた純資産額の算出や、クリニックのブランド力や将来の収益性を考慮した営業権の評価などが必要になります。
また、M&A仲介業者やコンサルタントに依頼し、第三者の視点からクリニックの価値を評価してもらうことも重要です。

ポイント③法的手続きを遵守する

クリニックの売却にはさまざまな法的手続きが伴います。トラブルを未然に防ぐためにも、契約書の作成や行政手続きでは法律を遵守していきましょう。

不安な場合には、クリニックの売却に関する無料相談を受け付けているサービスもあるので、一度相談してみるのがおすすめです。

ポイント④専門家のアドバイスを受ける

クリニックの売却は専門的な知識が必要となるため、専門家のアドバイスを受けることが成功のポイントとなります。例えばM&A等の仲介業者なら、適切な買い手を見つけるためのサポートから契約成立まで、一貫したサービスを受けられるというメリットがあります。

また、売却に伴う税務処理や節税対策について税理士からアドバイスを受けたり、弁護士に契約書の作成や法的手続きに関するサポートを受けたりするのもおすすめです。

開業医のクリニック売却におすすめの仲介サービス

開業医のクリニック売却におすすめの仲介サービス

クリニックの売却におすすめの仲介サービスを紹介します。

  1. 株式会社バトンズ
  2. 株式会社M&Aサクシード
  3. 株式会社日本M&Aセンター

この3社は、医療分野に特化した実績があり、開業医の皆さんに特におすすめできるサービスです。それぞれ詳しく紹介していくので、参考にしてみてください。

サービス①株式会社バトンズ

サービス①株式会社バトンズ

バトンズは、医療・介護分野に特化したM&A仲介サービスを提供しています。医療機関の売買実績が豊富で、全国に事業者ネットワークを持っていて、専任のコーディネーターが売却から引継ぎまでをサポートしてくれるサービスです。

また、案件には匿名での掲載が可能で、プライバシーが守られるのも嬉しいポイントです。

サービス②株式会社M&Aサクシード

サービス②株式会社M&Aサクシード

M&Aサクシードは、法人向けの審査制M&Aマッチングサイトを運営しています。掲載企業の審査をし、優良な買い手を選別しているので安心です。

また、完全成功報酬制のため初期費用がかからない点や、公認会計士をはじめ専門家によるサポートが受けられる点などが高評価を集めていました。

サービス③株式会社日本M&Aセンター

サービス③株式会社日本M&Aセンター

日本M&Aセンターは、幅広い業種でM&Aのコンサルティングを手掛けているサービス業者です。医療・介護に特化した専門チームがクリニックの売却をサポートしてくれて、公開・非公開の売却案件情報を豊富に保有しているのがポイントです。

財務デューデリジェンスなど高度な専門サービスを提供しているので、適正な売却価格の選定が可能になるのが嬉しいでしょう。

開業医のクリニック売却についてよくある質問

開業医のクリニック売却についてよくある質問

クリニックの売却を検討する際には、さまざまな疑問が生じることがあります。ここでは、よくある3つの質問とその回答をまとめました。

  • クリニックを売却する際の税金の相場は?
  • 従業員や患者への対応で気を付けることは?
  • 休止中のクリニックや賃貸のクリニックでも売却できる?

ぜひ参考にしてみてください。

クリニックを売却する際の税金の相場は?

クリニックを売却する際には、売却益に対して税金が発生します。また、個人事業主と医療法人では税金の種類や税率が異なるので注意しましょう。

個人事業主 医療法人
所得税、住民税、特別復興所得税等
(合計税率:約20%)
法人税(約30%)
消費税が発生する場合もあり

上記の税率はあくまでも一例です。これらの税金の計算は複雑なため、税理士などの専門家に相談して正確な税額を把握していきましょう。

従業員や患者への対応で気を付けることは?

従業員には、売却の決定後できるだけ早期に通知しましょう。早期のお知らせによって、安心感を与えることが大切です。廃院の場合には、転職に関する相談やサポートをしていきましょう。

また、事業継承により譲渡する場合には、新しい経営者との面談を設定し、雇用条件や業務内容について話し合う機会を設けるのがおすすめです。

患者には、クリニックの廃院後の受け入れ先を提示することが大切です。紹介状を作成し、継続して治療が受けられるよう配慮しましょう。
譲渡によりクリニックの運営が継続される場合には、経営者が変わっても安心して通院できるように丁寧に説明をしてください。特に、かかりつけ患者には個別に説明するといいでしょう。

休止中のクリニックや賃貸のクリニックでも売却できる?

休止中のクリニックや賃貸のクリニックでも売却は可能です。ただし、それぞれの場合でいくつかの注意点があります。

休止中のクリニックの場合は、設備や立地条件が良ければ売却の対象となりますが、再開に向けた準備や修繕が必要な場合があるので注意してください。

また賃貸のクリニックの場合、賃貸契約の引き継ぎが必要です。賃貸契約の条件や期間を確認し、貸主の同意を得ることから始めましょう。

開業医のクリニック売却は早期準備と専門家のアドバイスを受けるのがおすすめだった

開業医のクリニック売却は早期準備と専門家のアドバイスを受けるのがおすすめだった

クリニックの売却は、開業医にとって大きな決断です。売却の理由には後継者不足経営難などが挙げられますが、売却を成功させるためには早期からの準備専門家のアドバイスが不可欠となります。
手順をしっかりと理解し、必要な経費の把握やスタッフ・患者への丁寧な説明を行っていきましょう。

また、M&Aには地域医療の継続スタッフの雇用継続などのメリットがあります。売却とM&Aどちらが良いのか、専門家に相談するのもおすすめです。