薬局のM&A件数が近年増加しているのはなぜでしょうか?
個人経営や小規模の薬局では、後継者不足や薬剤師確保が困難になるなど、経営環境の変化が大きな要因となっています。
本記事では、薬局のM&Aが増加している理由やM&Aを行うメリット・デメリット、M&Aに失敗しないためのポイントについて詳しく解説します。
この記事の内容
薬局のM&Aとは?
薬局のM&A(合併・買収)は、他の薬局を合併または買収することを指します。
M&Aにより、薬局は経営状況を改善したり、業務を拡大したりすることが可能になります。M&Aは競争力を高め、強化するために有効な戦略的手段として利用されることも多いのです。
また、効率的な運営体制の構築や後継者不足の解消、地域医療への貢献などの目的で行われることもあります。
薬局のM&Aが増えている理由4つ
なぜ薬局のM&Aが増えているのでしょうか?ここでは、主な理由を4つ紹介します。
- 後継者不足
- かかりつけ薬局の増加
- 薬価改定や調剤報酬改定
- 人材不足
理由1:後継者不足
多くの薬局では、経営者の高齢化に伴い後継者が不足しています。特に家族経営や小規模な薬局では、次世代に事業を引き継ぐための後継者がいないことが大きな問題となっています。
このため、事業を持続させるためにM&Aが選ばれるケースが増えているのです。
理由2:かかりつけ薬局の増加
近年では、患者がかかりつけ薬局を持つことが多くなってきました。かかりつけ薬局では、様々な病院の処方薬の飲み合わせをしっかりと確認でき、投薬指導や副作用への対応などをスムーズに行えるため、近年ニーズが高まってきています。
これに伴い、より多くの患者を抱える薬局や、少し離れた地域の薬局とM&Aを行うことで、経営を安定させたり、事業規模を拡大したり出来るようになるため、薬局のM&Aが増えていると考えられます。
理由3:薬価改定や調剤報酬改定
薬価改定や調剤報酬の改定は、薬局の収益に直接影響を与えます。改定により収益が圧迫されると、薬局はコスト削減や効率化が必要になってしまいます。
M&Aは経営効率を向上させる手段として有効です。そのため、特に薬価の引き下げが大きい品目を多く扱う薬局では、経営状況を安定させるためにM&Aを選択することが多いようです。
理由4:人材不足
薬剤師の確保が困難な地域では、人材不足が経営の大きな課題です。M&Aにより人材を共有したり、専門知識や技術を持つ薬剤師を効果的に配置したりすることで、サービスの質を維持しつつ、人材確保ができるようになります。
また、後継者不足による廃業を防ぐことにも繋がるため、小規模な薬局や家族経営の薬局のM&Aが増えています。
薬局のM&Aにおけるメリット・デメリット
薬局のM&Aを行う際のメリットとデメリットを紹介します。メリット・デメリットをそれぞれ4点ずつ紹介しますので、参考にしてみてください。
メリット | デメリット |
---|---|
・経営の安定化 ・市場競争力の向上 ・後継者不足の解消 ・専門性の強化 |
・経営方針の食い違い ・スタッフや患者の流出 ・M&Aによる費用の高額化 ・処方元の医療機関との関係悪化 |
薬局M&Aのメリット
薬局のM&Aで大きなメリットとなるのが、「経営の安定化」と「後継者不足の解消」です。経営が安定することで、市場競争力も向上し、業務拡大も進むと予想されます。
また、後継者不足や人材不足による問題も解決でき、異なる専門性を持った薬局同士がM&Aを行えば、より多くの患者へ専門的なサービスを提供できるようになるので、収益や地域医療への貢献が高まります。
薬局M&Aのデメリット
薬局のM&Aでのデメリットとしては、M&A後の経営方針の違いや、スタッフ・患者の流出が挙げられます。異なる薬局同士が合併・買収されるため、それまでの経営方針や待遇が変更になる可能性もあるのです。その際にスタッフや患者の流出を防ぐため、事前にしっかりと告知や話し合いを行う必要があります。
また、M&Aには費用がかかります。M&Aの規模によって費用が高額化する場合もあり、注意が必要です。
地域密着型の薬局では、処方元の医療機関と隣合って営業していることもあります。その場合、経営者が変わることで関係性が悪化してしまう可能性もあるため、丁寧な説明が求められます。
薬局のM&A相場や手数料は?
M&Aに関する料金の相場は、薬局同士の規模によっても異なりますが、数百万円~数千万円のことが多いです。仲介業者を介して契約を結ぶ場合には、相談料や着手金、成約報酬などがかかります。成約までにかかる金額をあらかじめ検討するためには、複数の仲介業者から見積りを依頼し、比較するのがおすすめです。
薬局のM&Aにおすすめのサービス
薬局のM&Aでおすすめの仲介サービスを3つ紹介します。
- 株式会社M&Aフォワード
- 株式会社ストライク
- 株式会社CBコンサルティング
どの会社も薬局のM&Aに関する実績が豊富で、無料相談も受付ている会社です。M&Aを検討中の方は、一度相談してみるのもおすすめです。
サービス①株式会社M&Aフォワード
株式会社M&Aフォワードは、調剤薬局のM&A仲介業者です。無料で売却額を診断してくれるサービスもあるので、自身の薬局の価値を事前に知ることができおすすめです。
また、専門のアドバイザーがつくので、疑問点や不安なところを遠慮なく質問できるのも嬉しいポイントですね。
サービス②株式会社ストライク
株式会社ストライクは様々な業界のM&Aを仲介している会社です。薬局以外にも医療法人や介護事業などを幅広く取り扱っています。
相談・着手金が無料のため、初めてのM&Aに不安がある場合や、費用を抑えたい場合におすすめです。成約件数は約2300件と、業界でもトップクラスの実績があります。また、全国にネットワークがあり、専門の担当者が丁寧にサポートしてくれるので安心です。
サービス③株式会社CBコンサルティング
株式会社CBコンサルティングは、薬局業界に特化したM&A仲介業者です。成約件数は右肩上がりで増え続けており、薬局業界でのM&A成約件数は業界トップとなっています。全国の薬局に対応していて、ネットワークの広さが高評価を集めていました。
また、法人向けの譲渡だけでなく、個人で薬局開業を目指している薬剤師とのマッチングも行っているのも特徴です。開業希望の薬剤師は約2000名保持されており、後継者不足での譲渡を希望している薬局におすすめです。
薬局のm&aに失敗しないためのポイント
薬局のM&Aに失敗しないためには、まず事前の準備が重要です。市場の動向を把握し、自身の薬局の強みや弱みを考えてみましょう。また、適切な買い手や売り手を見つけるために、専門のM&A仲介会社に相談することもおすすめです。
また、交渉では、双方の利益を考慮した「公正な取引」が求められます。売り手は会社の価値を正しく伝え、隠れた負債がないことを保証する必要があり、買い手は適切なデューデリジェンスを行い、事業の潜在的なリスクを見つけることが大切です。
M&A締結後の統合に向けたプロセスも重要なポイントです。経営方針の違いや統合後の体制をしっかりと話し合い、両社の従業員がスムーズに協力できる環境を整えることで失敗しにくくなります。
薬局のM&Aについてよくある質問
薬局のM&Aについてよくある質問3つに答えていきます。
- 薬局はどこで買えますか?
- 小さな薬局ほどM&Aの対象になりやすい?
- M&Aを成功させるためのポイントは?
M&Aの疑問を少しでも減らして、成功に繋げていきましょう。
薬局はどこで買えますか?
薬局の購入は、専門のM&A仲介会社やオンラインのM&Aマッチングサイトを通じて行うことが一般的です。買い手と売り手が直接連絡を取り合い、取引を行うことができます。また、地域の商工会議所などで情報を公開していることもあります。
小さな薬局ほどM&Aの対象になりやすい?
小さな薬局はM&Aの対象になりやすい傾向にあります。特に後継者不足や経営状況の改善が難しいことが多いため、小さな薬局は大手企業や他の薬局チェーンに買収されるケースが多く見られているのです。
M&Aを成功させるためのポイントは?
M&Aを成功させるためのポイントには、主に以下が挙げられます。
- 相手の選定を適切に行う
- 事前の準備をしっかり行い正確な価値評価をする
- 条件交渉で双方にとって利益のある条件を決める
- M&A後の統合に向けた管理を丁寧に行う
また、専門のアドバイザーや仲介業者と協力することで、複雑な交渉や調査をスムーズに進められるのでおすすめです。
薬局のM&Aはメリットとデメリットを押さえて実施を検討しよう
薬局のM&Aは、後継者不足や薬価改定などの影響により近年増加傾向にあります。中でも後継者不足は事業を継続する上で大きな問題となっていました。M&Aにより、後継者や人材不足を補い、経営状況を改善することが、地域医療への貢献にも繋がっています。
また、M&Aにはメリットとデメリットが存在します。内容をしっかりと理解し、より良いM&Aの成約に繋げましょう。